結論
コートは店に入る前後で脱ぎます。 席に着いてから脱ぐと、外のほこりや水気を卓のそばで落とすことになります。
クロークがあれば預けます。 預ける前に、財布・スマートフォン・鍵をポケットから出しておいてください。
クロークが無い店では裏地を外にして畳み、膝の上か、背もたれと背中の間に置きます。 居酒屋やカフェのように、店側がフックを用意している場合はそれを使って構いません。
脱ぐタイミング
コートを脱ぐのは店に入る前後です。 案内された席に着いてから脱ぐ形は避けられます。
理由は外の汚れを卓のそばに持ち込まないためです。 席で脱ぐと、繊維やほこりが舞い、雨や雪の日は床が濡れます。 料理が並んでいる場所で行う動作ではない、という考え方です。
| 場面 | 脱ぐ場所 |
|---|---|
| 格式のある店 | 入口の外、または入ってすぐ |
| 一般的なレストラン | 入店後、席に着く前 |
| 雨・雪の日 | 入る前に水気を払います |
| 席に着いてから脱ぐ | 避けます |
| 寒くて脱ぎたくない | 店に伝えれば席や空調を配慮してもらえます |
| 会食で自分が先に着いた | 先に脱いで席で待ちます |
体調や冷えで脱ぎたくないときは、無理をせず店に伝えてください。入口に近い席を避ける、ひざ掛けを出すなどの対応をしてもらえることがあります。黙って着たままでいるより、伝えたほうが場が落ち着きます。
クロークに預けるとき
クロークがある店では預けるのが基本です。 席にコートを持ち込まずに済み、荷物の置き場所で悩む必要もなくなります。
ここでつまずくのがポケットの中身です。 預けたあとに財布やスマートフォンが必要になると、席を立って取りに戻ることになります。 預ける動作の前に、必要なものを手元へ移しておいてください。
| やること | 説明 |
|---|---|
| 預ける前に | 財布・スマートフォン・鍵を出します |
| 預り証 | 受け取り、無くさないようにします |
| 貴重品 | 預けません。手元に持ちます |
| マフラー・手袋 | 一緒に預けられます |
| 受け取り | 会計を済ませてから、帰り際に |
| チップ | 日本では不要です |
クロークの前で荷物を入れ替えるのは、後ろに人が並ぶと時間がかかります。大きなバッグを預ける予定があるなら、必要なものを小さめのバッグにまとめてから店に入ると、その場で手が止まりません。
クロークがない店での置き方
実際には、クロークのある店のほうが少数です。 多くの場合、自分で置き場所を決めることになります。
基準は「裾を床に付けない」「通路に垂らさない」「隣の席にはみ出さない」の3つです。 椅子の背に無造作にかける形が避けられるのは、この3つを同時に外しやすいためです。
| やり方 | 説明 |
|---|---|
| 裏地を外にして畳む | 外側の汚れが内側に隠れます |
| 畳んで膝の上 | 小さくまとまるならこれが確実です |
| 背もたれと背中の間 | 畳んで挟みます |
| 店のコート掛け・フック | 用意されていれば使います |
| 空いている椅子 | 店に一言確認します |
| 椅子の背に広げてかける | 裾が床や通路に垂れます |
裏地を外にして畳むのは、見た目のためではなく汚れの向きを変えるためです。外側は雨・排気・花粉が付いた面なので、そのまま膝や椅子に置くと汚れが移ります。
店の種類による違い
コートの扱いは店の作りによって変わります。 同じ動作でも、席の広さや客層によって適切さが変わるためです。
「椅子の背にかけない」は、格式のある店やテーブルの間隔が狭い店で意味を持つ決まりです。 店側がフックや背もたれ用のカバーを用意している場合は、それが想定された使い方になります。
店ごとの目安
ホテル・グランメゾン・料亭/クロークへ。無ければ畳んで背中側に置き、椅子の背にはかけません。
一般的なレストラン・カフェ/畳んで膝か背中側。フックがあれば使って構いません。
居酒屋・カジュアルな個室/フックやコート掛けが用意されていることが多く、そこへかけます。座敷では隅にまとめます。
カウンターの寿司・天ぷら/席が狭く、背にかけると隣に触れます。預けられるか最初に尋ねるのが確実です。
迷ったら、入店時に一言尋ねてください
「コートはどちらに置けばよいですか」と聞けば、店の想定している置き場所を教えてもらえます。店ごとの正解は店が持っています。
自己判断で通路に垂らすより、確実で早く済みます。
マフラー・手袋・傘・帽子
冬場はコート以外の小物が増えます。 これらは置き場所がそれぞれ違い、席まで持ち込むと卓の上が狭くなります。
とくに問題になるのが傘です。 濡れたまま席へ持ち込むと床が濡れ、通る人が滑ります。 入口に傘立てがあれば、そちらへ預けてください。
| もの | 扱い |
|---|---|
| マフラー | コートと一緒に。席では外します |
| 手袋 | 入店時に外し、コートと一緒に |
| 傘 | 入口の傘立てへ。席に持ち込みません |
| 帽子 | 席では外します |
| 傘立てが無い | 店に尋ねます。袋を出してもらえることがあります |
| 卓の上に置く | 置きません。食事の場所です |
防寒用の帽子は席で外します。装いの一部として着ける帽子については、洋装の場では女性はそのままでよいとする説明もありますが、食事の席では視界と所作の邪魔になりやすく、外すほうが無難です。
帰りの着方と困る場面
帰りぎわは、会計と身支度が重なって慌ただしくなります。 ここで手間取ると、同席者と店の両方を待たせます。
基本は「受け取ったら手に持ったまま外へ出て、店の外で着る」です。 店内で着込むと、見送りに立っている人がその間ずっと待つことになります。
| 場面 | 対応 |
|---|---|
| 帰るとき | 店を出てから羽織ります |
| コートが濡れている | 入口で払い、畳まず預けます |
| 預り証を無くした | すぐ伝えます。本人確認で対応してもらえます |
| 席が狭くて置けない | 店に尋ねます。別の場所を用意してもらえることがあります |
| 接待で目上の人がいる | 先に着ません。相手の支度に合わせます |
| コートを取り違えた | 気づいた時点で店に連絡します |
接待や会食では、目上の人より先に着込まないでください。相手がクロークで受け取るのを待ち、自分は外に出てから着る形にすると、動きがそろいます。
よくある質問
コートはいつ脱ぎますか?
格式のある店では入口の外か入ってすぐ、一般的な店では入店後、席に着く前に脱ぎます。席に着いてから脱ぐと、繊維やほこりが料理のそばで舞います。
クロークに預けるとき気をつけることは?
預ける前に財布・スマートフォン・鍵をポケットから出しておいてください。あとで気づくと席を立って取りに戻ることになります。貴重品は預けず手元に持ってください。日本ではチップは不要です。
クロークがない店ではどうしますか?
裏地を外側にして畳み、膝の上か背もたれと背中の間に置いてください。裏地を外にすると、雨や排気で汚れた面が内側になり、席に汚れが移りません。
椅子の背にかけてもいいですか?
格式のある店やテーブルの間隔が狭い店では避けてください。裾が床や通路に垂れます。ただし居酒屋やカフェなど、店側がフックやコート掛けを用意している場合は、それを使って構いません。
傘やマフラーはどうしますか?
マフラーと手袋はコートと一緒に預けるか、同じ場所に置きます。傘は入口の傘立てへ預けてください。濡れたまま席に持ち込むと床が濡れ、通る人が滑ります。
帰りはいつコートを着ますか?
店を出てから羽織ってください。店内で着込むと、見送る側が待つことになります。接待では、目上の人より先に着ないでください。
まとめ
- 入店の前後で脱ぐ。席に着いてからは避ける
- クロークへ預ける前にポケットの中身を出す
- 無い店では裏地を外にして畳み、膝か背中側へ
- 店がフックを用意していれば使ってよい
- 帰りは店を出てから着る
参考情報
- 農林水産省「食文化のポータルサイト」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/index.html
西洋料理の作法に公的な基準はありません。流儀(英国式・フランス式など)によって説明が分かれる部分も多く、本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。店の格式によっても異なります。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している作法は一般的な目安です。細かな作法を完璧に守ることより、同席する人が気持ちよく食べられることのほうが大切です。格式の高い店や改まった席では、店の案内に従ってください。