結論

厄年の人へ贈り物をする習慣はありますが、 贈らなければ失礼にあたるというものではありません。 親から子へ、配偶者から、ごく親しい友人からというように、 関係の近い相手に限って贈られるのが実際のところです。 贈る場合は「長いもの」「うろこ模様」「七色のもの」が 縁起のよい品として挙げられます。

のし紙は紅白の真結び(結び切り)を用い、 表書きは「厄除け祈念」「厄払い祈念」などと書きます。 厄が明けたことを祝う場合は「厄除け御祝」や「御祝」に変わります。 受け取った側は、 厄が明けたころに内祝いとして日用品や菓子でお返しするのが一つの形です。

贈るかどうかの判断

親しい友人が今年は厄年だと言っているのを聞いて、 何か贈ったほうがよいのかと考え始めることがありますが、出産祝いや新築祝いのように相場が定まっている場面ではないぶん、 贈るべきかどうかから迷うことになります。

結論から申しますと、 贈らない人のほうが圧倒的に多数派にあたり、厄年の贈り物は全国どこでも行われている慣習ではなく、 地域と家庭によって残り方にかなり差があります。

関係贈るかどうか考え方
配偶者贈る例がいちばん多くあります誕生日と兼ねる形がよく取られます
親から子へ大厄の年に贈られることがあります厄除けの品として選ばれます
子から親へ還暦と重なる年に贈られます長寿祝いと兼ねる形になります
親しい友人話題に出たときに限られます贈らなくても差し支えありません
職場の同僚贈らないのが普通にあたります厄年を知らせない相手も多くいます

職場の相手に贈るのは、かえって気を遣わせることになり、厄年であることは体調や年齢に触れる話題でもありますので、相手から話に出た場合を除いて、こちらから持ち出さないほうが穏やかに済みます。贈るかどうかで迷う段階であれば、贈らないという判断で問題ありません(最終確認:2026年8月)。

ライフネット生命保険とメディア・シェイカーズが20〜59歳の男女1,000人に尋ねた「現代人の『厄年』意識調査」では、厄年を気にすると答えた人が46.4パーセント、大厄にあたる女性に限れば73.7パーセントにのぼっています。 本人が気にしている場合は贈り物が支えになりますが、 気にしていない相手に贈ると、不安を植えつけてしまうことがありますので、相手が自分から話題にしたかどうかが、いちばん確かな目安にあたります。

「長いもの」が選ばれる理由

厄除けの贈り物を調べると、 決まって「長いもの」という言葉が出てきますが、ベルトやネクタイ、ネックレスといった品が並んでいるのを見ても、 なぜそれが厄除けになるのかは書かれていないことがほとんどです。

長いものが選ばれるのは、 長寿につながる形として縁起がよいとされてきたためで、あわせてうろこ模様と七色のものも挙げられ、 それぞれに別の言い伝えが結びついています。

縁起のよいもの言い伝え具体的な品
長いもの長寿に通じる形として選ばれますベルト・ネクタイ・ネックレスです
うろこ模様身を守る鎧に見立てられてきました鱗文様の小物入れや風呂敷です
七色のもの七難を避け七福を招くとされます七色の石を通したブレスレットです
青海波の模様波が重なる形が縁起よしとされます袱紗や小物の染柄に使われます
厄除けの授与品寺社で受けたお守りを添えます品物に一つ添えるだけで整います

この四つのうち、実際によく選ばれるのは長いものにあたり、うろこ模様や七色のものは品数が限られており、探すのに手間がかかります。真珠のネックレスは長いものと七色の両方にあてはまるとされ、女性への贈り物として挙げられることが多くあります(最終確認:2026年8月)。

なお、これらの言い伝えに根拠が示されているわけではなく、相手が身につけて役に立つかどうかのほうが、実際には大切ですので、 形にこだわるあまり使わない品を選んでしまうことは避けてください。

相手別の品物と金額

贈ると決めたあと、 いくらぐらいのものを選べばよいのかで手が止まりますが、これはお祝いでもお見舞いでもない贈り物ですので、 相場を調べても数字が出てこないためです。

厄年の贈り物に定まった相場はなく、 誕生日の贈り物と同じくらいの幅で考えられていますので、関係の近さと、その相手に普段贈っている額に合わせるのが実際的にあたります。

相手品物の例金額の目安
配偶者ベルト・財布・ネックレスを選びます10,000円から30,000円が目安です
子ども(成人)ネクタイ・名刺入れ・スカーフです5,000円から20,000円が目安です
親長財布・組紐・天然石の腕輪です10,000円前後を選ぶ方が多くいます
親しい友人ハンカチ・スカーフ・小物入れです3,000円から5,000円で足ります
お守りを添える寺社で受けた厄除けのお守りです1,000円前後で品物に添えられます

友人へ贈る場合は、高額にしないほうが受け取りやすくなり、3,000円から5,000円であればお返しの心配をさせずに済みますし、厄年の話題そのものを重くしません。お守りだけを渡すという形も広く行われており、これであれば相手に負担をかけずに気持ちだけを伝えられます(最終確認:2026年8月)。

還暦と重なる61歳の場合は、 長寿祝いとして贈るほうが自然になりますので、厄除けを前面に出すより、 節目のお祝いとして整えたほうが受け取る側も気持ちよく開けられます。

還暦祝いの金額と贈り方を見る

避けたほうがよい品

縁起を担いで贈るものですので、 別の場面で縁起が悪いとされている品を選んでしまうと、 かえって気まずくなりますし、贈答で避ける品の多くは、厄除けの贈り物でも同じように避けられます。

とくに数字と語呂に関わるものは、 厄年という場面では意識されやすくなりますので、次のものは選ばないほうが無難にあたります。

避けたい品理由代わりに
4つ・9つ組のもの死と苦を連想させる数にあたります3つか5つ組を選びます
櫛苦と死の音を含むとされてきました髪飾りなら別の形を選びます
刃物縁を切る品として避けられます地域では厄を断つとする例もあります
白いハンカチ別れを連想させるとされます色や柄のあるものを選びます
目上への履物踏みつける意味に取られます親へ贈るなら小物にします

刃物だけは扱いが分かれ、厄を断ち切るという意味で、はさみや包丁を贈る地域があると伝えられており、そこでは縁起のよい品にあたります。ご自分の地域や相手の実家に、そうした言い伝えがあるかどうかで判断が変わりますので、確信が持てない場合は別の品を選んでください(最終確認:2026年8月)。

また、厄年は健康と結びつけて語られやすいため、 健康食品やサプリメントは選ばないほうが無難にあたり、相手の体調を案じているように受け取られると、話が重くなります。

長寿祝いで避けたい贈り物の一覧を見る

のし紙と表書き

品物を決めたあと、 店の包装カウンターで「のしはどうされますか」と尋ねられて、 答えに詰まることがありますし、厄除けという選択肢は、表書きの一覧に載っていないことがほとんどです。

厄除けの品には紅白の真結び(結び切り)ののし紙を用いる、 という整理が贈答マナーでは示されており、これは厄は繰り返したくないものですので、 ほどけない結び方を選ぶという考え方にあたります。

場面水引表書き
厄年に贈るとき紅白の真結び(結び切り)です「厄除け祈念」「厄払い祈念」です
言い換え同じく紅白の真結びを用います「厄除け祈願」「厄払い祈願」です
厄が明けたお祝い紅白の真結びを用います「厄除け御祝」「御祝」です
お返し(内祝い)紅白の真結びを用います「内祝」または「厄除内祝」です
下段の名前贈る側の姓を書きます連名は右から目上の順に並べます

のし紙をかけずに贈っても差し支えなく、友人へ小さな品を渡す程度であれば、リボンをかけただけの包装のほうが受け取りやすくなります。水引については、蝶結びとする案内も見られますので、店で確かめて分かれた場合は、繰り返したくないという意味で真結びを選んでおけば整います(最終確認:2026年8月)。

内のしにするか外のしにするかは、 手渡しなら外のし、配送なら内のしという基本と同じで構いませんし、表書きが外から見えたほうが、渡すときに説明せずに済みます。

内のしと外のしの使い分けを見る

渡す時期と伝え方

いつ渡せばよいのかも迷いやすいところですが、厄年は一年を通して続きますので、 誕生日のように日が決まっているわけではありません。

多くは年が明けてから節分までのあいだに渡されますが、厄払いに行く時期と重なりますので、 参拝の前に渡すと、その年のあいだ身につけてもらえます。

時期向いている場面添える言葉
年明け〜節分厄払いに行く前に渡す形です「よい一年になりますように」と添えます
誕生日に合わせる贈り物として自然に渡せます厄年に触れずに渡すこともできます
前厄に入るとき3年の始まりに合わせる形です「これから3年ですね」とは言いません
厄が明けたとき後厄が終わった年明けに渡します「無事に過ぎてよかったですね」です

添える言葉で気をつけたいのは、不安をあおる言い回しにあたり、「大厄だから気をつけて」「今年は大変な年だから」といった伝え方は、相手が気にしていない場合に不安だけを残します。「身につけてもらえたら」と品物の話にとどめておけば、受け取る側も軽く受け止められます(最終確認:2026年8月)。

同じ調査で厄年を経験した844人に不幸な出来事が起こったかを尋ねた結果では、起こったと答えた人が32.2パーセントで、内訳は大きな病気やケガが13.4パーセント、人間関係のトラブルが11.4パーセントと続きます。裏を返せば7割近くは何も起きていないことになります。 調査の数字を見るかぎり、 厄年に何かが起きたと感じた人は3人に1人にとどまりますので、 重い言葉を添える必要はありません。

厄払いに行く時期の目安を見る

もらった側のお返し

厄除けの品をいただいたあと、 お返しをすべきかどうかで迷うことになりますし、お祝いをいただいたわけではないため、 内祝いという言葉を当てはめてよいのかも分かりません。

お返しについては不要とする整理と、返すという整理の両方がありますので、返す場合は、厄が明けたころに内祝いとして、 日用品や菓子を贈るという形が取られます。

場面お返し金額の目安
親や配偶者からお返しは要らないとされていますお礼を言葉で伝えれば足ります
友人から厄が明けたころに返す形が取れますいただいた額の半分ほどが目安です
高額をいただいた内祝いとして品を返します3分の1を目安に整えます
お守りだけお返しは要りません受けた寺社の話をすれば足ります
表書き紅白の真結びを用います「内祝」または「厄除内祝」です

いちばん確かなのは、その場でお礼を伝えて、後日あらためて連絡するという二段構えにあたります。受け取ったときに礼を言い、厄払いに行った日に「先日いただいたものを持って行きました」と伝えれば、それだけで気持ちが伝わります。品物で返す場合も、厄が明けるまで待つ必要はなく、日を置かずに菓子を渡す形でも差し支えありません(最終確認:2026年8月)。

内祝いの考え方そのものは、 出産や結婚のときと変わりませんので、いただいた額の半分から3分の1を目安にしておけば、 重くも軽くもならずに収まります。 目上の方から、あるいは3万円を超える高額をいただいた場合は3分の1に寄せるのが、 当サイトの内祝いの記事とそろえた考え方にあたります。

内祝いの金額の目安を見る

厄落としの席に招かれたら

地域によっては、厄年の人が親族や近所の方を招いて食事を振る舞い、 集まった人に厄を分けて持ち帰ってもらうという行事が残っていますが、招かれた側は、何を持って行けばよいのか、 会費が要るのかが分からず戸惑うことになります。

この席は招いた側が費用を持つのが基本にあたり、厄を分けてもらうために来ていただくという趣旨ですので、 招かれた側が包む必要はありません。

立場すること持ち物
招かれた側手ぶらでも差し支えありません気になれば菓子折りを持参します
招いた側費用を持ち、引き出物を用意します菓子や赤飯を持ち帰っていただきます
断りたいとき都合を理由に辞退して構いません祝儀を送る必要はありません
地域の作法土地ごとに形がかなり違います誘ってくださった方に尋ねます

この行事が残っている地域は限られており、豆をまく、餅を高い所からまく、赤飯を配るなど、形も土地によってかなり違いますので、初めて招かれた場合は誘ってくださった方に尋ねるのがいちばん確かです。手土産を持参する場合は、菓子折り程度にとどめて、祝儀としては包まないでください(最終確認:2026年8月)。

招く側になったときも、 形式にこだわる必要はなく、家族で食事をするだけでも厄落としにあたるとされていますので、 人を集められない事情があれば、それで十分です。

贈らない・招かないという選び方

厄年の贈り物も厄落としの席も、行わないことが失礼にあたる場面はありませんし、地域によってすでに絶えている慣習でもありますので、周囲が誰も行っていないのであれば、合わせておいて差し支えありません。

気になる場合は、贈り物ではなくお守りだけを渡すという形が使えますし、1,000円前後で受けられ、お返しの心配もさせずに済みますので、いちばん角の立たない選び方にあたります。

訪問するときの手土産の目安を見る

厄年の贈り物に、しなければならない決まりはありません。 配偶者や親から贈られることはあっても、 友人や職場の相手に贈る場面はほとんどなく、 地域によってはこの慣習そのものが残っていません。 迷う段階であれば、贈らないという判断でまったく差し支えありません。

贈る場合に変わらないのは、 相手が気にしているかどうかを先に確かめるという一点だけです。 本人が話題にしていないのにこちらから持ち出すと、 気にしていなかったことを気にさせてしまいます。 相手から出た話に応える形であれば、 品物が何であっても、その気持ちのほうが先に伝わります。

よくある質問

厄年の人に贈り物はしたほうがよいですか?

贈らなければ失礼にあたるものではありません。配偶者や親から贈られることはありますが、友人や職場の相手に贈る場面はほとんどなく、地域によってはこの慣習そのものが残っていません。

なぜ「長いもの」を贈るのですか?

長寿に通じる形として縁起がよいとされてきたためです。あわせて、身を守る鎧に見立てられるうろこ模様、七難を避け七福を招くとされる七色のものも挙げられます。根拠が示されているわけではありません。

何を贈ればよいですか?

男性にはベルト・ネクタイ・財布・名刺入れ、女性にはネックレス・スカーフ・組紐・小物入れが挙げられます。真珠のネックレスは長いものと七色の両方にあてはまるとされます。

金額の目安はありますか?

定まった相場はなく、誕生日の贈り物と同じくらいの幅で考えられています。友人へは3,000円から5,000円にとどめると、お返しの心配をさせずに済みます。お守りだけを渡す形も広く行われています。

のし紙の水引はどれを使いますか?

紅白の真結び(結び切り)を用いる整理が示されています。厄は繰り返したくないものという考え方によるものです。表書きは「厄除け祈念」「厄払い祈念」などとし、厄が明けたお祝いなら「厄除け御祝」に変わります。

いつ渡すのがよいですか?

年が明けてから節分までのあいだが多くなります。厄払いに行く時期と重なりますので、参拝の前に渡すとその年のあいだ身につけてもらえます。誕生日に合わせて渡す形も自然です。

厄除けの品をもらったらお返しは必要ですか?

不要とする整理と、返すという整理の両方があります。親や配偶者からであればお礼を言葉で伝えれば足ります。友人からいただいた場合は、厄が明けたころに内祝いとして半分ほどを目安に返す形が取れます。目上の方や高額をいただいた場合は3分の1に寄せてください。

厄落としの席に招かれたら何を持って行きますか?

手ぶらでも差し支えありません。招いた側が費用を持ち、厄を分けて持ち帰っていただくという趣旨の席ですので、祝儀を包む必要はありません。気になる場合は菓子折り程度にとどめてください。

まとめ

  • 贈らない人のほうが多数派にあたります
  • 縁起がよいのは長いものとされています
  • うろこ模様と七色のものも挙げられます
  • 友人へは3,000円から5,000円で足ります
  • のし紙は紅白の真結びを用います
  • 表書きは「厄除け祈念」にあたります
  • 渡す時期は年明けから節分が多くなります
  • お返しは厄が明けたころに返します

参考情報

  1. 三越伊勢丹「贈り物のしきたりとマナー/厄年」
    https://www.mistore.jp/miguide/manner/oiwai/index16.html
  2. 村松虚空蔵尊「厄年に贈る縁起の良い贈り物とは?意味やお返し、厄除けの方法まで解説」
    https://www.taraku.or.jp/blog/yakuyoke/unlucky-year-gift/
  3. Shaddyのギフトマナー辞典「厄除けのお返しは必須か?」
    https://gift-manners.shaddy.jp/article/939/
  4. はじめてのお葬式ガイド「「厄落とし」と「厄除け」「厄払い」。違いと厄の落とし方」
    https://www.e-sogi.com/guide/27881/

「長いもの」「うろこ模様」「七色のもの」が厄除けの品として挙げられること、男性にはネクタイやベルト、女性にはネックレスやスカーフが選ばれることは、参照した情報源で一致しています。いっぽうのし紙の水引については、三越伊勢丹の贈答マナーが紅白の真結び(結び切り)を挙げているのに対し、蝶結びとする案内も見られます。本記事では前者を基本として示しました。お返しの要否も分かれており、不要とする整理と、厄が明けたころに内祝いとして返すという整理があります。本記事では後者を基本にしたうえで、金額の目安は当サイトの内祝いの記事にそろえ、高額をいただいた場合は3分の1としています。「気にする」46.4パーセントと大厄の女性73.7パーセントは、ライフネット生命保険とメディア・シェイカーズの共同調査によるもので、前者は1,000人全員、後者は大厄にあたる女性に対する割合です(最終確認:2026年8月)。

本記事で紹介している贈り物の品・のし紙・表書き・お返しの考え方は、いずれも一般的な目安にあたります。厄年の考え方や祈祷の受け方は神社・寺院・宗派・地域によって大きく異なり、全国で共通する決まりがあるわけではありません。実際に参拝される寺社の案内を必ずご確認ください。本記事は民間の慣習を整理したものであり、健康や運勢について何かを保証するものではありません。体調に不安があるときは、厄年かどうかにかかわらず医療機関にご相談ください。