結論

退院祝いは周囲から本人へ、退院したことをよろこんで贈るものですから、 本人から周囲へ向けて贈る快気祝いとは、ちょうど方向が逆になっています。

必須の贈り物ではありませんので、 お見舞いを渡した方が重ねて贈る必要はなく、 主にお見舞いに行けなかった方が、退院を知って贈るものだとお考えください。

項目退院祝い快気祝い
贈る人周囲の人が贈ります退院した本人が贈ります
意味退院したことをよろこんで伝えますお見舞いへのお返しとして贈ります
必要か必須ではありません。連絡だけでも足りますお見舞いをいただいたら贈ります
金額友人なら3千〜5千円が目安ですいただいた額の1/3〜半額です
時期退院後1週間〜1か月にします退院・全快から10日〜1か月です
水引紅白の結び切り(5本)を使います同じく紅白の結び切り(5本)です
のし付けたものを用意します同じく付けたものを用意します
表書き「御退院祝」「祝御退院」と書きます「快気祝」「全快祝」と書きます

お見舞いをすでに渡している方は、退院祝いのほうを重ねて贈らなくて構いません。お見舞いへのお返しという形で、本人のほうから快気祝いが届くことになるためです。そこへさらに退院祝いを贈ってしまうと、同じ相手とのやり取りが二往復することになり、療養明けの相手に手間だけが積み上がります。

退院祝いとは

共通の知人から「退院したらしい」と聞いたところで、何かしたほうがよいのかと迷います。 入院中にお見舞いへ行けないままだったという後ろめたさもあって、 いまさら連絡してよいものか、それとも何か贈るべきなのかで手が止まります。

退院祝いは無事に退院したことをよろこんで贈るもので、 贈るのは周囲の人、受け取るのは退院した本人ですから、 その後ろめたさをそのまま形にできる、数少ない機会がここにあたります。

項目内容
贈る人周囲の人から、本人へ向けて贈ります
意味無事に退院したことをよろこんで伝えます
必須かどうか必須ではありません。連絡だけでも足ります
主に贈る人お見舞いに行けなかった方が中心になります

結婚祝いや出産祝いとは違い、退院祝いは「贈らなければ失礼」というものではありません。退院というのはもともと、身内のあいだで静かによろこぶことだからです。連絡をひとつ入れるだけでも気持ちは十分に伝わりますので、何も贈らなかったことを気に病む必要はありません。

入院そのものは、いまでは短い期間のうちに終わってしまうことが増えています。 厚生労働省の「令和5年(2023)患者調査」によれば、 令和5年9月中に退院した方の平均在院日数は28.4日で、 病院に限ると29.3日、一般診療所では14.2日でした。

同じ統計では、病院を退院した方のうち 在院期間が「0〜14日」だった方が68.4%を占めています。 お見舞いに行こうと日程を調整しているうちに退院日を迎えてしまうのは、 決して珍しいことではありません。

快気祝いとの違い

売り場で「快気祝い」の札を見つけて、これを買えばよいのかと手に取ってしまいます。 名前がよく似ているうえに、どちらも紅白の結び切りにのしを掛けますので、 売り場に並んでいる状態のままでは、なかなか見分けがつきません。

いちばん間違えやすいのは贈る向きで、 退院祝いは周囲から本人へ、快気祝いは本人からお見舞いをくれた人へ贈りますから、 誰が誰に渡すのかという点でまるで逆になっています。

名称贈る人受け取る人
退院祝い周囲の人のほうが贈ります退院した本人が受け取ります
快気祝い退院した本人のほうが贈りますお見舞いをくれた人が受け取ります
お見舞い周囲の人のほうが贈ります入院中の本人が受け取ります

覚え方としては、「快気」が本人の使う言葉だという点を押さえておくと間違えません。「よくなりました」と本人のほうが報告するのが快気祝いで、「よかったですね」と周囲が伝えるのが退院祝いです。表書きを選ぶ売り場でも、自分がどちら側に立っているかを先に確かめてください。

表書きのほうを取り違えてしまうと、受け取った側はその品の扱いに困ります。 周囲の人から「快気祝」と書かれた品が届けば、 本人が出したものを転送されたように見えますので、 売り場で名入れを頼むときには「退院された方へ贈ります」と一言伝えておいてください。

水引とのしについては、退院祝いも快気祝いもまったく同じ形のものを使います。 どちらも紅白の結び切りにのしを付けるという組み合わせで、 繰り返さないでほしいという意味を結び切りに込めていますので、 蝶結びを選ばないという一点だけ気をつけていれば足ります。

快気祝いの基本を見る

誰が贈るか

退院の知らせを職場で聞いたときには、誰が何をするのかというところが宙に浮きます。 同じ部署の全員がそれぞれ個別に贈るというわけにもいきませんし、 有志でまとめるにしても、声をかける範囲をどこで切るかというところが決めにくくなります。

決まりがあるわけではないものの、実際には お見舞いを渡していない方が贈るという形に落ち着くことが多く、 入院中に何もできなかった側が、退院を機に気持ちを渡すという流れになります。

立場扱い
お見舞いに行けなかった退院祝いが向きます。渡せなかった気持ちを伝えられます
お見舞いを渡した不要です。快気祝いが届くので、重ねると往復になります
家族・同居の親族贈り物より、実際の手助けのほうが助かります
職場復帰後の挨拶で足ります。有志で贈るなら少額にします
遠方で連絡だけしていた連絡だけで足ります。贈るなら負担にならないものにします

何かを贈るという行為は、そのまま相手の側にお返しという手間を生むことになります。退院した直後は体力も戻っていませんし、書類の手続きや通院の予約も残っています。贈るかどうかを決めるときは、こちらの気持ちだけでなく、相手の側にどれだけ手間が積み上がるかまで含めて考えてください。

家族や同居している親族であれば、形にして贈らないほうがよほど助かります。 買い物を代わりに済ませておく、通院の送り迎えを引き受けるといった手助けのほうが、 退院直後の家では現実的な支えになりますので、 改まった形の贈り物は、暮らしが落ち着いてから用意しても遅くはありません。

職場の場合は、まず復帰したあとの挨拶をきちんと交わすというところからで足ります。 有志でまとめて贈るのであれば一人あたりの額を抑えておくほうがよく、 総額が大きくなるほど、本人の返礼の負担も膨らみますので、 部署としての前例があるのなら、それに合わせておくのがいちばん角が立ちません。

金額の目安

贈ると決めたあとで、今度はいくらにするかというところがなかなか決まりません。 少なすぎると気持ちが伝わらないように思えますし、 多すぎると相手が気を遣うことになりますので、 売り場に立ったまま価格帯を絞りきれず、時間だけが過ぎていくことになります。

考え方としては相手との関係で決めるのが基本で、 現金でも品物でも価格帯は同じですから、 いくらの品を選ぶかという形で考えても、判断としては変わりません。

関係目安
親5千〜1万円をみておけば足ります
兄弟姉妹同じく5千〜1万円が目安になります
祖父母・親戚5千〜1万円の範囲のなかで考えます
友人・知人3千〜5千円にとどめておきます
職場の同僚3千〜5千円あたりが目安になります
部下5千〜1万円をみておくと足ります
上司3千〜1万円相当で、品物のほうが無難です
近所の方3千円ほどにとどめておきます

この体系はお見舞いのときと同じで、4千円・9千円・4万円という額だけは避けます。この3つの額はいずれも「死」や「苦」を連想させるものとして避けられてきたためです。額を上げすぎると、快気祝いを返す段になって相手の負担がそのぶん重くなりますので、こちらの気持ちの大きさをそのまま金額に置き換えないでください。

上司へ贈る場合には、現金を包まずに品物のほうを選んでおくほうが収まります。 現金というのは目上の方に対しては援助のように受け取られることがありますので、 同じ価格帯であっても、日持ちのする菓子や日用品のほうが受け取りやすくなります。 名入れの表書きについては、品物で贈る場合でも忘れずに付けてください。

有志でまとめて贈る場合は、合計額のほうを切りのよいところで止めておきます。 一人あたりの負担を軽くしたつもりでいたとしても、 集まった総額が大きければ相手の返礼はその額に見合う形になりますので、 人数が多いときほど、一人あたりの額のほうを下げておくほうが親切になります。

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渡す時期

退院の日取りを聞かされると、その日のうちに何か届けたくなってしまいます。 家に戻った本人を早くねぎらいたいという気持ちからですが、 退院日というのは、実のところ本人にとっていちばん落ち着かない一日です。

目安になるのは退院後1週間から1か月のあいだで、 当日は会計や書類の手続きと荷物の移動で埋まっていますから、 その日に訪ねれば、こちらを応対する時間まで相手に作らせることになります。

時期扱い
退院当日避けます。手続きと移動で慌ただしくなっています
退院後1週間〜1か月適しています。生活が落ち着いてくるころです
自宅療養が続く訪問はせず、配送に切り替えます
1か月を過ぎた「遅くなりましたが」と添えれば構いません

贈り物を渡すために訪問すると、相手はそのままお茶を出す側にまわることになります。退院した直後は体力が戻っていませんので、玄関先で立ち話をするだけでも負担になってしまいますし、配送にしてしまうほうが親切な場合が多く、贈り物を届けるという目的だけであれば、それで十分に足ります。

配送で届ける場合は、送り状を先に一本入れておくと相手も受け取りやすくなります。 通院の日と重なってしまえば不在票が入るだけで終わってしまいますので、 いつごろ届く見込みなのかを短い連絡で伝えておけば、 相手のほうでも受け取りの段取りを立てておくことができます。

共通の知人を介して、退院から1か月を過ぎたころにようやく知るということもあります。 その場合も、無理に本来の時期のほうへ合わせようとする必要はありません。 「遅くなりましたが」と一言添えて贈るのであれば、それで差し支えありません。 知った時点で動くほうが、時期ばかりを気にして贈らないままでいるよりもよほど収まります。

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気をつけること

品物を選んでいると、よかれと思って手に取ったものが引っかかることがあります。 よく眠れるようにと寝具を選ぶ、部屋が明るくなるようにと鉢植えを選ぶ、といった具合ですが、 どちらも気持ちとしては自然なのに、贈り物としては避けられてきたものになります。

もうひとつ気をつけたいのが「祝」の字の重さで、 退院はしたものの通院や自宅療養が続いている場合には、 その一字が本人には重く響くことがありますので、表書きのほうを変えます。

避けたいこと理由
病状を詳しく聞く本人が話したくないこともあります
高額にするお返しの負担がそのぶん大きくなります
長居する体力がまだ戻りきっていません
寝具を贈る「寝つく」を連想させるとされています
鉢植えを贈る「根づく=寝つく」を連想させるとされています

ここに挙げてきた言い伝えの多くは、もとをたどっていけば語呂合わせにすぎません。気にしない方も増えてきてはいますが、相手が気にするかどうかは渡してみるまで分かりません。ほかにいくらでも選べるものがあるのですから、避けられるものは避けておくほうが無難に収まります。

完治していない相手に贈る場合は、表書きのほうを「御見舞」に替えてください。 表書きを付けずに手土産として渡すという形もあり、 「お祝い」と言い切らないほうが、療養が続いている相手には受け取りやすくなります。 本人が快気祝いを返す段になったとしても、この形であれば余計な気を遣わせずに済みます。

訪ねて渡す場合は、滞在を短く切り上げるところまで先に決めておきます。 話が弾めば弾むほど相手はその場に座り続けることになりますので、 渡してひととおり近況を聞いたら、こちらから切り上げてください。 病状に踏み込むような質問は、こちらのほうから持ち出さないほうが安全です。

退院祝いに唯一の正解があるわけではなく、 自分がお見舞いを渡していたかどうか、 相手の療養がすでに終わっているのかまだ続いているのかという二つを見て、 その相手にとって負担にならない形を選べばそれで足ります。 お見舞いを渡していたのであれば何も贈らなくて構いませんし、 通院が続いているのであれば、表書きを「御見舞」に替えて渡すほうが受け取りやすくなります。

どの相手でも変わらないのは、こちらの気持ちより相手の体調を先に置くことの一点だけで、 これさえ守っていれば、金額や時期を思い出せなくても失礼にはなりません。 贈ることそのものが、相手にお返しという仕事を作ることも忘れないでください。

よくある質問

退院祝いとは何ですか?

無事に退院したことをよろこんで、周囲から本人へ贈るものです。本人から周囲へ贈る快気祝いとは方向が逆になります。結婚祝いや出産祝いと違い、贈らなければ失礼というものではありません。

快気祝いとどう違いますか?

方向が逆です。退院祝いは周囲から本人へ、快気祝いは本人からお見舞いをくれた人へ贈ります。「快気」は本人が使う言葉で、「よくなりました」という報告にあたります。

お見舞いを渡しました。退院祝いも必要ですか?

必要ありません。お見舞いへのお返しとして、本人から快気祝いが届きます。そこへさらに退院祝いを贈ると、やり取りが往復してしまいます。退院祝いは主に、お見舞いに行けなかった方が贈るものです。

いくらぐらいが目安ですか?

お見舞いと同じ体系で、友人・知人は3千〜5千円、家族・親戚は5千〜1万円が目安です。4千円・9千円・4万円は「死」「苦」を連想させるため避けます。高額にすると相手のお返しの負担が大きくなります。

いつ渡せばよいですか?

退院後1週間〜1か月が目安です。退院当日は手続きや移動で慌ただしいため避けます。渡すために訪問すると相手がお茶を出す側になるため、配送にするほうが親切な場合が多くあります。

退院したけれど通院が続いています。

「祝」の字は重く受け取られることがあります。表書きを「御見舞」にするか、表書きを付けずに手土産として渡します。「お祝い」と言い切らないほうが、相手は受け取りやすくなります。

まとめ

  • 退院祝いは周囲から本人へ贈ります
  • 快気祝いは本人から周囲へ贈ります
  • 必須ではなく、連絡だけでも足ります
  • お見舞いを渡した方は重ねて贈りません
  • 金額は友人3千〜5千円を目安にします
  • 家族・親戚には5千〜1万円をみておきます
  • 時期は退院後1週間〜1か月にします
  • 完治していないなら「御見舞」に替えます

参考情報

  1. イオンのお葬式「お見舞い金のマナーについて金額相場・封筒の書き方・渡すタイミングなど解説」
    https://www.aeonlife.jp/knowledge/manner/omimaikin_manner
  2. ジャパンギフト「快気祝いとは?快気内祝いとの違い、贈るタイミング・のし・相場などマナーについて」
    https://www.rakuten.co.jp/japangift/contents/kaikiiwai-1/
  3. 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
    https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html
  4. 厚生労働省「令和5年(2023)患者調査」(基幹統計・令和5年9月1日〜30日に退院した者が対象)
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/index.html

厚生労働省の患者調査は医療機関を対象にした基幹統計で、在院日数などの実数を集計したものです。退院祝いを贈るかどうかや金額を尋ねた調査ではありません。水引(紅白の結び切り)、のしを付けること、金額の目安は、参照した情報源で共通しています。退院祝いを贈るべきかどうかは説明が分かれます。本サイトは「必須ではなく、お見舞いを渡した人は重ねて贈らなくてよい」という立場で記載しています。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域やご家庭の慣習によって異なる場合があります。完治していない場合は「退院祝い」ではなく「御見舞」を使ってください。