結論
いただいた手土産はその場で開けないのが基本で、 包みを解いて中身をあらためる姿は、目の前で品定めをしているようにも映ります。 ただし生菓子や日持ちのしないもの、それに 「一緒に」と勧められたときは、その場で開けて構いません。
出す側になったらお茶が先、菓子は後という順で並べ、 最後に「どうぞ」と声をかけてはじめて手をつけてもらえます。 出された側は勧められてから手を伸ばすもので、 一口も口をつけずに帰るほうが、かえって用意した相手を気にさせます。
受け取り方
玄関先であいさつを交わした流れで紙袋の持ち手をこちらへ向けられると、 すぐに両手を差し出してよいものかどうかで一瞬迷います。 相手はもう腕を伸ばして待っていますので、辞退すべきかを考えているあいだの数秒が、 そのまま気まずい間になってしまいます。
判断が分かれるのはどこまで遠慮するかという一点で、 まったく辞退せずに受け取るのも、強く押し返してしまうのも、どちらも据わりがよくありません。 受け取ったあとに紙袋をどう扱うか、箱をどこへ置くかまで含めて、 玄関先の短いやりとりのなかで決めることになります。
| やること | 内容 |
|---|---|
| 受け取る手 | 両手を添えて受け取り、片手で摘まむようには持ちません |
| お礼の言葉 | 「恐れ入ります」「ありがとうございます」と添えます |
| 一度の遠慮 | 「お気遣いいただかなくても」と一言。省いても構いません |
| 受け取った品 | そのまま脇に置き、すぐ立って片づけには行きません |
| 紙袋 | 返す必要はありませんので、そのまま預かって構いません |
受け取ってそのまま台所へ立ってしまうと、通したばかりのお客様を座敷に一人で残すことになります。冷蔵庫へ入れなければならないものでない限り、菓子折りは脇へ寄せておけば足りますので、会話が一段落したところで片づければ十分に間に合います。
難しいのはむしろ遠慮のほうで、「そんな、困ります」と強く辞退すると、 持ってきた側は差し出した腕の下ろしどころがなくなります。 相手は玄関に立つ前から渡すつもりで品を選び、包んでもらって提げてきていますので、 押し返されるほど引き下がりにくくなります。
一度だけ軽く「お気遣いいただかなくても」と添えて、 勧められたところで素直に受け取るのが、いちばん短く収まる形です。 紙袋のほうも返す必要はありませんので、そのまま預かって箱を脇へ寄せてしまえば、 玄関先のやりとりはそれで終わります。
その場で開けるか
座敷に通して腰を下ろしたあと、脇に置いた箱の包み紙を解いてよいものかどうかで手が止まります。 相手の目の前でリボンをほどく形になりますので、 喜んで見せるべきなのか、そのまましまっておくべきなのかが分かれます。
分かれ目になるのはその品が待てるものかどうかで、 常温で日持ちのする焼き菓子と、その日のうちにいただきたい生菓子とでは、 置いておくことの意味がまるで違ってきます。 相手から「よかったら今」と声がかかったかどうかも同じくらい大きな手がかりになりますので、 玄関で品を渡されたときの一言を聞き逃さないでおきます。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| とくに何も言われない | その場では開けず、あとでゆっくりいただきます |
| 「一緒に食べましょう」と言われた | 開けます。相手も一緒に食べるつもりでいます |
| 生菓子・日持ちしないもの | 開けて構いませんので、その日のうちにいただきます |
| 要冷蔵と言われた | すぐ冷蔵庫へ運びます。一言断ってから席を立ちます |
| 「よかったら今」と勧められた | 遠慮せずに開けます。勧めた側もそれを待っています |
| 子どもが食べたがる | 相手に断ってから開けますので、黙っては開けません |
その場で開けないのは、相手の前で品定めをしないという配慮から来ています。包みを解いて中身をあらためる姿は贈った側から見れば値踏みをされているようにも映りますが、相手のほうから勧められたのであれば、その場で開けて一緒に味わうほうが座は和みます。
実際にいちばん多いのは要冷蔵のもので、 「冷たいうちにどうぞ」と保冷剤の入った箱を渡されることがあります。 玄関でそれを聞いたのであれば、席に着いてから思い出すのではなく、 その場で台所まで運んでしまうほうが確実です。
席を立つときに「失礼します、冷蔵庫に入れてまいります」と一言添えておけば、 途中で中座しても失礼にはあたりません。 むしろ保冷剤が溶けきるまで卓の脇に置いたままにするほうが、 せっかく選んでもらった品を無駄にする形になります。
お茶と菓子を出す
盆に湯呑みと菓子皿を載せて座敷へ運んだところで、 どちらを先に置くのか、お客様から見てどちら側へ寄せるのかで迷います。 両手がふさがったまま卓の前にしゃがみ込んでいると、その数秒がかえって落ち着きません。
もう一つ迷いやすいのがいま届いたばかりの手土産を出してよいのかという点で、 持ってきた本人の目の前でその菓子を切り分ける形になりますし、 台所に別の菓子を用意してあるかどうかでも、この判断は変わってきます。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 お茶 | 先に湯呑みを置きますので、菓子より前に出しておきます |
| 2 菓子 | お茶を置いたあとで、菓子皿を続けて並べます |
| 3 勧める | 「どうぞ」と声をかけて、はじめて手をつけてもらえます |
| 並べる位置 | お客様から見て菓子が左、お茶が右とされています |
| いただいた品を出す | 「せっかくですので」と添えれば失礼になりません |
覚えておきたいのはお茶が先で菓子は後という順序だけで、この一つを守れば形は整います。並べる位置はお客様から見て菓子が左、お茶が右とされていますが、厳密に守られている作法ではありませんので、卓の広さに合わせて置いて構いません。
いただいたばかりの菓子折りをその場で開けて出すことは失礼にはあたりませんし、 むしろ喜ばれることのほうが多くあります。 自分で選んで包んでもらった品がその日のうちに役に立ったことになりますので、 持ってきた側にしても手応えがあります。
ただし別に用意しておいたものがあるのなら、そちらを先に出すほうが順序として自然で、 いただいた品には「せっかくですので」と一言添えて後から並べます。 出す側が見落としやすいのはアレルギーで、相手のほうもそれを気にしていることがありますので、 勧めるときに何の菓子かを添えておくと双方が落ち着きます。
出された菓子の食べ方
今度は招かれた側の話で、目の前に湯呑みと菓子皿が置かれたところで、 いつ手を伸ばしてよいのかが分かりません。 相手はまだ台所と座敷を行き来していますので、 先に口をつけてしまってよいものかどうかで手が止まります。
もう一つ困るのが、出されたものが食べきれない量だったときや、 口にできない材料が入っていたときで、残すのも失礼な気がして菓子切りを手にしたまま迷うことになりますが、 ここでは作法よりも、正直に伝えるかどうかという線引きのほうが問題になります。
| 場面 | どうするか |
|---|---|
| 手をつける時機 | 勧められてからで、出されてすぐには手を伸ばしません |
| 口をつける前 | 「いただきます」と一言添えてから手を伸ばします |
| お茶と菓子の順 | お茶を一口いただいてから、菓子のほうへ移ります |
| まったく手をつけない | それも失礼にあたりますので、一口だけでもいただきます |
| 食べきれない | 「後ほど」と伝えれば持ち帰らせてもらえます |
| アレルギー・苦手なもの | 正直に伝えますので、無理をして口に運びません |
出されたものにまったく手をつけないでいるほうが、かえって失礼にあたります。用意した側は皿を下げながら口に合わなかったのだろうかと考えますし、それは菓子の出来ではなく自分の選び方の話として残ってしまいますので、一口だけでも運んで湯呑みに手を戻しておけば、そうした心配は起こりません。
出されたものが大ぶりに切り分けられた菓子で、 夕飯前にはとても食べきれないという場面もあります。 そのときは無理に押し込まずに「後ほどいただきます」と伝えておけば、 包んで持たせてもらえることがほとんどです。
アレルギーや体質で食べられないものであれば作法より健康のほうが優先されますので、 「アレルギーがありまして」と正直に伝えてください。 相手は知らずに出したことのほうを気にしますし、 黙って口に運んで具合が悪くなるほうが、はるかに困らせる結果になります。
お返しは必要か
玄関で菓子折りを受け取ったその瞬間から、こちらは何も用意していないという気持ちが残り、 戸棚に何かなかったかと考え始めてしまいます。 とくに急な訪問だったり、こちらが招いた側だったりすると、その落ち着かなさが強く出ます。
ここで押さえておきたいのは、手土産が贈答のやり取りとは性格の違うものだという点で、 内祝いのように返す仕組みが最初から組まれていません。 そのうえで気になるとすれば、いただいた品が思いのほか高価だったときの扱いくらいです。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| ふつうの手土産 | お返しは要りませんので、お礼を伝えれば足ります |
| 次にこちらが訪ねる | そのときに手土産を持参しますので、それで釣り合います |
| 高額なものをいただいた | 気になるなら次の訪問で少し良いものを選びます |
| 帰りに何か持たせる | おすそ分けの程度なら自然ですので、改まったものにしません |
その場で何かお返しを用意しようとすると、かえって相手を恐縮させることになります。戸棚から慌てて引っ張り出した品はどうしても間に合わせに見えますし、受け取る側も断りきれずに持ち帰る形になりますので、次にこちらが伺うときに手土産を提げていけば、それで十分に釣り合います。
手土産は訪問に添える心づけで、玄関で渡してそれきりというところに意味がありますので、 内祝いのように返礼を組み込んだ仕組みがそもそも用意されていません。 受け取ったその場でお礼を伝えて、帰り際に見送りながらもう一度触れておけば、 こちらの気持ちはそれで十分に届きます。
いただいた品が思いのほか高価で気になるようであれば、 次にこちらが伺うときに少し良いものを選べばそれで済みます。 帰り際に庭で採れたものや余った菓子を持たせるのも、 おすそ分けの程度にとどめておけば自然な形に収まります。
手土産の基本を見る手土産をいただいたときの振る舞いに一つだけの正解があるわけではなく、 その品が待てるものかどうかと、相手が何と言い添えたかを見て決めればそれで足ります。 何も言われなければ脇に置いたままにしておけばよく、 生菓子や「一緒に」の一言があったのなら、その場で開けて構いません。
どの場面でも変わらないのは、受け取ったらまずお礼を言うことと、 出されたものに一口だけでも手をつけることの二つだけです。 この二つを押さえていれば、置く位置や順序を思い出せなくても、 選んで持ってきた側の気持ちが宙に浮くことはありません。
よくある質問
手土産はその場で開けますか?
何も言われなければ開けないのが基本で、包みを解いて中身をあらためる姿は相手の前で品定めをしているように映るためです。ただし「一緒に食べましょう」と勧められたときや、生菓子のように日持ちのしないものであれば、その場で開けて構いません。
要冷蔵のものをもらったら?
「失礼します、冷蔵庫に入れてまいります」と一言添えて席を立てば、途中で中座しても失礼にはあたりません。保冷剤が溶けきるまで卓の脇に置いたままにするほうが、せっかく選んでもらった品を無駄にする形になります。
いただいた手土産をその場で出してもよいですか?
失礼にはあたりませんし、選んで包んでもらった品がその日のうちに役に立ったことになりますので、むしろ喜ばれることのほうが多くあります。「せっかくですので」と一言添えれば十分で、別に用意していたものがあるのならそちらを先に出してください。
出されたお菓子は食べるべきですか?
勧められてから、一口だけでもいただいてください。まったく手をつけないでいるほうがかえって失礼にあたり、用意した側は皿を下げながら口に合わなかったのだろうかと考えます。食べきれないのであれば「後ほど」と伝えれば持ち帰らせてもらえます。
アレルギーがある場合は?
作法より健康のほうが優先されますので、「アレルギーがありまして」と正直に伝えてください。相手は知らずに出したことのほうを気にしますし、黙って口に運んで具合が悪くなるほうが、はるかに困らせる結果になります。
お返しは必要ですか?
手土産は訪問に添える心づけで返礼という仕組みが組まれていませんので、お返しは要りません。次にこちらが伺うときに持参すればそれで釣り合いますし、その場で戸棚から慌てて何かを出して渡すと、相手のほうがかえって恐縮します。
まとめ
- 手土産は両手を添えて受け取ります
- 遠慮は一度だけにして、強く押し返しません
- その場では開けないのが基本です
- 生菓子や勧められたときは開けて構いません
- 要冷蔵のものはすぐ冷蔵庫へ運びます
- お茶を先に出して、菓子はその後に並べます
- いただいた品をその場で出しても構いません
- 出された菓子は一口だけでもいただきます
- お返しは要りません
参考情報
- 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - 高島屋「進物の基礎知識」
https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html - 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx
手土産の金額や渡し方に公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。地域・ご家庭・間柄によって実際には大きく異なります。
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。手土産に決まりはなく、地域・ご家庭・間柄によって異なります。とくに親しい相手との間では、形式より相手の負担にならないことを優先してください。