結論
お見舞いに包むお札に新札は使わないというのが、この場面での決まりになります。新札は銀行で用意するか前もって両替しておかなければ手に入らないものですので、 病気やけがを予期して準備していたと受け取られてしまうことになり、 この点は香典で新札を避けるのとまったく同じ理屈になります。
手元に新札しかないという場合でも、その場で一度折り目を付けるだけで構いませんので、両替に走る必要はありません。 お札は肖像画が表・上にくるように入れますので、 顔を伏せて悲しみを表す香典とは向きがちょうど逆になり、 同じつもりで入れると、そこだけが反対になってしまいます。
お札の扱い
| 項目 | お見舞い | 香典 |
|---|---|---|
| 新札 | 使わずに、折り目のある札にします | こちらも同じように避けておきます |
| 肖像画の向き | 表・上にくるように入れます | 下にくるよう、伏せた向きで入れます |
| 複数枚 | 向きをすべて揃えたうえで重ねます | こちらも同じように向きを揃えます |
| 避ける金額 | 4千円・9千円・4万円は避けておきます | こちらも同じ数字を避けておきます |
| 傷んだ札 | 破れや汚れのある札は使わないでおきます | こちらも同じように避けます |
| 水引 | 紅白の結び切りを使います | 黒白か双銀の結び切りのものを使います |
新札を避けるという点は香典と同じで、お札の向きのほうだけが逆になります。お見舞いは弔事にあたるものではありませんので、香典のようにお札を伏せて入れることはしません。
なぜ新札を避けるのか
入院の知らせを受けて封筒を用意する段になり、財布から出したお札に折り目が付いているのが気になって、銀行に寄っておこうかと考えます。 お祝いごとであれば新札を用意するのが決まりになっていますので、同じように整えておいたほうが丁寧なのではないかという気持ちが働きます。
ところがお見舞いの場合には、その用意そのものが逆の方向へ働いてしまうことになります。 新札は銀行の窓口で頼むか、前もって両替しておかなければ手に入らないものですので、 あらかじめ準備していたということが、そのままお札の状態のほうに残ってしまいます。
| 見られ方 | 受け取る側の受け止め |
|---|---|
| 新札を包む | 病気やけがを予期していたと受け取られます |
| 折り目のある札を包む | 知らせを受けて急いで用意したと伝わります |
| もとになる考え方 | 香典で新札を避けるのとまったく同じ理屈にあたります |
この作法は「準備していなかった」ということを示すためのものですので、折り目が付いてさえいれば目的は果たせます。わざわざしわくちゃにするような必要はまったくありませんので、そこまで手を加えないでおいてください。
同じ考え方は香典にも当てはまりますが、お祝いごとになると向きがそっくり反対になって、今度は新札を用意するほうが決まりになります。 不幸ごとや病気は前もって日取りが決まるものではありませんので、 準備の跡が残っているかどうかが、そのまま意味を持つことになります。
意味のほうを押さえておけば、どこまで気にすればよいのかというところも、おのずと決まってきます。 示したいのは準備していなかったという一点だけですので、折り目が一本入っていればそれで足りますし、それ以上に手を加えてしまうと、今度は札そのものが傷んで見えることになります。
新札しかない場合
急な入院の知らせを受けて、その日のうちに病院まで伺うことになるという場面があります。 財布を開けてみたら折り目のないお札しか入っておらず、銀行の窓口のほうはすでに閉まっているというところで、どうしたものかと手が止まります。
この場面でできることは決まっていて、その場で折り目を付けてしまえばそれで足りることになります。 縦に半分に折って折り目を一本付けるだけで、 そのお札は一度使われたものとして扱えるようになりますので、わざわざ両替に走る必要はありません。
| やること | やらなくてよいこと |
|---|---|
| 縦に一度だけ折ります | 何度も折り返す必要はありません |
| 折り目を軽く付けておきます | くしゃくしゃに丸めることはしません |
| 折り目を伸ばしてから入れます | 両替に行く必要もありません |
急な入院の知らせを受けて両替の時間が取れないということは、実際にはよくあることです。折り目を一本付けておけばそれで十分ですので、そのために窓口を探して時間を使うようなことはしないでください。
折ったあとは、その折り目を軽く伸ばしてから封筒に入れておきます。 折れたままの状態で入れてしまうと封筒の中で嵩が出てしまいますし、受け取った側が中身を数えるときにも扱いにくくなりますので、 一度伸ばしておくところまでを一続きの作業と考えておいてください。
何度も折り返したり、丸めて広げたりするような必要はまったくありません。 折り目が一本入っていればその役目はもう果たしていることになりますし、それ以上に手を加えてしまうと、今度は傷んだ札をわざわざ包んだように見えてしまいます。
汚れすぎた札も避ける
新札を避けるという話を聞くと、 それなら財布の底に折りたたまれていた一枚でよいのだろうかという考えが浮かびます。 使い込まれているものほど準備していなかったことが伝わるようにも思えますが、実はここにも反対側の線が引かれています。
判断の軸になるのは古さや新しさではなく、 受け取る側が手に取ったときにどう感じるかという点になります。 入院している方に手渡すものになりますので、衛生の面から見ても、傷みや汚れの目立つ札は選ばないでおくことになります。
| 避ける札 | 選ぶ札 |
|---|---|
| 破れている札 | 使用感はあっても、破れのないものを選びます |
| テープで補修した札 | 補修の跡が残っていないものにします |
| 落書きのある札 | 書き込みや印の付いていないものを選びます |
| 極端に汚れた札 | ある程度きれいなものを選んでおきます |
「新札でなければ何でもよい」というわけではなく、反対側にも線が引かれています。財布の中でいちばんきれいなものを選ぶという感覚で十分ですので、そこから折り目のあるものを一枚抜き出しておけば、両方の条件を満たせます。
破れている札やテープで補修した札については、受け取った側がその場で扱いに困ることになりますので、避けておきます。 落書きや書き込みのある札についても同じことで、渡された相手は、それを使う場面まで考えなければならなくなります。
ちょうどよいのは、使用感はあるものの傷みや汚れのないお札ということになります。 財布の中からいちばんきれいな一枚を選ぶという感覚で十分ですので、迷ったときは何枚か並べてみたうえで、折り目が付いていて、なおかつ見た目の整ったものを選んでおいてください。
お札の向き
封筒に入れる段になって、今度はお札をどちら向きにすればよいのかというところで手が止まります。 香典を包んだときのことを思い出してそのまま同じ向きにしようとすると、ここだけがちょうど逆になってしまいますので、分けて覚えておく必要があります。
お見舞いでは肖像画が表・上にくるように入れるというのが決まりになります。 封筒の表側から見たときに顔が見えている状態にしておけばよく、 香典のように顔を伏せることはしませんので、 そこだけを押さえておけば、迷ったときに思い出せます。
| お見舞い | 香典 | |
|---|---|---|
| 肖像画の面 | 表にして、顔が見える向きに入れます | 伏せて入れます(説の分かれるところです) |
| 肖像画の位置 | 上にくるように向きをそろえます | 下にくるように向きを変えます |
| 意味 | 弔事ではないため、伏せることはしません | 顔を伏せることで悲しみを表すためです |
複数枚を包むときは、向きをすべて揃えたうえで重ねておいてください。これは香典であっても同じことで、受け取った側が数えるときに一枚ずつ向きを直さずに済むようにするためのものです。
香典のほうで顔を伏せるのは、そこに悲しみを表すという意味があるからです。 お見舞いは弔事にあたるものではありませんので、 同じように伏せてしまうと、意味の合わない形になってしまいます。 迷ったときは、お祝いごとと同じ向きになると思い出しておけばそれで足ります。
複数枚を入れる場合は、向きをそろえて重ねてから封筒のほうへ収めます。 受け取った側には中身をあらためて記録するという場面がありますので、向きがそろっていれば一枚ずつ直す手間が生じませんし、 これは香典であっても、お祝いごとであっても変わりません。
枚数と金額
包む額を決めたあとで、それを何枚のお札で作るのかというところにも、一応の目安があります。 同じ五千円でも千円札を五枚重ねるのか、五千円札を一枚にするのかで 封筒の厚みが変わりますし、避けたい枚数に当たってしまうこともあります。
避けるのは4と9のつく数で、 それぞれ「死」と「苦」を連想させるという理由から用いられてきませんでした。 これは額だけでなく枚数にも当てはまりますので、 地域によっては「6(無)」を避けることもあります。
| 金額 | 枚数 |
|---|---|
| 3千円 | 千円札を3枚、向きをそろえて重ねます |
| 5千円 | 五千円札を1枚にしておくのが自然です |
| 1万円 | 一万円札を1枚にしておくのが通例です |
枚数は少ないほうが封筒の中で整いますし、4枚と9枚も金額と同じ理由で避けることになります。5千円を包むのであれば、千円札を5枚重ねるより五千円札を1枚にしておくほうが自然な形になります。
四千円や九千円といった額そのものを避けるのとまったく同じ考え方で、枚数が四枚や九枚になる組み合わせのほうも選ばないでおきます。 これも語呂から来た慣習ではありますが、別の組み合わせに寄せるだけで済む話ですので、外しておくのに手間はかかりません。
枚数が少ないほうが封筒の中も整いますし、 受け取った側が数えるときにも一目で分かる形になりますので、同じ額を作れる組み合わせがいくつかあるようなときは、いちばん枚数の少なくなるものを選んでおけば、それでまとまります。
ご祝儀・香典との違い
売り場で袋を選ぼうとすると、紅白のものと黒白のものが並んでいて、 お見舞いはどちらの棚から取ればよいのかというところで迷います。 祝い事ではないものの弔事にもあたりませんので、どちらの作法をどこまで当てはめればよいのかというところが、はっきりしません。
お見舞いは慶事と弔事のあいだに位置しているという、少し変わった扱いになります。 そのため両方の作法が混ざったような形になっていて、 水引の色は慶事の側から、新札を避けるという点は弔事の側から借りている形になります。
| 項目 | ご祝儀 | お見舞い | 香典 |
|---|---|---|---|
| 新札 | 新しいものをそろえて用意します | 避けて折り目を付けておきます | お見舞いと同じように避けます |
| 肖像画 | 表・上にくるように入れます | 同じく表・上にして入れます | 下にして伏せる形で入れます |
| 水引の色 | 紅白か金銀のものを選びます | 紅白のものを選んで使います | 黒白か双銀のものを使います |
| 結び方 | 蝶結びにします(結婚は結び切り) | 結び切りのものを使います | こちらも結び切りを使います |
| のし | 付けたものを用意します | 付けずに用意します | こちらも付けずに用意します |
お見舞いは「紅白だが、のしは付けない」という、他には見られない独特の組み合わせになります。ここが他の二つと違うところですので、売り場では「お見舞い用」と伝えてしまうのが、いちばん確実な頼み方になります。
新札を避けるという点は香典のほうから、肖像画を表・上に入れるという点はお祝いごとのほうから借りた形になっています。 どちらか一方の作法をそのまま当てはめると必ずどこかがずれてしまいますので、お見舞いはお見舞いとして、別に覚えておくことになります。
水引は紅白の結び切りにしておき、のしのほうは付けないでおきます。紅白なのだからのしも付けるものだろうと考えて用意してしまうと、 そこだけが合わない形になってしまいますので、袋を選ぶ段階で売り場に用途を伝えておけば、そのまま出してもらえます。
封筒と表書きを詳しく見るお札の扱いに一つだけの正解があるわけではなく、 準備していたように見えないことと、受け取った側が扱いに困らないことの二つを満たしていれば、 それで足ります。 新札しか手元にないのであれば縦に一度折っておけばよいですし、 折り目のある札の中から、見た目の整った一枚を選んでおけば両方を満たせます。
どの場面でも変わらないのは、お見舞いは香典とはお札の向きが逆になるという一点だけです。 肖像画を表・上にして入れるということさえ覚えておけば、 枚数や金額の細かい決まりを思い出せなくても失礼にはなりませんし、 受け取った側も、そのまま中身をあらためられます。
よくある質問
お見舞いに新札を使ってはいけませんか?
避けてください。新札は銀行で用意するか前もって両替しておかなければ手に入らないものですので、病気やけがを予期して準備していたと受け取られてしまいます。香典で新札を避けるのとまったく同じ理屈で、準備の跡が残っているかどうかが意味を持つことになります。
手元に新札しかないときはどうしますか?
縦に半分に折って折り目を一本付けるだけで構いません。それで一度使われたお札として扱えますので、両替のために窓口を探して時間を使う必要はありません。何度も折り返したり丸めたりする必要もなく、折り目を軽く伸ばしてから封筒に入れてください。
古いお札なら何でもよいですか?
破れている札やテープで補修した札、落書きのある札、極端に汚れた札は避けてください。受け取る側が扱いに困ることになります。ちょうどよいのは使用感はあっても傷みのないお札で、財布の中でいちばんきれいなものを選ぶという感覚で十分です。
お札はどちら向きに入れますか?
肖像画が表・上にくるように入れ、封筒の表側から見たときに顔が見えている状態にします。香典では顔を伏せて悲しみを表しますが、お見舞いは弔事にあたるものではありませんので、伏せることはしません。向きがちょうど逆になりますので、そこだけ分けて覚えてください。
避けたほうがよい枚数はありますか?
4枚と9枚は「死」と「苦」を連想させますので避けます。地域によっては6(無)を避けることもあります。枚数は少ないほうが封筒の中で整いますので、5千円を包むのであれば千円札を5枚重ねるより、五千円札を1枚にしておくほうが自然な形になります。
袋はご祝儀と同じものでよいですか?
お見舞いの袋は紅白の結び切りで、のしは付けません。水引の色は慶事と同じ紅白ですが、のしを付けないという点だけが違いますので、紅白だからと同じつもりで選ぶと合わなくなります。売り場では「お見舞い用」と伝えてしまうのが、いちばん確実な頼み方です。
まとめ
- お見舞いに新札は使いません
- 新札しかなければ縦に一度折ります
- くしゃくしゃにする必要はありません
- 破れや汚れのある札も避けます
- お札は肖像画を表・上にして入れます
- 香典とは向きが逆になります
- 4枚と9枚は避けます
- 袋は紅白の結び切りにし、のしは付けません
参考情報
- イオンのお葬式「お見舞い金のマナーについて金額相場・封筒の書き方・渡すタイミングなど解説」
https://www.aeonlife.jp/knowledge/manner/omimaikin_manner - はじめてのお葬式ガイド「お見舞い金の相場とマナー!書き方・お札の入れ方・渡し方を解説」
https://www.e-sogi.com/guide/10975/ - 小さなお葬式「お見舞い金とは?金額相場とマナーもあわせて解説」
https://www.osohshiki.jp/column/article/179/
紅白の結び切りを使うこと、のしを付けないこと、新札を避けることは、参照した情報源および本サイトののしの記事と一致しています。
本記事で紹介している作法は一般的な目安であり、地域やご家庭の慣習によって異なる場合があります。ご判断に迷う場合は、ご親族や売り場でご確認ください。