結論
敬老の日の掛け紙は紅白の蝶結びで、 表書きは「敬老の日」または「祝敬老」が一般的ですし、 何度あってもよい行事なので、結び切りは使いません。
ただし実家や祖父母へ贈るなら、のしを付けない形でも構わず、 メッセージカードだけを添えるほうが自然に受け取ってもらえる家も多く、 配送で送るときは内のしにすると表書きが傷みません。
そもそものしは必要なのか
通販の注文画面で掛け紙を選ぶ欄が出てきて、 そこで初めて実家へ送るのにのしが要るのかと考え込み、 「不要」を選んでよいものか判断がつかなくなります。
判断の軸は相手との距離で、 改まった形にするほど、受け取る側も改まって受け取ることになり、 身内どうしでは、かえってよそよそしくなることがあります。
| 贈る相手 | のしの扱い |
|---|---|
| 実の親・祖父母 | 付けなくて構わず、カードだけでも足ります |
| 義理の親・祖父母 | 付けておくほうが、形として整います |
| 親戚の年配の方 | 付けます。誰から届いたかがはっきりします |
| 配送で送る | 送り主が分かるので、付けるほうが確実です |
| 手渡しする | その場で名乗れるため、無くても困りません |
| まだ働いている親 | 付けないほうが、年齢の話になりません |
のしを付けるかどうかは、贈り物の格ではなく相手との距離で決まるものなので、身内へ贈るときほど省いて差し支えありません。毎年おなじ形で実家へ送っている家では、掛け紙よりも短い手紙のほうが役に立ちますし、配送であっても送り主の名前が伝票に出ていれば誰からかは分かります。ただし義理の親へ最初に贈る年だけは、掛け紙を付けておくほうが形として整いますし、相手の家の慣習が分かるまでは省かないほうが無難です。
付けないと決めたときに一つだけ必要なのが誰からの品か伝える手立てで、 通販の既定のままだと店名だけが表示され、 箱を開けても差出人が分からないという事態になります。 受け取った側からすると、お礼の電話をかける先すら見当がつかないという状態になってしまいます。
短いメッセージカードを一枚入れておけば、 掛け紙が無くても名乗りとしては十分ですし、 「敬老の日」という言葉を出したくない相手にも、 角を立てずに気持ちだけを伝えられます。 印刷のカードを使う場合でも、名前のところだけを手書きにしておけば、形としては十分に整った贈り物になります。
水引は紅白の蝶結び
掛け紙を付けると決めたら、 次に選ぶのが水引の形で、 結び切りと蝶結びを取り違えると、意味がまるで変わります。 店で掛け紙を頼むときも、この二つのどちらにするかを聞かれることがほとんどなので、先に決めておくと手早く済みます。
分ける軸はその行事が何度あってよいものかで、 一度きりであってほしい慶事には結び切り、 繰り返しめぐってくる慶事には蝶結びを使います。 結婚のように一度きりであってほしい慶事とは意味が正反対になるため、同じ紅白でも結び方を取り違えると意図が通じません。
| 結び方 | 使う場面 | 敬老の日 |
|---|---|---|
| 蝶結び(花結び) | 何度あってもよい祝い事に使います | こちらを使います |
| 結び切り | 結婚など一度きりの慶事に使います | 使いません |
| あわじ結び | 結び切りと同じ扱いで、慶弔どちらにも使われます | 使いません |
| 本数 | 紅白5本が慶事の基本になります | 5本で足ります |
| のし(右上の飾り) | 生ものを贈る場合は付けません | 菓子や日用品には付けます |
| 色 | 紅白。金銀は長寿祝いなど改まった場に寄ります | 紅白で十分です |
敬老の日は毎年めぐってくる行事なので、水引は紅白の蝶結びを選んでおけば間違いがなく、そこで迷う必要はありません。結び切りは「二度と繰り返さないように」という意味を持つため、来年も再来年も続いてほしい行事には合いません。金銀の水引は還暦や米寿のような一度きりの長寿祝いに寄るので、毎年続く敬老の日では紅白のままで十分です。
鮮魚や精肉のような生ものを贈るときだけは、 右上ののしの飾りを付けないという決まりがあり、 これはのし自体が乾物を模した飾りだからです。 のしと水引をまとめて「のし紙」と呼ぶため、この違いは分かりにくくなっています。
菓子や果物、日用品であれば飾り付きのもので構わず、 店で「敬老の日で」と伝えれば、 たいていは紅白の蝶結びが用意されるので、 自分で選び直す必要はありません。
表書きの書き方と選び方
水引が決まっても、 その上に何と書くかで手が止まり、 「敬老の日」とそのまま書いてよいのかという点で迷います。 敬老という言葉をそのまま書いてよいのか迷うのは、贈る側が相手の年齢のほうを気にしているためです。
選ぶ軸は敬老という言葉を前に出すかどうかで、 相手が年齢を気にしている場合、この一語で受け取り方が変わります。 同じ品を同じ日に届けても、表書きを一語変えるだけで受け取ったときの空気がまるで変わってきます。
| 表書き | 性格 |
|---|---|
| 敬老の日 | もっとも一般的で、迷ったらこれで足ります |
| 祝敬老 | 改まった形になり、親戚へ贈るときに向きます |
| 御祝 | 名目を出さずに済み、どの相手にも使えます |
| 敬寿 | 長寿を願う形で、年配の親戚へ贈るときに使われます |
| 感謝 | 敬老という言葉を避けたい相手に向きます |
| いつもありがとう | 実家や祖父母へなら、これで十分に通ります |
相手がまだ働いている、あるいは年齢の話を嫌がるなら「感謝」か「御祝」にしてください。「敬老」の二文字は、贈った側にその意図がなくても老いを指した形に読めることがあります。実家へ送るなら手書きで「いつもありがとう」と書いた札のほうが、印刷された表書きより素直に届きます。
書くときの道具は濃い黒の筆ペンで、 薄墨は弔事で使うものなので、 慶事の掛け紙に使うと意味が逆になります。 手元に筆ペンが無ければ、店で印刷してもらう形でも十分に整った見た目になりますし、字に自信がないときはむしろそちらが確実です。
ボールペンや鉛筆も避けられており、 店で用意してもらえば印刷で済みますし、 自分で書くなら筆ペンを一本用意しておくほうが、 毎年の行事として使い回しが利きます。 一本あれば年賀状や香典袋を書くときにも使えるので、買っておいて無駄になることはありません。
名前の書き方と連名
表書きの下に入れる名前も迷いどころで、 孫の名前だけにするのか、親の名前も並べるのかによって、 受け取る側の読み方が変わります。 同じ品でも、名前の書き方一つで贈り主の顔ぶれが変わって見えます。
軸になるのは誰からの贈り物として受け取ってほしいかで、 孫の名前を立てれば孫からの品になり、 夫婦の連名にすれば家からの品になります。 どちらにするかで、受け取った側が箱を開けたときに最初に思い浮かべる顔が変わりますし、お礼の電話をかける先も変わってきます。
| 贈り主 | 書き方 |
|---|---|
| 孫から | 孫の名前だけを書きます。姓は無くて構いません |
| 孫が複数 | 年上から右へ並べ、下の子を左へ書きます |
| 夫婦から | 夫の姓名を中央に、妻の名だけを左へ添えます |
| 家族全員 | 「〇〇家一同」とまとめると収まります |
| きょうだいで一つに | 姓が違うなら、それぞれの姓名を並べます |
| 義理の親へ | 夫婦の連名にすると、片方だけの形になりません |
孫の名前を表に立てると、同じ品でも贈り物の名目が年齢の話から離れていきます。「敬老の日」という言葉が付いていても、下に孫の名前があれば、受け取る側はそちらを先に読みますし、老いを指された印象になりません。名前は姓を省いて構わず、ふだん呼ばれている呼び名のままで書いておけば十分に通ります。
連名で書くときは三名までを目安にしておくと収まりがよく、 四名を超えると字が小さくなり、 掛け紙の上で読みにくくなります。 読めないほど小さな字が並ぶくらいなら、代表の一名だけを書いてまとめるほうが確実に伝わります。
人数が多い家では「孫一同」とまとめてしまい、 誰が入っているのかは 同封する手紙のほうに書いておくと、 掛け紙も手紙もそれぞれ役割を果たします。 掛け紙は見た目を整える役、手紙は中身を伝える役と分けて考えておくと、どちらに何を書くかで迷いません。
内のしと外のしの使い分け
店で「内のしと外のし、どちらにしますか」と聞かれて、 違いが分からないまま返事をすることになりがちで、 どちらでも失礼にはならないぶん判断がつきません。
分ける軸はその品がどう届くかで、 配送か手渡しかによって、掛け紙の置き場所が変わります。 作法としてはどちらでも誤りにならないため、品物がどう届くかという点だけで決めて差し支えありません。
| 形 | 掛け紙の位置 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 内のし | 品に掛け、その上から包装します | 配送で送るときに向きます |
| 外のし | 包装の上から掛けます | 手渡しで、その場に他の品が並ぶときに向きます |
| 配送 | 内のし | 輸送中に表書きが擦れません |
| 手渡し | 外のし | 渡した瞬間に名目が伝わります |
| 親戚の集まりで渡す | 外のし | 誰からの品か、置いたままで分かります |
| のしを付けない | —— | カードを一枚入れておけば足ります |
配送なら内のし、手渡しなら外のしと覚えておけば足りますし、内のしは包装紙の下に隠れるため、輸送中に表書きが擦れたり破れたりしません。外のしは渡したその場で名目が読めるので、法事や集まりのように贈り物が何個も並ぶ場面で取り違えを防げます。迷ったときは、身内へ贈るなら内のしにしておくと、贈り物であることを強調しすぎずに収まります。
迷ったときに困りにくいのは内のしのほうで、 控えめな形として受け取られますし、 贈り物であることを強調しすぎないという点で、 身内へ送るときの空気にも合います。 身内へ贈る品をことさら大げさに見せないという点でも、内のしのほうがその場の空気に合って収まります。
逆に、親戚が集まる場で複数の品が並ぶなら外のしが確実で、 包装を解かないと差出人が分からないという状態を避けられ、 あとで「これは誰から」と探し直す手間も要りません。 並んだ品のなかから自分の贈った物を探し直す手間も要らず、受け取った側があとで整理するときにも助かります。
内のしと外のしの違いを、詳しく見る現金や商品券を渡す場合
孫が働き始めた年などに現金を渡そうとして、 敬老の日に現金は味気ないのではないかと迷い、 封筒の前で手が止まることがあります。 自分で好きな物を選んでほしいという気持ちと、味気なさとがぶつかる場面です。
判断の軸は相手が現金を受け取りやすい立場かどうかで、 親から子へ渡すのとは向きが逆になるぶん、扱いが難しくなります。 目上へ現金を渡す形になるため、品物を選ぶときよりも気を遣うことになります。
| 渡し方 | 扱い |
|---|---|
| 孫から祖父母へ現金 | 味気なく受け取られがちで、品物のほうが向きます |
| 子から親へ現金 | 生活を助ける意味が出るため、相手が気にすることがあります |
| 商品券 | 金額が見える点は現金と同じで、使い道は選べます |
| 旅行や食事の費用 | 形が残らないため、いちばん受け取りやすくなります |
| 封筒に入れる | 紅白の蝶結びの祝儀袋を使い、表書きは「敬老の日」にします |
| お札 | 慶事なので新札が本来ですが、折り目の少ない札でも足ります |
現金をそのまま渡すより、費用を持つ形にするほうが受け取ってもらいやすく、断られることも少なくなります。食事に誘って支払いを引き受ける、旅行の宿代を出すといった形なら、金額が表に出ないまま同じことができますし、受け取る側も「使わせてもらった」という納得の仕方ができます。封筒に入れて渡すのは、相手のほうから現金を望んでいる場合に限っておくほうが無難です。
金額を決めるときに気にされるのが数字の縁起で、 四千円と九千円は「死」「苦」に音が通じるとして避けられており、 三千円か五千円に寄せておけば問題になりません。 品物の値段にまで数字の縁起を持ち込む必要はなく、これは現金や商品券を渡すときだけの話です。
新札を避けるのは弔事の作法なので、慶事にあたる敬老の日では、 むしろ新札を用意するのが本来の形になります。 とはいえ身内のあいだの行事なので、そこまで改まる必要はなく、 折り目の少ない札を選んで向きをそろえておけば十分に整います。 祝儀袋に入れる場合は、袋の表側と札の表側をそろえ、人物の描かれている面が上に来るように入れておけば整います。
現金の包み方とお札の向きを見る迷ったときの決め方
掛け紙の話は選択肢が多く、 正しい形が一つあるように思えて決めきれないという状態になりますが、 実際には失礼になる組み合わせのほうが少なくなっています。
決め方の順番を固定しておくと早く、 付けるか付けないか、付けるなら何と書くか、 配送か手渡しか、という三つを順に決めれば終わります。 この三つが決まれば、あとは店へ伝えるだけで用意してもらえますし、通販の画面でも同じ順に選んでいけば終わります。
| 迷い方 | 決め方 |
|---|---|
| 付けるか迷う | 実家なら不要、義実家や親戚なら付けます |
| 表書きで迷う | 「敬老の日」で足り、気になるなら「感謝」にします |
| 名前で迷う | 孫がいるなら、孫の名前を表に立てます |
| 内外で迷う | 配送は内のし、手渡しは外のしにします |
| 店で頼めるか | 「敬老の日で」と伝えれば用意されます |
| 書き損じた | 書き直します。修正した跡は残さないほうが整います |
失礼になるのは、結び切りを使うことと、薄墨で書くことの二つだけで、そのどちらも弔事や一度きりの慶事の作法にあたります。毎年めぐってくる敬老の日にこの二つを使うと、贈った側の意図とは逆の意味に読めてしまいます。逆に言えば、紅白の蝶結びに濃い黒で書いてあれば、表書きの言葉や名前の並べ方が多少ずれていても、受け取る側が気にすることはありません。
注文の画面で選択肢が多すぎて決められないときは、 紅白蝶結び・表書きは「敬老の日」・内のしを選んでおけば、 どの相手にも通る形になります。
そのうえで手紙を一枚入れておけば、 掛け紙が事務的に見えることもありませんし、 名前の並べ方まで気にしなくても、 誰から届いた品かは確実に伝わります。 掛け紙の形そのものより、そこに何が書いてあるかのほうが受け取った側の手元には長く残りますし、翌年に書くときの手がかりにもなります。
添えるメッセージの文例を見る敬老の日の掛け紙に正解が一つあるわけではなく、 実家へ送るならのしを付けずにカードだけという形でも十分に通りますし、 義理の親へ最初に贈る年だけ形を整えるという使い分けでも構いません。 表書きも「敬老の日」で足りますが、相手が年齢を気にするなら「感謝」に置き換えて差し支えありません。
どの相手でも変わらないのは、 紅白の蝶結びに濃い黒で書くという一点だけで、 結び切りと薄墨さえ使わなければ、名前の並べ方や内外のしの選び方が多少ずれても失礼にはなりません。 掛け紙を整えるより、短い手紙を一枚添えるほうが、受け取った側の手元には長く残ります。
よくある質問
敬老の日にのしは必要ですか?
必ずしも必要ではありません。実の親や祖父母へ贈るなら、のしを付けずにメッセージカードだけを添える形でも十分に通ります。義理の親や親戚へ贈るときや、配送で送るときは付けておくほうが形として整います。
水引はどれを選べばよいですか?
紅白の蝶結び(花結び)です。敬老の日は毎年めぐってくる行事なので、「二度と繰り返さないように」という意味を持つ結び切りは使いません。本数は5本で足ります。
表書きは何と書きますか?
「敬老の日」がもっとも一般的で、改まった形にするなら「祝敬老」も使われます。相手が年齢の話を気にするようであれば「感謝」や「御祝」にすると、老いを指した形になりません。
名前は誰の名前を書きますか?
孫がいるなら孫の名前を表に立てると、贈り物の名目が年齢から離れます。姓は省いて構いません。夫婦で贈るなら夫の姓名を中央に、妻の名だけを左へ添えます。
内のしと外のしはどちらにすべきですか?
配送なら内のし、手渡しなら外のしと覚えておけば足ります。内のしは包装紙の下に隠れるため輸送中に表書きが傷まず、外のしは渡したその場で名目と差出人が読めます。
薄墨で書いてもよいですか?
使いません。薄墨は弔事の作法なので、慶事の掛け紙に使うと意味が逆になります。濃い黒の筆ペンで書いてください。
敬老の日に現金を渡してもよいですか?
渡せますが、味気なく受け取られることがあります。食事に誘って支払いを引き受ける、旅行の費用を持つといった形にすると金額が表に出ず、受け取る側も納得しやすくなります。
金額で避けたほうがよい数字はありますか?
4千円と9千円は「死」「苦」に音が通じるとして避けられています。3千円か5千円に寄せておけば問題になりません。お札は、新札を避けるのが弔事の作法なので、慶事の敬老の日では新札でも構いませんし、折り目の少ない札を向きをそろえて入れれば十分です。
まとめ
- 水引は紅白の蝶結びを使い、結び切りは使いません
- 表書きは「敬老の日」で足り、気になるなら「感謝」にします
- 実の親や祖父母へなら、のしを付けなくても構いません
- 孫の名前を表に立てると、名目が年齢から離れます
- 配送は内のし、手渡しは外のしを選びます
- 薄墨は弔事の作法なので、濃い黒の筆ペンで書きます
- 現金より、費用を持つ形のほうが受け取ってもらえます
- 4千円と9千円は避け、3千円か5千円に寄せます
- お札は折り目の少ないものを選び、向きをそろえて入れます
参考情報
- 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx - 全国社会福祉協議会「令和8年『老人の日・老人週間』キャンペーンについて」
https://www.shakyo.or.jp/bunya/kourei/week/index.html
水引と表書きは、上記各社の案内に共通する形をまとめたものです。表書きの言い方や地域による呼び方の違いが残っている場合があります。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・ご家庭の慣習によって考え方が異なる場合があります。同じ家のなかで前に贈った例があるときは、そちらに合わせるほうが角が立ちません。