結論
お祝いに包む現金は新札をそろえ、 肖像画のある面を表に向けて、その肖像画が袋の上側にくるように入れます。 用意した祝儀袋は袱紗(ふくさ)に包んで持参し、受付に着いてから取り出して渡す形になります。
裸の現金や、文具店で売っている普通の封筒に入れて渡すことは避けますので、 袋のほうも金額に合わせて選んでください。 弔事はこれとちょうど逆で、新札を避けますし、袱紗の色や開く向きまで入れ替わります。
お札の準備
招待状の返信を投函したあとで、財布から抜いた一万円札に折り目や小さな汚れがあるのを見つけて、これをそのまま包んでよいものかどうかが気になり始めます。 札の状態だけでなく、包む枚数や避けたほうがよい金額まで一度に決めることになりますので、そこで手が止まってしまいます。
判断が分かれるのは、新札をそろえるという一点だけを守れば済むのか、枚数のほうにも決まりがあるのかという点になります。 偶数を避けるという考え方は「割り切れる=別れる」という連想から来ていますので、二万円を包もうとしたときにここで扱いが分かれます。
| 項目 | 慶事 |
|---|---|
| お札 | 折り目の無い新札をそろえて包みます |
| 理由 | 「この日を待っていた」という意味になります |
| 枚数 | 奇数が好まれ、1万・3万・5万円が選ばれます |
| 避ける金額 | 4と9のつく金額はここから外しておきます |
| 入手 | 銀行窓口(平日9〜15時)か両替機で用意します |
2万円は長く避けられてきた金額ですが、いまは包み方のほうで解決されています。1万円札1枚と5千円札2枚に分けて3枚にする方法が定着していますし、近年は2万円をそのまま包む方も増えていますので、どちらを選んでも間違いということにはなりません。
実際につまずくのは両替のほうで、窓口が開いているのは平日の9時から15時までですので、式の前日が土曜にあたっていると、その日はもう窓口が使えません。 駅前の支店まで足を運んでも入れるのは両替機の並んだ一角だけになりますし、同じことを考えた方が先に来ていれば、その後ろに並んで順番を待つことになります。 枚数をそろえたいときは窓口のほうが確実ですので、何枚必要なのかがはっきりしているのであれば、平日のうちに動いておいてください。
前日になって手元に折り目のついた札しか残っていないと分かることもありますが、そこで包むのをやめるわけにもいきませんので、傷みの少ない一枚を選んだうえで、金額と枚数のほうを先に整えてください。 窓口に間に合わなかったときの手立てはいくつかありますので、当日の朝に慌てて探し回るより、あらかじめ目を通しておくほうが落ち着きます。
新札が用意できないときの対処法を見るお札の入れ方
買ってきた祝儀袋から中袋を引き出したところで、札のどちら側を手前にして差し込むのかが分からなくなり、いったん入れては抜いてを繰り返すことになります。 表と裏のある紙を、同じく表と裏のある袋に入れる作業ですので、組み合わせが四通りあることに気づいた時点で手が止まります。
迷いが生まれるのは、袋の表とお札の表をそろえるところまでは思い出せても、肖像画を上にするのか下にするのかという上下が抜け落ちるためで、複数枚を入れるときには向きの不ぞろいも起こります。 中袋への書き入れも同じ場面でまとめて済ませることになりますので、金額をどちらの面に書くのかまで含めて、順番を先に決めておくほうが早く終わります。
祝儀袋へのお札の入れ方
| 項目 | 入れ方 |
|---|---|
| 向き | 中袋の表とお札の表(肖像画のある面)を合わせます |
| 上下 | 肖像画が袋の上側にくるように差し込みます |
| 複数枚のとき | すべて同じ向きにそろえてから入れます |
| 中袋の表 | 包んだ金額をこちらの面に書き入れます |
| 中袋の裏 | 住所と氏名をそろえて書き添えておきます |
| 金額の書き方 | 旧字体(金壱萬円・金参萬円)が正式な形です |
中袋の無い簡易な祝儀袋であれば、そのままお札を入れて構いません。ただし袋の裏面のほうに金額と住所・氏名を書いておいてください。受け取った側は、誰からいくら届いたのかが分からないままでは記録の残しようがありませんので、書き入れの有無で後日の手間が変わります。
披露宴の受付では、預かった袋を開けて金額を控える作業が当日のうちに行われますので、何も書かれていない中袋が一つ混じっているだけで、芳名帳と突き合わせる手間が生まれます。 名前と中身を照らし合わせる側の机を思い浮かべると、表に金額、裏に住所と氏名という並びに理由があることが分かります。
金額は壱・参・萬といった旧字体で書くのが正式とされていますが、筆ペンで書き慣れていない場合でも、中袋に刷られた枠の中へ丁寧に収めてあれば読み取ってもらえます。 何度も札を入れ直しているうちに折り目がついてしまうことがありますので、書き入れを先に済ませ、最後に札を差し込むという順番にしておくと無駄がありません。
袋の選び方
文具売り場の棚には、水引が刷られただけの薄い袋から、鶴の形に結んだ飾りの付いた厚手のものまで並んでいて、どれを手に取るかで数分立ち止まることになります。 値段の幅も広いため、袋そのものの価格と中に包む金額とがどう関わるのかが分からないまま、見た目で選んでしまいそうになります。
選ぶときの軸になるのは包む金額のほうで、袋の格を金額に合わせるという順で決めていけば、棚の前で迷う時間はずいぶん短くなります。 もう一つ水引の結び方という別の軸もあり、こちらは金額とは関係なく贈る用件のほうで決まりますので、二つを分けて考えてください。
| 包む金額 | 袋の格 |
|---|---|
| 3千〜5千円 | 水引が印刷された略式の袋を選びます |
| 1万〜2万円 | 水引が実物の一般的な袋がここに合います |
| 3万〜5万円 | やや豪華な、和紙の厚い袋がふさわしくなります |
| 10万円以上 | 飾りの大きな格の高い袋を用意します |
袋と金額の格は、そろえておくほうが収まります。5千円を飾りの大きな袋に入れると、開けたときに袋と中身の落差が出てしまいますし、逆に5万円を印刷だけの略式袋で包むと、金額のわりに軽く見えることになります。
金額より先に確かめておきたいのが水引の結び方で、結婚祝いは結び切り、出産・入学・新築・長寿は蝶結びと分かれています。 一度きりであってほしい祝いには結び切りを、何度あってもよい祝いには蝶結びを使うという分け方になりますので、同じお祝いという言葉でくくると取り違えます。
この選び分けは金額よりも優先され、結び方を間違えると包んだ額に関わらず意味そのものが変わってしまいますので、棚の前ではまず帯の表示を確かめてください。 売り場では蝶結びの袋のほうが数多く並んでいますので、結婚式へ持っていく一枚を探すときほど、飾りの形を一つずつ見ていく必要があります。
蝶結びと結び切りの違いを詳しく見る(図解あり)袱紗の使い方
祝儀袋を用意したあと、それをどうやって会場まで持っていくかという段になって、鞄にそのまま入れれば角が折れることに気づきます。 上着の内ポケットへ差し込めば折れはしませんが、取り出したときに袋が反っていたり、表書きの墨に手の跡が残っていたりします。
袱紗は祝儀袋を汚さない・折らないための布で、持参するあいだは包んでおき、渡す直前に取り出して使います。 迷いやすいのは色と包む向きのほうで、どちらも慶事と弔事とで分かれていますので、手元の一枚をそのまま両方に使えるとは限りません。
| 項目 | 慶事 | 弔事 |
|---|---|---|
| 色 | 赤・朱・エンジ・ピンクの暖色を選びます | 紺・グレー・深緑の寒色を使います |
| 包む向き | 右開きになるように包みます | 左開きになるように包みます |
| 兼用できる色 | 紫であれば慶事にも使えます | 紫は弔事にもそのまま使えます |
袱紗を1枚だけ用意するのであれば、紫を選んでおくと慶弔のどちらにも使えます。赤い袱紗は通夜の席には持っていけませんし、紺の袱紗を披露宴の受付で開くのも落ち着きません。二枚そろえるまでのあいだは、紫の一枚を鞄に入れておけば急な知らせにも間に合います。
同じ布を使っていても、たたみ終えたときに開き口が左右のどちらへきているかで意味が変わりますので、包んだあとに一度そこを確かめておいてください。 慶事の席で左開きに包んだ袱紗を開いてしまうと、受付に立っている方の目には弔事の形として映りますので、包み終えた時点の向きが効いてきます。
袱紗は渡す直前に開くものですので、会場に着いてから受付に呼ばれるまでのあいだ、鞄のどこへ入れたのかが分からなくなると慌てることになります。 上着の内側や鞄の外ポケットなど、片手で取り出せる場所へ入れておけば、順番が来てから袋を探して列を止めるということもありません。
渡し方
受付の机の前に立ってから、袱紗ごと差し出すのか、それとも中の袋だけを渡すのかで手が止まるということが起こります。 後ろには列ができていますし、記帳を先に済ませるのか袋を先に出すのかという順番まで、その場で考えることになります。
分かれ目は袱紗をどう扱うかという一点で、包みのまま渡すと相手に布を返す手間を作りますし、狭い机の上で広げ直せばそれだけ時間がかかります。 向きと手の使い方まで含めて受付に着く前に決めておけば、自分の番が回ってきたときに迷わずに済みます。
| 場面 | やること |
|---|---|
| 袱紗 | 取り出してから渡しますので、包みのままは渡しません |
| 台にする | 袱紗を畳んで台にし、その上に袋を載せて差し出します |
| 向き | 相手から見て正面になるよう、向きを回して渡します |
| 手 | 片手で済ませずに、両手を添えて差し出します |
| ことば | 「本日はおめでとうございます」と一言添えます |
結婚式では、新郎新婦に直接渡すのではなく受付で渡します。芳名帳に記帳を済ませてから袋を差し出すという順になりますので、机の前で袱紗を開き始めると手間取ります。並んでいるあいだに取り出しておけば、自分の番が来たところで滞りません。
実際に多いのは、鞄を肩に掛けたまま片手で袋を差し出してしまう形で、記帳のためにペンを持ち替えたところから手順が崩れていきます。 受付の机は荷物を置けるほど広くないことが多いため、紙袋やコートは足元へ下ろしてから鞄を開けるほうが、両手を使えて落ち着きます。
袱紗を畳んで台にする形には、渡す前に手のなかで一度整えるという動作が入りますので、慌ただしい受付でも自然に間が生まれます。 表書きの名前が相手のほうを向いているかどうかだけを最後に確かめて、両手を添えて差し出せば、それで形は整います。
弔事との違い
香典を包む場面が続くと、祝儀と同じ手順で用意してよいものかどうかが分からなくなり、引き出しから濃い筆ペンを出したところで手が止まります。 現金を袋に入れて持参するという流れは同じでも、細かいところがいくつも入れ替わっているためです。
入れ替わる理由は準備の意味づけにあり、慶事では前もって用意したことがそのまま良い意味になる一方で、弔事では同じ準備が別の意味に読まれます。 どこが逆になるのかを並べて覚えておけば、急な知らせを受けた晩でも手順を取り違えずに済みます。
| 項目 | 慶事 | 弔事 |
|---|---|---|
| お札 | 新札をそろえて包みます | 新札を避けて包みます |
| 肖像画 | 表に向けて、上側へ入れます | 裏向き・下にする地域もあります |
| 墨 | 濃墨で表書きを書きます | 通夜・葬儀では薄墨を使います |
| のし | のしの付いた袋を使います | のしの付かない袋を選びます |
| 袱紗 | 暖色の袱紗で右開きに包みます | 寒色の袱紗で左開きに包みます |
弔事で新札を避けるのは、「不幸を予期して用意していた」という印象を避けるためです。慶事の理屈をそのまま裏返した形になりますので、手元に新札しか残っていないときは、一度折り目を付けてから中に入れてください。
起こりやすいのは、祝儀のために銀行でそろえた新札が封筒に入ったまま引き出しに残っていて、通夜の知らせを受けた晩にそれを使ってしまうという場面です。 折り目の無い札がそのまま香典袋に入っていると、受け取った側にはこちらの準備の早さのほうが先に見えることになります。
新札しか手元に無いときは、そのまま差し込まずに一度折り目を付けておけば、それで形は整いますし、古い札を探して家じゅうの財布を開けて回る必要もありません。 墨の濃さも同じで、通夜や葬儀の表書きには薄墨を使いますので、慶事用の濃い筆ペンとは別に一本そろえておくと、当日に書き直す手間がなくなります。
現金の包み方に一つだけの正解があるわけではなく、いくら包むのか、 相手がどの祝いを迎えているのかによって、選ぶ袋も水引の結び方も変わってきます。 5千円であれば水引の刷られた略式の袋で十分に収まりますし、結婚祝いであれば 結び切りを選んでおけば、飾りの豪華さのほうで迷う必要はありません。
どの場面でも変わらないのは、誰からいくら届いたのかが受け取る側に分かる形にしておくことと、 袱紗から取り出して両手で差し出すことの二つだけです。 この二つさえ守っていれば、旧字体の書き方や札の上下をその場で思い出せなくても失礼にはなりません。 受付に立っている方にとっても、そのほうが記帳から集計までを滞りなく進められます。
よくある質問
お祝いの現金は新札を使いますか?
新札を使います。結婚式のように前もって日程が決まっているお祝いでは、新札を用意することで「この日を待っていました」という意味になります。弔事はこれと逆で、新札を避けます。
お札はどの向きで入れますか?
中袋の表とお札の表(肖像画のある面)を合わせ、肖像画が上にくるように入れます。複数枚なら向きを揃えます。中袋の表に金額、裏に住所と氏名を書きます。
中袋がない祝儀袋の場合は?
そのままお札を入れて構いません。ただし裏面に金額と住所・氏名を書いておきます。受け取った側が誰からいくらか分からないと、記録できないためです。
祝儀袋はどう選びますか?
包む金額と袋の格を合わせます。3千〜5千円なら水引が印刷された略式、1万〜2万円なら水引が実物のもの、3万〜5万円ならやや豪華なものです。5千円を豪華な袋に入れると開けたときに落差が出ます。
袱紗は必要ですか?
祝儀袋を汚さない・折らないためのもので、持参するときに包み、渡す直前に取り出します。慶事は赤・朱などの暖色で右開き、弔事は紺・グレーなどの寒色で左開きです。1枚だけ用意するなら、慶弔どちらにも使える紫が便利です。
袱紗ごと渡してよいですか?
取り出して渡します。袱紗を畳んで台にして、その上に祝儀袋を載せて差し出す形が丁寧です。相手から見て正面になる向きにし、両手で差し出します。
まとめ
- 慶事は新札をそろえて包みます
- 弔事では逆に新札を避けます
- 肖像画は表向き・上にして入れます
- 中袋の表に金額、裏に住所と氏名を書きます
- 中袋が無ければ袋の裏面に書き入れます
- 金額と袋の格を合わせて選びます
- 結婚は結び切り、その他は蝶結びにします
- 袱紗は慶事が右開き、弔事が左開きになります
- 袱紗から取り出して両手で差し出します
参考情報
- リンベル ギフトコンシェルジュ「贈り物のマナー」
https://www.ringbell.co.jp/giftconcierge/1939 - 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx
お札の向き、袱紗の色と開き方の慶弔差は、参照した情報源で共通しています。2万円の扱いには諸説あるため、両論を併記しています。
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・ご家庭の慣習によって異なります。判断に迷う場合は、ご親族や周囲の方にご確認ください。