結論
親族は招かれる側ではなく、もてなす側です。 友人として出席するときより格を上げ、 華やかさよりきちんと見えることを優先します。
格の目安は新郎新婦との近さで決まります。 親がいちばん格が高く、 兄弟姉妹、おじおば・いとこの順に下がります。
もう一つ大事なのが両家で格を揃えること。 片方が黒留袖、片方が普段のワンピースでは、 写真に並んだときに差が出ます。
なぜゲストと違うのか
披露宴では、親族の席は末席に配置されます。 これは軽んじられているのではなく、 迎える側だからです。
当日は、ゲストにあいさつをし、 相手方の親族と顔を合わせ、 写真にも並びます。 見られる時間が長い立場です。
判断の軸は「ゲストに失礼がないか」です
ゲストの服装は「新郎新婦より目立たないか」で判断しますが、親族はもう一段違います。迎える側として、相手に失礼のない格になっているかで考えてください。
そのため、友人として出席するときには許される明るい色・柄物・カジュアルな素材が、親族としては軽く見えることがあります。
礼装の格の考え方
洋装・和装ともに正礼装・準礼装・略礼装の3段階があります。 どこに合わせるかは、新郎新婦との近さで決まります。
| 立場 | 目安の格 |
|---|---|
| 新郎新婦の親 | 正礼装 |
| 兄弟姉妹 | 準礼装〜略礼装(親より控えめに) |
| 祖父母 | 正礼装〜準礼装 |
| おじ・おば | 準礼装〜略礼装 |
| いとこ | 略礼装 |
| 甥・姪(成人) | 略礼装 |
親より格を上げないでください。兄弟姉妹やおじおばが親と同じ格にすると、当日の並びで誰が親か分かりにくくなります。ひとつ下げるのが基本の考え方です。
洋装の格(男性)
正礼装=昼はモーニングコート、夜は燕尾服・タキシード。準礼装=昼はディレクターズスーツ、夜はタキシード。略礼装=ブラックスーツ。
おじ・いとこは、昼夜を問わずブラックスーツが選ばれることが多い、というのが実際のところです。
和装の格(女性)
正礼装=既婚は黒留袖(五つ紋)、未婚は振袖。準礼装=色留袖(紋の数で格が変わり、三つ紋なら準礼装)。略礼装=訪問着。
訪問着は略礼装なので、祖母や叔母より、いとこや遠い親族が着ると収まりがよくなります。
親(父・母)の服装
親は新郎新婦の次に見られる立場です。 正礼装が基本になります。
| 立場・時間帯 | 服装 |
|---|---|
| 父(昼・洋装) | モーニングコート。くだけた式ならディレクターズスーツ |
| 父(夜・洋装) | 燕尾服・タキシード。準礼装はブラックスーツ |
| 父(和装) | 黒の五つ紋付き羽織袴 |
| 母(昼・洋装) | アフタヌーンドレス。丈が長く、袖のあるもの |
| 母(夜・洋装) | イブニングドレスが国際的な正礼装 |
| 母(和装) | 黒留袖(五つ紋) |
夜のイブニングドレスは肩や胸元を出す形が正式ですが、日本では抵抗のある方が多い服装です。どこまで正式に合わせるかは、両家で相談して決めて構いません。
母の洋装で黒を選ぶときは、デザインで華やかさを出してください
黒のワンピースやアンサンブルは正礼装として成立しますが、そのままだと弔事に見えることがあります。
素材に光沢のあるもの、レースや刺繍の入ったもの、コサージュやパールを合わせるなど、お祝いの席と分かる要素を入れてください。
兄弟姉妹の服装
兄弟姉妹も迎える側ですが、 親より一段控えめにします。 準礼装から略礼装が目安です。
| 立場 | 服装 |
|---|---|
| 兄・弟 | ブラックスーツ。ダークグレー・ダークネイビーも可 |
| 姉・妹(洋装) | フォーマルワンピース、アンサンブル、ツーピース |
| 姉・妹(夜の式) | カクテルドレス(ミディ丈のワンピースなど) |
| 姉・妹(和装・未婚) | 振袖 |
| 姉・妹(和装・既婚) | 黒留袖。若い場合は色留袖も選ばれます |
| スカート丈 | 膝丈より長めにします |
男性はビジネススーツとの差をつけてください。同じ黒でも、仕事で着ているものは光沢や織りが違います。ベストを合わせたスリーピース、ポケットチーフを足すなどで、フォーマル感を出せます。
おじ・おば・いとこの服装
おじ・おば・いとこもホスト側です。 兄弟姉妹と同じく、準礼装・略礼装が目安になります。
| 立場 | 服装 |
|---|---|
| おじ | ブラックスーツが最も選ばれます |
| 男性のいとこ | ブラックスーツ。若い場合はダークグレー・ダークネイビーも |
| おば(洋装) | ミディ丈のフォーマルワンピース、セットアップ、フォーマルスーツ |
| おば(和装) | 黒留袖も可。色留袖・訪問着も選ばれます |
| 女性のいとこ(洋装) | フォーマルワンピース |
| 女性のいとこ(和装) | 未婚なら振袖。色留袖・訪問着も |
| ネクタイ | 白のほか、シルバー系も選ばれます |
若い世代のいとこは、少し色を入れて構いません。親族の席はダークトーンに寄りがちなので、パステルカラーなどを品よく取り入れると、写真の並びが重くなりません。
両家で格を揃える
親族の服装でいちばん揉めやすいのがここです。 家ごとに考え方が違うためです。
揃えるのは格であって、和装か洋装かではありません。 片方が黒留袖、もう片方が黒の華やかなワンピースでも、 どちらも正礼装なら釣り合います。
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| 両家とも和装か、洋装か | 写真の統一感に関わります |
| 母親どうしの格 | 片方だけ略式だと差が目立ちます |
| 父親どうしの格 | モーニングとブラックスーツでは見た目が違います |
| 会場の格 | ホテルとレストランでは求められる度合いが違います |
| 挙式の時間帯 | 昼と夜で正礼装が変わります |
| 誰が確認するか | 新郎新婦を通すのが角が立ちません |
親族どうしが直接すり合わせると気を遣います。「両家の服装をどうするか、聞いておいてほしい」と新郎新婦に頼み、そこから伝えてもらう形が進めやすい方法です。
「平服でお越しください」と書かれていても、普段着ではありません
案内に「平服」とある場合でも、それは正礼装でなくてよい、という意味で使われます。ジーンズやカジュアルな服という意味ではありません。
親族の場合は、略礼装(ブラックスーツ、フォーマルワンピース)あたりに合わせるのが無難です。どの程度か判断できないときは、新郎新婦に「どのくらいの服装か」と直接聞いて構いません。
親族として避けたいこと
| 避けたいもの | 理由 |
|---|---|
| 白・白に近い色 | 新婦と重なります。ゲスト以上に注意されます |
| 肩や背中の露出 | 昼の式では特に。羽織るものを用意します |
| 全身が真っ黒で飾りがない | 弔事に見えます |
| 大ぶりのアクセサリー | もてなす側としては控えめに |
| つま先の開いた靴・サンダル | フォーマルでは避けられます |
| 革・毛皮・アニマル柄 | 殺生を連想させるとされます |
| ビジネス用のバッグ | 小ぶりのフォーマルバッグにします |
親族は写真に必ず入ります。集合写真は後々まで残るため、当日だけ気にすればよいゲストとは事情が違います。迷ったら控えめなほうを選んでください。
子どもを連れて出る場合
子どもには大人ほど厳密な決まりはありません。 ただし親族の子どもは、ゲストの子どもより見られます。
| 年齢 | 目安 |
|---|---|
| 制服がある | 制服が正装になります |
| 未就学児 | 襟のあるシャツ、ワンピースなど。白でも構いません |
| 小学生以上 | 制服がなければブレザー、ワンピース |
| 靴 | スニーカーは避け、フォーマル寄りのもの |
| 乳児 | 着替えを持参します |
子どもの白は問題ありません。新婦と重なるのを避ける決まりは、大人の女性に向けたものです。
よくある質問
親族の服装は、友人として出席するときと何が違いますか?
親族は招かれる側ではなく、もてなす側です。ゲストにあいさつをし、相手方の親族と顔を合わせ、写真にも並びます。そのため、友人のときより格を上げ、華やかさよりきちんと見えることを優先します。
おじ・おばはどのくらいの格にすればいいですか?
準礼装から略礼装が目安です。おじは昼夜を問わずブラックスーツが最も選ばれます。おばは洋装ならミディ丈のフォーマルワンピースやフォーマルスーツ、和装なら色留袖や訪問着が選ばれます。
いとことして出席します。何を着ればいいですか?
略礼装が目安です。男性はブラックスーツが基本で、若い場合はダークグレーやダークネイビーも選ばれます。女性はフォーマルワンピース、和装なら未婚は振袖、抵抗があれば色留袖や訪問着も選ばれます。
両家で服装の格を揃えるとはどういうことですか?
和装か洋装かを揃えるのではなく、正礼装・準礼装・略礼装のどの段階に合わせるかを揃えることです。片方が黒留袖、もう片方が黒の華やかなワンピースでも、どちらも正礼装なら釣り合います。
両家の服装は誰が確認しますか?
新郎新婦を通すのが角が立ちません。親族どうしが直接すり合わせると気を遣います。「両家の服装をどうするか聞いておいてほしい」と頼み、そこから伝えてもらう形が進めやすい方法です。
「平服でお越しください」と書かれていました。普段着でいいのですか?
普段着ではありません。正礼装でなくてよい、という意味で使われます。親族の場合は略礼装(ブラックスーツ、フォーマルワンピース)あたりに合わせるのが無難です。判断できなければ新郎新婦に直接聞いて構いません。
母親が黒のドレスを選んでも大丈夫ですか?
正礼装として成立しますが、そのままだと弔事に見えることがあります。光沢のある素材、レースや刺繍、コサージュやパールなど、お祝いの席と分かる要素を入れてください。
親族の子どもの服装はどうしますか?
制服があれば制服が正装になります。なければ襟のあるシャツやワンピース、小学生以上ならブレザーなど。靴はスニーカーを避けます。子どもが白を着ることは問題ありません。
まとめ
- 親族はもてなす側。ゲストより格を上げる
- 格は親 → 兄弟姉妹 → おじおば・いとこの順に下げる
- 両家で格を揃える。和装/洋装は揃えなくてよい
- 確認は新郎新婦を通す
- 「平服」でも略礼装まで。普段着ではない
参考情報
- ゼクシィ「結婚式での【親族服装マナー】親、兄弟姉妹、親戚は何を着る?」(監修:岩下宣子/現代礼法研究所主宰)
https://zexy.net/mar/manual/family/dress.html - 結婚スタイルマガジン(NIWAKA)「結婚式に親族として出席!両親・兄弟姉妹・親戚…立場別の服装マナーは?」
https://www.niwaka.com/ksm/radio/wedding/clothes/dress-for-guest/03/
礼装の格(正礼装・準礼装・略礼装)の区分は上記資料に基づきます。実際にどこまで格を求めるかは、会場・地域・両家の考え方によって異なります。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している作法は一般的な目安です。地域・家・会場によって考え方が異なる場合があります。迷ったときは、招待状の記載や、同じ立場で出席する人・親族に確認してください。