結論

義実家の作法は家ごとに違いますので、 自分の実家の感覚で決めてしまう前に配偶者へ家の習慣を確かめておくほうが確実です。 金額は普段の訪問で2千〜3千円、改まった訪問なら3千〜5千円が目安になります。

渡すのは玄関ではなく、部屋へ通されて座り、 改めてあいさつを済ませてから紙袋から出して両手で差し出します。 金額やのしの有無は実家と揃えておくことが大切で、 片方だけを丁寧にすると親族の会話のなかで後から気づかれます。

まず配偶者に聞く

駅前のデパートの地下で菓子折りを前にしたまま、 これを持っていくべきなのかどうかで足が止まることがあります。 自分の実家では毎回きちんと用意していたのに、 同じつもりで義実家へ持参してよいのかは、玄関の前に立つまで確信が持てません。

判断が分かれるのは礼儀の厚さではなく、その家に手土産をやり取りする習慣があるかどうかという点で、 毎回きちんと用意する家もあれば、まったくしない家もあります。 最初の年にどうしたかがそのまま次の年の形になりますので、 迷ったまま決めてしまうと後から動かしにくくなります。

確認することなぜ
手土産の習慣があるか無い家に持参すると気を遣わせてしまいます
好き嫌い・アレルギー食品を選ぶのであれば欠かせません
きょうだいはどうしているか一人だけ違う形にすると目立ちます
他の親族も来るか人数分が必要になることがあります
泊まるか日帰りか持参するものそのものが変わります
滞在時間の目安帰る時間を先に決めておけます

この六つを一番よく知っているのは、ほかでもない配偶者です。育った家の勝手が分かっているのはその人だけですので、自分の判断で品物を選ぶ前にひととおり聞いてしまうほうが早く済みます。「持っていかない家」も珍しくありませんから、要らないという答えが返ってきてもそのまま受け取ってかまいません。

聞きにくいのは、手ぶらで行くと言われたときにそれを鵜呑みにしてよいのかという点で、 配偶者にとっては当たり前でも、こちらには判断の材料がありません。 そんなときは「前に行ったときは何か持っていった」と過去の形を尋ねると、 家の感覚がそのまま返ってきます。

きょうだいの家庭がどうしているかも、同じ場に居合わせる以上は無視できません。 同じ食卓に二組の夫婦が並び、片方だけが紙袋を提げて現れる形になりますと、 持参した側もしなかった側も落ち着きませんので、 あらかじめ揃えておくほうが双方にとって楽になります。

金額と品物

売り場で値札を見比べていると、二千円の詰め合わせでは軽く見えるような気がして、 つい五千円の箱へ手が伸びます。 ところが受け取る側からすると、毎回この額を持ってこられるほうが気詰まりで、 次に会う約束をしにくくなることもあります。

額を決める軸になるのは間柄の深さではなく、その訪問がどれだけ改まった場かという点で、 年に何度も顔を出す普段の訪問と、結婚の報告や節目のあいさつとでは求められる形が違います。 泊まるかどうか、ほかの親族が集まるかどうかでも変わってきます。

場面金額の目安
普段の訪問2千〜3千円を目安にしておけば足ります
改まった訪問3千〜5千円まで上げておくと落ち着きます
泊まるとき3千〜5千円に加えて食費を負担します
親族が集まる場3千〜5千円で数のあるものを選びます
高すぎる品相手が構えてしまうため選びません
のし改まった目的があるときだけ付けます

額を上げるほど丁寧になるわけではなく、むしろ相手の負担が増えていきます。「毎回こんなにいただいて」と言わせてしまいますと、次はお返しをどうしようという話になり、かえって行き来しにくくなります。年に何度も通う家であれば、続けられる額に収めておくほうが長く保ちます。

義実家では、持参したものがそのまま茶の間の卓へ出てくることがよくありますので、 切り分けの要るホールのケーキや大きな水羊羹を選びますと、 皿とフォークと包丁を出させることになります。 個包装で数のあるものにしておけば、袋を開けて盛るだけで済みます。

品物そのものは、今住んでいる土地の名物にすると、 どこで買ってきたかという話から自然に会話が続きます。 好みが分かっているならそれに合わせるのがいちばんで、 覚えていたこと自体が伝わりますし、高齢の方が多い家なら少量で日持ちするものが喜ばれます。

渡し方

玄関の三和土で靴を脱いでいる最中に、 提げてきた紙袋をどうすればよいのかで手が止まることがあります。 その場で差し出すのがよいのか、上がってからにするのかは、 迎えてくれた相手が「まあまあ」と手を伸ばしてくると余計に分からなくなります。

分かれ目は玄関で渡すか部屋で渡すかという一点で、 玄関で先に手渡してしまいますと、品物を届けに来ただけのように見えてしまいます。 あいさつを済ませてから出すという順序さえ守れば、 玄関で立ち話が長くなることもありません。

順やること
1玄関へ入る前にコートを脱いでおきます
2玄関ではあいさつだけで品物は出しません
3案内された部屋の勧められた席に着きます
4座り直して改めてあいさつを述べます
5紙袋から出して両手で差し出します
添える言葉心ばかりですがと一言添えます

要冷蔵と要冷凍のものだけは、順序を崩して玄関で渡してください。アイスクリームや生菓子を紙袋の中で三十分ほど置くことになりますと、せっかくの品が形を崩してしまいます。「冷蔵のものですので」と一言添えて手渡せば、相手もすぐ冷蔵庫へ入れられます。

差し出すときは「心ばかりですが」「皆さんで召し上がってください」と添えると、 改まりすぎずに気持ちだけが伝わります。 空になった紙袋はその場に置いていかず、小さく畳んで自分の鞄へ入れて持ち帰りますので、 玄関を出るまで手元に残ることになります。

のしを付けるのであれば、名前は夫婦の連名にしておくのが無難で、 どちらか一人の名だけを書くと家としての形になりません。 緊張して切り出しにくいときは、実の親子である配偶者から渡してもらう形でもかまいませんし、 そのほうが場の空気も和みます。

渡し方を詳しく見る(図解あり)

実家との差

義実家には百貨店の紙袋に入った菓子折りを提げていき、 自分の実家へは手ぶらで上がり込む、という形になっている家庭は珍しくありません。 その場では誰も何も言いませんが、こうした差はたいてい後になってから表に出てきます。

表に出るきっかけになるのは親族どうしの何気ない会話で、 法事の帰り道や年末の電話で「あちらにはいつも」という話が出ますと、 比べられていることが双方に伝わります。 揃えるべきものは金額だけではなく、のしの有無や訪問の回数まで含まれます。

揃えるもの考え方
金額両家で同じくらいの額に揃えておきます
のしの有無片方だけに付けることはしません
訪問の回数距離の近い側が多くなるのは自然です
品物額が揃っていれば違っていて構いません
決め方夫婦で先に方針を決めておきます
片方に習慣があるとき両方の家へ同じように持参します

揃えるといっても、まったく同じ品を二つ買う必要はありません。額とのしの扱いさえ合わせてあれば、片方には日持ちのする焼き菓子、もう片方には季節の果物といった選び方で差し支えありませんし、そのほうがそれぞれの家の好みに合わせられます。

方針は夫婦で先に決めておくのが確実で、それぞれが自分の育った家を基準にしたまま進みますと、 いつの間にか二つの家で扱いが食い違っていきます。 買い出しに出る前に「今回は三千円で、のしは付けない」と口に出して決めておくだけで、 売り場で迷う時間もなくなります。

訪問の回数まで無理に合わせる必要はなく、 片方が車で二十分、もう片方が新幹線で三時間という距離であれば、 足が向く回数に差が出るのは当たり前のことです。 それでも一年に一度は両方の家へ顔を出しておくと、回数の差そのものは話題になりません。

滞在中のこと

通された部屋に腰を下ろしてお茶が出てきたあたりから、 いつまでいればよいのかが気になり始めます。 早く切り上げると素っ気なく見えそうですし、長居をすれば夕食の支度をさせてしまいますので、 腰を上げるきっかけがつかめないまま時間だけが過ぎていきます。

迷いを断つのは滞在時間そのものではなく、帰る時刻を先に伝えてあるかどうかという一点で、 伝えてあれば相手もその前提で買い物や支度を組み立てられます。 服装や台所での振る舞いも、居させてもらう側としての線引きが決まっていれば迷いません。

項目目安
滞在時間日帰りなら2〜3時間で切り上げます
服装きれいめの普段着で、素足は避けます
手伝い断られても一度は自分から申し出ます
台所勝手に触らず指示に従って動きます
帰る時間着いたときに先へ伝えておきます
手伝う順配膳や食器を下げることから始めます

「16時ごろには失礼します」と着いたときに言っておくと、双方が予定を立てられます。帰り際になってから切り出そうとすると、話の腰を折るようで言い出せず、結局は日が暮れるまで長引くことになります。先に伝えておけば、相手も夕食の支度をするかどうかを迷わずに決められます。

手伝いは、金銭や品物より実際に助かる場面が多く、 食卓へ皿を並べる、食べ終わった器を下げる、流しに溜まったものを洗うといった、 すぐに手が出せて負担も軽いところから申し出るのが向いています。 断られても一度は口に出しておくことに意味があります。

ただし台所は相手の領域ですので、 戸棚のどこに何をしまうか、洗った器をどの布巾で拭くかは家ごとに違います。 「何かお手伝いすることはありますか」と尋ねてから指示に従うほうが、 よかれと思って動いて置き場所を変えてしまうより確実です。

訪問の頻度

車で十五分ほどの距離に義実家があり、 月に何度も顔を出しているような場合、毎回きちんと菓子折りを用意していては家計も気持ちも続きません。 かといって急に手ぶらへ切り替えるのも、前回との差が出てしまいます。

分かれ目は行き来の間隔で、年に数回しか会わない家と、 週のうちに何度も上がり込む家とでは、手土産に求められる意味そのものが違ってきます。 前者は改まったあいさつの品ですが、後者は日常の延長にある差し入れに近くなります。

頻度目安
年に数回そのつど毎回持参しておきます
月に1回程度持参しつつ額は控えめにしておきます
週に何度も毎回きちんと用意する必要はありません
近居で日常的にときどき何か持参すれば足ります
泊まりがけのとき頻度にかかわらず用意しておきます
久しぶりの訪問間が空いた分だけ丁寧に選びます

頻度が上がるほど、毎回の品より続けられるかどうかのほうが重く効いてきます。近所に住んでいて日常的に行き来する間柄で毎回菓子折りを提げていきますと、迎える側も同じだけ返そうとして、双方の負担が積み上がっていきます。近いからこそ、ときどきで足りると考えてかまいません。

切り替えの目安に迷ったときも、やはり配偶者に「毎回持っていったほうがいいのか」と尋ねるのが確実で、 その一言だけでその家の感覚がだいたい分かります。 持参しない日が続くようであれば、季節の果物や近所で評判の総菜を、 三度に一度ほど提げていく形にしておくと収まります。

逆に、しばらく足が遠のいていた家へ久しぶりに伺うのであれば、 間が空いた分だけ品物を選び直しておくほうが自然です。 正月の訪問については、お年賀としての扱いや親族が集まる場での配り方など時期特有の話がありますので、 別の記事にまとめています。

お正月に義実家へ行くときのマナーを見る

義実家への手土産に決まった正解があるわけではなく、 その家に習慣があるかどうかと、どれだけの間隔で行き来しているかを見て、 続けられる形に収めればそれで足ります。 年に一度しか会わない家なら改まった菓子折りが似合いますし、 近所で日常的に行き来しているなら、ときどきの差し入れで十分に伝わります。

どの家でも変わらないのは、自分の判断で決める前に配偶者へ確かめることと、 実家と義実家で扱いを揃えておくことの二つだけです。 この二つさえ押さえていれば、金額や品物の細かいところを思い出せなくても角は立ちませんし、 迎える側にとっても、気兼ねなく次の約束をしやすくなります。

よくある質問

義実家に手土産は必要ですか?

まず配偶者に家の習慣を確認してください。育った家の勝手が分かっているのはその人だけですので、自分の判断で品物を選ぶ前にひととおり聞いてしまうほうが早く済みます。「持っていかない家」も珍しくありませんから、要らないという答えでもそのまま受け取ってかまいません。

金額はいくらが目安ですか?

普段の訪問なら2千〜3千円、改まった訪問なら3千〜5千円です。泊まるときは3千〜5千円に加えて食費を負担し、親族が集まる場では数のあるものを選びます。額を上げるほど丁寧になるわけではなく、「毎回こんなにいただいて」と言わせるとかえって行き来しにくくなります。

何を選べばよいですか?

個包装で数のあるものです。義実家では持参したものがそのまま茶の間の卓へ出てくることがよくあり、切り分けの要るホールのケーキだと皿とフォークと包丁を出させることになります。今住んでいる土地の名物なら会話も続きますし、高齢の方が多い家なら少量で日持ちするものが向きます。

いつ渡しますか?

部屋へ通されて席に着き、座り直して改めてあいさつを述べてから、紙袋から出して両手で差し出します。玄関で先に手渡すと、品物を届けに来ただけのように見えてしまいます。ただし要冷蔵と要冷凍のものだけは、「冷蔵のものですので」と添えて玄関で渡してください。

紙袋はどうしますか?

空になった紙袋はその場に置いていかず、小さく畳んで自分の鞄へ入れて持ち帰ります。渡すときには「心ばかりですが」「皆さんで召し上がってください」と添えると、改まりすぎずに気持ちだけが伝わります。

実家と差をつけてもよいですか?

金額とのしの有無は揃えてください。片方だけを丁寧にすると、法事の帰り道や年末の電話で「あちらにはいつも」という話が出て、比べられていることが双方に伝わります。額が揃っていれば品物は違っていて構いませんので、夫婦で先に方針を決めておいてください。

滞在時間はどのくらいですか?

日帰りなら2〜3時間が目安です。「16時ごろには失礼します」と着いたときに言っておくと双方が予定を立てられますし、帰り際に切り出そうとして言い出せず日が暮れる、という流れも避けられます。

台所は手伝ったほうがいいですか?

断られても一度は自分から申し出てください。皿を並べる、器を下げる、洗い物といった負担の軽いところから始めます。ただし台所は相手の領域で、戸棚のどこに何をしまうかは家ごとに違いますので、「何かお手伝いすることはありますか」と尋ねてから指示に従うほうが確実です。

頻繁に訪ねる場合も毎回持参しますか?

週に何度も訪ねるなら毎回きちんと用意する必要はありません。近居で日常的に行き来しているなら、ときどき何か持参すれば足ります。毎回菓子折りを提げていくと迎える側も同じだけ返そうとして、双方の負担が積み上がっていきます。

まとめ

  • まず配偶者に家の習慣を確かめます
  • 金額は普段なら2千〜3千円、改まった訪問なら3千〜5千円にします
  • 個包装で数のあるものを選びます
  • その場で出されることを見込んで選びます
  • 玄関では渡さず、部屋であいさつを済ませてから差し出します
  • 要冷蔵のものだけは玄関で手渡します
  • 金額とのしの有無は実家と揃えます
  • 帰る時間は着いたときに先へ伝えます
  • 頻繁に通う家なら毎回きちんと用意しなくてかまいません

参考情報

  1. 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
    https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html
  2. 高島屋「進物の基礎知識」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html
  3. 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx

手土産の金額や渡し方に公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。地域・ご家庭・間柄によって実際には大きく異なります。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。手土産に決まりはなく、地域・ご家庭・間柄によって異なります。とくに親しい相手との間では、形式より相手の負担にならないことを優先してください。