結論

「先ほどはお電話をいただいたようで、折り返しご連絡いたしました」を 基本形として覚えておけば、 相手が取引先でも社内の上司でも、そのまま使いまわせます。

中身は名乗り、折り返しである旨、都合の確認の三つだけで足りますし、 用件のほうは相手が持っているものですから、 こちらから切り出す必要はありません。

基本の型

席へ戻ると机の上に「〇〇商事様よりお電話」と書かれた付箋が貼ってあり、 受話器を取り上げたところで、 最初の一言をどう始めればよいのかで手が止まります。 番号を押す前に整理しておけば済む話ではあるものの、その数秒がなかなか取れません。

迷ったときの軸は三つの要素を順番に置くだけという一点で、 名乗り、折り返しである旨、そして今話せるかどうかの確認を並べれば、 それ以上のことを考えずに済みます。 用件そのものは相手の側にあるのですから、こちらが用意しておくのは入口の部分だけで構いません。

順言葉
1. 名乗る 「〇〇株式会社の〇〇と申します」と名乗ります
2. 折り返しである旨 「先ほどはお電話をいただき、ありがとうございました」と続けます
3. 都合を確認 「今お時間よろしいでしょうか」と一度尋ねます
4. 用件へ 相手が話し始めるのを待ちます
5. 終わり際 用件を復唱してから受話器を置きます

三番目に置いた都合の確認だけは、どれほど急いでいても省かないでください。こちらが折り返しているとはいえ、相手が電話をかけてきたのは十分前のことで、そのあいだに別の打ち合わせが始まっていることも珍しくありません。ひと言尋ねておけば、相手のほうから「今は立て込んでいるので後ほど」と断れるようになります。

電話が苦手だと感じているのは自分だけではなく、 ソフツーが2023年8月にGMOリサーチを通じて562人へ行った調査でも、 電話に苦手意識を感じると答えた方が全体で57.8パーセントを占め、 20代から30代に限ると72.7パーセントに達していました。

同じ調査では20代の 41.4パーセントが「自分の知識で正しく回答できるか不安」、 27.3パーセントが「上司にうまく取り次ぎできるか不安」と答えています。 型を一つ決めて手元に置いておくと、この不安のうちかなりの部分は入口の段階で消えます。

用件はこちらから切り出さないでください

折り返しはもともと相手の側に用件がある電話ですから、「どのようなご用件でしょうか」と先に尋ねると、聞き出しているような響きになってしまいます。

名乗って都合を確認したら、そこで一度黙って相手が話し始めるのを待ってください。沈黙が一秒か二秒あったとしても、相手はその間に手元の資料を開いているものです。

取引先への折り返し

取引先へかけ直すときは、 普段こちらから用件を持ってかける電話とは組み立てが変わります。 相手が先に手を伸ばしてきた形である以上、 いきなり自分の話から入ると、噛み合わないまま数十秒が過ぎていきます。

増えるのは着信への返しであることを示す一言だけで、 名乗りと用件のあいだにこれを挟むと、 相手は自分がかけた電話の続きだと分かって話を再開できますし、 受付を経由するのか本人が直接出るのかによって、その一言を置く場所が少しだけ変わります。

場面言い方
受付・代表番号 「〇〇株式会社の〇〇と申します。〇〇様はいらっしゃいますか」と取り次ぎを頼みます
本人が出た 「先ほどはお電話をいただき、ありがとうございました」から入ります
伝言を受けていた 「〇〇の件でご連絡をいただいたと伺いました」と続けます
用件が分かっている 「お見積りの件でしょうか。資料を手元に用意しております」と添えます
留守番電話が入っていた 「お留守番電話を承りました」と先に伝えておきます
相手が急いでいた様子 「お急ぎでいらっしゃいましたか」と最初に確かめます

用件の見当がついているのであれば、それを先に口にしてしまって差し支えありません。「お見積りの件でしょうか、資料を手元に用意しております」と添えるだけで、相手は背景の説明から始めずに本題へ入れますし、こちらが席へ戻ってすぐ手を打ったことも同時に伝わります。反対に見当がついていないときは、無理に当てにいかず、相手が話し始めるのを待つほうが結果として早く済みます。

かけ直す前の三十秒で、 直前のやり取りの記録と関係する資料を机に出しておくと、 話の途中で保留にして探しに行く場面がなくなります。 前回の見積書とやり取りの控えを開いておけば、たいていの用件はその場で答えられます。

相手の会社に同じ名字の方が複数いる場合は、 受付で部署名まで添えて取り次ぎを頼むと行き違いが起きません。 折り返しの電話は相手も待っている状態ですから、 別の方につながってしまうと、その分だけ双方の待ち時間が延びます。

社内への折り返し

社内が相手だと、 顔も声も分かっている安心感から前置きを飛ばしてしまいがちで、 受話器を取るなりいきなり用件から話し始めることがありますが、 相手のほうはそのとき、こちらとは関係のない別の作業の途中にいます。

押さえておきたいのは 相手はこちらへ電話したことを覚えているとは限らないという点で、 とくに午前中に何件も連絡を回したあとだと、 どの件の返事なのかが分かりませんから、 折り返しである旨を一言添えるだけで、相手は該当の案件をすぐ思い出せます。

相手言い方
上司 「〇〇です。お電話をいただいていたようで、失礼いたしました」と伝えます
同僚 「〇〇です。先ほどお電話いただいていましたよね」で足ります
他部署 「営業部の〇〇です。先ほどは失礼いたしました」と部署から名乗ります
目上の方 「お電話に出られず、申し訳ございませんでした」と一度詫びます
在宅勤務の相手 「今お手すきでしょうか」と都合から確かめます

社内であっても「お電話をいただいていたようで」の一言は入れておいてください。この一言があるかないかで相手が思い出すまでの時間はまるで変わりますし、用件から入って「何の話でしたか」と聞き返されてしまうと、結局こちらが最初から説明し直すことになります。わずか数秒の前置きを足しておくだけで、そのやり直しをまるごと避けられます。

席を離れているあいだの着信は、 戻ったらまとめて折り返す時間を作っておくと取りこぼしが減ります。 さきほどの調査では1日に取る電話の回数は1人あたり平均7.4回で、 50代では平均12.7回にのぼっていました。

1件あたりの通話時間は平均で3.1分ですから、 数件まとめても十数分あれば片づく計算になります。 午前と午後に一度ずつ折り返しの時間を決めておくと、 作業を細切れに中断される回数そのものを減らせます。

遅れたときのお詫び

終日の外出から夕方に戻ってみると、 昼前の着信履歴がそのまま残っていた、 という日は誰にでもあります。 時間が空くほど、かけ直しの一言目が重くなっていくのがこの状況の難しいところです。

軸になるのは詫びる量を遅れの幅に合わせることで、 足りなければ軽く見えますし、 重ねすぎると相手のほうが用件を切り出しにくくなります。 遅れた理由についても、こちらから聞かれない限りは、一言だけ添えておく程度で足ります。

遅れ言い方
30分〜数時間 「ご連絡が遅くなり、申し訳ございません」と述べます
翌日 「昨日はお電話をいただきながら、失礼いたしました」と詫びます
数日 「大変ご連絡が遅くなり、申し訳ございません」と改めます
出張・外出 「外出しておりまして」と一言だけ添えます
会議中だった 「席を外しておりまして」で説明は足ります
休暇明け 「休みをいただいておりました」と事実だけ伝えます

お詫びは冒頭で一度きちんと述べておけば、それで十分に伝わります。用件の途中で「申し訳ございません」を挟み続けると、相手はそのたびに話を止めることになり、本題が終わるまでの時間だけが延びていきます。最初にきちんと述べたら、あとは用件のほうへ気持ちを向けてください。

遅れた理由を長く説明しないのも要点の一つで、 相手が知りたいのは事情ではなく用件の答えのほうです。 渋滞や乗り継ぎの話まで持ち出すと、 詫びているというより言い訳しているように受け取られます。

翌日以降になってしまったときは、 電話の前に一行のメールを先に入れておくと着地が楽になります。 「本日中に改めてお電話いたします」と送っておけば、 相手はこちらの動きが読めますし、待たされている感覚も薄れます。

相手も不在だったとき

かけ直したところ、 今度はこちらの電話が相手の外出と重なってしまい、 受付の方から「ただいま席を外しております」と返ってくる、 という行き違いは折り返しに付きもので、 何も決めずにそのまま切ってしまうと、しばらくしてまた相手からかかってきます。

ここでの軸は次にどちらが動くのかを決めてから切ることにあり、 戻り時間を尋ねてこちらからかけ直すのか、 相手からの連絡を待つのかをはっきりさせておけば、 同じすれ違いが三度も四度も続くことはありません。

状況対応
受付が出た 「折り返しのお電話をいただいた件でご連絡いたしました」と伝えます
伝言を頼む 「〇〇から折り返しの連絡があった旨、お伝えください」と頼みます
戻り時間を聞く 「何時頃お戻りでしょうか」と確かめておきます
またかけると伝える 「改めてご連絡いたします」と次の動きを示します
留守番電話 社名と名前と用件と連絡先を短く残します
行き違いが続く 三度目からはメールへ切り替えます

行き違いが2回から3回続いたら、そこでメールに切り替えてください。電話を重ねても互いの時間を削るだけですし、留守番電話の応酬になると用件そのものが前へ進みません。「お電話が行き違いになりますので、メールにて失礼いたします」と一行添えれば、失礼にはあたりません。

留守番電話は20秒以内に収めてください

録音できる長さには限りがあり、長く話すと肝心の連絡先のあたりで切れてしまいますから、社名と名前と用件と連絡先の四つだけに絞ってください。

社名と自分の名前を名乗ったうえで、折り返しの連絡である旨と、改めてこちらからかけ直す旨を続ければ、それだけで十分に伝わります。連絡先の番号を残すときは、少しゆっくりめに二度繰り返しておくと、聞き返される手間が省けて確実です。

何度かけても捕まらない相手には、 こちらの在席している時間帯を伝えておく方法もあります。 「午後は終日席におりますので、ご都合のよいときにお願いいたします」と残しておけば、 次にいつかけるかという一手を、相手の側の都合で選んでもらえます。

それでも決まらない用件であれば、 電話にこだわらずに要点を書いたメールへ移してしまうほうが早く片づきます。 相手が読める時間に読んで返せますし、 金額や日付といった数字については、声で伝えるより文字で渡すほうが取り違えが起きません。

電話を終えるときのマナーを見る

折り返しの言い方に一つの正解があるわけではなく、 相手が取引先か社内かによっても、 遅れがどれくらいかによっても、ちょうどよい言葉は変わってきます。 きちんと詫びてから入るほうが収まる相手もいれば、 前置きを短くして本題へ進んだほうが喜ばれる相手もいます。

どの場面でも変わらないのは、 名乗ってから相手の都合を一度確かめるという一点だけで、 これさえ押さえていれば、続く言葉が多少ぎこちなくても失礼にはなりません。 相手の側にとっても、いま話せるかどうかを自分で決められるほうが、ずっと気楽に受けられます。

折り返しの基本を見る

よくある質問

折り返し電話では何と言いますか?

名乗り、折り返しである旨、都合の確認の三つです。「〇〇株式会社の〇〇と申します。先ほどはお電話をいただき、ありがとうございました。今お時間よろしいでしょうか」で足ります。

電話が苦手なのは自分だけでしょうか?

ソフツーが2023年8月にGMOリサーチを通じて562人へ行った調査では、電話に苦手意識を感じると答えた方が全体で57.8パーセント、20代から30代では72.7パーセントでした。20代の41.4パーセントが「自分の知識で正しく回答できるか不安」と答えており、型を決めておくと入口の不安は減ります。

「どのようなご用件でしょうか」と聞いてよいですか?

聞き出しているような響きになりますから、名乗って都合を確認したら、そこで一度黙って相手が話し始めるのを待ってください。折り返しはもともと相手の側に用件がある電話です。

用件が分かっている場合は?

それを先に口にしてしまってください。「お見積りの件でしょうか。資料を手元に用意しております」と添えると、相手は背景の説明から始めずに本題へ入れます。

社内への折り返しでも前置きは要りますか?

要ります。相手はこちらへ電話したことを覚えているとは限らず、何件も連絡を回したあとだとどの件の返事か分かりません。「お電話をいただいていたようで」の一言で、思い出すまでの時間が変わります。

遅れたときのお詫びはどう言いますか?

翌日なら「昨日はお電話をいただきながら、失礼いたしました」です。お詫びは冒頭の一度で十分で、用件の途中で挟み続けると相手はそのたびに話を止めることになります。

遅れた理由はどこまで説明しますか?

「外出しておりまして」「席を外しておりまして」といった一言で足ります。相手が知りたいのは事情ではなく用件の答えのほうですから、渋滞や乗り継ぎまで持ち出すと言い訳のように受け取られます。

相手も不在だったときは?

受付に「折り返しのお電話をいただいた件でご連絡いたしました」と伝言を頼み、戻り時間を尋ねたうえで「改めてご連絡いたします」と次の動きを示してください。行き違いが2回から3回続いたら、そこでメールに切り替えます。

留守番電話には何を残しますか?

社名と名前と用件と連絡先を20秒以内に収めてください。長く話すと肝心の連絡先のあたりで切れてしまいます。番号を残すときは、少しゆっくり二度繰り返しておくと確実です。

まとめ

  • 名乗り、折り返しの旨、都合の確認で組み立てます
  • 「今お時間よろしいでしょうか」を省きません
  • 用件はこちらから切り出しません
  • 見当がついているなら資料を用意したと伝えます
  • 社内でも折り返しである旨を一言添えます
  • お詫びは冒頭の一度で足ります
  • 行き違いが続いたらメールへ切り替えます
  • 留守番電話は20秒以内に収めます

参考情報

  1. 個人情報保護委員会
    https://www.ppc.go.jp/
  2. 個人情報保護委員会「法令・ガイドライン等」
    https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/
  3. 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」
    https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/
  4. ソフツー「電話業務に関する実態調査」(2023年8月4日〜7日実施、GMOリサーチによるオンラインリサーチ、全国20歳以上の有職者562人回答)
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000063.000028096.html

電話・メールの作法に公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。会社ごとに定められた手順がある場合は、そちらが優先します。メールの誤送信など個人情報の取り扱いに関わる部分は、個人情報保護委員会の資料を参照し、2026年8月15日に確認しました。

本記事で紹介している作法は一般的な目安です。会社・業界によって慣行は大きく異なります。社内に定められた手順や文例がある場合は、そちらに従ってください。