結論

お年賀にかける紙は紅白の蝶結びで、水引の上に「御年賀」と書き、 その下へ姓を入れておけば、相手や品物が変わっても形はそのままで通ります。 新年は毎年めぐってくる出来事ですので、一度きりを願う結び切りはここでは使いません。

かけ方は外のしにしておくと、包みを解く前に表書きが相手の目へ入りますので、 何のために伺ったのかが玄関先の一言と同時に伝わります。 相手が喪中のときだけは無地の紙に替え、「賀」の字を避けてください。

水引と表書き

百貨店の贈答品売り場で菓子折りを選び終えると、会計の前に「のし紙はどうされますか」と尋ねられ、 そこで初めて何と書けばよいのかを考えることになります。 年末に贈ったお歳暮と同じ紙でよいのか、それとも別の表書きになるのかが分からず、その場で返事に詰まってしまいます。

お年賀ののしで判断が分かれるのは水引ではなく表書きのほうで、 紅白の蝶結びはどの相手にもどの年にも同じものを使いますが、書く言葉は渡す時期と相手の事情で入れ替わります。 松の内のうちに手渡すのか、それを過ぎてから伺うのかで紙の上の文字が変わりますので、 まず自分がいつ訪ねるのかを先に決めておくと迷いが減ります。

お年賀ののし紙

お年賀ののし紙の書き方 右上に熨斗、中央に紅白の蝶結び、水引の上に「御年賀」、水引の下に姓を書きます。 熨斗 御年賀 〇〇 表書き 紅白の蝶結び 名前
項目お年賀
水引紅白の蝶結びを選び、5本のものが標準です
のし(熨斗)右上に熨斗の飾りが刷られた紙を使います
表書き水引の上の中央へ「御年賀」と書き入れます
かけ方包装紙の外側から紙をかける外のしにします
名前水引の下へ、姓または姓名を入れておきます
墨濃い墨で書き、毛筆か筆ペンを使います

蝶結びを使うのは、新年が毎年めぐってくる何度あってもよい出来事だからです。結び切りはほどけない結び方で、一度きりであってほしい場面に用いるものですから、お年賀には向きません。売り場で「御年賀で」と伝えれば、この形の紙をそのまま出してもらえます。

スーパーで買った菓子折りをそのまま持って行こうとして、 箱に掛け紙が付いていないことを玄関先で気づく、という失敗がよく起こります。 文具店や百貨店の文具売り場には表書きの刷られた既製ののし紙が並んでいますので、 一枚買って自分でかけても差し支えありません。

自分で書くときに気になるのは字の巧拙ですが、受け取る側が見ているのは形が整っているかどうかで、 太めの筆ペンで大きく書けばそれだけで見栄えが整います。 名前を表書きより一回り小さくし、水引の結び目に対して左右が同じ幅になるように置けば、 それ以上に手を入れる必要はありません。

外のしにする理由

贈答品売り場では包装の前に「内のしと外のし、どちらにしますか」と聞かれますが、 この二つは名前が似ているうえに見た目の差も小さいため、その場で違いを思い出せないことがあります。 箱へ直接かけてから上を包装紙で包むのが内のし、包み終えた外側へ紙をかけるのが外のしで、 違いは紙をかける順番だけになります。

どちらを選ぶかは贈り物の種類ではなく渡し方で決まるところがあり、 宅配便で送るのか、玄関先や座敷で相手の手に直接渡すのかによって、向いている形が入れ替わります。 同じ菓子折りでも送るときと持参するときとでは売り場での答え方が変わりますので、 注文の前に自分がどちらの形で渡すのかをはっきりさせておくと迷いません。

贈り物かけ方と理由
お年賀外のしにし、手渡す瞬間に表書きが見えるようにします
お歳暮(配送)内のしにし、送り状で紙が擦れないようにします
お歳暮(持参)外のしにして、その場で用向きを伝えます
帰省の手土産のしを省いても、外のしにしても差し支えありません
紙袋から出す前袋のまま渡さず、箱を出して両手で差し出します
短冊のし幅の狭い紙でも、外側にかければ役目を果たします

外のしが向くのは、渡すときの言葉と表書きが同時に相手へ届くからです。内のしでは包装紙を開けるまで何の品なのか分かりませんので、あとで包みを解いたときに初めて用向きが伝わることになります。配送する品に内のしが多いのは、送り状や包装紙が擦れて表書きが傷むのを避けるためです。

実際に多いのは、紙袋に入れたまま「心ばかりですが」と差し出してしまう形で、 せっかく外のしにしていても相手の目には表書きが入りません。 玄関先で靴を脱ぐ前に渡すと相手の手もふさがりますので、 部屋へ通されて腰を落ち着けてから、紙袋の口を開けて箱を取り出すほうが落ち着きます。

箱を出したら表書きが相手の正面を向くように向きを変え、 両手で持ち替えてから畳の上を滑らせずに差し出せば、それだけで形が整います。 空になった紙袋はたたんで自分の脇へ置き、持ち帰るのが本来の形ですが、 相手から「袋ごとどうぞ」と言われたときは、そのまま置いてきてかまいません。

名前の書き方

表書きまでは書けても、その下へ誰の名を入れるかで手が止まることがあり、 とくに結婚してから初めて義実家へ伺う年は、夫の姓だけでよいのか二人の名を並べるのかで迷います。 同じ姓の親族が何人も集まる家では、姓だけの紙が卓の上に何枚も並んでしまい、 どれが誰からの品なのか分からなくなることも起こります。

名前の書き方で判断が分かれるのは丁寧さの度合いではなく、 その品が誰からの挨拶として受け取られるかという点で、 姓だけにすれば世帯からの挨拶になり、連名にすれば二人からの挨拶になります。 相手の家に同じ姓の身内が集まる場かどうか、そこへ一人で伺うのか二人で伺うのかを考えれば、選ぶ形は自然に決まります。

書き方向いている場面
姓のみもっとも広く使われ、迷ったときはこれで足ります
姓名同じ姓の親族が集まる家へ持参するときに向きます
夫婦連名夫の姓名を右、妻の名だけを左に並べて書きます
会社名を添える社名を右肩へ小さく置き、氏名を中央に入れます
三名までの連名右をいちばん目上とし、左へ順に並べていきます
四名以上代表者名の左へ「外一同」と添えて収めます

五十音順に並べないのは、並び順そのものが上下を表すと受け取られるためです。右がいちばん目上という決まりがありますので、名前の読みで並べ替えると、意図しない序列を示すことになります。百貨店の贈答品売り場であれば、名入れを無料で引き受けている店がほとんどです。

筆ペンで名を書いていて起こりやすいのは、姓を中央に置いたつもりが右へ寄ってしまい、 左側だけが大きく空いてしまうという失敗です。 水引の結び目の真下へ中心を合わせ、そこから左右へ広げるように書いていくと、 書き終えたときの偏りが小さく収まります。

夫婦連名にするときは右に夫の姓名を書き、その左へ妻の名だけを夫の名と同じ高さに揃えて添えると、 全体の重心が中央に残ります。 姓を二度書かないのは同じ世帯であることが分かるようにするためで、 この形にしておけば、義実家の親族が集まる席でも二人からの挨拶として受け取ってもらえます。

喪中の場合

年末に喪中はがきが届いた家へ、それでも年始の挨拶に伺うことになったとき、 いつもの紅白の紙をかけてよいのかどうかで手が止まります。 品物そのものを替える必要があるのか、それとも紙だけを替えれば済むのかという点も、 売り場では聞きにくく感じられます。

ここで判断が分かれるのは訪問の可否ではなく紙の上の文字で、 「賀」は祝いを表す字ですから、喪に服している相手にも、 自分が喪中である場合にも、そのまま使うことは避けられます。 品物のほうは日持ちのする菓子や海苔などで差し支えありませんので、 替えるのは紙と表書きだけと考えておけば、用意が大がかりになりません。

状況のしの扱い
どちらかが喪中無地の掛け紙を使い、表書きは入れずに渡します
松の内を過ぎて渡す無地の紙に「寒中御見舞」と書き入れます
四十九日を過ぎていない時期をずらし、落ち着いてから改めて伺います
自分が喪中のとき同じく無地の紙にし、「御年賀」は使いません
売り場での伝え方「先方が喪中です」と一言添えて頼みます
品物の中身日持ちのする菓子や海苔なら、そのまま使えます

紅白の水引を外すのは、あの色そのものが祝いの合図として働くからです。白い無地の掛け紙であれば包みを解く前の段階で祝いの気配が立ちませんので、受け取る側も身構えずに済みます。表書きを入れないまま渡しても失礼にはならず、口頭で「本年もよろしくお願いいたします」と添えれば十分に通じます。

実際に困るのは、喪中はがきを受け取っていたことを当日の朝になって思い出し、 すでに紅白の紙で包んでもらったあとだったという場面です。 包み直す時間が取れないときは、掛け紙だけを外して包装紙のままの形にし、 玄関先で品物を手渡せば角が立ちません。

言葉のほうも紙と揃えておく必要があり、「あけましておめでとうございます」は使わず、 「昨年はお世話になりました」と切り出すほうが場に合います。 相手が気にしていない様子であっても、こちらから祝いの言葉を先に出さずにおけば、 あとから気まずくなることがありません。

のしが不要な場合

毎年顔を合わせている実家へ帰るときにまで、わざわざのし紙をかけるべきなのかどうかは判断に迷うところで、 堅苦しく見えないかという心配のほうが先に立ちます。 かといって結婚して間もない義実家へ何も付けずに持って行けば、 用意が足りないと受け取られないかという別の心配が出てきます。

のしを付けるかどうかを決めるのは品物の値段ではなく、 その訪問が改まった場かどうかという一点で、 同じ菓子折りでも相手との距離によって求められる形が変わります。 毎週のように行き来している家と、一年に一度しか顔を出さない家とでは玄関先の言葉づかいも自然に違いますので、 紙の有無もその延長で考えれば外れません。

訪問先のしの扱い
義実家初めての年ほど、かけておくほうが落ち着きます
取引先・上司の家必ずかけ、社名と氏名まで入れておきます
実家省いても差し支えなく、手渡しだけで足ります
親しい友人の家かけずに、紙袋のまま渡してかまいません
気軽な訪問幅の狭い短冊のしでも十分に用が足ります
迷ったときかけておけば、行き過ぎと言われることはありません

付け忘れて気になることはあっても、付けすぎて困ることはほとんどありません。紙がかかっていれば改まった品として扱われるだけで、相手が身構えるほどの重さにはならず、逆に何も付いていない箱は用意の途中に見えることがあります。実家のように毎年行き来している家であれば、その心配はそもそも起こりません。

判断がつかなくなるのは、義実家へ二年目、三年目と通うようになった時期で、 初年度と同じようにかけ続けるべきか、そろそろ省いてよいのかが分からなくなります。 相手の家が毎年こちらへ何かを持たせてくれているかどうかを見ておくと、 どの程度の改まり方を望まれているのかがおおよそ読み取れます。

迷ったまま当日を迎えるくらいならかけておくほうが気が楽で、 義母から「気を使わなくていいのに」と言われたら、その翌年から省けばそれで済みます。 一度かけたからといって毎年続けなければならない決まりはありませんので、 相手の様子を見ながら形を変えていってかまいません。

内のし・外のしの違いを図解で見る

のしのかけ方に唯一の正解があるわけではなく、誰の家へ、どの時期に、 どういう渡し方で持って行くのかを見て、その場でいちばん自然に見える形を選べばそれで足ります。 紅白の蝶結びに「御年賀」と書いた紙が基本の形ですが、 相手が喪中であれば無地の紙になりますし、実家であればそもそも紙を省いてかまいません。

どの相手でも変わらないのは、表書きを相手の目に入る側へ向けることと、 口にする挨拶と紙の上の文字を食い違わせないことの二つだけで、 この二つさえ揃っていれば、名前の書き方を思い出せなくても失礼にはなりません。 受け取る側にとっても、何のために持って来てくれたのかがひと目で分かるほうが、返す言葉に迷わずに済みます。

よくある質問

お年賀の水引は何を使いますか?

紅白の蝶結びを使い、5本のものが標準です。新年は毎年めぐってくる何度あってもよい出来事にあたるためで、一度きりであってほしい場面に用いる結び切りは使いません。表書きは水引の上の中央へ「御年賀」と書き入れます。

内のしと外のし、どちらにしますか?

外のしにします。渡すときの言葉と表書きが同時に相手へ届くためで、内のしでは包装紙を開けるまで何の品なのか分かりません。配送する品に内のしが多いのは、送り状や包装紙が擦れて表書きが傷むのを避けるためです。

名前はどう書きますか?

水引の下の中央へ、表書きより一回り小さく書きます。姓だけがもっとも広く使われますが、同じ姓の親族が集まる家へ持参するときは姓名まで入れておくと、どれが誰からの品なのかが分かります。

夫婦連名の並べ方は?

右に夫の姓名を書き、その左へ妻の名だけを夫の名と同じ高さに揃えて添えます。姓を二度書かないのは同じ世帯であることが分かるようにするためです。連名は三名までとし、四名以上は代表者名の左へ「外一同」と添えます。

喪中の相手にはどうしますか?

「賀」は祝いを表す字ですので、「御年賀」は使わず無地の掛け紙にします。松の内を過ぎてから渡すのであれば「寒中御見舞」と書き入れてください。売り場で「先方が喪中です」と一言添えれば、無地の紙で用意してもらえます。

のしは必ず付けますか?

すべてに付ける必要はありません。義実家や取引先には付けますが、実家や親しい友人の家であれば省いても差し支えありません。付け忘れて気になることはあっても、付けすぎて困ることはほとんどありませんので、迷ったらかけておいてください。

まとめ

  • 水引は紅白の蝶結びを使います
  • 表書きは「御年賀」と書き入れます
  • 一度きりを願う結び切りは使いません
  • 手渡しするので外のしにします
  • 名前は姓だけでも足ります
  • 義実家へは夫婦連名にします
  • 喪中の相手には「賀」の字を使いません
  • 実家や友人の家では省いてかまいません

参考情報

  1. 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx
  2. 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
    https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html
  3. 高島屋「進物の基礎知識」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html

お年賀の時期(元日〜松の内)、紅白の蝶結びを使う点は、参照した情報源で共通しています。松の内の日付や喪中の扱いには地域差・家庭差があるため、本記事では幅をもたせて記載しています。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・ご家庭・宗派によって異なります。とくに喪中の過ごし方は考え方に幅があります。ご親族やお寺・神社にご確認ください。