結論
玉串は右手で根元を上から持ち、左手で葉先を下から支えて受け取り、 胸の高さのまま祭壇の前へ進んだら、 時計回りに回して根元が祭壇のほうを向くように置きます。
供え終えたら二礼二拍手一礼で拝礼しますが、 このときの拍手は音を立てない忍び手にするのが弔いの場での決まりで、 手が触れる直前で止めるようにすれば自然に音は鳴りません。
順番と全体の流れ
神式の葬儀に出ることになって、あらかじめ調べておいたほうがよいと感じるのは 祭壇の前に立ってからの十数秒で、 席を立って前へ出るところまでは仏式と変わらないのに、そこから先だけが未知の動きになります。
とはいえ全体は受け取る・進む・回す・置く・拝むという五つの動作に分かれているだけで、 それぞれの動作のあいだに必ず一礼が挟まりますから、 順番さえ頭に入っていれば、迷って立ち止まる場面はまず訪れません。
| 順 | すること |
|---|---|
| 1 | 名前を呼ばれたら席を立ち、遺族と斎主に会釈します |
| 2 | 斎員の方から両手で玉串を受け取ります |
| 3 | 胸の高さに保ったまま祭壇の前へ進みます |
| 4 | 祭壇に向かって一礼してから玉串を回します |
| 5 | 根元を祭壇へ向けて案上に置きます |
| 6 | 二礼二拍手一礼を忍び手で行います |
| 7 | 数歩下がり、遺族へ会釈してから席に戻ります |
祭壇に背を向けて戻らないという一点だけが、この流れの中で唯一気をつけたい所作です。拝礼を終えたらその場で二、三歩後ろへ下がり、体の向きを変えるのは祭壇から離れてからにすると、後ろで順番を待っている方の視線にも自然に収まります。
玉串を捧げる順番は喪主から始まって、ご遺族、ご親族、 そのあと一般の参列者という並びになるのが通例で、 故人との関係が近い方から順に前へ出るという考え方は仏式の焼香とまったく同じです。
参列者が多い葬儀では代表の方だけが玉串を捧げ、 ほかの参列者は席で拝礼するだけにとどめるという進め方をとることもありますし、 名前を読み上げずに列の順で前へ出るよう案内されることもあります。 いずれも司会の方がその場で説明してくれますので、案内を聞いてから動けば間違いようがありません。
持ち方と回し方
玉串は榊の枝に紙垂という白い紙をつけたもので、 受け取るときは右手を上から枝の根元にかぶせ、左手は下から葉先を支えるという持ち方をします。 このとき根元が右、葉先が左を向いている状態が出発点になります。
迷いが生まれるのはどちらへ回すのかという一点で、 時計回りに百八十度動かすと根元が祭壇側を向きますから、 向きさえ思い出せれば、途中の手の運びは自然についてきます。
| 段階 | 手の位置と動き |
|---|---|
| 受け取るとき | 右手で根元を上から、左手で葉先を下から持ちます |
| 運ぶとき | 根元をやや高くして胸の高さに保ちます |
| 回すとき | 右手を手前に引き、時計回りに半回転させます |
| 回し終えたとき | 根元が祭壇側、葉先が自分側を向いています |
| 置くとき | 両手を添え、案の上へ静かに滑らせます |
| 置いたあと | 手を胸の前で合わせてから一歩下がります |
回す向きに迷ったら、根元をどこへ向けるかだけを思い出せば手は勝手に動きます。根元を神前へ向けて捧げるという説明が主流ですが、逆に案内する神社もありますので、前の方が回した向きを見てから合わせるのがもっとも確実です。
枝の太さは大人の親指ほどで、葉のついた側が思ったより重く、 片手で持つと葉先が下がって紙垂が揺れますので、 受け取ってから置くまでのあいだは両手を離さないでおくと落ち着いて運べます。
左利きの方から持ち手を逆にしてよいかという迷いをよく聞きますが、 玉串の作法は右手で根元を持つ形で定まっていますので、そのまま右手で根元を持ってください。 普段と逆の手になるぶん動きがぎこちなくなっても、そこを見て何か言う方はいませんし、 枝を落とさないよう両手でしっかり支えているほうがよほど大切です。
忍び手の打ち方
玉串を置いたあとの拝礼は二礼二拍手一礼という神社での参拝と同じ順序ですが、 弔いの場だけは拍手の音を立てないという決まりがあり、 これを忍び手と呼びます。
迷うのはどこまで手を近づけてよいのかという加減で、 形だけ整えようとして手を止めすぎると拍手に見えませんし、 勢いがつくと静まりかえった会場に音が響いてしまいます。
| 所作 | やり方 |
|---|---|
| 二礼 | 腰から上体を折り、深く二回お辞儀をします |
| 二拍手 | 手が触れる直前で止め、音を立てずに二回打ちます |
| 一礼 | もう一度深くお辞儀をして締めます |
| 手の合わせ方 | 右手をわずかに手前へずらして合わせます |
| お辞儀の深さ | 上体を九十度近くまで倒すのが目安です |
| 忍び手を使う範囲 | 葬儀から五十日祭までとするのが一般的です |
音を消そうとして手を止めすぎるより、触れる寸前でそっと合わせるほうが自然に見えます。指先まで力を抜いて、手のひらの空気を逃がすつもりでゆっくり近づけると、動きとしては拍手のまま音だけが消えますので、離れた席から見ても違和感がありません。
忍び手をいつまで続けるのかについては地域差があり、葬儀のあいだだけとする考え方と、 五十日祭を終えるまでは音を立てないとする考え方の両方があります。 仏式の四十九日にあたるのが五十日祭で、そこを区切りに忌明けとするためです。
参列する側としては、当日その場で周りの方が音を立てているかどうかに耳を向ければ足りますし、 もし判断がつかなければ音を立てないほうを選んでおけば失礼にはなりません。 年忌にあたる式年祭に招かれたときも同じ考え方で、迷ったら静かに合わせるほうへ寄せてください。
迷いやすい場面
手順を頭に入れて出かけても、実際の会場では説明どおりに進まない場面がいくつか出てきます。 椅子ではなく畳の上に案が据えられていたり、参列者が多すぎて一人ずつ前に出ない形式だったりします。
そうしたときに拠り所になるのは、司会の方の案内と、前の方の動きの二つだけで、 この二つに従っておけば、覚えてきた手順と違っていても間違いにはなりません。
| 場面 | どうするか |
|---|---|
| 大人数で一人ずつ出ない | 席で二礼二拍手一礼だけを行います |
| 畳の上に案がある | 座ったまま膝で進み、正座のまま供えます |
| 回す向きが分からない | 前の方の向きに合わせれば外れません |
| 玉串を落としてしまった | 拾って供え直せば済みます |
| 拍手の回数を忘れた | 二回打っておけば足ります |
| 列が長く待ち時間が出た | その場で静かに立って順番を待ちます |
作法を間違えたことより、動きが止まって列が滞るほうが場には響きます。玉串を落としても、回す向きを取り違えても、その場で誰かが咎めることはありませんので、迷ったら止まらずに前の方と同じように動いてしまうほうがよほど収まります。
斎場によっては案が高い位置に据えてあったり、逆に膝をついて供える低さだったりと、 祭壇の造りで動き方が変わりますので、 席に着いた時点で前方の様子を一度眺めておくと、順番が回ってきたときに慌てずに済みます。
玉串を供えるのに要する時間は一人あたり十数秒ほどで、 その短さを知っておくだけでも構え方が変わってきます。 手順を完璧になぞろうとするより、枝を両手で支えて静かに置き、深く二度お辞儀をする。 その二つができていれば、見ている側には十分に整った所作として映ります。
神式の葬儀のマナーを見る玉串奉奠に正解の形が一つだけあるわけではなく、 根元を神前へ向けて置くという説明が主流である一方、逆に案内する神社もありますし、 忍び手をいつまで続けるかも地域によって分かれています。 当日いちばん確かなのは、司会の方の案内と、自分の前に立った方の動きの二つです。
どの神社でも変わらないのは、枝を両手で支えて静かに置くことと、 拍手の音を立てないことの二つだけで、 この二つさえ守っていれば、回す向きを取り違えたところで失礼にはなりません。 後ろで順番を待っている方にとっても、迷わず進んでくれるほうが助かります。
献花のやり方を見るよくある質問
玉串はどちらの手で持ちますか?
右手を上から枝の根元にかぶせ、左手は下から葉先を支えます。左利きの方も同じで、右手で根元を持ってください。
玉串はどちらに回しますか?
時計回りに半回転させ、根元が祭壇のほうを向くように置きます。逆向きに案内する神社もありますので、前の方の向きを見て合わせるのが確実です。
拍手は音を立ててもいいですか?
立てません。手が触れる直前で止める忍び手にします。指先まで力を抜いて、ゆっくり近づけると音だけが消えます。
忍び手はいつまで続けますか?
葬儀のあいだだけとする考え方と、五十日祭を終えるまでとする考え方があります。迷ったら音を立てないほうを選んでおけば失礼にはなりません。
玉串を落としてしまったらどうしますか?
拾って供え直せば済みます。その場で誰かが咎めることはありませんので、止まらずに続けてください。
参列者が多い場合も一人ずつ前に出ますか?
代表の方だけが玉串を捧げ、ほかの参列者は席で二礼二拍手一礼だけを行う形式もあります。司会の方が案内してくれます。
まとめ
- 右手で根元、左手で葉先を持ちます
- 時計回りに回し、根元を祭壇へ向けて置きます
- 拍手は音を立てない忍び手にします
- 祭壇に背を向けず、下がってから戻ります
参考情報
- 公益社「玉串とは?玉串の捧げ方と玉串料の相場について」
https://www.koekisha.co.jp/chiebukuro/tamagushi/ - ベルコ お葬式なるほどチャンネル「神式のお香典とは?玉串料の意味と相場」
https://ososhiki.bellco.co.jp/manner/tamagushiryo/ - イオンのお葬式「玉串料とは?相場やのし袋の書き方・表書き・金額の見本とマナーを解説」
https://www.aeonlife.jp/knowledge/manner/manner_tamaguchiryou - 家族葬のみつわ「玉串とは?葬儀などでの作法から玉串料の相場まで総まとめ」
https://mitsuwa-sougi.co.jp/knowledge/tamagushi/
玉串の回し方と拝礼の順序は、上記各社の解説でおおむね一致しています。ただし玉串を置くときの向きについては、根元を神前へ向けるという説明が主流である一方、逆に案内する神社もあります。忍び手を打つ範囲(葬場祭のみか、五十日祭まで続けるか)も地域によって差があります。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。宗教・教派・地域・ご家庭によって考え方が大きく異なる分野で、決まった正解があるものではありません。当日は会場の係の方や司式者の案内を優先してください。本記事は人付き合いと弔いの作法を扱うもので、特定の宗教の教義を説明するものではありません。