結論

会議室でも応接室でも入口からもっとも遠い側が上座、入口にいちばん近い側が下座で、 この一つを覚えておけば、机の形や椅子の数が変わっても大半の部屋にそのまま当てはめられます。

訪問した側は上座へ案内されますが、 勧められる前に奥の椅子へ腰を下ろすと迎える側の段取りが崩れますので、 案内の言葉をもらうまでは入口寄りで待つほうが収まります。

基本の配置

案内の言葉が「どうぞお掛けください」の一言だけで応接室に残されると、 並んだ椅子のどれに手をかけるかで足が止まります。 同行した上司が先に座ってくれるとはかぎりませんし、こちらが立ったままでは、迎える側の方も次の動きに移れません。

このとき手がかりになるのは机の形でも椅子の数でもなく、扉が部屋のどちら側に付いているかという一点だけで、 その一点さえ押さえておけば、初めて通された部屋でも順序を組み立てられます。

会議室・応接室の席次 入口から遠い側が上座、入口に近い側が下座になります。テーブルを挟んで向かい合う配置で、上座側は左から1・2・3、下座側は入口に近いほうから4・5・6の順に下位の席となります。 入口 上座(入口から遠い側) 1 2 3 6 5 4 下座(入口に近い側) 上位 下位

入口から遠いほど上座になります。数字が小さいほど上位の席です。

図のとおり入口からもっとも遠い席が上座になり、 同じ側に並ぶ席のなかでは中央に近いほう、または窓や絵のある側が上位です。 数字の小さい席ほど上位という並びで、下座の側は入口にいちばん近い席から順に下がっていきます。

ただし実際の部屋では、入口の位置が図とそのまま重ならないことがよくあります。 扉が長辺の中ほどに付いている部屋もあれば、扉が二か所ある部屋も、窓側のほうが入口に近い部屋もあります。

そうした部屋では覚えた図を押し当てようとするより、人が出入りする側からどれだけ離れているかで置き換えたほうが早く決まりますし、 扉が二か所あるなら、実際に人が通っているほうを入口とみなせば、残りの席の順序はおのずと定まります。

実際に迷いやすいのは、細長い会議室に長机が二列並んでいて、扉が部屋の角ではなく側面の中ほどに付いている場合です。 入口から遠い側という言い方だけでは決めきれず、机の端と机の中央のどちらを上に取るかで判断が分かれます。

この場合も、扉から歩いてきた人がまっすぐ届く席ほど下位だと考えれば足ります。 扉に背を向ける席や、資料を配りに立った人が最初に通り過ぎる席が下座にあたり、そこからいちばん離れた席が上座になります。

上座の見分け方

入口から遠い側という基準だけでは決まらない部屋も少なくなく、床の間のある和室や、 長椅子と一人掛けが向かい合う応接室がその代表です。 目印になるものが部屋のなかにいくつも重なると、どれを先に見るかで席の順序が入れ替わります。

判断が分かれるのは、部屋の造作と椅子の種類のどちらを先に見るかという点で、 床の間や掛け軸は部屋そのものの格を示しているのに対して、長椅子か一人掛けかは座り心地の差を示しています。

目印上座になる側
入口入口からもっとも遠い側が上座で、これが基本です
床の間床の間を背にする席が、その部屋の上座です
窓・眺め庭や街並みの見える側を上座に取ります
長椅子と一人掛け長椅子(ソファ)のほうが上座にあたります
絵画・調度掛け軸や飾り棚を背にする側が上位になります
出入りの多い側人がよく通る側は、下座として扱います

考え方の根本は「落ち着いて座れる席かどうか」という一点にあります。人の出入りに気を取られず、扉の開け閉てのたびに立たされることもなく、目の前に眺めがある席が上座に選ばれてきました。目印がいくつも重なって迷ったときは、どの席がいちばん静かに座っていられるかで見比べれば、たいていは同じ答えに行き着きます。

応接室に通されると、片側に三人掛けの長椅子、向かいに一人掛けの椅子が二つという並びになっていることがよくあります。 長椅子は入口から遠い側に据えられているのがふつうで、位置と座り心地の二つの目印が同じ席を指しています。

迷いが出るのは扉のすぐ横に置かれた一人掛けの椅子で、そこは位置から見ても座り心地から見てもいちばん下になります。 お茶を運んできた方に扉を開ける、来客を迎えに立つ、追加の資料を取りに戻るといった動きはその席の人が引き受けますので、 上下関係というより動く役割の割り振りだと考えるほうが、実際の場面では迷いません。

場面別の席次

席次の考え方そのものは共通していても、部屋の形が変われば当てはめ方まで同じというわけにはいきません。 応接室と会議室と円卓とでは、上座と呼ぶ席の決まり方がそれぞれ違っています。

迷いどころは入口から遠い席が一つに絞れない場合で、 横に並んだ二つのどちらを上に取るか、正面の席と側面の席のどちらを上に取るかという判断が要ります。

場所上座
応接室入口から遠い側に置かれた長椅子が上座です
会議室(対面式)入口から遠い側に、来客の方が並びます
会議室(議長席あり)議長席に近い席ほど上位として扱います
円卓入口から遠い席を上座とし、左右へ交互に取ります
和室床の間の前が、その部屋の上座になります
レストランの個室入口から遠い側を上座として案内します
カウンター席厳密な決まりはなく、話しやすい並びで構いません

円卓では上座の次を左隣、その次を右隣と取り、そこから左右へ交互に振り分けていきます。中華料理店の円卓でよく使われる考え方で、上位の方が主賓の両隣に並び、下位になるほど入口へ近づいていく形になります。回転台を挟んで向かい合う席は、遠いようでいて話が通りやすい位置でもあります。

議長席のある会議室は、入口からの距離だけでは決まらない部屋の代表です。 細長い机の短辺に椅子が一つだけ置かれ、そこに進行役が座る形になっていると、上位の席はその椅子のそばへ移ります。

会食で使われる個室も、入口から遠い側という基本は変わりませんが、床の間があればそちらが先に立ちます。 カウンター席だけは厳密な決まりが無く、店員さんとのやり取りや料理の出る位置で並びが自然に決まりますので、 席の順序で気を張る必要はありません。

自分はどこに座るか

取引先の会議室へ先に通されて、相手の方がまだ来ていないという時間が、いちばん落ち着かない場面です。 訪問した側が上座だと聞いていても、誰もいない部屋でいきなり奥の椅子へ座ってよいものかどうかが分かりません。

ここで分かれ目になるのは、上座に座ってよい立場かどうかではなく、案内の言葉をもらったかどうかという一点です。 同じ席に座るのでも、勧められてから座るのと自分の判断で先に座るのとでは、迎える側の受け取り方がまるで違います。

立場座る場所
訪問した側上座にあたりますが、勧められてから座ります
迎える側入口に近い下座の側へ並んで座ります
案内される前下座の側に立つか、浅く腰かけて待ちます
同行者の中で最も若手自社側のいちばん下座に座ります
扉に近い席若手が座り、出入りの用を引き受けます
上座を勧められた一度辞退し、重ねて勧められてから座ります

案内される前に自分から上座へ座ってしまうと、迎える側の段取りが崩れます。相手には座っていただく順序も、資料を配る向きも、お茶を出す順番もあらかじめ決めてあることが多く、先に座られるとその組み直しから始めることになります。上座に案内されるのは訪問した側だとしても、それは勧められてからの話です。

三人で訪問して、部長と課長と入って間もない自分という並びになると、若手の席は自社側のいちばん入口寄りに決まります。 お茶が運ばれてきたときや、追加の資料が要ると言われたときに、立つのは扉に近い席の人だからです。

これは序列を示すための決まりというより役割の割り振りで、扉際の人がすぐ動けるようにしておけば、話そのものが止まりません。 上座を勧められたときも、一度は辞退しておいて、重ねて勧められてから腰を下ろすと、その場の順序が崩れずに済みます。

席次をどれくらいの人が守っているかは、エン株式会社が転職サイトの利用者に対して行った「ビジネスマナー」に関する意識調査からうかがえます。 2025年9月1日から9月30日までインターネットで行われ、有効回答は1,435名でした。

普段ビジネスマナーとして気をつけている行動を尋ねた設問で、打合せや会食のときに上座下座の位置を守ると答えた人は20代が27パーセント、40代以上が47パーセントで、 この設問のなかでは年代の開きがもっとも大きい項目でした。 同じ調査ではビジネスマナーが必要だと答えた人が98パーセントに達し、そちらには年代の差がほとんど見られません。

これは実際に誰がどこへ座ったかを数えた集計ではなく、自分が何に気をつけているかを尋ねた意識調査です。 それでも、席次だけは世代によって受け取り方が離れており、同じ部屋にいても気にしている人と気にしていない人が混ざっていることは読み取れます。

迷ったとき

通された部屋が図のどれにも当てはまらないということは、実際にはよく起こります。 壁の一面が窓で、机が斜めに置かれ、扉が二か所あるという部屋では、覚えた形を当てはめる先そのものがありません。

そこで分かれるのは、黙って自分で決めてしまうか、その場の人に一言確かめるかという二つで、 どちらを選ぶかによって、座ったあとの落ち着き方まで変わってきます。

状況どうするか
勧められた席があるその席に座るのが、いちばん確実です
判断がつかない「こちらでよろしいでしょうか」と尋ねます
自分から動くとき上座に座らなければ、大きな失敗にはなりません
相手より先に座りそう相手が座ってから、自分も腰を下ろします
座ってから気づいた途中では移動せず、そのまま話を続けます

「恐れ入ります、こちらでよろしいでしょうか」と尋ねてしまうのが、いちばん早く片づく方法です。席次を取り違えたまま黙って座っているより、その場で確かめるほうがよほど自然に見えますし、会議室の形は会社ごとに違いますから、その部屋を毎日使っている人がいちばんよく知っています。

座ったあとで、どうやら上座に腰を下ろしてしまったらしいと気づくこともあります。 相手の方が入口寄りにそろって座り、こちらが奥の側に一人だけ残っているという形になって、そこで初めて分かるという順序です。

それでも、話の途中で席を立って移り直すことだけはしないでください。 挨拶や名刺交換が済んだあとに椅子を動かすと、その場の全員の話が止まりますし、 席次を取り違えたことより、進行を止めたことのほうがあとまで記憶に残ります。

エレベーターの席次を見る

席次に一つの正解が決まっているわけではなく、部屋の造りも、扉の数も、その会社が慣れている並べ方も違います。 床の間のある和室なら床の間の前が先に立ちますし、議長席のある会議室ならその椅子のそばが上位に移りますので、 覚えた図をそのまま押し当てても答えが出ないことのほうが多いはずです。

どの部屋でも変わらないのは、人が出入りする側から遠い席ほど落ち着いて座れるということと、 勧められる前に自分から奥へ座らないということの二つだけです。 この二つさえ守っていれば細かい並べ方を思い出せなくても失礼にはなりませんし、 分からないときにその場の人へ一言尋ねること自体が、不作法になることもありません。

よくある質問

会議室の上座はどこですか?

入口から遠い側が上座、近い側が下座です。同じ側では中央に近いほう、または窓や絵のある側が上位になります。この一つでほとんどの場面に対応できます。

なぜ入口から遠い側が上座なのですか?

落ち着いて座れる席だからです。人の出入りに気を取られず、扉の開け閉てのたびに立たされることもなく、眺めもよい席が上座になります。逆に入口に近い席は、お茶を運ぶ、扉を開ける、来客を迎えるといった役割を担いますので、上下関係というより役割の割り振りだと考えると判断しやすくなります。

円卓の席次はどうなりますか?

入口から遠い席が上座で、そこから左隣、右隣と交互に配置します。中華料理店の円卓でよく使われる考え方で、上位の方が主賓の両隣に並び、下位になるほど入口へ近づいていきます。

訪問した側はどこに座りますか?

上座ですが、勧められてからです。案内される前に上座へ座らないでください。座っていただく順序も資料を配る向きも相手が決めてあることが多く、先に座ると段取りが崩れます。それまでは下座で待ちます。

若手はどこに座りますか?

自社側のいちばん入口寄りです。お茶が運ばれてきたときや追加の資料が必要になったとき、立つのは扉に近い席の人だからです。序列というより役割で、扉際の人がすぐ動けるようにしておけば話が止まりません。

席次が分からないときはどうしますか?

「恐れ入ります、こちらでよろしいでしょうか」と聞いてください。席次を間違えて黙って座っているよりはるかに自然です。会議室の形も会社ごとに違い、その場の人がいちばんよく知っています。座ってから気づいた場合は、途中で移動せずそのまま話を続けてください。

まとめ

  • 上座は入口からもっとも遠い側にあります
  • 下座は入口にいちばん近い側になります
  • 下座に座った人が出入りの用を引き受けます
  • 和室では床の間の前が上座になります
  • 円卓は上座から左右へ交互に取ります
  • 訪問した側も勧められてから座ります
  • 若手は扉に近い席に座ります
  • 迷ったときはその場で尋ねて構いません

参考情報

  1. e-Gov法令検索「労働基準法」
    https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
  2. 厚生労働省「モデル就業規則」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
  3. 厚生労働省「労働時間・休日」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/index.html
  4. エン株式会社『エン転職』「ビジネスマナー」に関する意識調査(2025年9月1日〜9月30日実施・有効回答1,435名)
    https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/43809.html

本文で引用したエン株式会社『エン転職』の「ビジネスマナー」に関する意識調査は、2025年9月1日から9月30日までインターネットで行われた有効回答1,435名のもので、実際にどう座ったかを数えた集計ではなく、自分が何に気をつけているかを尋ねた意識調査です。ビジネスマナーそのものに公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。勤怠に関わる部分(遅刻・欠勤・早退・休暇)は会社の就業規則が優先します。出典は労働基準法および厚生労働省の資料で、2026年8月15日に確認しました。

本記事で紹介している作法は一般的な目安です。会社・業界によって慣行は大きく異なります。とくに勤怠の手続きは就業規則で定められており、そちらが優先します。入社後は自社のルールを確認してください。