結論

家族葬の訃報が届いたら、まず辞退の記載があるかどうかを確かめてください。 香典・供花・供物・弔電のうち何が辞退されているかによって、こちらから差し出せるものが変わってきます。

辞退と書かれているものは用意せずにおきますが、 気持ちを示そうとして送ってしまうと、遺族に断りの連絡という手間をかけることになります。 弔電が辞退されることは多くありませんので、伺えないときにはもっとも負担の軽い伝え方になります。

辞退の記載別・対応

記載香典供花弔電
記載なし 一般葬と同じ考え方で用意します 葬儀社に確かめたうえで手配します 式に間に合うよう送って差し支えありません
「御香典辞退」 包まずに伺うのが意向に沿います 花は確かめたうえでなら送れます 香典とは別ですので送って構いません
「御香典・御供花辞退」 用意せずに伺って差し支えありません 名前を出した花も送らずにおきます 弔電までは断られていませんので送れます
「御厚志辞退」 金品にあたりますので包みません 供物とあわせて送らずにおきます 文面から読み取れないときは尋ねます
「弔電も辞退」 記載のとおり何も包まずにおきます 花も供物もあわせて手配しません 電報も含めてすべて送らずにおきます

「御厚志辞退」は、香典だけでなく供花と供物までを含んだ言い方です。金品の全般を受け取らないという意味になりますので、香典の話だと読み違えたまま花を手配してしまうと、遺族はその場で断るか、受け取ってから返礼を考えるかのどちらかを選ぶことになります。

対応を決める順序

携帯電話に届いた家族葬の知らせは、日時と会場の名前が並ぶだけの数行で終わっていることがほとんどです。 その並びの末尾に一行だけ添えられている文があり、そこを読み飛ばしたまま香典袋を用意してしまうと、 受付の前に立ってから渡せないことに気づきます。

迷いが生まれるのは、その一行が何を断っているのかが読み取りにくいところで、 香典だけを指しているのか、花や品物まで含んでいるのかによって支度が変わります。 先に見る順序を決めておけば、文面を何度も開き直さずに済みます。

順確認すること
1日時と場所の記載を見て、伺うかどうかを決めます
2香典・供花・供物・弔電のどれが辞退されているかを読みます
3辞退されていないもののなかから、できることを選びます
4文面から読み取れないときは、遺族に短く尋ねます

この四つは、どれも案内の文面のなかに答えが書かれています。家族葬の訃報はもともと短く、書かれていることが少ないぶん、一行ずつの意味が重くなりますので、思い出せる作法を並べるより、届いた文面をもう一度読み返すほうが確かです。

家族葬はもう例外的な形ではなく、いまではもっとも多く選ばれている葬儀の形になっています。 鎌倉新書が2024年3月1日から4日にかけて、2022年から2024年に喪主または喪主に準ずる立場を務めた全国の40歳以上の男女2,000名へインターネットで行った第6回お葬式に関する全国調査では、 行われた葬儀の種類は家族葬が50.0%で最も多く、一般葬30.1%、一日葬10.2%、直葬・火葬式9.6%と続いていました。

これは希望を尋ねた意識調査ではなく、喪主を経験した方が実際に行った葬儀の種類を集めた数字です。 半数の家庭が家族葬を選んでいる以上、短い訃報の一行を読み取る場面は誰にでも訪れますし、 案内の書き方は家ごとに違いますので、順序のほうを覚えておくと迷いが減ります。

辞退の表現を読み取る

訃報に添えられる辞退の言葉には、いくつかの決まった言い回しがあります。 日ごろ使わない漢語が並ぶため、目で追っただけでは断られている範囲がつかめず、 手元の香典袋をしまうべきかどうかで手が止まります。

読み違えが起きやすいのはその言葉がどこまでを指しているかという一点で、 香典だけを断っているのか、花や品物を含む金品の全般なのかによって、当日の持ち物が変わります。 表現ごとの範囲を先に押さえておけば、文面を見た瞬間に判断できます。

表現含まれるもの
御香典辞退香典だけを断っており、花や供物は含みません
御供花・御供物辞退花と品物を断っており、香典は含まれません
御厚志辞退香典・供花・供物のすべてが含まれます
御芳志辞退御厚志辞退とまったく同じ意味で使われます
御供物一切辞退こちらも金品の全般を断る言い方になります

厚志も芳志も、もとは金品全般を指す言葉です。香典という文字が入っていないぶん香典のことだと気づきにくく、白菊の籠花を手配してから断られるという行き違いが起こりますので、この二語を見たときは花と供物まで含んでいると読んでください。

困るのは、辞退の一文が本文ではなく、案内のいちばん下に小さく添えられている場合です。 印刷された会葬の案内ではなく、短いメッセージで届いた訃報では改行がそのまま流れてしまい、 日時のあとに続く一行が目に入らないまま読み終えてしまいます。

受け取った文面は、その場で一度だけでなく、家を出る前にもう一度ひととおり読み返しておいてください。 辞退の言葉は文末や追伸の位置に置かれることが多く、 袱紗に包んだあとで気づくよりも、玄関を出る前に気づくほうが手の打ちようがあります。

辞退の記載がない場合

文面をひととおり読んでも辞退の言葉がどこにも見当たらないとき、 家族だけで営むと書かれているのだから香典も遠慮したほうがよいのだろうか、という迷いが残ります。 規模が小さいという一点から、包むこと自体を控えめに考えてしまいがちです。

ここで分かれ目になるのは葬儀の規模ではなく、辞退が示されているかどうかで、 家族葬という言葉そのものには香典を受け取らないという意味は含まれていません。 書かれていない以上は、受け取る前提で支度が進んでいると考えるほうが自然です。

場面対応
金額の決め方故人との間柄と自分の年代から決まります
家族葬だから減らすか一般葬と同じ額のままで差し支えありません
受付がないとき遺族へ直接お渡しすることになります
お渡しする時機式の前か、焼香を終えたあとが目安です
遺族が立て込んでいるとき落ち着かれるまで待ってからお渡しします

家族葬では受付の机そのものを置かないことがあり、渡す相手を探すところから始まります。親族席のほうへ近づいて遺族に直接お渡しすることになりますが、そのときに長い挨拶を添える必要はなく、袱紗から出して両手で差し出すだけで足ります。

参列した方が十人ほどしかいない式では、遺族は受付に立たず、 喪主が入口の近くで一人ひとりに頭を下げているという場面がよくあります。 そこへ列ができてしまうと後ろがつかえますので、袱紗はあらかじめ手元でほどいておいてください。

渡す時機は、式が始まる前がもっとも落ち着いています。 始まる直前に到着したときや、喪主が僧侶の応対をしている最中であれば、焼香を終えたあとに回しても差し支えありませんし、 その場で渡せなかったとしても、後日あらためて届ける道が残っています。

香典の金額の目安を見る

弔電がもっとも軽い

遠方に住んでいたり、その日にどうしても動かせない仕事が入っていたりして、 伺えないと分かったあとにも、何もせずに済ませてよいのだろうかという気持ちが残ります。 弔電、手紙、供花、香典と、思いつく方法はいくつも出てきます。

選ぶときの軸になるのは、こちらの気持ちの大きさではなく、受け取る側にどれだけ手間が生じるかのほうです。 同じ弔意でも、遺族が返礼を考えなければならないものと、受け取るだけで済むものとがあります。

方法遺族の負担
弔電返礼が要らず、手間はほとんど生じません
手紙相手の都合のよいときに読んでもらえます
供花会場の広さや飾る場所の都合が出てきます
香典香典返しを用意する手間が生じます
弔問応対する時間を取っていただくことになります

何をすれば失礼にならないかではなく、何なら負担にならないかで選ぶと、家族葬の趣旨から外れません。人数を絞って静かに送りたいという意向で選ばれた形ですので、届いたものが多いほど遺族の手が塞がっていきます。

弔電は式の当日までに斎場へ届き、告別式のなかで名前を読み上げてもらえることもあります。 受け取った側に返礼の決まりはなく、後日の礼状も義務ではありませんので、 届いたこと自体が遺族の手を煩わせません。

文面を長くする必要もなく、電報の会社が用意している定型の文をそのまま選んでも失礼にはあたりません。 故人と過ごした場面をひとつだけ書き添えるのであれば、 忌み言葉を避けた短い一文にとどめておくほうが、読む側の負担になりません。

判断に迷う場合

辞退の言葉があるのに、香典だけなのか花まで含むのかが読み取れないという文面は実際にあります。 家族だけで送りますと書かれているだけで、日時も会場も書かれていない知らせも届きます。

そのときに迷うのは尋ねてよいのか、尋ねること自体が負担にならないかという点で、 遺族は届出や連絡に追われている最中でもあります。 尋ねるかどうかより、どう尋ねるかのほうが結果を分けます。

迷う場面尋ね方
何を辞退しているか読めない差し支えなければと前置きして尋ねます
伺ってよいのか分からない日時の記載の有無とあわせて確かめます
連絡の手段電話より、メールやLINEのほうが向きます
返事が来ないとき立て込んでおられますので、催促はしません

推し量って動くよりも、短く尋ねるほうが遺族にとっても手間が少なくなります。断りやすい形にしておくことが肝心で、前置きを一言添えるだけで、遺族は辞退しますという返事をそのまま返せますし、こちらも返事を待つあいだに支度を止めずに済みます。

連絡の手段は、電話よりもメールやLINEのほうが向いています。 葬儀社との打ち合わせや親族への連絡が続いている時間帯に電話が鳴ると、その場で手を止めさせることになりますが、 文字であれば、落ち着いた時間に読んで短く返すことができます。

返事が来ないまま通夜の日が近づいてしまうこともありますが、そこで重ねて尋ねることはしません。 辞退されている前提で身ひとつで伺うか、 弔電だけを送って式を見送るかのどちらかにしておけば、遺族の手を止めずに済みます。

LINEでお悔やみを伝える場合を見る

後から訃報を知った場合

年賀状の欠礼はがきや、共通の知人からの何気ない一言で、半年前の葬儀を初めて知ることがあります。 家族葬ではこの順序が珍しくなく、知らせが届かなかったこと自体に意味がある場合もあります。

迷いが出るのはいま何かをしてよいのか、もう遅いのかという時機の問題で、 葬儀が終わっているぶん、香典も弔電も行き場を失ったように感じられます。 できることは残っていますが、順番と間の取り方が変わります。

すること目安
お悔やみを伝える知った時点で、短い言葉にとどめておきます
弔問を申し出る葬儀後1週間から四十九日ごろが目安です
事前の連絡伺う前に、都合のよい日を尋ねておきます
香典を渡す辞退がなければ弔問のときか郵送で届けます
知らせがなかったこと責める言葉は口にしないでおきます

遺族は意図して知らせなかったのであり、それは負担をかけたくないという判断です。なぜ教えてくれなかったのかという一言は、その判断を否定することになりますので、後から知ったこと自体には触れず、故人を悼む言葉だけを伝えるほうが穏やかに収まります。

弔問を申し出るときは、伺いたい日をこちらから一日だけ挙げるのではなく、 都合のよい日をいくつか挙げていただく形にしておくと、遺族が断りやすくなります。 四十九日を過ぎてからでも、線香を上げに伺うことはできます。

香典を郵送するのであれば、現金書留の封筒に短い手紙を添えてください。 知らせを受けていなかったこと、後になって伺うことのお詫びを一行ずつ書いておけば、 遺族はそれを読むだけで事情をのみ込めますし、返信を書く手間も生じません。

家族葬への向き合い方にただひとつの正解があるわけではなく、香典を受け取る家もあれば、 いっさいの金品を辞退する家もありますし、葬儀そのものを知らせない家もあります。 届いた文面に何が書かれているかと、そこに書かれていないものは何かの二つを読み取れば、 その家の意向から大きく外れることはありません。

どの家でも変わらないのは、こちらの気持ちより遺族の手数を先に考えるという一点です。 辞退と書かれたものは送らず、迷ったときは短く尋ね、後から知ったときは知らされなかったことに触れない。 この三つを守っていれば、細かい作法を思い出せなくても、遺族が困る場面は生まれません。

よくある質問

家族葬の訃報を受けたら、まず何を確認しますか?

辞退の記載です。香典・供花・供物・弔電のうち何が辞退されているかで対応が変わります。あわせて日時と場所の記載があるかを見れば、参列するかどうかも判断できます。

「御厚志辞退」とは何を辞退しているのですか?

香典・供花・供物のすべてです。「御芳志辞退」も同じ意味で、金品全般を受け取らないという表現になります。香典だけの話だと読み違えないよう注意してください。

辞退の記載がない場合、香典は用意しますか?

用意するのが基本です。家族葬であっても香典を受け取る家はあります。金額は一般葬と同じ考え方で、故人との関係と自分の年代で決まりますので、家族葬だからと減らす必要はありません。

参列できない場合、何がいちばんよいですか?

弔電です。返礼が不要で、遺族の手間になりません。「何をすれば失礼にならないか」ではなく「何なら負担にならないか」で選ぶと、家族葬の趣旨に沿います。

記載があいまいで判断できません。

遺族に直接確認して構いません。推測して行動するより確実です。「差し支えなければ」と前置きし、断りやすい形にします。連絡は電話より、メールやLINEなど相手の都合で読めるものが向きます。

葬儀が終わってから訃報を知りました。

知った時点で短くお悔やみを伝えます。弔問は葬儀後1週間から四十九日ごろに、事前連絡のうえ伺います。「なぜ教えてくれなかったのか」とは言いません。遺族は負担をかけたくないと考えて知らせなかったのです。

まとめ

  • まず辞退の記載があるかを確かめます
  • 「御厚志辞退」は香典・供花・供物すべてを指します
  • 辞退の記載がなければ香典を用意します
  • 家族葬でも金額は減らしません
  • 伺えないときは弔電がもっとも負担の軽い形になります
  • 読み取れないときは遺族に短く尋ねて構いません
  • 後から知っても知らせがなかったことは責めません

参考情報

  1. 家族葬のファミーユ「家族葬と言われたら?参列者の範囲や参列の判断基準、マナーを解説」
    https://www.famille-kazokusou.com/magazine/manner/721
  2. 全国儀式サービス「家族葬とは?意味やメリット・デメリット、参列者の範囲や注意点について解説」
    https://www.gishiki.co.jp/columns/547
  3. メモリアルアートの大野屋「香典辞退とは?伝え方や喪主側・参列者側それぞれのマナー、正しい対応法決定版!」
    https://www.ohnoya-funeral.com/knowledge/article/030704/
  4. 鎌倉新書「【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)」
    https://www.e-sogi.com/guide/55135/

本文で引用した鎌倉新書の調査は、2024年3月に全国の40歳以上の喪主経験者2,000名へインターネットで行われたもので、希望を尋ねた意識調査ではなく、実際に行われた葬儀の種類を集計したものです。参列者の範囲、訃報の文面からの判断、辞退が示された場合の対応は、参照した情報源で共通しています。人数の目安は幅があるため、本文では範囲で示しています。

本記事で紹介している目安は一般的なものです。家族葬は形式が定まっておらず、ご葬家の考え方によって扱いが大きく異なります。案内状の記載と、遺族の意向がすべてに優先します。