結論
香典に新札を使わないのは、「不幸を予期して、あらかじめ用意していた」と 受け取られるためです。準備していなかったことが、そのまま弔いの気持ちの表れになります。
新札しか手元にない場合は、一度縦に折って折り目を付けるだけで構いません。 わざわざ両替に行く必要はありません。
お札の状態と扱い
| 状態 | 扱い | 対処 |
|---|---|---|
| 新札(ピン札) | そのままは避ける | 一度折って折り目を付ける |
| 使用感のあるきれいな札 | もっとも適切 | そのまま包む |
| しわが多い札 | 問題なし | 気になれば軽く伸ばす |
| 破れ・落書き・極端な汚れ | 避ける | 別の札に替える |
「新札でなければ何でもよい」ではありません。適切なのは 使用感のある、ある程度きれいなお札です。
なぜ新札を避けるのか
新札は、銀行で用意するか、あらかじめ両替しておかなければ手に入りません。 つまり新札を包むことは、「訃報を予期して準備していた」と 受け取られる可能性がある、ということです。
通夜に喪服で行くことがかつて避けられたのも同じ理由です。 弔事では「取るものも取りあえず駆けつけた」という形が、 気持ちの表れとされてきました。
意味を知っておくと迷いません
この作法は、「準備していなかった」ことを示すためのものです。理由が分かると、どこまで気にすればよいかも判断できます。
折り目が付いていれば目的は果たせます。しわくちゃにする必要はまったくありません。
新札しかない場合の対処
手元に新札しかない場合、縦に半分に折って、折り目を付けるだけで構いません。 これで「一度使われたお札」として扱えます。
手元に新札しかないことは珍しくありません。 両替できない時間帯に訃報を受けることもあります。 その場でできる対処は決まっています。
| やること | やらなくてよいこと |
|---|---|
| 縦に一度折る | 何度も折る |
| 折り目を軽く付ける | くしゃくしゃにする |
| 折り目を伸ばして包む | 両替に行く |
深夜や早朝で両替できない、という状況はよくあります。 折り目を付ければ十分なので、そのために時間を使う必要はありません。
汚れすぎた札も避ける
「古ければよい」ではありません
破れている札、テープで補修した札、落書きのある札、極端に汚れた札は避けます。受け取る側に不快感を与えるためです。
香典は遺族が手に取り、数え、記録するものです。財布の中からいちばんきれいな札を選ぶ、という感覚で十分です。
折り目が付いていて、破れや汚れがない。これが香典に適した状態です。 日常的に使っているお札であれば、多くはこの条件を満たします。
ご祝儀とは逆になる
結婚祝いなどのご祝儀では、新札を用意するのが礼儀です。 「この日のために準備しました」という気持ちを表すためで、香典とは意味がちょうど逆になります。
香典とご祝儀では作法が反転する項目があります。 お札の状態はその代表です。 慶事の感覚をそのまま持ち込むと、逆のことをしてしまいます。
| 香典 | ご祝儀 | |
|---|---|---|
| お札 | 新札は避ける | 新札を用意する |
| 意味 | 準備していなかったことを示す | 準備していたことを示す |
| 肖像画 | 下 | 上 |
慶事と弔事で作法が反転する項目は、ここ以外にもあります。 慶事の感覚をそのまま持ち込まないことが、間違いを防ぐ近道です。
近年の受け止め方
この作法は、現在も広く知られています。ただし、 新札だったからといって咎められる場面は、実際にはほとんどありません。
遺族が香典袋を開けるのは、多くの場合葬儀が終わってからです。 その場で誰が新札を入れたかを確認するような余裕はありません。
とはいえ、気にする方がいるのも事実です。 折り目を付けるだけで避けられることなので、 ひと手間かけておくのが穏当です。
こんな場合はどうする
実際には思うようにいかない場面が出てきます。 手元に新札しかない、時間がない、法要の香典である。
いずれも迷っている時間のほうが惜しいものです。 どう対処すれば問題にならないかを、 場面ごとに決めておくと悩まずに済みます。
| 場面 | 対応 |
|---|---|
| ATMで下ろしたら新札だった | 折り目を付ければ問題ありません |
| 深夜で両替できない | 同上。両替に行く必要はありません |
| 四十九日など日時が決まっている法要 | 日程が分かっているため、新札でも差し支えないとする考え方もあります |
| 香典を郵送する | 同じ扱い。新札は避け、折り目を付けます |
法要の香典については、あらかじめ日程が決まっているため 新札でも構わないとする考え方があります。ただし折り目を付けておけば、 どちらの考え方の方に対しても問題になりません。
よくある質問
なぜ香典に新札を使ってはいけないのですか?
新札は銀行での両替が必要なため、「不幸を予期してあらかじめ用意していた」と受け取られる可能性があるためです。弔事では「取るものも取りあえず駆けつけた」という形が、気持ちの表れとされてきました。
新札しかない場合はどうすればよいですか?
縦に半分に折って折り目を付ければ問題ありません。何度も折ったり、くしゃくしゃにしたりする必要はありません。折り目を付けるためだけに両替へ行く必要もありません。
古いお札なら何でもよいのですか?
いいえ。破れている札、テープで補修した札、落書きのある札、極端に汚れた札は避けます。適切なのは、使用感があってある程度きれいなお札です。財布の中でいちばんきれいなものを選ぶ感覚で十分です。
ATMで下ろしたお金が新札でした。どうしますか?
折り目を付けてから包めば問題ありません。深夜や早朝で両替できない場合も同じです。この作法は「準備していなかったことを示す」ためのものなので、折り目があれば目的は果たせます。
四十九日など日程の決まった法要でも新札は避けますか?
法要はあらかじめ日程が決まっているため、新札でも差し支えないとする考え方があります。ただし折り目を付けておけば、どちらの考え方の方に対しても問題になりません。迷う場合は折り目を付けてください。
ご祝儀とはどう違いますか?
逆になります。ご祝儀では「この日のために準備しました」という意味で新札を用意します。香典は「準備していなかった」ことを示すため新札を避けます。お札の肖像画の向きも、ご祝儀は上、香典は下と反転します。
まとめ
- 新札を避けるのは「予期して用意していた」と受け取られるため
- 新札しかなければ縦に一度折るだけでよい
- 両替に行く必要はない
- くしゃくしゃにする必要もない
- 破れ・落書き・極端な汚れのある札は避ける
- ご祝儀とは意味が逆。新札を用意するのは慶事
- 法要は新札でもよいとする考え方もある
参考情報
- 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「香典袋とは:御仏前?御霊前?迷った時の香典袋の書き方とマナー」
https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary22/ - 小さなお葬式「香典のお札の入れ方は?香典袋の書き方や渡すタイミングを解説」
https://www.osohshiki.jp/column/article/321/ - 小さなお葬式「香典を連名で出してもいいのか?家族・会社の場合の書き方や金額マナーを解説」
https://www.osohshiki.jp/column/article/310/
香典袋の格と金額の対応、薄墨、連名の書き方は、参照した情報源で共通しています。お札の向きは情報源によって記述が分かれるため、本文にその旨を記載しています。
本記事で紹介している作法は一般的な目安です。地域・宗派・ご家庭の慣習によって異なる場合があります。ご判断に迷う場合は、ご親族や葬儀社にご確認ください。