結論
退院祝いの掛け紙は紅白の結び切り(5本)にのしを付け、 表書きを「御退院祝」または「祝御退院」とします。 名前の欄に入れるのは贈る人のほうで、 快復した本人の名前を書く快気祝いとは向きがちょうど逆になります。
ただし通院や自宅での療養が続いている段階なら「御見舞」へ切り替えてください。 退院した日と治り切った日は必ずしも同じではありませんので、 まだ経過を見ている相手に祝という字を差し出すと、 受け取ったほうが返事に困ってしまうことがあります。
お見舞い・退院祝い・快気祝いの掛け紙
| 場面 | 掛け紙の整え方 |
|---|---|
| お見舞い | のしを付けずに、表書きは「御見舞」とします |
| 退院祝い | のしを付けて、表書きは「御退院祝」とします |
| 快気祝い | のしを付けて、表書きは「快気祝」とします |
| 水引 | 三つとも紅白の結び切り5本で共通しています |
| 名前を書く人 | 退院祝いは贈る人、快気祝いは快復した本人です |
| 墨の色 | いずれも弔事ではありませんので濃墨で書きます |
三つのあいだで変わるのは、のしの有無と表書きと名前の三点だけです。水引はどれも紅白の結び切り5本で共通していますので、売り場でどれを選ぶか迷ったときは、この三点だけを確かめておけば取り違えずに済みますし、のしを付けない紙を使うのは三つのうちお見舞いのときだけです。
水引は紅白の結び切り
入院していた同僚が来週から職場へ戻ると聞いて、部署で何か贈ろうという話がまとまります。 品物を決めるところまでは早いのですが、掛け紙をどうするかで手が止まります。 お祝い事だからと蝶の形に結ばれた紙を思い浮かべたところで、 いや、入院に蝶結びはまずいのではないかという声がどこからか出てきます。
ここで分かれ目になるのはその出来事をもう一度繰り返してほしいかどうかという一点です。 水引の結び方が表しているのは金額でも間柄でもなく、 同じことがまた起きてよいかどうかについての言い分ですので、 同じ紅白の紙であっても、結び目の形が違えば伝わる中身は正反対になります。
| 項目 | 退院祝いでの扱い |
|---|---|
| 結び方 | ほどけない結び切りにして、繰り返さない形にします |
| 蝶結び | 何度あってもよい祝い事のもので、ここでは使いません |
| 水引の色 | よろこばしい出来事ですので、紅白を選びます |
| 本数 | 5本のものが一般的で、迷ったらこれで足ります |
| お見舞いとの違い | 水引は同じですので、のしと表書きだけが変わります |
| 快気祝いとの違い | 水引は同じで、名前を書く人だけが入れ替わります |
結び切りが選ばれているのは、一度結んだらほどけない形にして、同じことがもう起きないようにという願いを込めるためです。入院はもう一度あってほしい出来事ではありませんので、何度あってもよいという意味を持つ蝶結びは、出産や入学の祝いのほうへ回します。
売り場で紙を選ぶときは結び目の左右を見てほしいのですが、 蝶結びは輪が二つ横に出ていてほどけそうに見えるのに対して、 結び切りは中央で固く締まっていて、両端がまっすぐ外へ伸びています。 棚に並べて置かれていると同じような紙に見えますので、輪が出ているかどうかで見分けてください。
職場や親族でまとめて贈るときは、誰か一人が掛け紙まで手配するほうが確かです。 品物だけを買ってきて紙を後から自分たちで掛けようとすると、 文房具店の棚で慶事用としか書かれていない紙を選んでしまい、 それが蝶結びだったという行き違いが起こります。
蝶結びと結び切りの違いを図で見るのしは付ける
入院中にお見舞いを届けたときは、のしの無い紙を使ったはずだと覚えている方もいます。 それから一か月ほどして、退院した同じ相手へ品物を届けることになり、 前と同じでよいのだろうかという迷いが出てきます。 相手も間柄も変わっていないのに、紙だけを変える理由が見当たりません。
ここで効いてくるのはその日がまだ途中なのか、ひと区切りついたのかという違いです。 のしは古くから祝い事のしるしとして添えられてきたものですので、 同じ相手への贈り物であっても、まだ床にいる段階と、家へ戻った段階とでは扱いが変わります。 変えているのは相手ではなく、その贈り物が置かれている場面のほうです。
| 場面 | のしの扱い |
|---|---|
| 入院中のお見舞い | まだ祝い事の段階ではありませんので、付けません |
| 退院祝い | よろこばしい出来事にあたりますので、付けます |
| 快気祝い | 回復のよろこびを伝えるものですので、付けます |
| 同じ相手へ続けて贈る | 場面が変わりますので、紙のほうを掛け替えます |
| 売り場で頼むとき | 用途を口で伝えれば、そのまま用意してもらえます |
のしはもともとのしあわびを表していて、祝い事のしるしとして贈り物に添えられてきたものです。入院中のお見舞いにこれを付けないのは、まだ快復を願っている途中であって、祝う段階に入っていないためです。退院を境にして紙を替えるのは、その区切りを紙の上でも示すという意味になります。
入院中にお見舞いを渡していて、今回が同じ相手への二度目になるという場合もあります。 二度続けて贈ることになっても紙の形は前と変えて構いませんし、 むしろ前と同じのし無しのままにしておくと、まだ療養中と見ているように受け取られます。 掛け紙は相手への評価ではなく、その日の場面のほうに合わせて選んでいくものです。
売り場で頼むときは、紙の名前を自分から言おうとしないほうが早く片づきます。 退院した方へ贈るということだけ伝えれば、のしの有無も水引の形もそちらで判断してくれますし、 通信販売であれば、用途を選ぶ欄に退院祝いという項目がたいてい用意されています。 自分でのしを付けるかどうかを決める場面は、実際にはほとんど残りません。
のしと掛け紙の基本を見る表書きの書き方
掛け紙の上半分に何と書くかを尋ねられて、その場ですぐには答えられないことがあります。 御退院祝、祝御退院、退院祝と、似た言葉がいくつも並んでいて、 どれもおかしくはなさそうに見えるものの、意味に差があるのかどうかまでは分かりませんので、 待たせている手前、とりあえず見本のうちの一つを指してしまうことになります。
言葉を選ぶときの手がかりは相手との間柄がどれだけあらたまっているかという点と、 その方の体がもう治り切っているかどうかという点の二つです。 前者はどの言い回しにするかの問題で済みますが、 後者は祝うという言葉を使ってよいかどうかの話になりますので、重みがまるで違います。
| 表書き | 使う場面 |
|---|---|
| 御退院祝 | もっとも広く使われていて、これで足ります |
| 祝御退院 | 同じ意味で、ややあらたまった印象になります |
| 退院祝 | くだけた印象になり、親しい相手に向いています |
| 御見舞 | 通院や療養が続いているときはこちらにします |
| 無地(表書きなし) | 気を遣わせたくないときは、手土産の形にします |
掛け紙に入れる墨は濃墨で、薄墨は使いません。薄墨は涙で墨が薄まったという意味を持たせて弔事に使うものですので、退院を祝う場面に持ち出すと、そこだけが弔いの書き付けのように見えてしまいます。品物に掛ける紙は買った店で印刷してもらえますから、筆を持って自分で書く場面はほとんど残りません。
勤め先の上役や取引先の方へ贈るのであれば、祝御退院のほうが収まりよく見えます。 御退院祝と読む順が違うだけですが、祝の字が頭に来ると改まった書き付けらしい構えになりますので、 あらたまった相手へ渡す箱には合います。 親しい友人へ渡すのであれば、退院祝の三文字でも軽すぎることはありません。
表書きを入れずに無地のまま渡すという選び方もありますが、 これは紙こそ掛けるものの上には何も書かず、退院の祝いという名目を表に出さない形になります。 相手が大げさにされたくないと考えている場合や、 病名や経過を人に知られたくない場合には、こちらのほうが受け取りやすくなります。
名前の書き方
掛け紙の下半分に入れるのは贈るこちらの名前で、ここは当たり前のようでいて取り違えの起きやすいところです。 同じ病室から始まる贈り物のなかに、名前の向きだけが逆になるものが一つ混じっていて、 年が明けてから両方を続けて手配した人ほど、注文の画面でどちらを書くのか分からなくなります。
迷いどころはその贈り物がどちらから出ているのかという一点で、 退院祝いは周りから本人へ向かうもの、快気祝いは本人から周りへ返るものにあたります。 掛け紙の名前は、その流れの出どころを示すために置かれていますので、 名前の欄で手が止まったときは、いま自分がどちら側に立っているのかを思い出してください。
| ケース | 名前の書き方 |
|---|---|
| 個人で贈る | 水引の下の中央に、フルネームで書き入れます |
| 夫婦で贈る | 夫のフルネームの左へ、妻の名前を並べて書きます |
| 連名(3名まで) | 年長者や目上の方を右にして、順に並べていきます |
| 連名(4名以上) | 代表者名に「他一同」を添え、全員の名は別紙にします |
| 職場から贈る | 「〇〇部一同」とまとめて書き入れます |
快気祝いの掛け紙に入るのは快復した本人の名前ですので、退院祝いとは方向がちょうど逆になります。名前を見れば、その箱がどちらから出たものかがすぐに分かるということでもありますので、二つを続けて手配する年には、この一点だけ確かめてから注文してください。
職場の何人かでお金を出し合って贈るときは、四名を超えたあたりから掛け紙に書ききれなくなります。 無理に小さな字で詰め込むより、代表者の名前に他一同を添えて、 全員の氏名は別紙に書いて箱の中へ入れておくほうが読みやすくなります。 受け取った側も、あとで礼を伝えるときにその紙を見ながら名前をたどれます。
別紙は改まった書式でなくても差し支えなく、白い便箋を一枚使えば足ります。 右から年長の方の順で氏名を並べて書き、 いちばん上に部署の名前を添えておけば、それでかたちとしては十分に整います。 掛け紙の表に書ききれなかった分をここへ移しただけですので、あいさつ文まで付ける必要はありません。
完治していない場合
退院という言葉を聞くと、これで一段落ついたのだと受け取ってしまいがちです。 ところが本人に会ってみると、来週からまた週に一度の通院が始まるところだったり、 当面は家で安静にしているようにと言われていたりします。 その話を聞いたあとで、祝という字の入った箱を差し出すのは、少しためらわれます。
判断が分かれるのは治療がひと区切りついているのか、まだ途中なのかという点です。 同じ日に病院を出た方でも、そこから先が家での静養なのか、通院を続けるのかで立っている場所が違いますので、 こちらが祝うつもりで選んだ言葉が、相手の実感と食い違うことがあります。
| 相手の状態 | 表書きの選び方 |
|---|---|
| 治療がひと区切りついた | そのまま「御退院祝」として贈って構いません |
| 通院がこれから続く | 「御見舞」に切り替えて、祝の字を外します |
| 自宅での療養が必要 | こちらも「御見舞」にしておくほうが無難です |
| 経過を見ている段階にある | 無地にして、手土産のかたちで渡します |
| こちらで判断がつかない | 本人か家族へ、先に様子を尋ねておきます |
まだ治り切っていない段階でお祝いと言い切られると、相手はよろこんでよいのかどうかから考えることになります。返事の言葉を探させてしまうくらいなら、御見舞のままにしておくか、表書きを入れずに手土産として渡すほうが、受け取る側の負担は軽くなります。
退院と完治が同じではないことは、公的な統計の数字からも読み取れます。 厚生労働省の令和5年患者調査では、令和5年9月の1か月間に退院した患者について、 退院後の行き先を「家庭」と答えたものが81.5パーセント、 「他の病院・診療所」が6.9パーセントと集計されています。
この調査は受け取る側の気持ちを尋ねた意識調査ではなく、 層化無作為に抽出した医療施設の管理者が記録から記入した集計で、 病院で集計された退院患者だけで112.5万人にのぼりますが、 報告書には「家庭」のなかに病院や診療所への通院と在宅医療も含むと注が付いています。
つまり家へ帰ったという事実だけでは、その方が通院を終えたのかどうかは分かりません。 判断がつかないときは、本人か同居の家族へ様子を一度尋ねてから品物を手配してください。 具合を細かく聞き出す必要はなく、いつごろ顔を見に行ってよいかを尋ねる形にすれば、 相手のほうから今の状態を話してくれることがほとんどです。
内のしと外のし
掛け紙を頼むと、内のしと外のしのどちらにするかを最後に聞かれることになります。 どちらが丁寧なのかを尋ねられているように聞こえますが、そういう区別ではありません。 紙を包装紙の内側に入れるか、外側へ掛けるかというだけの違いで、 名前の付き方が紛らわしいために、格の上下があるように受け取られています。
決め手になるのはその品を手で渡すのか、宅配便で届けるのかという一点です。 手で渡すのであれば、受け取った相手がその場で表書きを読める形にしておくほうが用が済みますし、 送るのであれば、輸送のあいだに紙が擦れたり破れたりしないほうが優先されます。
| 形 | 使う場面 |
|---|---|
| 外のし | 包装紙の外側に掛け紙を掛けて表書きを見せます |
| 内のし | 品物に掛け紙を掛けて、その上から包装します |
| 手渡しするとき | 用途がその場で伝わる外のしが向いています |
| 配送するとき | 紙が傷まない内のしを選んでおくほうが確実です |
| 控えめに贈りたいとき | 内のしにすれば、包みを解くまで表に出ません |
退院祝いは配送で届けることが多いため、内のしが選ばれる場面のほうが目立ちます。売り場や注文画面で、退院祝いとして配送する旨を伝えておけば、そちらで内のしに整えてもらえますので、こちらで形の名前を覚えておく必要はありません。
家へ届ける品を内のしにしておくと、玄関先で包みを受け取った時点では中身が表に出ません。 近所の目が気になる相手や、入院していたこと自体をあまり広めたくない相手には、 この形のほうが落ち着いて受け取ってもらえますし、 包みを開けて中身を確かめたときに、はじめて表書きが目に入るという順になります。
職場で顔を合わせて手渡すのであれば、外のしのほうがその場に合います。 箱を差し出した時点で御退院祝の文字が見えますので、こちらから用向きを言葉で説明せずに済みますし、 受け取る側も、これは何ですかと尋ねるところから始めなくてよくなります。 内のしにするか外のしにするかは、渡し方さえ先に決めておけばそのまま決まります。
内のし・外のしの違いを詳しく見る掛け紙の形に一つの正解があるわけではなく、 相手がどの段階にいて、こちらがその品をどう手渡すのかによって、ちょうどよい形は変わります。 治療がひと区切りついた方へ職場で手渡すのであれば外のしに御退院祝で足りますし、 まだ通院が続いている方の家へ送るのであれば、内のしに御見舞のほうが収まります。
どの場合でも変わらないのは、紅白の結び切りを選ぶことと、名前の欄に贈る側の名前を書くことの二つだけです。 この二つさえ押さえておけば、細かい決まりを思い出せなくても失礼にはなりませんし、 残りの判断は売り場か注文画面で、相手の状態と渡し方を伝えるところまで戻れば片づきます。 迷ったときは、品物を選ぶ前に本人の様子を尋ねるところから始めてください。
よくある質問
退院祝いの水引は何を選びますか?
紅白の結び切り(5本)です。結び切りはほどけない結び方で「二度と繰り返さない」という意味があります。入院は繰り返したくない出来事なので、蝶結びは使いません。
のしは付けますか?
付けます。退院はよろこばしい出来事なので、祝い事のしるしであるのしを付けます。一方、入院中のお見舞いはまだ祝い事ではないため、のしを付けません。
表書きは何と書きますか?
「御退院祝」がもっとも一般的です。「祝御退院」も同じ意味で、ややあらたまった印象になります。通院や療養が続いている場合は「御見舞」に切り替えます。墨は濃墨です。
名前は誰の名前を書きますか?
贈る人の名前です。快気祝いは快復した本人の名前を書くので、方向が逆になります。連名は3名までフルネームを年長者・目上から右に並べ、4名以上は代表者名+「他一同」とします。
退院したけれど通院が続いています。
「祝」の字が重く受け取られることがあります。表書きを「御見舞」にするか、無地にして手土産として渡します。判断がつかなければ、先に本人か家族へ様子を尋ねてください。
内のしと外のし、どちらですか?
配送するなら内のし、手渡しでお祝いとして渡すなら外のしです。退院祝いは配送が多いため内のしが選ばれがちです。売り場で「退院祝いで、配送します」と伝えれば用意してもらえます。
まとめ
- 水引は紅白の結び切り(5本)にのしを付けます
- 繰り返したくない出来事ですので蝶結びは使いません
- 表書きは「御退院祝」「祝御退院」とします
- 名前は贈る人を書き、快気祝いとは逆になります
- 薄墨は使わず、濃墨で書き入れます
- 完治していないなら「御見舞」か無地にします
- 配送は内のし、手渡しは外のしにします
参考情報
- イオンのお葬式「お見舞い金のマナーについて金額相場・封筒の書き方・渡すタイミングなど解説」
https://www.aeonlife.jp/knowledge/manner/omimaikin_manner - ジャパンギフト「快気祝いとは?快気内祝いとの違い、贈るタイミング・のし・相場などマナーについて」
https://www.rakuten.co.jp/japangift/contents/kaikiiwai-1/ - 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - 厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」(退院患者は令和5年9月の1か月間・病院で集計した退院患者112.5万人)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/index.html
本文で引用した厚生労働省の令和5年患者調査は、層化無作為に抽出した医療施設の管理者が記録から記入した集計であり、退院した本人や贈る側の考え方を尋ねた意識調査ではありません。また退院後の行き先の「家庭」には、報告書の注のとおり病院・一般診療所への通院と在宅医療が含まれます。水引(紅白の結び切り)、のしを付けること、金額の目安は、参照した情報源で共通しています。退院祝いを贈るべきかどうかは説明が分かれます。本サイトは「必須ではなく、お見舞いを渡した人は重ねて贈らなくてよい」という立場で記載しています。
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域やご家庭の慣習によって異なる場合があります。完治していない場合は「退院祝い」ではなく「御見舞」を使ってください。