結論

いちばんの定番は菓子折りで、 年始の訪問ではそのまま茶菓として出されることがありますから、 その場で開けて分けられる形のものを選んでおくと、 受け取った側は玄関先で受け取ったその足で卓に並べられますし、 器や包丁をわざわざ用意してもらう必要もありません。

お歳暮のように配送するのではなく自分の手で運びますので、 重さとかさばりがそのまま品選びの判断材料になりますし、 年末年始は相手の冷蔵庫が正月用の食材で埋まっているため、 要冷蔵のものを持参すると置き場所のほうで困らせてしまいます。

定番の品物

年始の挨拶に伺うことが決まって、さて何を持っていこうかと売り場を歩いてみると、 正月らしい飾りの付いた箱がいくつも並んでいて、かえって決めきれなくなります。 相手の家の顔ぶれも、何が好きなのかも、はっきりとは分からないまま選ぶことになるためです。

迷ったときの手がかりになるのは、その場で出せるものかどうかという一点で、 年始の訪問ではいただいた品がそのまま茶菓として出されることがありますし、 玄関先で渡してすぐに座敷へ通されるような間柄であれば、なおのことその形になります。

品物向いている理由
菓子折りその場で開けて出せますので、もっとも定番の品になります
地元の銘菓話の種になりますし、帰省先の駅や百貨店でも買えます
コーヒー・紅茶日持ちしますし、戸棚の隅に置いても場所を取りません
佃煮・海苔正月の食卓にそのまま並べて使ってもらえます
果物来客の多い家に向きますが、重さには気をつけます
酒類飲むと分かっている相手にだけ選ぶようにします
タオル・日用品好みが分かれにくく、使い道にも困りません

この中でもっとも扱いやすいのは、一つずつ包まれた個包装の菓子になります。正月は入れ替わりで来客のある家が多く、大きな箱菓子を切り分けるとなると器も要りますが、個包装であれば重箱の脇に幾つか出すだけで済みますし、その日に食べきれなかったぶんも戸棚にそのまま戻せます。

同じ菓子折りでも、切り分けが要る羊羹や大きなカステラのようなものは、 出す前に包丁と皿を用意してもらうことになりますので、 来客の続く時期には小分けの焼き菓子や最中のほうが受け取る側の手が空きます。 箱を開けた瞬間にそのまま卓へ回せる形かどうかを、売り場で一度思い浮かべてみてください。

相手の家に子どもがいるのか、高齢の方が同居しているのかが分かっているのであれば、 そこに合わせて選ぶほうが、正月らしい体裁を整えるより喜ばれます。 硬い煎餅や大ぶりの果物は、食べる人が限られてしまうことがありますので、 顔ぶれが読めないときは、口当たりの軽い菓子のほうに寄せておくと外しません。

選ぶときの視点

候補がいくつかまで絞れたあと、最後の一つを決めるところでまた手が止まります。 どれも悪くはないように見えるものの、決め手になる物差しが自分の中に無いためで、 結局は箱の見た目や値札の並びで選んでしまうことになりがちです。

お年賀の品を比べるときは、次の4点を順に当てはめていくと決まります。 いずれも相手の好みではなく運ぶ側と受け取る側の手間を見る物差しで、 好みが分からない相手でも、この4点だけなら外から判断がつくためです。

視点確認すること
1. 持ち運べるか電車や車で運びますので、重いものと大きいものは負担になります
2. 保存できるか年末年始は冷蔵庫が埋まっていますので、常温のものを選びます
3. 分けられるか正月は来客が多いため、個包装になっていると助かります
4. 日持ちするか来客が続くあいだはすぐに食べきれませんので、日持ちを見ます

この4つのうち、お年賀にだけ特有といえるのは、1つ目の持ち運べるかという視点になります。お歳暮は配送してしまうため重さを気にせずに選べますが、お年賀は自分の足で運びますので、着替えや土産の入った帰省の荷物に加えて、その箱まで持てるのかという話になります。片手に風呂敷包み、もう片方に旅行鞄という格好で改札を抜けられるかどうかを、買う前に思い浮かべてみてください。

2つ目の保存という視点でいちばん引っかかるのが生ものの扱いで、ここは避けておくほうが安全です。 年末年始の冷蔵庫は、煮しめや数の子、切り分ける前のかまぼこといった正月用の食材で すでに埋まっていることが多く、要冷蔵の品を持参すると、 受け取った側は他のものを出してでも場所を空けなければならなくなります。

常温で置いておける品にしておけば、相手は箱のまま棚の上に置いておけますし、 来客の合間に思い出したときに開ければ足りますので、 渡した側も置き場所を気にせずに済みます。 風呂敷や紙袋のまま玄関先で渡すことになる場面でも、常温の品であれば相手を急かしません。

正月ならではの選択

同じ手土産でも、年始に持っていくものは正月という時期そのものに合わせられます。 普段の訪問であれば相手の好みだけを考えればよいところ、 年始は相手の家にも来客があり、食卓の上も普段とは違う顔をしているためです。

そこで手がかりになるのが、その場や正月のあいだに使えるかどうかという見方で、 相手が仕舞い込まずに正月のうちに開けられる品であれば、 冷蔵庫や戸棚の空きを気にせずに受け取ってもらえますし、 来客に出すものが足りなくなりかけている家であれば、そのまま役に立ちます。

場面向いているもの
そのまま茶菓に出す個包装のお茶菓子にしておくと、来客にそのまま出せます
正月の食卓に使う佃煮・海苔・かまぼこは、重箱の隙間にも並べてもらえます
子どものいる家菓子の詰め合わせやジュースが取り分けやすくなります
荷物を減らしたい地元の銘菓にすると、帰省先で買って持って行けます
来客が続く家数の多いものにしておくと、途中で足りなくなりません

ただし、松の内のいつ伺うかによって、相手の家の様子はかなり違ってきます。一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会と一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団が、令和5年11月1日から令和6年3月31日にかけてインターネットで11,478サンプルの回答を集め、年中行事をどう受け止めているかという意識を尋ねた「令和5年度 年中行事・儀式・儀礼についての全国意識調査(冠婚葬祭1万人アンケート)」では、正月をいつまでと認識しているかという問いに「三が日まで」と答えた人が70.2%を占め、「松の内まで」は13.1%、「元日だけ」は5.1%にとどまっていました。

この調査は実際に何をしたかを集計したものではなく、 正月をいつまでと感じているかという意識のほうを尋ねたものですが、 年代別に見ると70歳代の27.4%、80歳以上の32.5%が「松の内まで」と答えており、 高齢の方ほど松の内までを正月と考える割合が高くなっています。

お年賀は元日から松の内までに持参するのが原則である一方で、 いま正月を三が日までと考えている人が7割を占めるということは、 松の内の後半に伺うと相手の生活はすでに普段どおりに戻っている可能性が高く、 鏡餅も片づき、重箱も洗って仕舞われたあとの台所にお菓子だけが増えることになります。

ですから日取りのほうは相手の感覚に合わせて早めに決めておくほうが安全で、 遅い時期になるようであれば、その場で開けてもらう前提ではなく 日持ちのする品に切り替えておくと収まります。 同じ調査では、年末年始を「ふだん会えない親戚や友人との懇親の機会」と考える人が29.7%いました。

荷物を軽くしたいのであれば、帰省先で買うという方法もあります。 自宅から持参すると荷物が増えますし、正月の移動は混雑もしますが、 地元の百貨店や駅の売り場で買えば運ぶ距離が短くて済みますので、 風呂敷に包んで持ち歩く時間そのものが減ります。

ただし年末年始は営業時間が短く、品切れも起きますので、 確実に手に入れたいのであれば出発前に用意しておくほうが安心です。 伺う先が複数あって同じ品を配って回るような場合はとくに、 現地の売り場に数がそろっている保証がありませんから、先に買っておくほうが確実です。

避けたいもの

避けたほうがよいと言われる品には、 正月という時期の事情によるものと、 慣習として言い伝えられてきたものの2種類が混ざっています。 同じ「避けるもの」として並べられているため、どちらも同じ重さに見えてしまいます。

前者は実際に相手を困らせるという話で、正月は冷蔵庫が埋まり、来客も多く、 置き場所そのものがありません。 一方で後者のほうは諸説あるもので、気にしない方も増えていますから、 相手によって判断すれば足ります。

避けるもの理由
重いもの・大きいもの運ぶのも大変ですし、相手の保管の場所も取ります
要冷蔵・要冷凍年末年始は冷蔵庫が埋まっていて、置き場所に困らせます
賞味期限が短いもの来客が続くあいだは食べきれずに残ってしまいます
目上の方への履物・下着「踏みつける」「生活に困っている」の連想があるとされます
目上の方への時計・筆記具「勤勉であれ」という意味を含むものとされています
現金・商品券お年賀としては品物のほうを選ぶのが通例です

後半の3行は慣習であって、守らなければ失礼にあたるという規則ではありません。言い伝えそのものを知らない方も増えていますので、相手が気にする方かどうかで判断すれば十分ですし、逆に本人が欲しいと言っていたものであれば、慣習より相手の希望のほうが優先されます。

相手を実際に困らせることになるのは、慣習の言い伝えよりも、むしろ前半の3行に並べたもののほうです。 箱ごと冷蔵庫に入れなければならない品や、その日のうちに食べきらなければならない生菓子は、 来客の合間に受け取った側の段取りを狂わせますし、 重い果物の箱は、玄関から台所まで運ぶところから相手の手をわずらわせます。

現金や商品券については、金額がそのまま見えてしまうという事情があるため、 お年賀としては品物にしておくのが通例になっています。 同じ額を使うのであれば、相手の家で開けて分けられる菓子折りにしたほうが、 受け取った側も気を遣わずに受け取れますし、その場の話も続きます。

相手が喪中の場合

年始の挨拶に伺う先が喪中だと分かったとき、 そもそも訪ねてよいのか、手土産は持っていってよいのかというところから迷います。 年賀状は出さないと決まっているぶん、訪問と品物の扱いだけが分からないまま残ります。

考え方としては、「おめでとう」を伴う挨拶のほうを控えるということになります。 お年賀は新年を祝うという名目の贈り物ですから、そのままの形では合いませんが、 品物を渡してはいけないわけではなく、表書きと時期を変えれば気持ちは伝えられます。

変えるところ扱い
品物そのもの通常どおりで構いません。菓子折りやお茶で差し支えありません
のしの表書き「御年賀」を使わず、無地の紙を掛けてもらいます
包装紅白・鶴亀・松竹梅といった祝いの柄は外してもらいます
菓子の中身鯛や紅白の菓子など、祝い事を連想させるものは避けます
渡す時期松の内を過ぎてから「寒中御見舞」として届ける方法もあります

変えるのはのしと祝いの要素だけで、品物の中身まで替える必要はありません。売り場で「相手が喪中なので無地の紙でお願いします」と伝えれば、紅白の柄を外した包装で用意してもらえますし、表書きも「御年賀」以外のものに変えてもらえますので、自分で紙を掛け替える必要もありません。

渡す時期のほうをずらしてしまうという選び方も、覚えておくと当日の迷いが減ります。 松の内のうちに伺うのが難しいときや、こちらから改まった形にしたくないときは、 松の内を過ぎてから「寒中御見舞」としてお渡しすれば、 新年を祝う名目を外したまま、同じ品を同じ気持ちで届けられます。

喪中の過ごし方そのものは家によって考え方に幅がありますので、 相手の家がどうしているかを先に確かめておくほうが確実です。 年始の訪問を受けたくないという家もあれば、例年どおりでよいという家もありますから、 伺う前に一報を入れておけば、玄関先で気まずい思いをすることもありません。

喪中のお年賀を詳しく見る

お年賀に持っていく品に決まった正解があるわけではなく、 相手の家に何人集まるのか、いつ伺うことになるのかという二つを思い浮かべて、 その場で無理なく受け取ってもらえるものを選べばそれで足ります。 来客の続く家であれば個包装の菓子が助かりますし、 伺うのが遅い時期になるのであれば、日持ちのする品のほうが相手の手を煩わせません。

どの相手でも変わらないのは、自分の足で運べて、 相手が置き場所に困らない品にするという一点だけで、 これさえ押さえていれば、慣習の言い伝えを思い出せなくても失礼にはなりません。 重い箱を抱えて玄関先に立つことにならないかどうかを、買う前に一度だけ確かめてください。

よくある質問

お年賀は何を持っていくのが定番ですか?

菓子折りがもっとも定番です。その場で開けて出せるためです。ほかに地元の銘菓、コーヒー・紅茶、佃煮・海苔などがあります。個包装の菓子がもっとも扱いやすく、来客が多い家では取り分けられます。

選ぶときに気をつけることは?

持ち運べるか、保存できるか、分けられるか、日持ちするかの4点です。とくに持ち運びはお年賀に特有の視点で、お歳暮と違って自分で運びます。帰省の荷物に加えて持てるかを考えてください。

生ものは避けたほうがよいですか?

避けるほうが安全です。年末年始は冷蔵庫が正月用の食材で埋まっており、要冷蔵のものを持参すると置き場所に困らせます。常温で日持ちするものを選んでください。

帰省先で買ってもよいですか?

構いません。自宅から持参すると荷物が増え、正月の移動は混雑もします。地元の百貨店や駅で買えば運ぶ距離が短くて済みます。ただし年末年始は営業時間が短く品切れも起きるため、確実性は下がります。

避けたほうがよい品物はありますか?

重いもの、要冷蔵のもの、賞味期限が短いものは実際に相手を困らせます。また目上の方への履物・下着・時計・筆記具は慣習的に避けられますが、これは規則ではなく、相手が気にする方かどうかで判断すれば十分です。

相手が喪中の場合は?

品物自体は通常どおりで構いません。ただし紅白・鶴亀・松竹梅の包装や、鯛・紅白の菓子など祝い事を連想させるものは避けます。のしは「御年賀」を使わず無地の紙にします。松の内を過ぎてから「寒中御見舞」として渡す方法もあります。

まとめ

  • 定番は菓子折りで、その場で開けて出してもらえます
  • 個包装のものにしておくと、来客の多い家でも取り分けられます
  • 持ち運べるかという視点が、お年賀にだけ特有のものになります
  • 年末年始は相手の冷蔵庫が埋まっていますので、常温のものを選びます
  • 生ものと賞味期限の短いものは、置き場所と食べきりで困らせます
  • 帰省先で買うと、持ち歩く荷物と距離を減らせます
  • 目上の方への履物・時計は慣習として避けられています
  • 相手が喪中ならのしと祝いの要素だけを外します

参考情報

  1. 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx
  2. 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
    https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html
  3. 高島屋「進物の基礎知識」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html
  4. 一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会/一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団「令和5年度 年中行事・儀式・儀礼についての全国意識調査(冠婚葬祭1万人アンケート)」(令和5年11月1日〜令和6年3月31日実施・インターネット調査・回答11,478サンプル)
    https://www.zengokyo.or.jp/assets/img/other-activity/report/10000people_survey_r5.pdf

冠婚葬祭1万人アンケートは、インターネットで回答を集め、正月をいつまでと感じているかという意識を尋ねたもので、実際に誰がいつ年始の訪問をしたかを集計したものではありません。お年賀の時期(元日〜松の内)、紅白の蝶結びを使う点は、参照した情報源で共通しています。松の内の日付や喪中の扱いには地域差・家庭差があるため、本記事では幅をもたせて記載しています。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・ご家庭・宗派によって異なります。とくに喪中の過ごし方は考え方に幅があります。ご親族やお寺・神社にご確認ください。