結論

一戸建ての引越し挨拶は向こう三軒両隣に裏の1軒を加えた6軒が目安になり、 道をはさんで正面に並ぶ家と自分の家の左右、それに敷地が背中合わせになる家までを回っておけば、 これから顔を合わせる範囲はひととおり収まります。

あわせて自治会長や組長にも挨拶しておくという点も変わらず、 回覧板がどの順で回るのか、ごみ当番がいつ回ってくるのかといった説明はこの方たちから受けることになりますので、 後から自分で調べるより早く片が付きます。

「向こう三軒両隣」とは

一戸建てへの引越しが決まると、不動産会社の担当者からも親からも「向こう三軒両隣には挨拶を」と言われますが、住宅地図を広げてみてもどの家がそれにあたるのかがはっきりしません。 菓子折りを何箱買っておけばよいのかも決まらないまま、引越し当日を迎えることになります。

分かりにくいのは「向こう三軒」がどちらを指すのかという部分で、自分の家の並びで三軒だと考えると、そのあとの「両隣」と数が重なってしまいます。 道を渡った先に並んでいる家のほうを指しているという前提で数えていくと、言葉のとおりに収まります。

言葉指す家
向こう三軒道をはさんだ正面と、その両隣にあたります
両隣自分の家の左右に並ぶ2軒を指します
合計言葉のとおりに数えると5軒になります
裏の家言葉には入りませんが加えるのが一般的です
合計(裏を含む)実際に回るのは6軒になることが多くあります

言葉のほうには裏の家が入っていませんが、実際には加えて回ります。塀をはさんで敷地が接しており、洗濯物を干す時間帯の物音や庭木の手入れで顔を合わせる相手になりますので、正面の家より会う回数が少なくても、関わりのほうはむしろ深くなります。

実際に起こりやすいのは、引越し当日に台車を押しながら回ろうとして、道の向かいが三軒に分かれておらず、間口の広い一軒だけが正面に建っているという場合です。 逆に細かく区切られた区画では、向かいに何軒も玄関が並んでいて、どこで切ればよいのかが分かりません。

こういうときは軒数を合わせようとせず、自分の家の玄関に立って、正面と左右に見えている家までを数えてください。 言葉のほうは範囲を覚えやすくするための言い回しであって、6軒という数そのものに決まりがあるわけではありません。

実際の範囲

決まり文句どおりに回ろうとしても、角地に建っていたり行き止まりの奥の一軒だったりすると、正面という言葉がそもそも成り立ちません。 私道を通らないと自分の家に入れないという区画では、その道沿いの家すべてと毎日顔を合わせることになります。

判断の軸にするのは敷地が接しているか、日常的に顔を合わせるかという二つで、言葉に土地の形を当てはめるのではなく、実際に歩いてみた感覚のほうを優先してください。 車庫から車を出すときにどの家の前を通るかを思い浮かべると、範囲のほうがはっきりしてきます。

状況扱い
角地二つの道に面する家まで含めておきます
行き止まりの道その道沿い全体が範囲になることがあります
広い道路をはさむ向かいを外しても不自然にはなりません
隣が空き地空き地の先に建っている家まで含めます
隣が店舗営業時間のうちに伺って挨拶します
私道を共有する共有している家すべてに回っておきます

私道を共有しているなら、位置が離れていてもその全戸に回ってください。路面が傷んだときの補修や、工事車両を停めるときの了解取りで必ず関わる相手になりますので、顔を合わせる回数の多い少ないとは別に、権利を分け合っている相手として先に挨拶が要ります。

よく迷うのは、車の往来が絶えない広い道路をはさんで向かいに家が並んでいるという場合で、地図の上では正面にあたっていても、横断歩道まで回らなければたどり着けません。 そこまでの距離があると、日々の暮らしのなかで顔を合わせることもほとんどありません。

その場合は向かいを外しておいても不自然にはならず、そのぶん自分の家の左右と裏、それに私道や角の家へ手を回しておくほうが理にかないます。 どこまで回ったかを紙に書き出しておけば、留守だった家へあらためて伺うときにも取りこぼしが出ません。

自治会長・組長

集合住宅と違って一戸建てには管理会社にあたる窓口が無く、代わりに自治会長や組長といった地域の役職が日々の暮らしに関わってきます。 引っ越した翌週にはもう回覧板が回ってきて、名前も知らない相手にどう渡せばよいのかで戸惑うことになります。

挨拶しておく意味は顔つなぎというより地域の決まりについて説明を受けられることのほうにあり、回覧板がどの順で回るのか、ごみ当番がいつ回ってくるのか、集金がいくらなのかは、この方たちに聞かなければ分かりません。 自治体の窓口に問い合わせても出てこない取り決めが、地域ごとにあります。

相手扱い
組長・班長日々の決まりでもっとも関わる相手です
自治会長引越しのあとに回っておくのが一般的です
誰が役職か分からない隣家に尋ねればその場で分かります
不動産会社に聞く担当者が把握している場合もあります
手土産1,000円程度のものを用意しておきます

組長のほうは毎年交代することが多く、去年の担当と今年の担当が入れ替わっています。今年は誰が受け持っているのかは、両隣のどちらかに尋ねるのがいちばんの早道になりますし、順番制であればいずれ自分のところにも回ってきますので、そのときの流れも一緒に聞いておけます。

引越し当日は業者の出入りで手が離せませんので、組長の家まで回るのは荷物が片づいたあとの週末になることが多くなります。 玄関先で世帯主の名前と、これから世話になるという一言を伝えれば、そこから回覧板の順番やごみ当番の話が自然に出てきます。

手土産は両隣へ持っていくものと同じで構いませんし、役職だからといって重くすると、かえって受け取る側を困らせることになります。 1,000円程度の菓子折りを用意しておけば、渡す側も受け取る側も気を遣わずに済みます。

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境界が接する家

一戸建てに移って初めて出てくるのが敷地の境界という問題で、集合住宅の壁一枚とは違い、塀や生け垣がどちらの持ち物なのかがはっきりしないまま暮らし始めることになります。 庭に立ってみると、隣の家の木の枝がこちら側へ伸びてきていたということも珍しくありません。

境界に接している家とはこれから何年も話し合う場面が出てくることになり、枝の切り方、塀の塗り替え、雨どいから流れる水の行き先、日当たりまで、どれも片方だけでは決められません。 引越しの挨拶は、その話し合いの相手に初めて顔を見せておく機会にあたります。

関わり内容
塀・フェンス共有か片方の所有かで扱いが変わります
木の枝・落ち葉越境したときに相談が必要になります
雨水・排水隣へ流れ込むと問題になっていきます
駐車場の出入り車の向きとエンジンの音が関わります
エアコンの室外機向きと風の音を先に確かめておきます

境界にまつわる話は、先に顔を知っているかどうかで進み方がまるで違います。枝が越えてきた、雨水が流れ込んでいるという申し出は、面識のない相手に切り出すとそれだけで角が立ちますが、挨拶を交わしてある相手であれば立ち話のついでに伝えられます。

実際に多いのは、こちらが後から越してきた側で、隣家の庭木がすでに大きく育っているという形です。 落ち葉が雨どいに溜まって水があふれるようになっても、切ってほしいとは言い出しにくく、毎年秋になるたびに脚立を出して自分で掃除するということになります。

引越しの挨拶で回ったときに、庭木や駐車場の位置を目で確かめておくと、後から話を持ち出すときの足がかりになります。 室外機の向きや車の停め方は、こちらが原因になることも同じだけありますので、気づいた時点でお互いに言い合える関係を作っておくほうが、結局は短く済みます。

新興住宅地の場合

造成されたばかりの区画に建てた場合は、周りの家もまだ足場が組まれていたり更地のままだったりして、そもそも挨拶に回る相手がそろっていません。 先に住んでいる方から地域の決まりを教わるという手順が、そのまま使えなくなります。

違ってくるのは先住者がいないという一点で、ごみ置き場の場所も、回覧板の順も、自治会があるのかどうかも、これから住民のあいだで決めていくことになります。 一方で、区画のすぐ外に古くからの集落が残っているということも多く、その場合は事情が変わります。

状況扱い
入居時期がばらばら越してきた家から順に挨拶していきます
まだ空き地建ってから相手の挨拶を受ける側に回ります
自治会がまだ無い周辺の既存自治会に入ることがあります
既存の集落が近いそちらに続いてきた慣習へ合わせます
ごみ置き場が未定自治体の窓口に確認しておきます

区画のそばに古くからの集落があるなら、そちらの慣習を先に確かめてください。新しい区画だけで自治会を作らずに既存の自治会へまとめて加わるという形になることが多く、当番や集金の決め方も、長く続いてきたやり方がそのまま引き継がれます。

入居の時期がそろわない区画では、こちらが先に住み始めて、あとから隣に家が建つという順になります。 その場合はこちらが挨拶を受ける側に回りますので、工事の音について先に一言もらっておけば、それがそのまま顔つなぎになります。

ごみ置き場の位置が決まっていないうちは、収集の曜日も出し方も分かりませんので、自治体の窓口に問い合わせて確かめておいてください。 同じ区画に先に越してきた家があれば、その家がすでに聞いているということもよくあります。

回覧板の回し方を見る

一戸建ての挨拶にどこまでという線が引かれているわけではなく、 道の形や敷地の並び方によって、回る先は一軒ずつ変わってきます。 向かいに家が三軒並んでいる区画であれば言葉のとおりに数えられますし、 広い道路で隔てられているなら向かいを外し、私道を分け合っているならその全戸へ回っておけば、 それで範囲としては足ります。

どの土地でも変わらないのは、これから塀のことや枝のこと、車の音のことで話し合う相手に、 住み始める前に一度顔を見せておくという一点だけになります。 向こう三軒両隣という言葉を思い出せなくても、 敷地が接している家と、地域の決まりを教えてくださる組長のところへ回っておけば、 住み始めてからのやり取りは進めやすくなります。

よくある質問

「向こう三軒両隣」とはどこを指しますか?

道をはさんだ正面とその両隣の3軒に、自分の家の左右2軒を加えた5軒です。実際にはこれに裏の1軒を加えて6軒回るのが一般的です。

裏の家にも挨拶しますか?

加えてください。敷地が接し、生活音や庭の手入れで関わります。顔を合わせる機会は正面より少なくても、関わりのほうは深くなります。

角地や行き止まりの場合はどうしますか?

言葉に当てはめるより、敷地が接するか顔を合わせるかで決めてください。私道を共有しているなら、その全戸に回ります。通行や補修で必ず関わります。

自治会長や組長にも挨拶しますか?

回るのが一般的です。回覧板の順、ごみ当番、集金といった地域の決まりを知る相手になります。誰が担当かは隣家に聞けば分かります。

境界が接する家で気をつけることは?

塀、木の枝、雨水、駐車場の出入りで関わります。枝が越えた、水が流れたという話を面識のない相手に切り出すのは難しいので、最初に顔を知っておいてください。

新興住宅地ではどうしますか?

越してきた家から順に挨拶します。既存の集落が隣接しているなら、そちらの慣習を確かめてください。新しい区画だけで完結せず、同じ自治会に入ることがあります。

まとめ

  • 向こう三軒両隣に裏の1軒を加えて回ります
  • 軒数より敷地が接するかどうかで決めます
  • 私道を共有する家には全戸に回ります
  • 組長と自治会長にも挨拶しておきます
  • 手土産は1,000円程度のもので足ります
  • 境界が接する家とは長く関わります
  • 新興住宅地では越してきた家から順に回ります
  • 既存の集落が近ければその慣習に合わせます

参考情報

  1. e-Gov法令検索「民法」(第209条〜 相隣関係)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

近所付き合いの作法に、守らなければ違反となる公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。地域の慣習・建物の管理規約・自治会の取り決めによって実際には異なります。(最終確認:2026年8月)

本記事で紹介している作法は一般的な目安です。近所付き合いは地域差がとくに大きい分野で、同じ市内でも慣習が違うことがあります。可能であれば、不動産会社や管理会社、先に住んでいる方に一度確認してください。