結論
還暦祝いは子から親へ1〜5万円が目安で、 そのなかでも3万円が中心になりますし、 孫から祖父母へは1〜3万円という幅で考えれば、 大きく外れることはありません。
ただし兄弟姉妹がいる場合は、相場よりも金額を揃えることのほうが優先されます。 親のところには子どもたちの贈り物が並べて届きますので、 一人だけ多い額も、一人だけ少ない額も、そのまま伝わってしまいます。
| 贈る相手 | 包む額の目安 | 決めるときの考え方 |
|---|---|---|
| 子から親へ | 1〜5万円のあいだで決めます | 3万円が中心で、きょうだいの間で額をそろえます |
| 孫から祖父母へ(学生) | 金額にはこだわらなくて構いません | 手紙や写真、花を贈るだけでも十分に伝わります |
| 孫から祖父母へ(社会人) | 1〜3万円のあいだで考えます | 1万円前後を選ぶ人がいちばん多くなります |
| 兄弟姉妹へ | 1〜2万円が目安になります | お互いに祝い合う関係ですので、同じくらいにそろえます |
| 親戚へ | 5千〜1万円に収めておきます | 日ごろの交流の深さによって、この幅の中で決めます |
| 職場・知人へ | 3千〜1万円のあたりが目安です | 連名にしてまとめることが多くなります |
4万円・9万円など、4と9のつく金額は避けます。長寿祝いではとくに気にされる数字ですので、封筒に入れる前に一度数え直しておきますが、結婚祝いと違って偶数そのものは問題ないとされていますので、2万円で困ることはありません。
| 自分の状況(子から親へ贈る場合) | 包む額の目安 |
|---|---|
| 学生で、まだ扶養されている | 無理に包まず、品物にしておけば十分に通ります |
| 20代で、独立して間もない | 1万円前後にしておけば、見劣りすることはありません |
| 30代で、世帯を持っている | 3万円が選ばれることが、いちばん多くなります |
| 40代以上 | 3〜5万円のあいだで考えておけば足ります |
| きょうだいの連名でまとめる | 合計5〜10万円にして、内訳は内輪で調整します |
親は子の家計をよく知っています。いま自分がどれくらい稼いでいて、住まいのことや子どものことにどれだけかかっているかまで見当がついていますので、背伸びした金額は喜ばれるより先に心配させることになります。
兄弟で揃えるのが最優先
父親か母親の還暦が近づいて、実家で食事会をしようという話がまとまったとします。 日取りと店は決まったのに、自分がいくら包むのかだけが決まらないまま、 当日が近づいてくるということが起こります。
調べれば相場は出てきますが、そこで判断が割れるのは、 その相場どおりに自分ひとりで決めてよいのか、 それともきょうだいと足並みをそろえるのかという点です。 相場は一人に向けて書かれていますが、贈る側は一人とはかぎりません。
| きょうだいの状況 | 額の決め方 |
|---|---|
| 年齢も収入も近い | 同じ額にそろえて、それぞれの名前で包みます |
| 年齢や収入に開きがある | 連名にして、内訳をきょうだいの間で調整します |
| 相談しないまま当日を迎えた | 差がそのまま、親の目に並んで見えることになります |
| 一人だけ多く出した | 張り合ったと見られかねず、多い側も居心地が悪くなります |
| 話を切り出しにくい | 「いくらにする」と一言たずねるだけで決まります |
差が問題になるのは、受け取る相手が同じだからです。友人へのお祝いであれば誰がいくら包んだかは並びませんが、親のところには子どもたちの贈り物が同じ日に同じ場所へ届きますので、額の違いはそのまま伝わりますし、当日その場で気づくことになります。
食事会の席では、たいてい料理が出そろったあたりで封筒を渡すことになります。 同じ形の祝儀袋が三つ並んで座卓の端に置かれると、 厚みの違いまで見えてしまうことがありますし、 渡す順番によっては、あとの人ほど気を使うことになります。
これを避けるのに要る手間は、あらかじめ一言たずねておくことだけです。 きょうだいのやり取りに「いくらにする」と送っておけば、 少なかった側だけでなく、多く出した側の気まずさも同時に消えますので、 当日は誰も金額のことを考えずに席につけます。
連名でまとめる方法
きょうだいのあいだで年齢や収入に開きがあると、 同じ額でそろえること自体が難しくなります。 就職したばかりの末っ子に3万円を出させる形は、 そろえたことにはなっても、当人にとっては無理のある話になります。
そこで分かれるのが、それぞれの名前で別々に包むのか、 一つにまとめて贈るのかという選び方です。 前者は各自の気持ちがそのまま形になりますが、 後者にすると額の内訳を外から見えなくすることができます。
| 連名にすると | どうなるか |
|---|---|
| 金額の差が表に出ない | 内訳はきょうだいの間だけで調整すれば済みます |
| 親のお返しが1件で済む | 人数分の返礼を考えずに済みますので、親の側が楽になります |
| まとまった贈り物ができる | 旅行や、少し値の張る記念品を選ぶことができます |
| のし紙の名前 | 「子ども一同」と書けば、誰がいくらかは見えません |
連名の値打ちは、額をそろえられないきょうだいがいるときにはっきり出ます。合計6万円を長男3万円・次男2万円・末っ子1万円で持ち寄っても、親の目には「子どもたちから6万円」としか映りませんので、末っ子が引け目を感じたまま席につくことがなくなります。
たとえば3人きょうだいで、長男が40代、次男が30代、 末っ子は就職したばかりという並びを考えます。 全員を同額にすると末っ子にだけ無理が出ますし、 末っ子に合わせて全員を下げると、上の二人が物足りなく感じます。
こういうときは、集める役をきょうだいの誰か一人が引き受けてしまうのが早道です。 合計額と内訳を決めてから一つの祝儀袋にまとめ、 のし紙の下段に「子ども一同」と書いて渡せば、 当日そこで金額の話が出ることもありません。
現金と品物、どちらを選ぶ?
額が決まると、次は形をどうするかで止まります。 赤いちゃんちゃんこのような品物を用意するのか、 それとも祝儀袋に現金を入れるのかで、 同じ3万円でも渡したときの手触りがまるで変わってきます。
判断が分かれるのは、現金の受け止め方が人によって違うためです。 使い道が自由なのは間違いない一方で、 親へ手渡す形として現金が気になるという方もいますので、 額を決めるときとは別の物差しが要ります。
| 選び方 | 向いている場面 |
|---|---|
| 品物 | 欲しいものが分かっていて、形に残したいときに向きます |
| 旅行・食事 | きょうだいで出し合うときに向き、還暦は体力にも余裕があります |
| 現金 | 何が欲しいか分からず、本人に選んでほしいときに向きます |
| 商品券・カタログギフト | 現金が気になるときに選べて、実質は現金と同じです |
現金でも失礼にはあたりません。それでも還暦祝いで品物や旅行が選ばれることが多いのは、親子の間柄であっても現金は生々しく感じられる場合があるからで、そこが気になるのであれば、カタログギフトや商品券にするだけで印象がやわらぎます。
現金を包む場合にどのあたりまでが枠なのかは、外側からも見当がつきます。 藤巻百貨店を運営する株式会社caramoが利用者約2,000人にたずね、 2024年10月17日に公表したアンケートでは、 還暦祝いの予算は父親・母親へが1万円〜5万円、 友人・親戚・職場の上司などへは約2万円までという結果でした。
これは通販サイトの運営会社が自社の利用者に尋ねたもので、 現金と品物を分けない「予算」の金額ですから、封筒に入れる額そのものではありません。 それでも子から親へ1〜5万円という幅と重なっていますので、 現金にする場合もこの幅の中に収めておけば、外れることはありません。
食事会と贈り物の予算配分
還暦祝いでは、座敷を予約して食事会を開き、 そのうえで贈り物も用意するという形がよく選ばれます。 ところがこの二つを別々に考えていると、 店の予約を入れたあとで贈り物の予算が足りなくなることが起こります。
迷いどころは、食事会の費用を贈り物の金額に含めて考えるのか、 それぞれ別に積むのかという点です。 料理と贈り物を足した総額が思っていた倍になっていた、 という気づき方をするのがいちばん困ります。
| 全体の予算 | 食事会にあてる額 | 贈り物にあてる額 |
|---|---|---|
| 3万円 | 1万5千円ほどを食事会にあてます | 残る1万5千円で贈り物を選びます |
| 5万円 | 2〜3万円を食事会にあてておきます | 2〜3万円で贈り物を用意します |
| きょうだい連名で10万円 | 4〜5万円を食事会にあてます | 5〜6万円で旅行や記念品を選べます |
食事会の費用は、子どもたちの側で負担するのが一般的です。主役である親に払わせてしまうと祝われた側が支払ったことになりますので、誰がどう払うのかという会計の段取りだけは、店に入る前に決めておきます。
当日いちばん起きやすいのは、会計の場で親が財布を出そうとすることです。 長年そうしてきた人ほど手が先に動きますので、 料理が下げられたあたりで席を立ち、先に払ってしまうか、 予約のときにカードを預けておくと、そこで押し問答になりません。
全体の予算から振り分ける形にしておくと、きょうだいの間でも話が早くなります。 「一人3万円」と決めるより「全体で10万円、うち食事会に4万円」と決めるほうが、 誰が何にいくら出すのかが一つの表に収まりますので、 あとから足りない分を誰かが持ち出すことがなくなります。
孫から祖父母へ贈る場合
孫の立場で還暦祝いを考えるときは、事情がまた変わってきます。 学生でアルバイト代しか手元にないという状況で、 1万円という数字を見てしまうと、それが越えなければならない線のように見えてきます。
ここで軸になるのは金額ではなく、 気持ちが伝わる形になっているかどうかのほうです。 祖父母にとって孫からの贈り物は、額の大小で並べられるものではありませんし、 そもそも比べる相手がいません。
| 孫の立場 | どうするか |
|---|---|
| 学生で収入がない | 無理に包まず、手紙や写真を用意すれば十分に喜ばれます |
| アルバイトをしている | 金額にこだわらず、孫たちで出し合った花束などにします |
| 社会人になっている | 1〜3万円が目安で、1万円前後を選ぶ人が多くなります |
| 孫が何人もいる | 「孫一同」としてまとめると、一人あたりの負担が分散します |
孫からの贈り物で重く見られるのは、額ではなく手を動かした跡が残っているかどうかです。写真を選んで並べたり、便箋に一枚書いたりする時間は金額に置き換えられませんし、孫たちで出し合った花束であれば、誰がいくら出したのかも表に出ません。
食事会の席で、学生の孫が便箋を開いて手紙を読み上げるということがあります。 そこで祖父母が覚えているのは文章の出来ではなく、 書いてきてくれたという事実そのものですので、 うまく書けたかどうかを気にする必要はありません。
社会人になっているのであれば、1万円前後を選んでおけば十分に通ります。 きょうだいやいとこを含めて孫が何人もいるなら、 「孫一同」として一つにまとめることで、 働きはじめたばかりの人にも無理のない額に収まります。
お返しの扱い
渡したあとで気になってくるのが、お返しをめぐるやり取りです。 食事会が終わって数日たったころに、 親から「お返しはどうしたらいい」と電話がかかってくることがあり、 そこで初めて考えはじめることになります。
分かれ目は、その食事会をお返しと見るのか、 別に品物を用意すると考えるのかという点です。 家族の中で完結する贈り物ですので、外向けの内祝いとは考え方が違ってきます。
| 場面 | お返しの扱い |
|---|---|
| 食事会を開いてもてなした | そのもてなしがお返しにあたるとされています |
| 家族からのお祝い | 品物を返さないことも一般的で、そのままで差し支えありません |
| 品物で返す | いただいた額の半額から3分の1を目安にします |
| のし紙の表書き | 「内祝」または「還暦内祝」と書いておきます |
| 高額を受け取った | 親が返礼を気にしますので、相場の範囲に収めておきます |
相場を大きく超える額を包むと、喜ばれる前に返礼のことを考えさせてしまいます。渡すときに「お返しは気にしないで」と一言添えておけば、親は返す品を選びに出かけずに済みますし、こちらも受け取ってしまってから断る気まずさを避けられます。
食事会を開いたのであれば、その場で伝えてしまうのがいちばん早くなります。 料理が運ばれてくる前に「今日はこちらで持つから、お返しは要らないからね」と言っておけば、 会計の段取りとお返しの話が一度に片づきますので、 後日の電話そのものがなくなります。
それでも親が何か返したいと言うのであれば、無理に止めることはありません。 いただいた額の半額から3分の1を目安に、 のし紙の表書きを「内祝」または「還暦内祝」としておけば形は整いますので、 あとは親の気の済むようにしてもらえば済みます。
還暦祝いの金額に唯一の正解があるわけではなく、自分の年齢と暮らし向き、 そしてきょうだいが何人いるかを見て、その場で無理のない額を選べば足ります。 子から親へは1〜5万円で3万円が中心、孫から祖父母へは1〜3万円という幅を 覚えておけば、細かい組み合わせを思い出せなくても大きく外れることはありません。
どの立場から贈る場合でも変わらないのは、渡す前にきょうだいや孫どうしで 額を合わせておくことと、相手が返礼を気にしない範囲に収めることの二つだけで、 この二つを守っていれば、現金でも品物でも失礼にはなりません。 背伸びした額で驚かせるより、当日その席が和やかであるほうが後々まで残ります。
よくある質問
還暦祝いは親にいくら贈るのが目安ですか?
子から親へは1〜5万円が目安で、そのなかでも3万円が中心になります。20代で独立して間もないのであれば1万円前後でも十分に通りますし、兄弟姉妹がいる場合は、相場に合わせることより金額を揃えることのほうが優先されます。
兄弟で金額を揃えるべきですか?
揃えるのが基本になります。親のところには子どもたちの贈り物が並べて届きますので、差があればそのまま伝わってしまいます。収入や年齢に開きがある場合は、兄弟の連名でまとめて一つ贈る方法があり、内訳が表に出ないうえに親のお返しも1件で済みます。
現金と品物のどちらがよいですか?
還暦祝いでは品物や旅行が選ばれることが多くなっています。親子の間柄であっても現金は生々しく感じられる場合があるためですが、何が欲しいか分からないのであれば、現金や商品券にして本人に選んでもらう形も失礼にはあたりません。
食事会の費用も金額に含めますか?
分けて考えるほうが分かりやすくなります。食事会の費用は子どもたちで負担し、贈り物は別に用意する形が一般的ですので、全体の予算を先に決めてから食事会と贈り物へ振り分けると、あとから足りなくなることがありません。
避けたほうがよい金額はありますか?
4万円・9万円など、4と9のつく金額は「死」「苦」を連想させるため避けます。長寿祝いではとくに気にされる数字ですが、結婚祝いと違って偶数そのものは問題ないとされていますので、2万円を選んで困ることはありません。
孫から祖父母へはいくらが目安ですか?
1〜3万円が目安になりますが、学生であれば金額にこだわる必要はありません。手紙や写真、孫たちで出し合った花束のほうが喜ばれることも多くありますし、社会人になっているのであれば1万円前後が選ばれています。
まとめ
- 子から親へは1〜5万円、中心は3万円になります
- 孫から祖父母へは1〜3万円を目安にします
- 相場より、きょうだいで額をそろえることを優先します
- 額に開きがあるときは連名にして内訳を内輪で調整します
- 4と9のつく金額は避けますが、偶数は問題ありません
- 還暦では品物や旅行が選ばれますが、現金でも失礼になりません
- 食事会の費用と贈り物は分けて考え、会計は子どもたちで持ちます
- 食事会でもてなせば、それがお返しにあたります
参考情報
- リンベル ギフトコンシェルジュ「長寿祝いのおすすめギフト・プレゼントと基礎知識(還暦/古希/喜寿/傘寿/米寿/卒寿/白寿)」
https://www.ringbell.co.jp/giftconcierge/2201 - 郵便局のネットショップ「古希・喜寿・傘寿・米寿・卒寿・白寿など、長寿祝いの基礎知識とおすすめギフト」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_158.aspx - 高島屋「長寿祝い(賀寿)のプレゼント(還暦、古稀、米寿、喜寿等)」
https://www.takashimaya.co.jp/shopping/gift/gaju/ - 三越伊勢丹「還暦、緑寿。長寿祝いの贈り物にふさわしいものは?」
https://www.mistore.jp/gift/manner/oiwai/chouju_iwai/article/kanreki.html - 藤巻百貨店(株式会社caramo)「還暦祝いに関するアンケート」(利用者約2,000人・2024年10月17日公表)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000263.000005826.html
藤巻百貨店のアンケートは、調査会社ではなく通販サイトの運営会社が自社の利用者に尋ねたもので、調査時期や年代別の内訳は公表されておらず、現金と品物を分けない「予算」の金額です。金額は複数の情報源を照合しています。食事会と贈り物の予算配分は、贈答の慣習ではなく実務上の整理として記載しています。
本記事で紹介している金額は一般的な目安です。還暦祝いはご家庭の考え方や兄弟間の取り決めによって大きく変わります。ご兄弟・ご親族と相談のうえ判断してください。