結論
円卓の上座は入口からもっとも遠い席です。 そこから左隣が2番目、右隣が3番目と、 左・右・左・右と交互に下がっていきます。
もてなす側(主催者・接待する側)は入口に近い席に座ります。 料理の指示や会計のために、店の方と話しやすい位置だからです。
席が決まっている店では、案内に従えば足ります。 席札が置かれていたら、自分で判断する必要はありません。
上座はどこか
円卓には角がないため、どこが「奥」なのか一目で分かりません。 四角いテーブルなら並びで見当が付きますが、円卓では手がかりが要ります。
基準は入口です。入口からもっとも遠い席が上座で、 入口にもっとも近い席が下座になります。 理由は実際的で、入口の近くは人の出入りがあり、 料理を運ぶ動線にもかかるため落ち着かないからです。
| 順位 | 席の位置 |
|---|---|
| 1(上座) | 入口からもっとも遠い席 |
| 2 | 上座の左隣 |
| 3 | 上座の右隣 |
| 4 | 2のさらに左隣 |
| 5 | 3のさらに右隣 |
| 最下位(下座) | 入口にもっとも近い席 |
| 個室で入口が2か所 | 主に使うほうの入口を基準にします |
「入口から遠い」は、扉そのものからの距離ではなく、人が出入りする動線からの遠さです。扉のすぐ横でも壁を背にして動線から外れているなら、そこが落ち着く席になります。迷うときは、店の方に「どちらが奥になりますか」と聞けば教えてもらえます。
なぜ左・右と交互に振るのか
順に一周させると考えている方が多いのですが、円卓ではそうしません。 上座から時計回りに2位・3位・4位と並べると、 主賓のすぐ右隣にいちばん下の立場の人が来てしまいます。
上座の両隣が2位と3位になるように、 左・右・左・右と交互に振ります。こうすると、 立場の近い人どうしが隣り合い、主賓の両隣が上位で固まります。 席次はこの一点さえ押さえれば、あとは自然に決まります。
| 場面 | 左右の考え方 |
|---|---|
| 円卓の席次 | 上座に座る本人から見て左が上位 |
| 記念写真 | 中央が上位。次は向かって左 |
| のしの連名 | 向かって右が上位(書く側から見ると左) |
| 和室の床の間 | 床の間の前が上座。入口からの距離より優先します |
| ソファ席がある洋室 | ソファ側が上座 |
| 「向かって左」と言われた | 見る側から見た左。座る人から見ると右です |
混乱の原因は「誰から見た左右か」です。円卓の席次でいう左は、上座に座る本人から見た左を指します。向かい側から眺めた左右ではありません。図で確認するときは、上座に自分が座ったつもりで見てください。
人数別の並び方(6人・8人・10人)
規則は同じでも、人数が変わると見え方が変わります。 とくに主催者側と招く側の人数が違うとき、どこで区切るかで迷います。
考え方は「奥半分が招かれた側、入口側半分が招く側」です。 円卓を入口から見て奥と手前で二分し、 奥にゲスト、手前にホストを置けば、たいていの人数で収まります。
| 人数 | 並べ方の目安 |
|---|---|
| 6人(客3・主催3) | 奥の3席に客、入口側の3席に主催者側 |
| 8人(客4・主催4) | 奥の4席に客。主賓は奥の中央 |
| 10人(客5・主催5) | 同じ考え方。主賓の左右に準主賓・年長者 |
| 人数が偏る | 主賓を奥中央に固定してから、左右へ振ります |
| 夫婦で出席 | 並べても、離しても構いません。店に伝えておきます |
| 通訳が入る | 主賓の斜め後ろか隣に置きます |
| 大人数で2卓以上 | 入口から遠い卓が上位。主賓はその卓の奥中央へ |
主賓を先に決め、そこから振っていくのが早いです。全員の順位を同時に考えると必ず行き詰まります。「奥中央に主賓」「その左に次席」「その右に三席」と順に置いていけば、人数が変わっても手順は変わりません。
もてなす側はどこに座るか
接待や会食を設定した側は、上座を空けたあと 自分たちがどこに座るかで迷います。 「いちばん下座に一番若い人」でよいのか、という点です。
主催者は入口に近い席に座ります。 これは格下だからではなく、店の方と話す・追加を頼む・会計に立つという 役目があるからです。実務のための位置だと考えてください。
| 立場 | 座る位置 |
|---|---|
| 主賓(もっとも上位の客) | 入口からもっとも遠い席 |
| 主催者側の責任者 | 主賓の正面あたり、入口寄り |
| 会計・手配の担当 | 入口にもっとも近い席 |
| 主催者側の上司 | 主賓の近くへ。話す相手が向かい合います |
| 料理を取り分ける人 | 入口寄り。立ちやすい位置です |
| 自分が招かれた側で若手 | 入口寄りに座ります |
| 席を勧められた | 辞退しすぎず、勧められた席に座ります |
勧められた席を固辞し続けないでください。「そちらへどうぞ」と案内されたら、一度遠慮を述べて座るのが収まりのよい形です。押し問答が続くと全員が着席できず、料理の時機もずれます。
入口が見えない・席が決まっている場合
決まりどおりに判断できない卓もあります。 個室で入口が背面にある、窓や庭が見どころになっている、 席札が置かれているといった場合です。
優先順位は「店や主催者の指定 → 眺めや設え → 入口からの距離」です。 指定があるならそれが答えで、自分で組み直す必要はありません。
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 席札がある | そのとおりに座ります。動かしません |
| 店の方に案内された | 案内に従います |
| 眺めのよい窓側がある | 眺めの見える席を上座にすることがあります |
| 入口が背面で見えない | 人の出入りが少ない側を上座とみなします |
| 冷暖房の風が強く当たる席 | そこは上座にしません |
| 段差・柱で見通しが悪い席 | 上座にしません |
| 自由席と言われた | 年長・立場が上の方から先に座ってもらいます |
「入口から遠い」は目的ではなく手段です。もともとは落ち着いて食事ができる席を上位の方に譲る、という考え方から来ています。風が当たる、柱で見えにくいといった席は、入口から遠くても上座にはなりません。
席次より優先されるものがあります
身体の事情は席次に優先します。足の具合で立ち座りが難しい方、耳の聞こえに配慮が要る方、車椅子の方は、動きやすさ・聞き取りやすさを先に考えてください。
「本来はこちらが上座ですが、お立ちになりやすいこちらへ」と一言添えれば、格を下げた扱いにはなりません。
迷ったときの決め方
その場で判断が付かないことはあります。 全員が入口で止まってしまうのがいちばん困る形です。
決め方の順番を持っておくと止まりません。 ①店に聞く ②主賓を奥中央に置く ③そこから左・右へ振る。 この順で進めれば、細かい正解が分からなくても形になります。
| 困りごと | 対応 |
|---|---|
| どこが奥か分からない | 店の方に聞きます。いちばん確実です |
| 誰が主賓か分からない | 主催者に確認します |
| 全員が遠慮して座らない | 主催者が「こちらへどうぞ」と促します |
| 間違った席に座ってしまった | 途中で立って入れ替わりません。そのまま続けます |
| 途中から人が加わる | 入口寄りに1席足してもらいます |
| 社内だけの会食 | 厳密に組まなくて構いません |
| カジュアルな中華の店 | 席次より回転卓の使い方のほうが目につきます |
着席後に座り直さないでください。間違いに気づいても、全員が立って入れ替わるほうが場を止めます。次の会があるときに直せば十分です。席次は目的ではなく、相手を立てるための手段です。
よくある質問
円卓の上座はどこですか?
入口からもっとも遠い席です。入口にもっとも近い席が下座になります。入口の近くは人の出入りがあり、料理を運ぶ動線にもかかるため落ち着かない、というのが理由です。
なぜ上座の左隣が2番目なのですか?
順に一周させると、主賓のすぐ右隣にいちばん下の立場の人が来てしまうためです。左・右・左・右と交互に振ると、主賓の両隣が上位で固まり、立場の近い人どうしが隣り合います。
「左」とは誰から見た左ですか?
上座に座る本人から見た左です。向かい側から眺めた左右ではありません。図で確認するときは、上座に自分が座ったつもりで見てください。
主催者(接待する側)はどこに座りますか?
入口に近い席です。格下だからではなく、店の方と話す・追加を頼む・会計に立つという役目があるためです。責任者は主賓の正面あたり、会計や手配の担当がもっとも入口寄りになります。
8人や10人ではどう並べますか?
考え方は変わりません。主賓を奥の中央に置き、その左を2番目、右を3番目として左右へ振っていきます。円卓を入口から見て奥半分にゲスト、手前半分にホストを置くと収まりやすくなります。
席札が置かれている場合はどうしますか?
そのとおりに座ってください。動かす必要はありません。店の方に案内された場合も同じで、案内に従えば足ります。
窓からの眺めがよい席がある場合は?
眺めの見える席を上座にすることがあります。優先順位は「店や主催者の指定 → 眺めや設え → 入口からの距離」です。冷暖房の風が強く当たる席や、柱で見通しの悪い席は、入口から遠くても上座にしません。
間違った席に座ってしまいました。
途中で立って入れ替わらないでください。全員が座り直すほうが場を止めます。そのまま続けて構いません。
お年寄りや足の不自由な方がいる場合は?
身体の事情が席次に優先します。「本来はこちらが上座ですが、お立ちになりやすいこちらへ」と一言添えれば、格を下げた扱いにはなりません。
まとめ
- 上座は入口からもっとも遠い席
- 上座の左が2番目、右が3番目。左右交互に下がる
- 左右は上座に座る本人から見た左右
- もてなす側は入口寄り。店と話し、会計に立つため
- 席札や案内があればそれに従う
- 身体の事情は席次に優先する
参考情報
- 農林水産省「食文化のポータルサイト」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/index.html - 農林水産省「『和食』がユネスコ無形文化遺産に登録されています」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/ich/
食事の作法に公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。地域・店の格式・間柄によって実際には異なります。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している作法は一般的な目安です。細かな作法を完璧に守ることより、同席する人が気持ちよく食べられることのほうが大切です。格式の高い店や改まった席では、店の案内に従ってください。