結論
退院祝いに選ぶのは使えばなくなる「消えもの」で、 個包装の菓子やカタログギフト、入浴剤や果物といったあたりが向いています。 退院したばかりの家には体力の戻りきっていない方がいますので、 受け取ったあとに世話や片づけの要らないものを選んでおくのがいちばんの気遣いになります。
避けたいのは「寝つく」を連想させる寝具、 「根づく」とされる鉢植え、「縁を切る」とされる刃物、 それに体調によってはつらくなる香りの強いものの四つになります。 食事や生活の制限が残っていないかどうかというところは、品を選ぶ前に確かめておいてください。
向くもの・避けたいもの
| 品物 | 理由 | |
|---|---|---|
| 向く | 個包装の菓子 | 家族で分けられますし、食べればなくなります |
| 向く | カタログギフト | 相手が選べますので、制限があっても困りません |
| 向く | 入浴剤・石けん | 「洗い流す」の意味があり、使えば消耗します |
| 向く | タオル | 消耗品の定番で、何枚あっても困りません |
| 避ける | 寝具・パジャマ | 「寝つく」を連想させるとされています |
| 避ける | 鉢植え | 「根づく=寝つく」とされ、世話も要ります |
| 避ける | 刃物 | 「縁を切る」とされ、贈り物には向きません |
| 避ける | 香りの強いもの | 体調によっては、においそのものがつらくなります |
食事の制限が残っているかどうかを、品物を選びに出る前に確かめておいてください。塩分や糖分、アルコールなどに制限が残っていると、食べ物は受け取ってもらえても使ってもらえないということになります。
選び方の基本
退院したと聞いて何か贈ろうと売り場に立ってみると、快復のお祝いなのだから見栄えのする立派なものをという気持ちが先に立ちます。 ところが退院したばかりの相手はまだ体力が戻りきっていませんので、 受け取ってからの手間まで含めて考えると、選び方がふつうの贈り物とは変わってきます。
もう一つ効いてくるのは、退院祝いには 受け取る側にお返しが発生するという点になります。 快気祝いという形で返すことになりますので、こちらが選んだ品の値段が、そのまま相手の用意する額を押し上げることになります。
| 条件 | なぜそうするのか |
|---|---|
| 使えばなくなる | 病気の記憶を残さないとされているためです |
| 手間がかからない | 世話や片づけの要るものは負担になってしまいます |
| 日持ちする | すぐに食べられるとは限らないためです |
| かさばらない | 置き場所で困らせないようにするためです |
| 好みに左右されない | 体調によって食べられるものが変わるためです |
選ぶときの基準は「立派なもの」ではなく「負担にならないもの」のほうになります。高価な品はお返しの金額を押し上げるだけになりがちですので、値段を上げることが、そのまま喜ばれることにはつながりません。
退院してすぐの時期というのは、通院や薬の管理をしているだけでも一日が埋まっていきます。 そこへ世話の要るものが届いてしまうと、その分だけ手間が増えることになりますので、置いておくだけで済むものや、使えばなくなるものを選んでおけば、受け取った側は何も考えずに済みます。
日持ちのするものを選んでおくのは、届いた日にすぐ食べられるとは限らないからになります。 体調によって食べられるものが日ごとに変わるということもありますので、常温で置いておける品にしておけば、調子のよい日を選んで手を付けてもらうことができます。
向いているもの
避けるものを頭に入れたところで、では実際に何を選べばよいのかというところが残ります。 値段の高いものを選べば喜ばれるという性質のものではありませんので、売り場の上の棚から順に見ていったところで、決め手はなかなか見つかりません。
ここでいちばん効いてくるのは、 相手の状態がこちらから分からないという点になります。 食事に制限があるのか、体調がどこまで戻っているのかは聞きにくい部分ですので、 その答えを知らなくても外さない品を選んでおくことになります。
| 品物 | 向いている理由 |
|---|---|
| 個包装の菓子 | 家族で分けられ、少しずつ食べることもできます |
| カタログギフト | 相手が選べますので、制限があっても外しません |
| 入浴剤・石けん | 「病を洗い流す」の意味があり、使えば消耗します |
| タオル | 何枚あっても困らず、日常でそのまま使えます |
| 果物 | 定番にあたりますが、食べきれる量に収めます |
| コーヒー・お茶 | 日持ちしますし、来客のときにも使ってもらえます |
| 商品券・ギフトカード | 実用的ですが、目上の方には向かないとされます |
迷ったのであれば、カタログギフトのほうを選んでおけば、まず外すことはありません。食事の制限もアレルギーも好みも分からないままで構いませんし、価格帯のほうもこちらで選べますので、聞きにくいことを尋ねずに済みます。
個包装の菓子は、退院後に見舞いの返礼として人が訪れるという場面でも、そのまま使えます。 一度に食べきらなければならないというものではありませんので、体調に合わせて少しずつ手を付けることもできますし、家族のあいだで分けて持ち帰ることもできます。
入浴剤や石けんは「病を洗い流す」という意味の重ねられている、昔からの定番にあたります。 使えばなくなるという性質と、意味の両方がそろっている品になりますので、食べ物を避けたい事情があるときの、いちばん手堅い選択肢になります。
避けたいもの
よかれと思って選んだ品が、実のところ退院祝いには向いていないということがあります。 パジャマや寝具は退院してから毎日使うものですし、鉢植えは長く楽しめる品ですから、どちらも自然な選択に見えてきます。
避けられている理由のほうは二種類に分かれていて、一つは言葉の連想、もう一つは実際の手間によるものになります。 前者は語呂合わせから来たものですが、 後者のほうは、受け取った側に本当に負担がかかりますので、性質が違います。
| 品物 | 避ける理由 |
|---|---|
| 寝具・パジャマ | 「寝つく」を連想させるとされています |
| 鉢植え | 「根づく=寝つく」とされ、世話の手間もかかります |
| 刃物 | 「縁を切る」とされ、贈り物には用いられません |
| 櫛(くし) | 「苦」「死」と読めるため、避けられてきました |
| 香りの強いもの | 体調によっては、においそのものがつらくなります |
| 生もの・日持ちしないもの | すぐに食べられるとは限らないためです |
| 大きな置物・記念品 | 形が残るうえに、置き場所にも困らせてしまいます |
言い伝えの多くは語呂合わせから来たもので、いまはそこを気にしない方も増えてきています。ただし相手が気にするかどうかまではこちらから分かりませんので、避けられるものについては避けておくほうが無難です。
切り花そのものは問題ありませんが、水を替えるという世話と、活けるための花瓶が要ります。 退院したばかりの相手にとっては、それが手間になることもありますので、 花を贈るのであれば、花瓶の要らないアレンジメントの形にしておくほうが親切です。
鉢植えは「根づく」を避けるという意味からも選ばれてきませんでしたし、 土や水やりの世話が続くという実際の負担もあります。 言葉の連想のほうを気にしない相手であっても、 世話の手間だけは残りますので、そこは分けて考えておいてください。
お見舞いの花の選び方を見る制限がある場合
退院したからといって、その日からそれまでどおりの生活に戻れるとまでは限りません。 食事に制限が残っていることもありますので、 それを知らないまま食べ物を選んで贈ると、受け取ってはもらえても使ってもらえません。
難しいのは本人に直接は尋ねにくいという点で、病状を聞くことに近くなってしまいます。 どんな制限が残っているのかを聞くことは病状を尋ねることに近くなりますので、 聞かないまま選ぶのか、それとも制限に触れない品へ寄せるのかを決めることになります。
| 制限 | 避けるもの | 代わりに |
|---|---|---|
| 塩分制限 | 佃煮や漬物、加工食品は向きません | カタログギフトにしておけば外しません |
| 糖分制限 | 菓子やジュースは避けておきます | タオルや入浴剤へ寄せておきます |
| アルコール禁止 | 酒類は全般に避けることになります | コーヒーやお茶にしておきます |
| 咀嚼・嚥下の負担 | 硬いものは食べにくくなります | やわらかい菓子やゼリーを選びます |
制限のことを直接聞きにくいのであれば、食べ物以外のものを選んでしまえばそれで済みます。タオルや入浴剤、カタログギフトであれば、どんな制限が残っているのかを尋ねずに用意できますので、そこで気を遣わせることもありません。
塩分や糖分のほうに制限が残っていると、佃煮の詰め合わせや焼き菓子の箱は、開けられないまま棚の上に置かれることになります。 本人のほうから口に出すことはあまりありませんので、こちらから食べ物以外へ寄せておけば、断るという手間もかけずに済みます。
咀嚼や嚥下に負担が残っている場合には、硬いものが食べにくくなっていることがあります。 やわらかい菓子やゼリーであれば口にしやすいものの、そこまで見当が付かないのであれば、やはりカタログギフトのように相手が選べる形にしておくほうが確実になります。
価格帯の目安
品物を選ぶ段になると、今度はどのくらいの値段のものにすればよいのかが気になってきます。 現金で贈る場合と考え方は同じで、 関係の近さによって幅が決まっていきますが、上のほうには天井があります。
値段を上げすぎてしまうと、それがそのまま返礼の額を押し上げることになります。 快気祝いは半額程度が目安とされていますので、 こちらの選んだ額の半分を、療養明けの相手が用意することになるという形です。
| 相手 | 価格帯 |
|---|---|
| 友人・同僚 | 3千円から5千円のあいだで選びます |
| 家族・親戚 | 5千円から1万円のあいだで選びます |
| 上司 | 3千円から1万円のあいだに収めます |
| 職場一同 | 5千円から1万円をまとめて用意します |
| 近所の方 | 3千円ほどの品にしておきます |
4千円と9千円は、包む金額と同じく価格帯としても避けることになります。3千円・5千円・1万円といった区切りのよい額から選んでおけば、贈った側の意図が数字に出ることもなく、受け取る側も見当を付けやすくなります。
関係が近いほど幅の上のほうへ寄っていくことになりますが、いちばん上まで無理に届かせる必要はありません。 高額な品を選べば選ぶほど相手の用意するお返しも大きくなりますので、療養明けの体には、そのぶんの手間がそのままのしかかることになります。
職場一同としてまとめて贈る場合は、 一つにまとめておけば、お返しも一つで済むことになります。 別々に贈ってしまうと人数分の快気祝いを用意させることになりますので、同じ職場であれば、声をかけ合ってまとめておくほうが親切です。
配送するとき
退院したばかりの相手を訪ねるのはかえって気を遣わせますので、 退院祝いは配送で贈ることが多くなります。 ところが退院した直後の家というのは、荷物を受け取れる状態とは限りません。
通院で家を空けていることもありますし、 冷蔵庫の空きもあてにできませんので、 いつ届くかと受け取ったあとに手間がかからないかの二つを、 注文の時点で決めておくことになります。
| やること | 内容 |
|---|---|
| 到着日を伝える | 不在で受け取れないと、再配達の手間になります |
| 掛け紙 | 内のしにし、表書きは「御退院祝」とします |
| 一言添える | 「気を遣わせたくないので送りました」と伝えます |
| 冷蔵・冷凍品 | 避けます。受け取りと保管の手間が増えます |
| 重いもの | 避けておきます。運ぶこと自体が負担になります |
冷蔵や冷凍の品というのは、在宅していることと冷蔵庫に空きがあることの両方が前提になります。退院直後の家に届けるものとしては向きませんので、常温で日持ちのするものを選んでおいてください。
到着する日を先に伝えておけば、その日だけは家にいるように動いてもらうことができます。 黙って送ってしまうと通院の日と重なって不在票だけが入ることになりますので、配送を頼んだ時点で、一言連絡を入れておいてください。
「気を遣わせたくないので送りました」と添えておくと、 訪ねなかったことが不義理に見えることもありません。 掛け紙は内のしにしたうえで表書きを「御退院祝」としておけば、配送の途中で紙が擦れることもなく、そのまま届きます。
何を選ぶかに一つだけの正解があるわけではなく、 使えばなくなるものであることと、受け取ったあとに手間が生じないことの二つを満たしていれば、 菓子でも入浴剤でもタオルでも構いません。 制限が残っているかどうか分からないのであれば、 相手が選べるカタログギフトへ寄せておけば外すことはありません。
どの場面でも変わらないのは、値段を上げるほど相手の用意するお返しが大きくなるという一点だけです。 快気祝いとして半額程度が返ることを見込んでおけば、 避ける品の言い伝えを細かく思い出せなくても失礼にはなりませんし、 療養明けの相手に、余計な負担をかけずに済みます。
よくある質問
退院祝いには何が向いていますか?
使えばなくなる「消えもの」が基本になりますので、個包装の菓子やカタログギフト、入浴剤や石けん、タオル、コーヒーやお茶といったあたりが向きます。退院したばかりの相手は体力が戻りきっていませんので、受け取ったあとに世話や片づけの要らないものを選んでください。
避けたほうがよいものはありますか?
寝具やパジャマは「寝つく」、鉢植えは「根づく=寝つく」、刃物は「縁を切る」、櫛は「苦」「死」と読めるとされて避けられてきました。香りの強いものは体調によってつらくなりますし、生ものや大きな置物も向きません。
食事制限があるか分からないときは?
食べ物以外を選んでしまえば、制限を尋ねずに済みます。タオルや入浴剤、カタログギフトであれば、塩分や糖分の制限が残っていても外しません。とくにカタログギフトは相手が選べますので、アレルギーや好みが分からないままでも用意できます。
いくらくらいのものを選びますか?
友人や同僚であれば3千円から5千円、家族や親戚であれば5千円から1万円、上司であれば3千円から1万円が目安になります。快気祝いとして半額程度が返る前提がありますので、値段を上げるほど療養明けの相手の負担が大きくなります。
花を贈ってもよいですか?
切り花そのものは問題ありませんが、水を替える世話と花瓶が要りますので、退院したばかりの相手には手間になることがあります。贈るのであれば、花瓶の要らないアレンジメントの形にしてください。鉢植えは「根づく」を避ける意味でも選ばれません。
配送するときの注意はありますか?
到着する日を先に伝えておいてください。通院で不在にしていると再配達の手間になります。冷蔵や冷凍の品は在宅と冷蔵庫の空きが前提になりますので避け、常温で日持ちのするものにします。掛け紙は内のしで、表書きは「御退院祝」とします。
まとめ
- 退院祝いは消えものから選びます
- 世話や片づけの要らないものにします
- 迷ったらカタログギフトを選びます
- 寝具と鉢植え、刃物は避けます
- 食事の制限がないか先に確かめます
- 価格帯は3千円から1万円のあいだにします
- 4千円と9千円は避けます
- 配送するなら到着日を伝えておきます
参考情報
- イオンのお葬式「お見舞い金のマナーについて金額相場・封筒の書き方・渡すタイミングなど解説」
https://www.aeonlife.jp/knowledge/manner/omimaikin_manner - ジャパンギフト「快気祝いとは?快気内祝いとの違い、贈るタイミング・のし・相場などマナーについて」
https://www.rakuten.co.jp/japangift/contents/kaikiiwai-1/ - 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html
水引(紅白の結び切り)、のしを付けること、金額の目安については、参照した情報源で共通しています。退院祝いを贈るべきかどうかというところについては、説明の分かれるところです。本サイトは「必須ではなく、お見舞いを渡した人は重ねて贈らなくてよい」という立場で記載しています。
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安であり、地域やご家庭の慣習によって異なる場合があります。完治していない場合には「退院祝い」ではなく「御見舞」のほうを使ってください。