結論
電話を受けるときは3コール以内に出て社名と名前を名乗り、要点を復唱するという順で、 この三つを通しておけば、聞き違いも伝え漏れもほとんど起こりません。 復唱は形式ではなく、記録が残らない電話で唯一の確かめ手段になります。
かけるときは用件を先に書き出してから受話器を取ると話が短く済みますし、 「今お時間よろしいでしょうか」と最初に尋ねておけば、相手の都合も確かめられます。 日時や金額のような数字については、必ず言い換えて確かめてください。
電話の3原則
職場の電話が鳴ったときに手が止まるのは、 誰からの用件かも分からないまま出ることになるからで、 内容を選べないぶん、いくらか身構えたまま受話器へ手を伸ばすことになります。 とりわけ入社して間もない時期であれば、名乗り方ひとつを取っても迷いが出ます。
ここで判断が分かれるのは慣れの有無ではなく何を決めごとにしておくかという点で、 その場で考えなければならないことが多いほど言葉に詰まりますし、 出る速さ・名乗り・復唱の三つを先に決めておけば、残りは用件を聞くだけになります。 この三つについては、相手が誰であっても変わらずにそのまま使えます。
| 原則 | 中身 |
|---|---|
| 3コール以内に出る | それを過ぎたら、お待たせした旨を添えます |
| 社名と名前を名乗る | 相手が確かめ直す手間を省けます |
| 要点を復唱する | 聞き違いを、その場で正せます |
| 利き手と反対で持つ | 空いた手で、すぐ書き取れます |
| メモを先に用意する | 探しているあいだ、相手を待たせずに済みます |
| 切るのは相手より後 | 言い足りないことがあれば、そこで受けられます |
復唱がとりわけ大事になるのは、電話にはやり取りの記録がまったく残らないからです。電子メールであれば後から読み返せますが、電話は聞き違えたままでも気づく機会がありません。その場で繰り返して確かめておくということが、唯一の確認の手段になります。
実際によくあるのは、鳴っているのに誰も取らずコール音が続くという場面で、 自分の担当ではないと誰もが考えているうちに、相手を待たせることになります。 かけている側からは、その職場がいま忙しいのかどうかも見当がつきません。
鳴った電話は担当かどうかにかかわらず、近くにいる者が取ると決めておくと動きが早くなりますし、 用件が分からない場合であっても、取り次ぐところまでであれば誰にでもできます。 3コールを過ぎてしまったのであれば、「お待たせいたしました」と添えてから名乗ります。
受けるときの流れ
受話器を取ってから切るまでの間には、 名乗り・用件の聞き取り・取り次ぎ・締めくくりという決まった流れがあります。 その順を知らないまま出てしまうと、聞くべきことを飛ばしたまま切ってしまいます。
判断が分かれるのは丁寧さの度合いより相手の名前をいつ確かめるかという点で、 用件を聞いてから尋ね直すと、こちらが聞いていなかったように受け取られますし、 名乗られた時点で書き取っておきさえすれば、その後の取り次ぎもすぐに進みます。 聞き取れなかったのであれば、その時点で尋ね返しておくほうが後で困りません。
| 場面 | どうするか |
|---|---|
| 出たとき | 「お電話ありがとうございます」と名乗ります |
| 相手の名乗り | 社名と名前をその場で書き取ります |
| 聞き取れない | 「恐れ入りますが」と添えて尋ね返します |
| 取り次ぐとき | 保留にしてから、担当者へ伝えます |
| 担当者が不在 | 戻る時刻を伝え、折り返しを申し出ます |
| 切るとき | 相手が切ってから、静かに置きます |
取り次ぐときは、必ず保留の操作をしてから担当者へ声をかけてください。受話器を手で押さえただけでは、周りの会話がそのまま相手へ届きます。担当者を呼ぶ声や、その方についての一言まで聞こえてしまいますので、保留を押す一手間だけは省かないでください。
実際に困るのは、担当者が不在で用件だけを預かるという場面で、 相手の名前と用件は控えたつもりでいても、折り返しの電話番号を聞きそびれています。 相手の名刺が手元に無ければ、かけ直す先そのものが分からなくなってしまいます。
不在を伝えたあとは折り返しの番号を必ず尋ねてから切るようにすると抜けませんし、 「念のため、お電話番号をお伺いしてもよろしいでしょうか」と添えれば角も立ちません。 戻る時刻をあわせて伝えておけば、相手のほうでかけ直すかどうかを判断できます。
かけるときの流れ
こちらからかけるときは、相手の時間へ割り込む形になるのが受けるときとの違いで、 話しながら頭の中で考えていると、その分だけ相手の手を止めることになります。 話している途中で資料を探し始めれば、相手を待たせる時間はさらに延びます。
判断が分かれるのは手際のよさよりかける前に用件が形になっているかという点で、 要点を三つほど書き出してから受話器を取れば、話す順に迷いませんし、 尋ねたいことを飛ばしたまま切ってしまうということもなくなります。 相手の都合を最初に確かめておけば、長くなりそうなときには掛け直すこともできます。
| 手順 | 中身 |
|---|---|
| かける前 | 用件を三つほど書き出しておきます |
| 名乗り | 社名と部署、名前まで最初に伝えます |
| 都合を尋ねる | 「今お時間よろしいでしょうか」と添えます |
| 本題 | 結論を先に置いてから、経緯を説明します |
| 締めくくり | 決まったことを復唱してから切ります |
| 切る順番 | かけた側から先に、静かに切ります |
「今お時間よろしいでしょうか」の一言は、形式的な前置きではありません。相手が来客中や会議の直前であれば、その場で掛け直しの時刻を決められますし、無理に続けて要点だけを急がせることもなくなります。何も尋ねないまま話し始めてしまうと、聞く側は切り出すための間を失います。
よくあるのは、話しているうちに用件が増えて長引くという場面で、 本題が終わったあとに思い出したことを付け足すたびに、話が最初のほうへ戻ります。 相手のほうは切るに切れないまま、こちらの頭の整理に付き合うことになります。
かける前に用件を書き出して、その順に話すと決めておくだけで防げますし、 話し終えたときには、書き出しておいた項目がすべて片づいている形になります。 後から思い出した用件については、電子メールに回すほうが相手の時間を奪いません。
メモの取り方
電話を受けながら書き取るときに難しいのは、 聞きながら要点を選ぶという二つの作業を同時に進めることで、 きちんとした文章として書こうとすると、次の言葉のほうを聞き逃すことになります。 走り書きが後から読めなくなって、伝言そのものが役に立たないということも起こります。
判断が分かれるのは書く速さより何を書くかを決めているかという点で、 いつ・誰から・何の用件・折り返しの要不要という項目を先に決めておけば、 あとは聞きながらその項目を埋めていくだけで済みます。 文章の形にするのは電話を切ってからでよく、そのほうが読める伝言になります。
| 書くこと | 書き方 |
|---|---|
| 日付と時刻 | 受けた時刻まで、必ず書き添えます |
| 相手の社名と名前 | 聞き取れた字で書き、後で確かめます |
| 折り返しの番号 | 復唱しながら、一桁ずつ書き取ります |
| 用件 | 単語で書き、文章は後で整えます |
| 折り返しの要不要 | どちらからかけるのかを書いておきます |
| 受けた人 | 自分の名前を書き、後で尋ねられるようにします |
電話で聞き取った数字は、言い換えて確かめておくと聞き違いが残りません。「いち」と「しち」、「いっぱち」と「いちはち」は電話ごしではとりわけ紛れますので、「1のあとに8」のように区切って読み上げてください。日付についても、曜日をあわせて添えて確かめておくと取り違えが起きません。
実際に起きやすいのは、走り書きしたメモを本人が読み返せないという場面で、 伝言を渡す段になってから、社名の一部や番号の一桁が読み取れなくなります。 受けた時刻を書き添えていなければ、いつかかってきた電話かも分からなくなります。
電話を切った直後にその場で清書して、抜けているところを補うと確実ですし、 記憶が残っているうちであれば、走り書きの状態からでも十分に起こせます。 清書したものを担当者の机へ置くときには、日付と自分の名前まで入れておいてください。
仕事の電話をかけてよい時間帯を見る場面別の記事
電話の受け方に決まった正解があるわけではなく、 職場の決めごとと相手の都合を見ながら、聞き違いが残らない形で進めればそれで足ります。 すぐ取る職場もあれば、担当が決まっている職場もあり、 どちらが正しいということでもありません。
どの相手でも変わらないのは、名乗ってから話し始めることと、 聞き取った要点をその場で復唱することの二つだけで、 この二つさえ守っていれば、細かな言い回しを思い出せなくても失礼にはなりません。 かけてきた側にとっても、そのほうが用件が確かに伝わったと分かります。
よくある質問
何コールで出ればよいですか?
3コール以内が目安です。それを過ぎたのであれば、「お待たせいたしました」と添えてから名乗ってください。担当かどうかにかかわらず、近くにいる者が取ると決めておくと動きが早くなります。
なぜ復唱するのですか?
電話には記録がまったく残らないためです。電子メールであれば後から読み返せますが、電話は聞き違えたままでも気づく機会がありません。その場で繰り返すことが唯一の確認の手段になります。
取り次ぐときの注意はありますか?
必ず保留の操作をしてから担当者へ声をかけてください。受話器を手で押さえただけでは、担当者を呼ぶ声やその方についての一言まで相手に届いてしまいます。
担当者が不在のときは?
戻る時刻を伝えて折り返しを申し出たうえで、折り返しの電話番号を必ず尋ねてから切ってください。「念のため、お電話番号をお伺いしてもよろしいでしょうか」と添えれば角も立ちません。
かける前にすることはありますか?
用件を三つほど書き出してから受話器を取ってください。話す順に迷いませんし、尋ねたいことを飛ばしたまま切ってしまうということもなくなります。
「今お時間よろしいでしょうか」は必要ですか?
形式的な前置きではありません。相手が来客中や会議の直前であればその場で掛け直しの時刻を決められますし、何も尋ねないまま話し始めてしまうと、聞く側は切り出すための間を失います。
メモは何を書けばよいですか?
日付と時刻、相手の社名と名前、折り返しの番号、用件、折り返しの要不要、受けた自分の名前です。数字は「1のあとに8」のように区切って読み上げると聞き違いが残りません。
まとめ
- 3コール以内に出るようにします
- 社名と名前を名乗ってから話します
- 聞き取った要点を必ず復唱します
- 取り次ぐときは保留にしてから呼びます
- かける前に用件を書き出しておきます
- 「今お時間よろしいでしょうか」と尋ねます
- 数字は言い換えて確かめます
参考情報
- 個人情報保護委員会
https://www.ppc.go.jp/ - 個人情報保護委員会「法令・ガイドライン等」
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/ - 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/
電話・メールの作法に公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。会社ごとに定められた手順がある場合は、そちらが優先します。メールの誤送信など個人情報の取り扱いに関わる部分は、個人情報保護委員会の資料を参照し、2026年8月15日に確認しました。
本記事で紹介している作法は一般的な目安です。会社・業界によって慣行は大きく異なります。社内に定められた手順や文例がある場合は、そちらに従ってください。