結論
喪中であってもお年玉を渡して差し支えありませんが、 「お年玉」という表書きだけは外して、無地のポチ袋に 「お小遣い」として入れるのが、多くの家庭で選ばれている形です。
子どもが一年待っていた楽しみを、大人の側の事情で取り上げてしまう必要はありませんので、 渡すこと自体はそのままにして、名目と袋の見た目だけを変えるという手当てで足ります。
渡してよい理由
その年の秋に身内を見送った家では、12月に入って年末の支度を始めたあたりで、お年玉をどうするかという話がふと出てきます。 年賀状を出さないことは早いうちに決まっていても、正月に顔を出す甥や姪、孫の分だけは結論が先送りになりがちで、 文具店の前を通るたびに、ポチ袋を買うかどうかで足が止まることになります。
迷いの中身をほどいていくと、贈ること自体を控えるのか、それとも祝うという形だけを控えるのかという一点に行き着きます。 この二つは近いようでいて、行き着く先がまったく違いますし、 どちらの立場を取るかで、年末に買う袋の種類までが変わってきます。
| 考え方 | 中身 |
|---|---|
| お年玉の由来 | 「玉」は年神様への供物にさかのぼるとされています |
| 厳密に控える立場 | 祝いの意味を含むため、その年は渡さないと考えます |
| 多くの家庭の対応 | 名目のほうを差し替えて、子どもへ渡しています |
| 控えるものは何か | おめでとうと言って祝う形だけを控えます |
| 子どもの側から見ると | 袋の見た目が変わるだけで、中身は例年と同じです |
控えるのは形であって、贈ること自体ではありません。厳密に考える立場があること自体は事実ですが、その立場を取る家でも、渡さないという結論に踏み切る例はそう多くありません。祝いの言葉と祝いの柄を外してしまえば、残るのは子どもへの贈り物だけになります。
たとえば秋に祖父を見送った家に、正月、孫が四人ばかり集まってくるという場面を思い浮かべてみてください。 いちばん下の子は年が明けるずっと前から袋をもらえる日を数えていますし、 上の子たちも、去年もらった額をだいたい覚えています。
ここで祖母が何も用意しないでいると、子どもの側には理由が分からないまま、今年はもらえなかったという事実だけが残ります。 名目を差し替えて渡しておけば、亡くなった人を悼む気持ちと、集まってきた子どもを迎える気持ちは並べて置けますし、 その場で説明を求められることもありません。
形の変え方
年末の文具店に並ぶポチ袋の棚は、紅白の水引を刷ったものと、その年の干支を描いたものでほとんど埋まっています。 鶴が舞っていたり、松と竹があしらわれていたり、金の箔で「寿」と押されていたりと、 どれも祝いの席を前提にした絵柄ばかりで、喪中の家が手に取れるものは意外なほど見つかりません。
袋を選び直すところまでは誰もが思いつく一方で、判断が分かれてくるのが、 どこまで手を入れるのかという線引きです。 見た目だけを落ち着かせれば済むのか、中に入れる額まで動かすべきなのかで、迷う方が少なくありません。
| 項目 | 通常 | 喪中 |
|---|---|---|
| 表書き | お年玉、または御年玉と書き入れます | お小遣いと書くか、何も書きません |
| ポチ袋 | 絵柄やキャラクターのものを選びます | 無地か、落ち着いた柄のものにします |
| 袋の柄 | とくに外すべきものはありません | 紅白・鶴亀・松竹梅・「寿」は外します |
| 渡すときの言葉 | あけましておめでとうと添えます | 今年もよろしくねと声をかけます |
| 金額 | 年齢に見合った額を入れます | 例年と同じ額のままにしておきます |
手を入れるのは名目と見た目までで、額は動かさないでください。去年より薄い袋を受け取った子どもは、その場では何も言わないまま、あとから理由を自分なりに組み立てます。喪中と減額が頭の中で結びついてしまうと、亡くなった人のせいで損をしたという受け取り方になりかねません。
白い無地のポチ袋は、文具店の慶弔用の棚か、封筒がまとめて置かれている一角にたいてい何種類か置かれています。 見つからなければ、市販の小さな封筒に子どもの名前だけを書いて渡しても差し支えありませんし、 銀行の窓口でもらえる無地の袋を使う方もいます。
袋を替えるだけで足りるのは、渡し方そのものが例年とまったく変わらないからです。 株式会社マルアイが2025年11月25日から26日にかけて行った「2026年お年玉に関する実態調査」では、 お年玉の渡し方として「現金をぽち袋に入れて手渡す」を挙げた人が77.8パーセントで最も多くなっていました。
この調査は全国20代から60代以上の男女2,405名への事前調査のうち、あげると答えた604名から回答を得たもので、 実際に渡した結果を数えたのではなく、年末の時点で予定を尋ねた意識調査にあたります。 それでも「電子マネーで送金する」が4.0パーセントにとどまっていることを見れば、 手渡しという形そのものは動かさずに、袋と表書きだけを差し替えれば足りることが分かります。
四十九日前は
11月の終わりに葬儀を済ませた家では、慌ただしさが少し落ち着いたころに、そのまま年末を迎えることになります。 仏壇のまわりの片づけや、香典返しの手配がまだ半ばというところへ正月が重なってきますので、 お年玉の袋を用意する気持ちになれないまま、大晦日まで来てしまうことがあります。
ここで効いてくるのが、亡くなってからどれだけの日数が経っているかという一点です。 喪中という言葉でひとくくりにされがちですが、四十九日を境にして家の中の空気はずいぶん変わりますし、 年末年始がその境目のどちら側に来るかで、無理のない対応も違ってきます。
| 時期 | 目安 |
|---|---|
| 四十九日前(忌中) | 控えるか、ごく控えめにして家族で相談します |
| 四十九日を過ぎたころ | お小遣いという名目にして渡して差し支えありません |
| 一周忌より先 | 通常どおりの形に戻している家庭が多くあります |
喪中は一般に一年とされる一方で、お年玉についてはご家族の気持ちが決め手になる面がとくに強く残ります。四十九日を過ぎていても、まだそこまで気持ちが向かないという年があって当然ですし、地域や宗派によっても線の引き方は違います。
とくに判断が難しいのが、12月に入ってから見送った場合です。 四十九日の法要は2月に回りますので、年末年始がまるごと忌中に入ることになり、 親族が集まる場そのものを取りやめるかどうかから相談することになります。
この場合でも、渡すか渡さないかを一人で決めてしまわずに、 喪主を務めた方や同居しているご家族に一度尋ねておくと、あとから話がこじれずに済みます。 集まりを見送った年でも、春になって顔を合わせたときに袋を渡している家は珍しくありません。
立場別の対応
親族が集まる正月は、喪中の家とそうでない家が同じ卓を囲むことになります。 こちらは去年の夏に父を見送っていて、向かいに座っている義姉の家は何ごともなかったという年もあれば、 その逆で、こちらは例年どおりなのに相手の家が喪中という年もあります。
対応を決めるときに見るのは、喪中なのがどちらの家なのかという点だけです。 同じ卓で袋をやり取りしていても、渡す側が喪中なのか受け取る側が喪中なのかで、 気をつける先はまったく別のところに移ります。
| 立場 | 対応 |
|---|---|
| 自分が喪中 | お小遣いという名目にすれば、そのまま渡せます |
| 相手が喪中 | ポチ袋を無地に替えたうえで渡して差し支えありません |
| 双方が喪中 | 上と同じ形で通していただいて構いません |
| 相手のご家族が亡くなって間がない | 親御さんに確かめてから決め、無理には渡しません |
| 自分の子が喪中に受け取った | 受け取って構いませんので、お礼だけは伝えておきます |
相手の家が喪中のときは、渡す前にその子の親御さんへ一言尋ねておくのが確実です。気にしないでほしいと言う家もあれば、今年だけは静かに過ごしたいという家もあり、外から見ているだけでは見分けがつきません。尋ねること自体が失礼になる場面はまずありません。
喪中はがきを出した相手の子と、正月に顔を合わせることもあります。 年賀状を控えておきながら袋だけは渡すというのは筋が通らないのではないかと気になるところですが、 この二つはそもそも宛先が違いますので、扱いを合わせる必要はありません。
年賀状は大人同士が新年を祝い合う挨拶ですから、祝いを控えている年には出さないでおきます。 一方でお年玉は子どもへの贈り物で、祝いの挨拶とは性格が別のものですので、 表書きと袋を替えてしまえば、そのまま手渡して差し支えありません。
子どもへの説明
無地の袋を差し出すと、小学生くらいの子はたいてい表と裏を見比べてから、今年は袋が違うと口に出します。 去年もらった干支の絵柄をよく覚えていることも多く、 なぜ変わったのかを、その場ではっきり尋ねてくる子もいます。
答え方で迷うのは、どこまで事情を話すかという一点です。 亡くなった人のことに触れるかどうかは、その子の年齢と、その子から見た故人との近さで変わりますし、 同じ家の兄弟でも、上の子と下の子で受け止め方はまるで違います。
| 年齢 | 伝え方 |
|---|---|
| 就学前の小さい子 | 何も説明せずに、いつもどおり手渡して差し支えありません |
| 小学生 | 今年は袋が違うけれど中身は同じだよ、と短く添えます |
| 中学生から上 | おじいちゃんのことがあったからと話せば通じます |
説明を先回りして長くしないでください。亡くなった人の話を正月の席で持ち出されると、子どもの側はどんな顔をしていればよいのかが分からなくなります。尋ねられたときにだけ、ひと言で答えれば足ります。
いとこ同士が集まる家では、もらった袋を並べて見せ合う場面がよく起こります。 無地の袋が一つだけ混じっていると、そこで理由を聞かれることになりますので、 渡した大人のほうから先に、袋の話だけを軽く済ませておくと角が立ちません。
喪中を理由に渡さないという選び方をすると、その年だけ子どもが手ぶらになります。 大人の側の事情で子どもの楽しみを削るより、名目を差し替えて渡すほうが選ばれてきたのは、 そのほうが家の中に説明の要らない年末年始をつくれるからです。
ポチ袋の書き方を詳しく見る喪中のお年玉に、どの家でも同じように使える正解があるわけではありません。 亡くなってからの日数も、集まる親族の顔ぶれも、その家がどれだけ改まった作法を大事にしてきたかも家ごとに違いますので、 無地の袋で渡す年があっても、その年だけは見送るという判断があっても、どちらも不作法にはあたりません。
どの家でも変わらないのは、控えるのが祝いの形だけであって、子どもへ渡すこと自体ではないという一点です。 表書きから「お年玉」の三文字を外し、袋を無地に替え、今年もよろしくねと声をかけて手渡せば、 それ以上こまかい作法を思い出せなくても、受け取る側にも周りの大人にも角は立ちません。
よくある質問
喪中でもお年玉を渡してよいですか?
渡して構いません。ただし「お年玉」という表書きは避け、無地のポチ袋で「お小遣い」として渡すのが一般的です。子どもの楽しみを奪う必要はなく、形を変えて渡す家庭がほとんどです。
何を変えればよいですか?
変えるのは3点です。表書きを「お小遣い」にするか何も書かないこと、ポチ袋を無地や落ち着いた柄にすること、渡すときの言葉を「今年もよろしくね」にすることです。紅白・鶴亀・松竹梅・「寿」の柄は外してください。金額は変えません。
金額は減らすべきですか?
減らさないでください。去年より少ない額を受け取ると、子どもは自分なりに理由を組み立てます。喪中と減額が結びついてしまうと、亡くなった人のせいで損をしたという受け取り方になりかねません。変えるのは名目と見た目だけです。
四十九日前でも渡してよいですか?
控える家庭もありますが、絶対の決まりではありません。ご家族の気持ちが落ち着いていないなら控え、そうでなければ渡して構いません。12月に見送った場合は年末年始がまるごと忌中に入りますので、渡すかどうかを一人で決めず、喪主を務めた方に一度尋ねてください。
相手が喪中の場合はどうしますか?
まずその子の親御さんに確認するのが確実です。家庭によって考え方が違い、「気にしないで」という家もあれば、今年だけは静かに過ごしたいという家もあります。渡す場合はポチ袋を無地にしてください。
年賀状は控えるのに、お年玉はよいのですか?
宛先が違います。年賀状は大人同士が新年を祝い合う挨拶なので控えますが、お年玉は子どもへの贈り物であり、祝いの挨拶とは性格が別のものです。表書きと袋を替えれば、そのまま渡して差し支えありません。
まとめ
- 喪中でもお年玉は渡して差し支えありません
- 表書きは「お小遣い」にするか、何も書きません
- ポチ袋は無地か落ち着いた柄のものにします
- 紅白・鶴亀・松竹梅・「寿」の柄は外します
- 金額は例年と同じままにしておきます
- 四十九日前は家族で相談してから決めます
- 相手の家が喪中なら親御さんに確かめます
- 年賀状とは扱いが別のものになります
参考情報
- 株式会社マルアイ「【2026年お年玉に関する実態調査】」(2025年12月16日公表・2025年11月実施・有効回答604名)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000117.000051757.html - All About「お年玉、1人あたりの相場はいくら?学年別ランキング」(インテージ「2026年お年玉調査」)
https://allabout.co.jp/gm/gc/516484/ - リセマム「お年玉をあげるのは何歳まで?年齢別の相場は…実態調査」(マネーインサイトラボ)
https://resemom.jp/article/2025/12/01/84145.html - 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx
本文で引用した株式会社マルアイ「2026年お年玉に関する実態調査」は、2025年11月にインターネットで604名から回答を得たもので、実際に渡された結果ではなく、年末の時点で回答者が答えた予定の集計です。お年玉の金額に公的な基準はありません。本記事の金額は、複数の実態調査と広く共通して挙げられる目安を照合してまとめたものです。調査ごとに集計の区切り方が違うため、本文では幅のある形で示しています。地域・ご家庭・親族間の取り決めによって実際には大きく異なります。喪中に「お小遣い」として渡す形は広く行われていますが、扱いには地域差・家庭差があります。厳密に控えるという考え方もあるため、断定を避けて記載しています。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している金額は一般的な目安です。お年玉の金額に決まりはなく、地域・ご家庭・親族間の取り決めによって大きく異なります。ご親族に渡す場合は、まず身内での申し合わせをご確認ください。