結論
表書きとは、水引の上に書く「何のための贈り物か」を示す言葉です。
結婚は「寿」、出産は「御出産御祝」、 弔事は「御霊前」「御仏前」。 迷ったときは慶事なら「御祝」にしておけば大きく外れません。
表書きとは
のし紙やのし袋の水引の上、中央に書く言葉です。これを見れば、包みを開ける前に何の贈り物か分かります。
水引の下に書くのが贈り主の名前です。表書きと名前は上下で対になっています。
表書きだけでは決まりません
贈り物の意味は、表書き・水引の色・結び方・のしの有無の組み合わせで決まります。
たとえば「内祝」は結婚でも出産でも使いますが、結婚は結び切り、出産は蝶結びと結び方が変わります。表書きだけを合わせても、結び方が違えば意味が変わってしまいます。
慶事の表書き一覧
慶事の表書きは場面ごとに言葉が決まっています。 「御祝」で通る場面もありますが、 専用の言葉があるならそちらが自然です。
注意が要るのは言葉に含みがあるものです。 同じ祝いの言葉でも、 相手の立場によっては使えないものがあります。
お祝い
| 場面 | 表書き | 水引 |
|---|---|---|
| 結婚祝い | 寿/御結婚御祝 | 紅白・金銀の結び切り(10本) |
| 出産祝い | 御出産御祝/御出産祝 | 紅白の蝶結び |
| 入学祝い | 御入学御祝 | 紅白の蝶結び |
| 卒業祝い | 御卒業御祝 | 紅白の蝶結び |
| 就職祝い | 御就職御祝 | 紅白の蝶結び |
| 成人祝い | 御成人御祝 | 紅白の蝶結び |
| 新築祝い | 御新築御祝/祝御新築 | 紅白の蝶結び |
| 中古・マンション購入 | 御新居御祝/御祝 | 紅白の蝶結び |
| 引越し祝い | 御引越御祝/御餞別(目下へ) | 紅白の蝶結び |
| 長寿祝い | 祝御長寿/祝還暦など | 紅白・金銀の蝶結び |
| 開店・開業祝い | 御開店御祝/御開業御祝 | 紅白の蝶結び |
| お見舞い | 御見舞 | 紅白の結び切り。のしは付けない |
| 快気祝い | 快気祝/全快祝 | 紅白の結び切り。のしは付ける |
「御餞別」は目上の方には使いません。餞別には目下をねぎらう意味合いがあるためです。
お返し(内祝い)
| 場面 | 表書き | 名前 |
|---|---|---|
| 結婚内祝い | 内祝/寿 | 新姓、または両家の姓を並べる |
| 出産内祝い | 内祝/出産内祝 | 赤ちゃんの名前+読み仮名 |
| 新築内祝い | 新築内祝/内祝 | 世帯主の姓 |
| 快気祝い | 快気祝/全快祝 | 本人の姓または姓名 |
出産内祝いだけ赤ちゃんの名前を書きます。名前のお披露目を兼ねるためで、読み仮名も添えます。
弔事の表書き一覧
弔事ではのしを付けません。宗派と時期で表書きが変わります。
弔事の表書きが慶事より難しいのは、 宗教と時期の両方が関わるためです。 仏式・神式・キリスト教式で言葉が違い、 同じ仏式でも四十九日の前後で変わります。
| 場面 | 表書き |
|---|---|
| 仏式の通夜・葬儀(浄土真宗以外) | 御霊前 |
| 仏式・浄土真宗 | 御仏前 |
| 四十九日以降の法要(全宗派) | 御仏前 |
| 宗派が分からないとき | 御香典 |
| 神式 | 御玉串料・御榊料 |
| キリスト教式 | お花料 |
| お供え | 御供 |
| 香典返し | 志/満中陰志(主に関西) |
| 法事の引き出物 | 志/粗供養(主に関西) |
浄土真宗では亡くなるとすぐ仏になるという考え方のため、通夜・葬儀から「御仏前」を使います。宗派が分からない場合は「御香典」にすればどの仏式でも使えます。
お礼・季節の贈り物
お礼や季節の贈り物には、祝い事とは別の表書きを使います。 喜びを祝うものではないためです。
季節の贈り物は時期で名前が変わります。 同じ品でも、届く時期によって 書く言葉が違ってきます。
| 場面 | 表書き | 時期 |
|---|---|---|
| お礼全般 | 御礼/謝礼 | 随時 |
| お中元 | 御中元 | 7月上旬〜15日ごろ(地域差あり) |
| お歳暮 | 御歳暮 | 12月上旬〜20日ごろ |
| 時期を過ぎた夏の贈り物 | 暑中御見舞/残暑御見舞 | 立秋の前後で変わる |
| 手土産 | 粗品/御挨拶 | 随時 |
いずれも紅白の蝶結びです。繰り返してよい贈り物のためです。
4文字を避ける考え方
表書きを4文字にしないという考え方があります。4が「死」を連想させるためです。
「四」が「死」に通じるという語呂からきた考え方で、 祝い事の場面で意識されます。 守らなければ失礼というほどのものではありませんが、 気にする方がいるのも事実です。
| 4文字 | 避けた形 |
|---|---|
| 新築御祝 | 御新築御祝(5文字)/祝御新築(4文字だが「祝」始まり) |
| 出産御祝 | 御出産御祝(5文字) |
| 入学御祝 | 御入学御祝(5文字) |
絶対の決まりではありません。気にする方がいるという性質のものです。ただし避けるのに手間がかからないため、5文字にしておけば余計な心配をせずに済みます。
濃墨と薄墨の使い分け
表書きの墨には濃さの使い分けがあります。 慶事と弔事で変わります。
薄墨には由来があります。 涙で墨が薄まった、 急いで駆けつけて墨をすり切れなかった、という言い伝えです。
| 場面 | 墨 | 理由 |
|---|---|---|
| 慶事 | 濃墨 | はっきりと祝う気持ちを表します |
| 通夜・葬儀 | 薄墨 | 「涙で墨が薄まった」「急な知らせで墨をする間もなかった」を表します |
| 四十九日以降の法要 | 濃墨 | あらかじめ日程が決まっているためです |
薄墨を使うのは通夜・葬儀までです。四十九日以降は濃墨に戻ります。薄墨の筆ペンは文具店で購入できます。
書く位置と大きさ
表書きは書く位置と文字の大きさでも印象が変わります。 言葉が正しくても、配置が崩れると読みにくくなります。
崩れやすいのは名前とのつり合いです。 表書きより名前が大きいと、 どちらが主か分からなくなります。
- 位置は水引の上、中央
- 名前は水引の下、中央。表書きよりやや小さく書く
- 筆記具は毛筆または筆ペン。慣れなければサインペンでも可
- ボールペン・万年筆は避ける(略式すぎるとされます)
- 市販ののし袋には短冊が付属していることが多く、そこに書けば失敗しても差し替えられます
よくある質問
表書きとは何ですか?
のし紙やのし袋の水引の上、中央に書く言葉です。何のための贈り物かを示します。水引の下には贈り主の名前を書き、表書きと名前が上下で対になっています。
迷ったときはどう書けばよいですか?
慶事なら「御祝」にしておけば大きく外れません。弔事で宗派が分からない場合は「御香典」にすれば、どの仏式でも使えます。ただし表書きだけでなく、水引の結び方も場面に合わせる必要があります。
なぜ4文字を避けるのですか?
4が「死」を連想させるためです。「新築御祝」を「御新築御祝」の5文字にするのが代表的な例です。絶対の決まりではなく気にする方がいるという性質のものですが、避けるのに手間がかからないため5文字にしておくと安心です。
薄墨はいつ使いますか?
通夜・葬儀までです。「涙で墨が薄まった」「急な知らせで墨をする間もなかった」という気持ちを表します。四十九日以降の法要は、あらかじめ日程が決まっているため濃墨に戻します。
「内祝」は結婚でも出産でも同じですか?
表書きは同じ「内祝」ですが、水引の結び方が変わります。結婚内祝いは結び切り、出産内祝いは蝶結びです。また出産内祝いでは名前に赤ちゃんの名前を書き、読み仮名を添えます。
ボールペンで書いてもよいですか?
避けます。毛筆または筆ペンで書くのが基本です。筆に慣れていない場合はサインペンでも構いませんが、ボールペンや万年筆は略式すぎるとされています。市販の短冊に書けば、失敗しても差し替えられます。
まとめ
- 表書きは水引の上に書く「何の贈り物か」
- 結婚は寿、出産は御出産御祝、弔事は御霊前・御仏前
- 迷ったら慶事は「御祝」、宗派不明の弔事は「御香典」
- 「御餞別」は目上に使わない
- 「内祝」は結婚と出産で結び方が逆(結び切り/蝶結び)
- 4文字を避け5文字にする考え方がある
- 薄墨は通夜・葬儀まで。四十九日以降は濃墨
- ボールペン・万年筆は避ける
参考情報
- シャディ ギフトモール「のし(熨斗)とは何なのか?気になるのしの使い方」
https://shaddy.jp/manner/wrapping/decoration/ - リンベル ギフトコンシェルジュ「のし紙と掛け紙の違い、押さえておきたいマナーについて解説」
https://www.ringbell.co.jp/giftconcierge/7665 - 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー|それぞれの違いやシーン別の選び方・表書きを解説」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - 高島屋「進物の基礎知識 掛紙とのし紙|タカシマヤのご贈答マナー」
https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html
表書きの使い分け、薄墨を通夜・葬儀に用いる点、ボールペンを避ける点は、参照した情報源で一致しています。4文字を避ける考え方についても、複数の情報源が「そうした考えもある」という形で紹介しています。
本記事で紹介している作法は一般的な目安です。表書きや水引の扱いは、地域・宗派・ご家庭の慣習によって異なる場合があります。判断に迷う場合は、ご親族や購入先の売り場にご確認ください。