結論
七五三は身内で子どもの成長を祝う行事のため、 いただいたお祝いにお返しは原則として不要とされていますが、 高額をいただいた場合や、 日ごろの付き合いを考えて何か返したい場合は内祝いを用意します。
贈るときの目安はいただいた額の3分の1から半分、 時期は1〜2週間以内で、 のしは紅白の蝶結びに「内祝」と子どもの名前を書きますし、 それ以上に効くのは、当日の写真を添えたお礼の連絡です。
そもそもお返しは必要か
参拝が終わって落ち着いたころ、 祖父母や親戚から預かった袋を並べて数え直しながら、 これはお返しをするものなのかどうかで手が止まってしまう、 という場面は七五三のあとにかならず一度は訪れますし、 調べても答えが割れているぶん、決めきれないまま日が過ぎます。
結婚や出産のお祝いには内祝いという返礼の慣習がはっきりありますが、 七五三は家の中で子どもの成長を確かめる行事として続いてきたため、 外から祝われることを前提にしておらず、 その延長で返礼の慣習も育たないまま今に至っています。
| いただいた相手 | お返しの要否 | 実際にすること |
|---|---|---|
| 同居の祖父母 | 不要です | 当日の食事に招き、写真を一緒に見れば足ります |
| 遠方の祖父母 | 原則として不要です | 電話でお礼を伝え、写真を送るのが一般的な形です |
| おじ・おば | 原則として不要です | 高額なら3分の1ほどの品を返す家もあります |
| 遠い親戚・知人 | 返しておくほうが収まります | 日ごろ行き来が無いぶん、品を贈って区切りをつけます |
| 近所の方 | 不要です | 千歳飴や紅白の菓子をおすそ分けする形が残っています |
不要とされているのは、返礼が要らないほど近い相手からしか贈られない行事だからです。祖父母やおじ・おばは、お返しを目当てに包んでいるわけではありませんし、返しすぎるとかえって次から包みにくくさせてしまいます。返礼より、写真とお礼の言葉のほうが喜ばれます。
とはいえ何もしないままだと落ち着かないという方は多く、 とくに義理の親戚から思いがけない額をいただいたときは、 そのまま受け取っておいてよいものかどうかで、 次に顔を合わせるまでのあいだ、ずっと気にかかることになります。
その場合は返礼の品を用意しても差し支えありませんし、 不要とされていることは返してはいけないという意味ではありませんので、 その家のこれまでのやり方に合わせて決めておけば、 返しても返さなくても角が立つことはありません。
それでも返したほうがよい場面
お返しが不要とされる行事であっても、 実際には返しておいたほうが収まる場面がいくつかあり、 その多くはいただいた額が想定より大きかったときと、 日ごろの行き来が薄い相手だったときに集まります。
判断の軸は相手が今後も同じことを続けるかどうかで、 毎年のように贈答が往復する関係なら区切りをつけずに済みますが、 七五三だけ突然いただいた相手には、 そのままにしておくと次の機会に気を遣わせてしまいます。
| 場面 | お返しの扱い | 選ぶ品 |
|---|---|---|
| 3万円以上をいただいた | 3分の1ほどを返します | 菓子折りやタオル、カタログギフトが選ばれます |
| 遠い親戚からいただいた | 返しておくと収まります | 3千円前後の消えものが扱いやすい形です |
| 夫の職場の上司からいただいた | 必ず返します | 同額を返さず、半分以下にとどめるのが形です |
| 祖父母から高額をいただいた | 返さない家が多くあります | 写真と食事の席を用意すれば十分に伝わります |
| お返し不要と言われた | 言葉どおりで構いません | お礼の連絡と写真だけは、必ず届けておきます |
「お返しは要らない」と言われたときは、その言葉に従うほうが相手の意に沿います。断ったのに返礼が届くと、次から包みにくくなったと感じさせてしまいますし、贈り物のやりとりが続く形になってしまいます。ただし、お礼を伝えないままにしてよいという意味ではありません。
職場からいただいた場合だけは扱いが変わり、 個人ではなく部署としてまとめて包まれることもありますので、 その場合は個包装の菓子を人数分そろえて持っていき、 休憩室に置かせてもらう形にすると収まりますし、 一人ずつ配って回る手間もかかりません。
同額をそのまま返してしまうと受け取りを断る意味になりますので、 返す場合でもいただいた額の半分以下にとどめておくほうがよく、 これは七五三に限らず、 お祝い全般の返礼に共通する考え方になっています。
内祝いの相場と品物
返すと決めたあとに次の迷いが来るのが金額で、 結婚や出産の内祝いなら半返しという目安がありますが、 七五三では3分の1から半分という幅で語られることが多いため、 その幅のどこに置けばよいのかで、また手が止まってしまいます。
考え方としては相手との距離が近いほど軽くしてよく、 祖父母やおじ・おばには三分の一で十分に足りますし、 日ごろ行き来の無い相手にだけ半分まで寄せておけば、 どちらにも過不足がありません。
| いただいた額 | 返す額の目安 | 選びやすい品 |
|---|---|---|
| 5千円 | 1,500〜2,500円ほど | 菓子折りや、少し良いお茶が収まります |
| 1万円 | 3千〜5千円ほど | タオルや洗剤の詰め合わせが選ばれます |
| 3万円 | 1万円ほど | カタログギフトにすると、好みを外しません |
| 5万円以上 | 1万5千円ほど | 同額を返さず、3分の1にとどめて構いません |
| 品物でいただいた | 値段が分かる範囲で見ます | 調べにくいときは、菓子折りにそろえておきます |
七五三の内祝いでは、後に残らない品が選ばれる傾向があります。菓子・お茶・洗剤・タオルのように使えば無くなるものが中心で、記念の品として飾るものは選ばれません。子どもの成長を報告する意味合いが強いぶん、重い品にすると受け取る側が身構えてしまうためです。
子どもの写真を印刷した菓子やお皿を内祝いにする商品もありますが、 これは相手を選ぶ品になっていて、 祖父母や近しい親戚には喜ばれても、 職場の相手や遠い親戚にとっては、置き場所に困るものになってしまいます。
写真を渡したいのであれば、 内祝いの品とは別に写真を一枚添えるほうが確実で、 品物のほうは誰が受け取っても使えるものにしておけば、 相手ごとに中身を変える必要もなくなります。
カタログギフトは、相手の年齢で向き不向きが分かれます
カタログギフトは好みを外さない品として広く使われていますが、高齢の相手には、選んで申し込むこと自体が手間になることがありますし、期限内に申し込みを忘れてしまう例も実際に起こります。
祖父母や高齢の親戚へ返すのであれば、そのまま食べられる菓子や、日持ちのする食品を選んでおくほうが確実です。カタログは、同世代の親戚や職場の相手に向いています。
いつまでに贈るか
お返しをすると決めたものの、 参拝と撮影が終わったあとは写真の選定や衣装の返却が続きますので、 内祝いの手配だけが後回しになりやすく、 気づいたときには年末が近づいていた、ということが実際に起こります。
目安はいただいてから1〜2週間以内とされていて、 これは早いほど丁寧という意味ではなく、 相手の側が「届いたかどうか」を気にする期間がそのくらいだからで、 その内側に収まっていれば十分に間に合っています。
| 時期 | 受け取られ方 | そのときの伝え方 |
|---|---|---|
| 1〜2週間以内 | もっとも収まりのよい時期です | 参拝の写真を添えて、無事に済んだことを報告します |
| 3〜4週間後 | 遅れとまでは見られません | 「写真ができあがりましたので」と添えれば自然です |
| 1か月を超えた | 一言添えておくほうがよい時期です | 「遅くなりましたが」と書いて送ります |
| 年末年始に重なった | お歳暮と分けて贈ります | 同じ品を兼ねると、どちらの意味かが伝わりません |
写真の仕上がりを待って遅れる、という順序で構いません。七五三の内祝いは写真を添えて贈る形が多く、写真館の仕上がりに三週間ほどかかることもありますので、それを待って一か月近くになっても不自然ではありません。事前に「写真ができたら送ります」と伝えておけば、相手も待てます。
年末に近い時期に参拝した家では、 内祝いとお歳暮の時期が重なってしまうことがありますが、 二つは名目の違う贈り物になりますので、 まとめて一つにせず、別々に贈っておくほうが意味が伝わります。
どうしても重なるときは、 内祝いを先に贈ってお歳暮を年末に回す順にしておくと、 それぞれの名目がはっきりしますし、 のしの表書きも「内祝」と「御歳暮」で書き分けられます。
のしの書き方と名前
内祝いののしでよく起こる間違いが名前の欄で、 贈るのは親なのだからと親の名前を書いてしまう例が多いのですが、 七五三の内祝いは子どもの名前で贈るのが基本で、 これは成長の報告を兼ねているためです。
水引はお祝いの袋と同じ紅白の蝶結びで、 何度あってもよい祝いに使う結び方になりますし、 表書きは「内祝」または「七五三内祝」としたうえで、 その下に子どもの名前だけを書く形になります。
| 書く場所 | 書く内容 | 注意する点 |
|---|---|---|
| 水引 | 紅白の蝶結び | 結び切りは一度きりの祝いに使うため、合いません |
| 上段(表書き) | 内祝/七五三内祝 | お返しという言葉は、のしには書きません |
| 下段(名前) | 子どもの名前 | 姓は入れず、名前だけを書く形が一般的です |
| 読みにくい名前のとき | ふりがなを添えます | 相手が読み方を知らない場合に助かります |
| 掛け方 | 配送なら内のし | 手渡しできる相手には、外のしでも差し支えありません |
名前だけを書くのは、誰の成長を報告しているかを示すためです。姓まで書くと世帯からの贈り物に見えてしまいますし、下の名前だけであれば、受け取った側にも子どもからの報告として届きます。祖父母や親戚は名前を知っていますので、姓が無くても伝わります。
きょうだい二人ぶんのお祝いをまとめていただいた場合は、 二人の名前を並べて書くことになりますが、 その場合も姓は入れないまま、 兄姉を右、弟妹を左に置く順にしておくと読みやすくなります。
店で用意してもらうときは、 「七五三の内祝いで、名前は下の名前だけ」と伝えれば通りますし、 名入れに数日かかることもありますので、 配送の日取りから逆算して頼んでおくと、予定した時期に間に合います。
親の名前で贈ってしまい、相手に伝わらなかった例
遠い親戚から一万円をいただいたため、三千円ほどの菓子折りを「内祝」の表書きで贈りましたが、名前の欄には世帯主である父親の氏名をそのまま書いてしまいました。
受け取った側は何のお返しか分からず、後日そのことを尋ねる電話が来ました。子どもの名前で贈れば、それだけで七五三の報告として伝わります。のしに「七五三内祝」と書いておけば、さらに確実です。
千歳飴を配るという形
内祝いの品を選ぶ前に、 千歳飴が神社と写真館の両方から渡されて、 家に何本も残ってしまうという状況になることがありますが、 千歳飴はもともと、もらうだけのものではなく配るものとして扱われてきました。
千歳飴はもらうものであると同時に、配るものでもあり、 細く長い形に長寿の願いを込めた飴として、 近所や親戚へ配ってお披露目とする慣習が、 いまも地域によっては残っています。
| 配る相手 | 添える形 | 伝え方 |
|---|---|---|
| 近所の方 | 千歳飴に紅白の菓子を添えます | 「おかげさまで七歳になりました」と一言伝えます |
| 親戚 | 赤飯を添える家もあります | 当日の写真を一枚渡すと、報告として伝わります |
| お祝いをいただいた相手 | 内祝いの品に添えます | 子どもの名前でのしを掛けて贈ります |
| 子どもの友達 | 一本ずつ分けて渡します | 甘いものの制限を、先に親へ聞いておきます |
近所へ配るときは、のし紙まで掛けないほうが受け取りやすくなります。改まった形にすると相手が返礼を考えてしまいますし、七五三のお披露目はもともと軽く配るものでしたので、袋のまま渡して一言添える程度で足ります。地域に慣習が無ければ、無理に配る必要もありません。
千歳飴は一本が長いもので一メートル近くあり、小さな子には食べきれませんので、 配るときは小分けにされたものを選んでおくか、 折って食べてよいものだと一言添えて渡しておくと、 受け取った側も扱いに困らずに済みます。
飴そのものを配る慣習が残っていない地域も多くなっていますので、 引っ越して間もない家では無理に始めなくてよく、 いまの近所付き合いの形に合わせて決めておけば、 配らないという判断でも差し支えありません。
お返しより効く、お礼の伝え方
品物を返すかどうかで悩んでいるあいだに、 お礼の連絡が後回しになってしまう家は少なくありませんが、 贈った側が待っているのは品物ではなく、 その日が無事に済んだかどうかの報告のほうです。
伝える手段は相手との距離で決めればよく、 同居や近居の祖父母なら顔を合わせたときに話せば足りますし、 遠方であれば電話がいちばん早く伝わりますし、 写真を送れる相手であれば、画像を何枚か添えると喜ばれます。
| 相手 | 向いている伝え方 | 添えるとよいもの |
|---|---|---|
| 祖父母 | 電話で、子ども本人からも話します | 参拝と撮影の写真を、数枚まとめて送ります |
| おじ・おば | メッセージか電話で伝えます | 子どもが書いた短い手紙を添える家もあります |
| 遠い親戚 | はがきか手紙にすると形が整います | 写真を一枚同封すると報告になります |
| 職場の相手 | 出社したときに口頭で伝えます | 個包装の菓子を、休憩室に置く形が収まります |
子ども本人の言葉が入ると、届き方が変わります。七歳であれば自分でお礼を言えますし、三歳でも電話口で名前を呼ぶだけで、贈った側にはそれが何よりの報告になります。親が代わって伝えるより、ひと言でも本人の声を入れるほうが残ります。
写真を送るときは、 衣装を着た本人の写真だけでなく、 祖父母や家族と一緒に写ったものを一枚入れておくと、 その日の場そのものが伝わりますし、後で見返すときの一枚にもなります。
お礼が遅れてしまった場合も、 連絡しないままにするより遅れて伝えるほうがずっとよく、 「写真ができあがるのを待っていました」と添えておけば、 それだけで間の空いた理由がそのまま伝わります。
七五三のお返しに決まった形があるわけではなく、 身内からのお祝いであれば返さないことのほうが多いですし、 返す場合でも三分の一ほどの菓子折りで足りますので、 金額をそろえることに気を取られる必要はありません。
どの相手でも変わらないのは、その日が無事に済んだことを早めに伝えることと、 写真を一枚届けることの二つだけで、 品物を返すかどうかより、この二つのほうが相手には残ります。 子ども本人の声がひと言入れば、それ以上のお返しはありません。
よくある質問
七五三のお祝いに、お返しは必要ですか。
原則として不要とされています。身内で子どもの成長を祝う行事で、返礼を前提にしていないためです。ただし高額をいただいた場合や、日ごろ行き来の無い相手からいただいた場合は、3分の1ほどの品を「内祝」として贈る家もあります。
祖父母から5万円いただきました。返さなくてよいですか。
返さない家が多くあります。祖父母は衣装や写真の費用として包んでいることが多く、返礼を求めていないためです。当日の食事に招き、写真を一緒に見る場を持てば、それで十分に伝わります。
内祝いののしには、誰の名前を書きますか。
子どもの名前だけを書きます。姓は入れません。七五三の内祝いは成長の報告を兼ねているためで、親の名前で贈ると何のお返しか伝わらないことがあります。水引は紅白の蝶結びにします。
「お返しは要らない」と言われました。
その言葉に従って差し支えありません。断ったのに返礼が届くと、次から包みにくくなったと感じさせてしまいます。ただしお礼の連絡と写真だけは必ず届けてください。相手が待っているのはそちらです。
内祝いが1か月以上遅れてしまいました。
「遅くなりましたが」と一言添えて贈れば角は立ちません。写真館の仕上がりを待って遅れることは多く、事前に「写真ができたら送ります」と伝えてあれば、そもそも遅れとは受け取られません。
まとめ
- 七五三のお返しは原則として不要とされています。
- 返す場合の目安はいただいた額の3分の1から半分です。
- 時期は1〜2週間以内ですが、写真を待って遅れても構いません。
- のしは紅白の蝶結びに「内祝」と書きます。
- 名前は子どもの名前だけにします。姓は入れません。
- 「お返し不要」と言われたら、その言葉に従います。
- 品物より、写真とお礼の連絡のほうが相手には残ります。
参考情報
- 三越伊勢丹「七五三のお返しはどうする?相場やのしのマナーとおすすめギフトガイド」
https://www.mistore.jp/gifts/thanks_child/thanks_shichigosan/ - 高島屋「表書きの書き方」
https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_04.html - 高島屋「七五三のお祝い ご贈答マナー」
https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/oiwai_02.html
お返しの要否と相場は、上記各社の案内に共通する形をまとめたものです。身内のお祝いという性格上、家によって扱いが大きく変わる部分です。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・ご家庭の慣習によって考え方が異なる場合があります。同じ家のなかで前に贈った例があるときは、そちらに合わせるほうが角が立ちません。