結論
上司へ個人で贈るなら5千円から1万円、同僚や後輩へなら3千円から5千円、 部署の有志でまとめるなら合計1万円から3万円あたりが目安になりますが、 職場に前例があるならその額に合わせておくほうが、あとから続く人も迷わずに済みます。
ただし昇進祝いは相手が目上である場面がほとんどですので、 現金や商品券のように金額がそのまま見える形は避け、 品物か、有志でまとめた一つの贈り物に寄せるほうが収まりがよくなります。
昇進・昇格・栄転・就任の違い
辞令が回ってきて何かお祝いをしようと考えたとき、最初に引っかかるのが呼び名のほうで、 同じ人事の知らせでも昇進・昇格・栄転・就任と書き方が違いますし、 のし袋の表書きをどれにすればいいのかがそこで決まってきます。
四つの言葉は重なる部分がありながら指しているものが別で、 役職が上がったのか、社内の等級が上がったのか、勤務地ごと動くのかという三点で分かれますから、 辞令の文面をもう一度読んで、どれにあたるのかを先に決めておくと迷いが減ります。
| 言葉 | 指しているもの |
|---|---|
| 昇進 | 係長から課長へというように、役職そのものが上がることを指します |
| 昇格 | 役職は変わらないまま、社内の等級や資格が上がることを指します |
| 栄転 | より重い役目を負って別の部署や勤務地へ移ることを指します |
| 就任 | 役員や代表など、特定の職に就いたことを指します |
| 昇進と昇格が同時に動く | 役職の変化を表に立て、昇進として扱います |
| 4つに共通すること | いずれも紅白の蝶結びを使い、上段の言葉だけを変えます |
四つの言葉を厳密に使い分けなければならない場面は、実際にはのし袋の上段だけです。口頭で祝うときに昇格と昇進を言い違えても差し支えありませんが、書いた文字は袋が残っているあいだずっと目に入りますし、あとから直すこともできません。辞令に役職名が出ていれば昇進、等級だけが動いていれば昇格、勤務地が変わっていれば栄転と読み取れますので、書く前に文面をもう一度見てください(最終確認:2026年8月)。
実務でいちばん多いのは昇進と昇格が同時に動く形で、 課長に上がると同時に等級も一つ上がるという辞令が出ますから、 そのときは役職の変化のほうを表に立てて「御昇進御祝」としておけば外れません。
判断が難しいのは栄転で、本社から支社へ移る辞令が栄転なのかそうでないのかは、 社内の事情を知らない立場からは読み取れないことがありますから、 本人が栄転と言っていない段階で「御栄転御祝」と書いてしまうのはいちばん避けたいところです。 迷ったときは、どの場面でも使える「御祝」にしておけば角が立ちません。
誰が誰に贈るのか
昇進祝いは全員が贈るものではなく、実際に用意しているのは ごく近い部署の有志と、家族・親族あたりに限られますから、 辞令が出たからといって職場の全員が何かを持ち寄る必要はありません。
判断の軸になるのはその人と日ごろどれだけ近くで仕事をしているかという一点で、 同じ課で毎日顔を合わせている相手ならまとめて贈る理由がありますし、 名前だけ知っている他部署の方であれば、廊下で会ったときのひと言で足ります。
| 贈る側 | 一般的な形 |
|---|---|
| 同じ部署の部下・後輩 | 有志でまとめて一つの品を贈る形がいちばん多く見られます |
| 同僚・同期 | 個人で軽い品を渡すか、食事に誘って祝う形が自然です |
| 取引先の担当者 | 会社として贈るかどうかを、上長に確かめてから動きます |
| 親・親族 | 身内のお祝いとして、まとまった額を包むことがあります |
| 他部署・面識が浅い相手 | 会ったときに口頭で伝えるだけで十分に足ります |
| 上司から部下へ | 贈り物より、食事に誘って労をねぎらう形が多く見られます |
贈る人の範囲は、金額よりも先に決まっていることのほうが多いところです。職場では前の年に誰が誰へ贈ったかという実績が残っていますので、そこから外れた動き方をすると、贈った側にも贈られなかった側にも説明が要ることになります。まず前例を尋ね、無ければ「いま同じ部屋で働いている人まで」と線を引くのが、いちばん揉めにくい決め方にあたります(最終確認:2026年8月)。
職場で有志を集める段になると、どこまで声をかけるかで必ず一度手が止まります。 同じ課だけにするか、隣の課まで広げるか、以前その方の下にいた人まで含めるかで、 集まる金額も、あとで名前を書き並べるときの体裁も変わってくるからです。
迷ったときはいま同じ部屋で働いている人までと線を引いておくと、 声をかけられなかった人が気を悪くする事態を避けやすくなりますし、 集金の手間も一往復で済みます。 広げれば広げるほど、参加していない人が浮いて見えることになります。
関係別の金額の目安
金額を調べ始めると、同じ「上司へ」という条件でも3千円から3万円まで数字が並んでいて、 どれを取ればよいのか決められないまま画面を閉じることになりますが、 これは幅の広さそのものが実情を映しているためです。
それでも並び方には規則があって、個人で渡すか有志でまとめるかという一点でまず二つに分かれ、 そこから相手が身内かどうかで上下しますので、 自分がどちらの立場で贈るのかを決めれば候補は一気に絞れます。
| 贈る相手 | 金額の目安 |
|---|---|
| 上司へ・個人で | 5千円から1万円あたりに収めるのが一般的です |
| 上司へ・部署の有志で | 合計1万円から3万円を人数で割る形が多く見られます |
| 同僚・後輩へ | 3千円から5千円ほどの軽い品に収めます |
| 取引先の担当者へ | 1万円から3万円を、会社の名前で贈ります |
| 親から子へ | 3万円前後を包む例が多く見られます |
| 親族から | 1万円前後が一つの目安になります |
昇進祝いの金額に公的な統計はなく、上の幅はギフト各社の解説に共通する目安をまとめたものです。幅の広さそのものが実情を映していて、同じ「上司へ」でも部署の人数や前例によって一人あたりの負担はまるで違いますし、有志でまとめるか個人で渡すかによっても一桁変わります。金額より先に、職場で前に贈った例があるかどうかを確かめてください。前例に合わせておけば、あとから続く人も金額に迷わずに済みます(最終確認:2026年8月)。
有志でまとめるときに実際に困るのは合計額ではなく一人あたりの端数のほうで、 1万5千円の品を7人で割ると2,143円という数字が出てきますし、 集める側も出す側もこの端数のやり取りで手間を取られます。
あらかじめ一人1,000円、もしくは一人2,000円と決めてから品物を探す順にすると、 この手間が丸ごと消えます。 集まった額に合う品を選ぶほうが、先に品を決めて頭数で割るより早く片づきますし、 参加する側も出す額が先に分かっているほうが答えやすくなります。
現金と品物のどちらにするか
入学祝いや結婚祝いのように現金を包む場面に慣れていると、 昇進祝いでも同じようにのし袋を用意しようとしてしまいますが、 この贈り物にかぎっては現金がいちばん扱いにくい形になります。
引っかかるのは相手のほとんどが自分より上の立場にいるという点で、 入学祝いや出産祝いのように下へ向けて贈る場面とは、同じ現金でも意味の届き方が変わりますし、 渡したあとで気まずさだけが残るということも起こります。
| 形 | 向き不向き |
|---|---|
| 品物 | 相手が目上でも角が立たず、いちばん選びやすい形です |
| 有志でまとめた一品 | 一人あたりの負担を抑えたうえで、見栄えも整います |
| 現金 | 目上へは避け、親から子へなど身内に限って使います |
| 商品券・ギフト券 | 現金と同じ扱いになるため、目上へは向きません |
| 食事に招く | 品物を選ばずに済み、話す時間そのものが贈り物になります |
| カタログギフト | 相手の好みが読めないときの逃げ道として使えます |
目上の方へ現金や商品券を贈るのが避けられるのは、金額がそのまま見えてしまうためです。贈る側に他意がなくても、受け取る側からは値踏みされたようにも、生活を心配されたようにも読めてしまいます。昇進祝いは相手が目上である場面がほとんどですので、この制約がいちばん強く効く贈り物にあたります。有志でまとめて品物を選ぶ形にすれば、一人あたりの負担を抑えたうえでこの問題も避けられます。(最終確認:2026年8月)
とはいえ親から子へ、あるいは親族からという場面では話が変わってきて、 課長になった息子に何を選べばいいのか見当がつかないまま品物を探すより、 まとまった額を包んで本人に選ばせるほうが実際に役立ちます。
身内のあいだで現金が使えるのは、金額が見えても関係が揺れないからで、 同じ3万円でも職場の上司に手渡せば別の意味を帯びてしまいます。 同じ贈り物でも、渡す相手との距離によってふさわしい形が入れ替わります。
贈らないという選択
辞令を見た瞬間に何かしなければと考えてしまいますが、 昇進祝いは贈らなくても失礼にあたらない贈り物で、 結婚や出産のように贈らないこと自体が目立つ場面とはそこが違います。
むしろ気をつけたいのは本人が望んで上がったとは限らないという点で、 辞令を受けた側が重荷に感じている場面で華やかに祝われると、 喜べない自分のほうがおかしいのだろうかと気を遣わせることになります。
| 場面 | 取りたい形 |
|---|---|
| 本人が喜んでいる | 有志でまとめて贈り、ひと言添えれば十分に伝わります |
| 本人が重く受け止めている | 品物より、労をねぎらう言葉のほうが届きます |
| 職場に贈る慣習が無い | 前例に合わせ、無理に始めないほうが収まります |
| 同時に何人も昇進した | 一人だけ贈ると差が出るため、全員に揃えます |
| 自分だけが贈ろうとしている | まず周りに前例を尋ね、浮かないかを確かめます |
| 取引先の担当者 | 会社として動くべき場面か、上長に確かめてから決めます |
昇進を望んでいる人ばかりではない、という前提で言葉を選んでください。パーソルキャリアが正社員15,000名に尋ねた doda の調査では、非管理職のうち「出世したくない」と「どちらかといえば出世したくない」の合計が58.5パーセントで、「出世したい」側の32.9パーセントを大きく上回りました。年代別に見ると20代は出世したい46.3パーセントに対し出世したくない47.9パーセントとほぼ並び、50代では出世したくない側が67.5パーセントに達します(最終確認:2026年8月)。
同じ辞令で複数の人が同時に上がることも珍しくありませんし、 そのうちの一人だけに贈り物が集まると、贈られなかった側にはっきりと差が見えてしまいます。 人望の差として職場に残ってしまうと、あとから取り返しがつきません。
このときは全員に同じものを揃えるか、誰にも贈らないかのどちらかに寄せてください。 金額を下げてでも人数分そろえるほうが、一人に手厚く贈るより職場は落ち着きますし、 受け取る側も気兼ねなく喜べます。
何を贈ればよいかを見る昇進祝いに決まった正解があるわけではなく、 その職場に前例があるかどうかと、相手がその知らせをどう受け止めているかを見て、 いちばん静かに済む形を選べばそれで足ります。 有志でまとめられる職場ならその形がいちばん軽く済みますし、 贈る慣習が無い職場であれば、無理に始めないほうが誰にとっても楽です。
どの相手でも変わらないのは、目上に現金を渡さないことと、 金額より先に前例を確かめることの二つだけで、 この二つさえ押さえていれば細かい作法を思い出せなくても失礼にはなりません。 あとから同じ立場に立つ人にとっても、そのほうが判断しやすくなります。
のしと表書きの書き方を見るよくある質問
昇進祝いはいくら包めばいいですか?
上司へ個人で贈るなら5千円から1万円、同僚や後輩へなら3千円から5千円、部署の有志でまとめるなら合計1万円から3万円が目安です。ただし公的な統計は無く、職場に前例があればその額に合わせるほうが確実です。
上司に現金を渡してもいいですか?
避けてください。金額がそのまま見えてしまうため、値踏みや心配として受け取られる余地が残ります。品物か、有志でまとめた一つの贈り物に寄せるほうが収まります。
商品券やギフト券なら大丈夫ですか?
商品券も金額が分かるため、現金と同じ扱いになります。目上の方へは向きません。
昇進と昇格と栄転はどう違いますか?
昇進は役職が上がること、昇格は社内の等級が上がること、栄転はより重い役目を負って別の部署や勤務地へ移ることを指します。表書きはこの言葉に合わせて変えます。
栄転かどうか分からないときは?
本人が栄転と言っていない段階で「御栄転御祝」と書くのは避けてください。どの場面でも使える「御祝」にしておけば角が立ちません。
贈らなくても失礼になりませんか?
なりません。昇進祝いは贈らないこと自体が目立つ贈り物ではありませんし、職場に慣習が無ければ無理に始めないほうが収まります。
同時に何人も昇進したときは?
全員に同じものを揃えるか、誰にも贈らないかのどちらかにしてください。一人だけに集まると、贈られなかった側に差が見えてしまいます。
まとめ
- 上司へ個人なら5千円〜1万円、有志なら1万円〜3万円に収めます
- 目上の方へは現金と商品券を避け、品物にします
- 金額より先に、職場の前例を確かめます
- 同時に何人も上がったときは、全員に揃えます
参考情報
- パーソルキャリア 転職サービス「doda」「出世に関する意識調査」(20〜59歳の正社員15,000名/2025年8月1日〜8日・インターネット調査/2025年12月22日発表)
https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2025/20251222_2047/ - 東京商工会議所「2025年度 新入社員意識調査」集計結果(2025年4月21日発表)
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1205797 - オフィスギフト「【昇進祝い・就任祝い】金額の相場はいくら?マナーやギフトなどもご紹介」
https://www.officegift.jp/manner/promotion/cb_market.html
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。会社・業種・地域によって慣習が大きく異なります。職場に前例がある場合は、そちらに合わせるほうが角が立ちません。迷ったときは、前に同じ立場で贈った方に確かめてください。