結論
自宅の仏壇には、おはぎ(ぼたもち)・季節の花・日持ちする菓子・果物を供えます。 すべてそろえる必要はなく、花と菓子だけでも構いません。
よそのお宅へ持参する場合の目安は3,000〜5,000円、 掛け紙の表書きは「御供」です。
何を供えるか
お彼岸のお供えには、決められた品目がありません。 そのため「何を買えばいいのか」で店の前で立ち止まることになります。
選ぶときの軸は「7日間置いても傷まないか」です。 お彼岸は1日で終わらないため、生ものや溶けやすいものは向きません。 仏教では香・花・灯明・浄水・飲食(おんじき)を供える考え方があり、 現在も花と菓子が中心になっているのは、この流れによります。
| 供えるもの | 選び方 |
|---|---|
| おはぎ・ぼたもち | お彼岸の定番。当日か前日に用意します |
| 花 | 菊・りんどう・小菊など日持ちするもの |
| 日持ちする菓子 | 個包装の焼き菓子、干菓子、せんべい |
| 果物 | りんご、梨、ぶどうなど。切らずにそのまま |
| 故人の好物 | 日持ちすれば何でも構いません |
| 避けたいもの | 生菓子、アイス、切った果物。傷みやすいもの |
肉・魚を避ける考え方は残っていますが、家庭による差が大きい部分です。殺生を連想させるため供えない、という理由によるものです。一方で「故人が好きだったから」と供える家庭もあります。よそのお宅へ持参する場合は避けたほうが無難ですが、自宅の仏壇であれば、ご家庭の考え方で決めて差し支えありません。
おはぎとぼたもちの違い
店頭で「おはぎ」と「ぼたもち」が並んでいると、どちらを買うべきか分からなくなります。 春と秋で呼び方が違うことを知らないまま、なんとなく選んでいる方が多い品です。
両者は基本的に同じ食べ物です。 季節の花にちなんで呼び分けているだけで、春は牡丹(ぼたん)からぼたもち、 秋は萩(はぎ)からおはぎと呼びます。 あんこの粒あん・こしあんで分ける説もありますが、 現在は地域や店によってばらばらで、統一されていません。
| ぼたもち | おはぎ | |
|---|---|---|
| 時期 | 春のお彼岸 | 秋のお彼岸 |
| 語源 | 牡丹(ぼたん) | 萩(はぎ) |
| 形 | やや大きく丸い、とされることが多い | やや小ぶり、とされることが多い |
| 中身 | 同じもの。あんの種類での区別は統一されていません | |
2026年秋に供えるなら「おはぎ」です。ただし店頭で年間を通じて「おはぎ」の名で売られていることも多く、名前で買い分けられないこともあります。その場合はそのまま買って構いません。呼び方の違いで供養の意味が変わるものではありません。なお、お彼岸に小豆を使うのは、赤い色に邪気を払う力があると考えられてきたことによります。
いつ供えて、いつ下げるか
お彼岸は7日間あるため、初日に供えたものをずっと置いておくのか、 毎日入れ替えるのかで判断に迷います。
基本は彼岸入りの日に供え、彼岸明けに下げる形です。 ただし食べ物は傷みます。 傷む前に下げて、家族でいただくのが実際の扱いになります。 供えたものを食べることは失礼にはあたらず、 むしろ「お下がりをいただく」という考え方があります。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 供える日 | 彼岸入りの日が基本。都合のよい日でも構いません |
| おはぎ | その日のうちに下げていただきます |
| 花 | 彼岸明けまで。枯れたら早めに替えます |
| 菓子・果物 | 彼岸明けに下げます。傷む前なら早めても構いません |
| 下げたもの | 家族でいただきます。捨てる必要はありません |
| お墓に供えたもの | 必ず持ち帰ります。置いて帰らないでください |
お墓に供えた食べ物だけは、その場で下げて持ち帰ります。置いて帰ると鳥や動物に荒らされ、隣の区画にも迷惑がかかるためです。多くの霊園が持ち帰りを求めています。手を合わせている間だけ供え、帰りに回収する形で構いません。
よそのお宅へ持参する場合
自宅の仏壇に供えるのと、実家や親戚のお宅へ持っていくのとでは、 用意するものの性格が変わります。 金額の目安が必要になるのは後者です。
持参する場合は3,000〜5,000円が目安になります。 日持ちして分けやすいものを選ぶと、先方の負担になりません。 故人に生前お世話になった方や、初彼岸にあたる場合は 5,000〜10,000円にすることもあります。
| 状況 | 金額の目安 |
|---|---|
| 実家・親戚へ | 3,000〜5,000円 |
| 初彼岸のお宅へ | 5,000〜10,000円 |
| 友人・知人のお宅へ | 3,000円程度 |
| 彼岸会の法要に招かれた | お供えに加えて御仏前を包みます |
| 手土産と兼ねてよいか | 分けたほうが分かりやすい(下記) |
手土産とお供えは、分けて用意すると誤解が起きません。手土産は先方のご家族へ、お供えは仏壇へ向けたものだからです。掛け紙の有無で区別がつくため、渡すときに説明しなくても伝わります。予算を分ける必要はなく、菓子折を2つに分けるだけでも構いません。ひとつにまとめる場合は、渡すときに「仏壇にお供えください」と添えてください。
掛け紙と表書き
持参するお供えには掛け紙をかけます。 売り場で「のしはどうされますか」と聞かれて答えられず、 そのまま「なし」にしてしまう場面が起きやすいところです。
仏事なので「のし」は付きません。 のし(熨斗)は慶事の印だからです。 水引だけが印刷された掛け紙を使います。 売り場では「掛け紙で、御供でお願いします」と伝えれば通じます。
| 項目 | お彼岸の場合 |
|---|---|
| 表書き | 御供(ごくう/おそなえ) |
| 水引 | 黒白または双銀の結び切り。関西では黄白も |
| 名前 | 水引の下に自分の姓(またはフルネーム) |
| 墨の色 | 濃墨。薄墨は通夜・葬儀のみです |
| 内のし・外のし | 手渡しなら外のし、配送なら内のし |
| 御仏前との使い分け | 品物は御供、現金は御仏前 |
薄墨を使わないのは、お彼岸が突然の弔事ではないためです。薄墨は「涙で墨が薄まった」「急いで駆けつけた」ことを表す書き方で、通夜・葬儀の場に限られます。四十九日以降の法要やお彼岸では濃墨を使います。四十九日前かどうかで「御霊前/御仏前」を使い分ける考え方もありますが、お彼岸は忌明け後にあたるため、通常は御仏前で差し支えありません。
現金を包む・郵送する
品物ではなく現金にしたい、あるいは行けないので送りたい、という場面があります。 どちらも作法が少し変わります。
現金の場合、表書きは「御仏前」にします。 金額は品物と同じく3,000〜5,000円が目安です。 郵送する場合、現金は普通郵便や宅配便では送れません。 現金書留に限られます。
| 場面 | 対応 |
|---|---|
| 現金を包む | 表書きは御仏前、濃墨で書きます |
| 現金を送る | 現金書留のみ。不祝儀袋ごと封入します |
| 品物を送る | 彼岸入りの前日までに届くよう手配します |
| 新札を使うか | どちらでも構いません。お彼岸は予定された行事です |
| 手紙を添える | 送る場合は必ず添えます。品物だけだと用件が伝わりません |
| 届いた側のお返し | 原則不要。電話やはがきでお礼を伝えれば足ります |
香典と違い、お彼岸のお供えに新札を避ける必要はありません。新札を避けるのは「不幸を予期して用意していた」と受け取られないためで、通夜・葬儀の作法です。お彼岸は日程が決まっている行事なので、用意していて当然のものにあたります。いただいた側のお返しも原則不要で、その場でお茶菓子を出す、後日電話でお礼を伝える、といった形で十分です。
よくある質問
お彼岸のお供えは何がいいですか?
おはぎ(ぼたもち)・季節の花・日持ちする個包装の菓子・果物が定番です。7日間置くことを前提に、生菓子やアイスなど傷みやすいものは避けます。すべてそろえる必要はなく、花と菓子だけでも構いません。
おはぎとぼたもちの違いは何ですか?
基本的に同じ食べ物で、季節の花にちなんだ呼び分けです。春の彼岸は牡丹から「ぼたもち」、秋の彼岸は萩から「おはぎ」と呼びます。あんの種類で分ける説もありますが、地域や店によってばらばらで統一されていません。
お彼岸のお供えはいくらが目安ですか?
よそのお宅へ持参する場合は3,000〜5,000円が目安です。故人に生前お世話になった方や、初彼岸にあたる場合は5,000〜10,000円にすることもあります。自宅の仏壇に供える分に金額の目安はありません。
お供えの表書きは何と書きますか?
品物なら「御供」、現金なら「御仏前」です。仏事なので「のし」は付かず、水引だけが印刷された掛け紙を使います。墨は濃墨で書きます。薄墨は通夜・葬儀に限られます。
供えたものはいつ下げますか?
おはぎはその日のうちに、菓子や果物は彼岸明けに下げます。傷む前であればもっと早くても構いません。下げたものは家族でいただきます。お墓に供えた食べ物は、その日のうちに必ず持ち帰ってください。
手土産とお供えは分けるべきですか?
分けたほうが誤解が起きません。手土産は先方のご家族へ、お供えは仏壇へ向けたものだからです。掛け紙の有無で区別がつきます。ひとつにまとめる場合は、渡すときに「仏壇にお供えください」と添えてください。
お供えをいただいたらお返しは必要ですか?
原則不要です。その場でお茶菓子を出す、後日電話やはがきでお礼を伝える、といった形で足ります。法要に招いていて引出物を用意している場合は、それがお返しにあたります。
まとめ
- 定番はおはぎ・花・日持ちする菓子・果物
- 選ぶ軸は7日間置いても傷まないか
- 春はぼたもち、秋はおはぎ(同じもの)
- よそへ持参するなら3,000〜5,000円
- 表書きは品物が御供、現金が御仏前
- 墨は濃墨。薄墨は通夜・葬儀のみ
- 新札を避ける必要はありません
- お墓に供えた食べ物は必ず持ち帰ります
参考情報
- 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx - 国立天文台暦計算室「令和8年(2026)暦要項 二十四節気および雑節」
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/yoko/2026/rekiyou262.html
掛け紙・表書きの扱いは参照した情報源で共通しています。金額は複数の情報源で挙げられている範囲をまとめたもので、公的な基準があるわけではありません。おはぎとぼたもちの呼び分けは地域差が大きく、あんの種類による区別は統一されていません。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している作法や金額は一般的な目安です。お彼岸の過ごし方は地域・宗派・ご家庭による差がとくに大きく、決まった正解があるものではありません。菩提寺や霊園の規則がある場合は、そちらを優先してください。