結論
避けるのは3種類です。 ①別れを連想させる語、 ②不幸・不吉を連想させる語、 ③同じ言葉の繰り返し(重ね言葉)。
いちばん引っかかるのは③です。 「重ね重ね」「たびたび」「くれぐれも」は 丁寧に話そうとするほど出てきます。
ただし語を消すこと自体が目的ではありません。 原稿を読み返し、 引っかかった語だけ置き換えれば足ります。
なぜ避けるのか
理由は言葉が場面を思い起こさせるからです。 「別れる」と聞けば別れが、 「たびたび」と聞けば繰り返しが頭に浮かびます。
結婚式では離婚・再婚・不幸を連想させる語を避けます。 話し手にその意図がなくても、 聞いた側が気にすることがあるためです。
気にする人と気にしない人がいます
忌み言葉は慣習であって、決まりではありません。まったく気にしない人もいれば、親族に強く気にする人がいる場合もあります。
判断の基準は誰が聞いているかです。友人だけの二次会での挨拶と、親族と主賓が並ぶ披露宴のスピーチでは、求められる度合いが違います。
別れを連想させる言葉
夫婦が離れることを思わせる語です。 スピーチでは出にくい語もありますが、 日常的に使う動詞が多く含まれます。
| 避ける言葉 | 言い換え |
|---|---|
| 別れる | ——(そのまま使わず、文ごと組み替えます) |
| 切る・切れる | 「短くする」「区切る」 |
| 終わる | 「結ぶ」「お開きにする」 |
| 帰る・戻る | 「失礼する」「中座する」 |
| 去る | 「過ぎる」 |
| 離れる | 「距離が空く」 |
| 冷める | 「落ち着く」 |
| ほどける・ほころびる | 「ゆるむ」 |
| 返す | 「お渡しする」 |
| 飽きる | 「慣れる」 |
「終わる」がいちばん使われます。「これで私の話を終わります」は言い換えの定番で、「これで私の話を結ばせていただきます」とすると引っかかりません。
披露宴が終わることを「お開き」と言う理由
「終わる」「閉じる」を避けた言い方が「お開き」です。司会が使うので耳にする機会が多い言葉ですが、由来はここにあります。
同じ理由で、ケーキ入刀を「切る」ではなく「入刀」と言い、乾杯を「杯を割る」とは言いません。
不幸・不吉を連想させる言葉
死・病気・失敗に関わる語です。 スピーチのエピソードで出やすいので注意します。
| 避ける言葉 | 言い換え・扱い |
|---|---|
| 亡くなる・死ぬ | 触れる必要がなければ、話に入れません |
| 病む・倒れる | 「体調を崩す」 |
| 失う | 「見えなくなる」 |
| 負ける・失敗 | 「惜しい結果」「うまくいかない」 |
| 四・九 | 数え方を変えるか、触れません |
| 流れる | 「移る」 |
| 倒産・破れる | 話題自体を避けます |
| 忙しい | 「ご多用」(「忙」の字を嫌う考え方があります) |
「ご多忙のところ」より「ご多用のところ」が使われます。「忙」は「心を亡くす」と書くため、と説明されます。書面では特に見かける置き換えです。
重ね言葉
ここがいちばん引っかかります。 同じ語を繰り返す言い方が、 再婚を連想させるとされます。
やっかいなのは、丁寧に話そうとするほど出てくる点です。 「重ね重ね御礼申し上げます」「くれぐれもよろしく」は、 むしろ改まった場で使う言い回しです。
| 避ける言葉 | 言い換え |
|---|---|
| 重ね重ね | 「加えて」「深く」 |
| くれぐれも | 「どうぞ」「十分に」 |
| たびたび・しばしば | 「よく」「常々」 |
| 返す返す | 「本当に」 |
| いろいろ | 「多く」「さまざま」 |
| ますます | 「さらに」「より一層」 |
| 再び・再度 | 「あらためて」 |
| 皆々様 | 「皆様」 |
| わざわざ | 「特別に」「ご足労いただき」 |
| 次々 | 「続いて」 |
「ますます」は結びの定型文に入りやすい語です。「ますますのご多幸を」は「末永いご多幸を」「よりいっそうのご多幸を」に置き換えられます。
「重ね重ね」「くれぐれも」は書面でも出ます
スピーチだけでなく、祝電・メッセージカード・招待状の返信でも同じ扱いになります。書面のほうが後に残るぶん、目に留まりやすい面もあります。
書き終えたら、同じ字が2つ並んでいないかだけ見てください。重ね言葉の多くは漢字が重なるので、目で拾えます。
うっかり使いやすい言い回し
単語ではなく定型句として出てしまうものを挙げます。 スピーチの冒頭と結びに集中しています。
| つい言ってしまう | 言い換え |
|---|---|
| 「本日はお忙しい中」 | 「本日はご多用の中」 |
| 「これで終わります」 | 「これで結ばせていただきます」 |
| 「最後になりますが」 | 「結びになりますが」 |
| 「重ね重ねお祝い申し上げます」 | 「心よりお祝い申し上げます」 |
| 「くれぐれもお幸せに」 | 「どうぞお幸せに」 |
| 「ますますのご発展を」 | 「末永いご発展を」 |
| 「そろそろお時間なので切り上げます」 | 「お時間となりましたので、この辺りで」 |
「最後に」と「終わります」は、スピーチの結びでほぼ必ず出ます。ここだけ「結びに」「結ばせていただきます」に替えておくと、大半は防げます。
どこまで気にするか
全部を避けようとすると文章が不自然になります。 優先順位をつけてください。
| 場面 | どの程度 |
|---|---|
| 披露宴の主賓・乾杯のスピーチ | 原稿を作って確認します |
| 友人代表スピーチ | 結びの定型句だけでも直します |
| 祝電・メッセージカード | 書面なので確認しやすい。一読して直します |
| 招待状の返信の一言 | 短いので、繰り返し語だけ見ます |
| 受付や歓談での会話 | 神経質にならなくて構いません |
| 二次会の挨拶 | 結びの言い方だけ気にすれば足ります |
会話まで言葉を選び続けると、話しづらくなります。用意して話す場面(スピーチ・書面)だけ確認する、という線引きが現実的です。
言ってしまった場合
言い直さないでください。 その場で訂正すると、かえって全員の注意がそこへ向きます。
判断の基準は止まらないことです。 多くの場合、聞いている側は気づいていません。 話し手が慌てて初めて目立ちます。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| スピーチ中に気づいた | そのまま続けます |
| 指摘された | 「失礼しました」と一言だけ添えて進めます |
| 書面を出す前に気づいた | 書き直します |
| 祝電を送ったあとに気づいた | そのままにします。追って訂正しません |
| 本人に謝りたい | 後日、必要なら短く伝えます |
送ったあとの訂正はしないでください。相手は気づいていない可能性が高く、指摘することで初めて気にさせてしまいます。
原稿の見直し方
効率よく確認する順番があります。 全文を一語ずつ点検する必要はありません。
| 順 | 見るところ |
|---|---|
| 1 | 冒頭のあいさつ(「お忙しい中」が入っていないか) |
| 2 | 結びの一文(「終わります」「最後に」「ますます」) |
| 3 | 同じ漢字が2つ並んでいる箇所(重ね言葉) |
| 4 | 思い出話の部分(病気・失敗・別れの話が入っていないか) |
| 5 | 声に出して読む(詰まる箇所が引っかかる箇所です) |
声に出して読むのが最も確実です。目で読むと定型句は流れてしまいますが、口に出すと不自然な箇所で止まります。時間の確認も同時にできます。
よくある質問
結婚式の忌み言葉とは何ですか?
別れ、不幸、繰り返しを連想させる言葉です。「別れる」「切れる」といった離婚を思わせる語、「亡くなる」「倒れる」といった不幸を思わせる語、「重ね重ね」「たびたび」といった同じ語を繰り返す重ね言葉の3種類に分かれます。
なぜ重ね言葉を避けるのですか?
同じ言葉を繰り返すことが、再婚を連想させるとされるためです。「重ね重ね」「くれぐれも」「ますます」など、丁寧に話そうとするほど出やすい語が多いのが特徴です。
スピーチの結びは何と言えばいいですか?
「終わります」ではなく「結ばせていただきます」、「最後になりますが」ではなく「結びになりますが」とします。「ますますのご多幸を」は「末永いご多幸を」に置き換えられます。
「お忙しい中」は使ってはいけないのですか?
「ご多用の中」に置き換える言い方が使われます。「忙」の字が「心を亡くす」と書くためと説明されます。書面ではとくにこの置き換えを見かけます。
どこまで気にすればいいですか?
用意して話す場面と書面だけ確認するのが現実的です。披露宴のスピーチ、祝電、メッセージカードは原稿を見直します。受付や歓談での会話まで言葉を選び続けると話しづらくなるので、そこは神経質にならなくて構いません。
スピーチ中にうっかり言ってしまったらどうしますか?
そのまま続けてください。言い直すと、かえって全員の注意がそこへ向きます。多くの場合、聞いている側は気づいていません。
祝電を送ったあとに忌み言葉に気づきました。訂正すべきですか?
そのままにしてください。相手は気づいていない可能性が高く、追って訂正すると、かえって気にさせてしまいます。
忌み言葉は必ず守らなければいけませんか?
慣習であって決まりではありません。まったく気にしない人もいます。ただし親族や主賓が並ぶ場では気にする人がいることもあるため、用意する原稿では直しておくと安心です。
まとめ
- 避けるのは別れ・不幸・繰り返しの3種類
- 重ね言葉が最も出やすい(重ね重ね/くれぐれも/ますます)
- 「終わります」は「結ばせていただきます」に
- 確認は冒頭と結び、同じ漢字の並びを見れば大半防げる
- 言ってしまっても言い直さない
参考情報
- ゼクシィ「【結婚式の忌み言葉】使ってはいけない理由&言い換え一覧」
https://zexy.net/article/app002004019/ - 結婚スタイルマガジン(NIWAKA)「『忌み言葉』とは?結婚式で避けたいNGワード&言い換え一覧」
https://www.niwaka.com/ksm/radio/wedding/guest-speach/base/05/ - マイナビウエディング「結婚式で避けたい【忌み言葉一覧(言い換え例付)】をチェック」
https://wedding.mynavi.jp/contents/press/detail/post-165/
忌み言葉として挙げられる語は媒体によって範囲が異なります。本記事は複数の解説に共通して挙がるものを中心にまとめました。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している作法は一般的な目安です。地域・家・会場によって考え方が異なる場合があります。迷ったときは、招待状の記載や、同じ立場で出席する人・親族に確認してください。