結論
渡しそびれたことにあとから気づいたとしても、1学期のうち(7月ごろまで)であれば入学祝いとして贈って構いませんので、 用意したままの祝儀袋をそのまま差し出して差し支えなく、お詫びを一言添えておけばそれで足ります。
夏休みを過ぎてしまったのであれば、「入学祝い」という名目にこだわらないほうが自然な形に収まりますので、 図書カードや文具のように在学中に使えるものを渡す形へ切り替えておいてください。
経過期間別の対応
甥や姪の入学式がとうに済んだころになって、用意したまま渡していない祝儀袋が引き出しの奥から出てくることがあり、 そこでまず気になるのが、今からでも入学祝いとして差し出してよいのかという点になります。 日が経つほど切り出しにくくなりますので、そのまま次の月へ持ち越してしまうことにもなります。
判断の分かれ目になるのは何か月遅れたかという数ではなく年度のほうで、 年度をまたいでしまうと、受け取る側にとってはすでに終わった出来事への贈り物になります。 同じ袋を同じ相手へ渡すのであっても、年度の切れ目をまたいだかどうかで受け取られ方が変わってきます。
| 時期 | 対応 |
|---|---|
| 入学式の前後 | 本来の時期にあたりますので、そのまま贈ります |
| 4月中 | 入学祝いとして贈れますので、お詫びは要りません |
| 5〜7月(1学期中) | 入学祝いとして贈り、お詫びを一言だけ添えます |
| 夏休み以降 | 名目を変え、図書カードや文具を「勉強がんばってね」と渡します |
| 年度が変わった | 入学祝いとしては贈らず、次の節目まで待ちます |
年度が変わってから「御入学御祝」と書かれた熨斗が届くと、受け取った側は内祝いをどう扱えばよいのか迷うことになります。名目を切り替えるのはこちらの体裁のためではなく、その迷いを相手に持たせないためのものです。
入学式のころは進級の祝いや異動の挨拶が重なりますので、贈るつもりでいた相手ほど後回しになり、 4月の終わりごろになってようやく思い出すという運びになりがちです。 この時点で手渡したのであれば、相手の側では連休に合わせて持ってきてくれたという受け取り方になりますので、改まった詫びまでは要りません。
落ち着かないのは、夏休みの帰省で顔を合わせるまで渡せずにいたという場合で、 ここまで来てしまうと「御入学御祝」と書かれた袋のほうが、その場に浮いて見えます。 図書カードを一枚だけ封筒に入れて「二学期に使って」と手渡す形にしておけば、受け取る側も返礼のことを考えずに済みます。
本来の時期
次からは遅れないようにと考えたところで、ではそもそも本来はいつ渡すものなのかという線が、案外はっきりしないままになっています。 ランドセルの受け取りや制服の採寸で家のほうが慌ただしくなる時期と重なりますので、こちらが動くべき月も、そこから自然に決まってきます。
目安になるのは入学式の2〜3週間前までという線で、 3月の中旬から入学式の前までが渡しどきの中心になりますが、 受験を伴う進学かどうかによって、この線は後ろへずれることになります。
| 進学の形 | 渡す時期 |
|---|---|
| 受験を伴わない進学 | 入学式の2〜3週間前までに渡しておきます |
| 中学受験・高校受験 | 合格が決まってからですので、後ろへずれます |
| 大学受験 | 同じく合格の知らせを待ってから用意することになります |
| 結果が出る前 | まだ贈りませんので、知らせが届くまで待ちます |
結果が出る前に贈ってしまうと、不合格だった場合に贈った側も受け取った側も困ることになりますので、合格の知らせを待ってください。受験のある家で時期が後ろへずれるのはごく普通のことですので、これを遅れたと数える必要はありません。
早めに渡すのは入学準備の費用に充ててもらうためで、ランドセルや制服、教材の購入は入学の前に集中します。 3月に入ると採寸や受け取りの予定が次々に入りますので、そこへ間に合う形で届いたお祝いのほうが、実際に役立つことになります。
裏を返せば、準備がすべて終わったあとに届いたお祝いは、本来の使い道を失ったところから始まることになります。 遅れて渡すときに品物の選び方まで変わってくるのはこの事情によるもので、包む額が多いか少ないかという話ではありません。
金額を上乗せしない
遅れてしまった負い目から、いつもより一段上の額を包んでおこうと考える方は少なくなく、 封筒に一万円札をもう一枚足すかどうかというところで手が止まります。 詫びの気持ちを金額の形にして表そうという発想は、この場面で自然に出てくるものです。
ただしここで考えておきたいのは、包んだものを受け取るのが子ども本人だけではないという点で、 袋を開けて中を数え、記録を付けるのは親のほうになります。 遅れたお詫びのつもりで足した一枚が、相手の家に別の仕事を持ち込むことになります。
| 関係 | 金額の目安 |
|---|---|
| 孫へ(祖父母) | 小・中学校は1〜3万円、高校は1〜5万円、大学は3〜10万円をあてます |
| 甥・姪へ | 小・中学校は5千〜1万円、高校は1万円、大学は1〜3万円が目安です |
| 友人の子へ | 小・中学校は3千〜5千円、高校は5千円、大学は5千〜1万円にとどめます |
| 遅れたとき | 上乗せはせず、通常の目安のままで用意しておきます |
| 4と9のつく金額 | どの関係であっても、包む額からは外しておきます |
金額を上げてしまうと、受け取る側の内祝いの負担がそのぶん増えることになります。入学祝いは子どもへのお祝いですのでお返しは不要とされることが多いのですが、包まれた額が大きいと、相手のほうが返礼を考え始めます。遅れた埋め合わせのつもりが、相手に一仕事を増やす結果になります。
通常の目安のままで構いませんので、去年の春に上の子へ渡した額を、そのまま下の子にも当てておいてください。 兄弟のあいだで包む額に差が出ると、あとになって親のほうがその差を気にすることになりますので、遅れたかどうかで動かさないほうが収まります。
詫びの気持ちを形にしておきたいのであれば、金額ではなく、袋に添える言葉のほうへ置いてください。 一筆箋を一枚だけ入れておくだけでも、こちらが遅れたことを気にしている様子は十分に伝わりますし、受け取る側に返礼の計算をさせずに済みます。
お詫びの伝え方
品物と金額が決まったあとにも、渡すときの一言でもう一度迷うことになり、 玄関先で袋を差し出しながら何と切り出すかが決まらないまま、そこで間が空いてしまいます。 遅れた理由のほうを先に説明しておきたくなるのも、この場面になります。
目安になるのは短く一度だけ触れるという線で、 詫びの言葉をどれだけ重ねるかによって、同じ贈り物であってもその場の空気が変わってきます。 長く続けるほど丁寧に見えるというものではありません。
| 場面 | 言い方 |
|---|---|
| 大人へ渡すとき | 「すっかり遅くなってしまいました」と一言添えます |
| 袋を差し出すとき | 「遅ればせながら、お祝いを」と切り出します |
| 遅れた理由 | 長く説明せずにおくほうが、その場は軽く収まります |
| 繰り返し謝る | かえって気を遣わせますので、一度で切り上げます |
| 子ども本人へ渡すとき | 「学校はどう?」と近況を尋ねるほうが和みます |
理由を長く説明したり、顔を合わせるたびに謝り直したりすると、かえって相手に気を遣わせることになります。詫びを受けた側はそのつど「気にしないでください」と返す必要が出てきますので、繰り返した回数だけ相手に手間をかけることになります。
子ども本人へ手渡すのであれば、詫びの言葉そのものが通じないことのほうが多く、 小学校に上がったばかりの子に「遅くなって」と言ったところで、何がどう遅れたのかまでは伝わりません。 給食や係の当番といった学校の様子を聞くほうが、その場はよほど和みます。
親のほうへは、渡すときに一言添えておけばそれで済みますので、あとから電話をかけ直して謝り直す必要はありません。 子どもが図書カードを使い始めたという話が返ってくるころには、遅れたことのほうは双方の記憶から抜けています。
遅れたときに向く贈り物
現金ではなく品物で渡そうと決めたときに、遅れた春の贈り物として何を選べばよいのかで、売り場の前に立ち止まることになります。 入学の準備はすでに終わっていますので、三月に平積みになっていたような品は、この時期にはもう当てになりません。
選び方の軸になるのは、準備のための品なのか、これから在学中に使うものなのかという一点で、 同じ文房具であっても、入学前に揃え終わったものと、使うそばから減っていくものとでは行き先が違います。
| 品物 | 向き不向き |
|---|---|
| 図書カード・文具券 | 学年を問わず使えますので、いつ渡しても無駄になりません |
| 文房具 | 消耗していきますので、あとから届いても使われます |
| 現金 | 使い道を相手に任せられますので、選び直しが要りません |
| ランドセル・学習机 | すでに揃っていますので、この時期には選びません |
| 制服関連 | 入学の前に用意が済んでいますので、重ねずにおきます |
入学準備の時期を過ぎているのであれば、準備品ではなく在学中に使うもののほうを選ぶと無駄になりません。春のうちに揃えた通学用品はもう手元にありますので、同じ用途のものが後から届いても、置き場所に困らせるだけになります。
実際によく起きるのは、よかれと思って選んだ筆箱や下敷きが、入学式の日に持たせたものとそっくり重なるという場面で、 子どもの机の引き出しには、同じ用途のものが二つ並ぶことになります。 学校で毎日使う道具ほど、家では早い時期に揃えられていますので、あとから足す余地が残っていません。
図書カードであれば、夏休みの読書感想文に使う本にも、二学期に入ってからの教材にも回せますので、渡した時期に関係なく行き先が残ります。 使い道を決めきれないときは現金にしておけば、その家でいま足りていないところへ充ててもらえます。
入学祝いはいつ渡す?本来の時期を詳しく見る遅れたときの正解が一つに決まっているわけではなく、いま何月なのかによって、 そのまま入学祝いとして贈るのか、名目のほうを変えて渡すのかが変わってきます。 1学期のうちであれば「御入学御祝」の表書きのままで差し支えありませんし、 夏休みを過ぎたのであれば、図書カードや文具を手渡す形に切り替えれば形は整います。
どの時期でも変わらないのは、遅れた埋め合わせを金額でしないという一点だけです。 包む額は通常の目安のままにしておき、詫びのほうは短く一度だけ添えておけば、 受け取る側に内祝いの心配をさせずに済みますし、 子ども本人にとっても、気持ちよく受け取れる贈り物のままで残ります。
よくある質問
入学祝いはいつまでに贈るべきですか?
入学式の2〜3週間前までが目安です。入学準備の費用に充ててもらうためで、3月中旬から入学式の前が中心になります。ただし受験を伴う進学では、合格が決まってから贈るため時期が後ろにずれます。
時期を過ぎてしまいました。まだ贈れますか?
1学期のうち(7月ごろまで)なら入学祝いとして贈って構いません。お詫びを一言添えれば十分です。夏休みを過ぎたら「入学祝い」という名目にこだわらず、図書カードや文具などを渡す形に切り替えるほうが自然です。
年度が変わってしまった場合は?
入学祝いとしては贈りません。「御入学御祝」が年度をまたいで届くと、受け取る側が内祝いの扱いに迷います。次の節目を待つか、名目のない贈り物にするほうが相手も受け取りやすくなります。
遅れたぶん多めに包むべきですか?
上乗せはしないでください。金額を上げると受け取る側の内祝いの負担が増えます。入学祝いは子どもへのお祝いなのでお返しは不要とされることが多いのですが、金額が大きいと相手が返礼を考え始めます。
お詫びはどう伝えればよいですか?
短く一度だけ触れます。「すっかり遅くなってしまいました」「遅ればせながら」程度で十分です。子ども本人に渡す場合は、お詫びよりも学校の様子を聞くほうが場が和みます。
遅れて贈るなら何がよいですか?
在学中に使うものが向いています。図書カード、文房具、現金などです。ランドセルや学習机、制服関連はすでに揃っているため避けます。
まとめ
- 本来は入学式の2〜3週間前までに渡します
- 1学期のうちなら入学祝いとして贈れます
- 夏休み以降は名目を変えて渡します
- 年度が変わったら入学祝いとしては贈りません
- 遅れても金額は上乗せしません
- お詫びは短く一度だけ添えます
- 図書カード・文具・現金が向いています
- ランドセルや学習机は選びません
参考情報
- リンベル ギフトコンシェルジュ「贈り物のマナー」
https://www.ringbell.co.jp/giftconcierge/1939 - 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx
贈る時期の目安(入学式の2〜3週間前まで)は参照した情報源で一致しています。遅れた場合に名目を切り替える考え方も、複数の情報源が触れています。
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・ご家庭の慣習によって異なります。判断に迷う場合は、ご親族や周囲の方にご確認ください。