結論

会社の制度として支給された見舞金に、お返しは要りません。 規定に基づいて支払われたものであって、誰か個人からの気持ちとして 渡されたわけではないためです。

有志や部署一同からいただいたのであれば 個包装の菓子を職場へ1つ用意すれば足りますし、 上司個人からいただいた場合だけは、個別にお返しします。

いただき方お返し目安
会社の慶弔見舞金(制度)返さなくてかまいませんお礼だけを口頭で伝えれば足ります
労働組合・共済からこれも返す必要はありません同じく制度による給付にあたります
部署一同・有志から職場へまとめて1つ置きます3千〜5千円の個包装菓子が向きます
上司個人から個別にお返しします1/3程度にとどめ、挨拶状を添えます
同僚個人からこちらも個別にお返しします1/3〜半額の範囲で選べば十分です
取引先から会社の慣習に従って決めますまず上長に相談してください

制度による見舞金と、個人から出た気持ちは分けて考えます。同じ「会社から」であっても、規定に基づいて支払われたものにお返しは要りませんし、返そうとすると受け取る部署のほうが処理に困りますので、お礼だけを伝えて済ませます。

制度の見舞金は不要

入院しているあいだに給与明細を見たら、見慣れない項目で数万円が振り込まれていた、 という形で気づくことがよくあります。ありがたい反面、 これは誰に何を返せばよいのかが分からないまま退院日を迎えます。

判断を分けているのは金額の大小ではなく、 その支給に相手の顔があるかどうかという点です。 就業規則や慶弔規程に基づいて支払われたものは会社の福利厚生であり、 誰かの気持ちとして渡されたわけではないので、返す相手がいません。

受け取り方どちらと考えるか
給与と一緒に振り込まれた制度による支給なので、お返しは要りません
総務や人事から連絡があった同じく制度なので、お礼を伝えるだけで足ります
労働組合や共済会から届いたこれも制度による給付なので、返す必要はありません
封筒で手渡しされた有志の可能性があるので、一度確かめておきます
名前が書いてある個人からの贈り物なので、その方へお返しします

見分けがつかないときは、自分で判断せずに総務へ一言たずねてください。「制度の見舞金でしょうか」と聞けばすぐに分かりますし、ここを取り違えると、返さなくてよいものに返して担当部署を困らせるか、返すべき相手に返し損ねるかのどちらかが起こります。

制度による支給に品物を返そうとすると、受け取る側の部署が処理に困ります。 経理は福利厚生費として処理を終えていますし、 総務に菓子折りが届いても誰の名前で受け取ればよいのか決められませんので、 結局は担当者の机に置かれたままになってしまいます。

こうした制度を持っていること自体は、特別なことではありません。 労働政策研究・研修機構が2017年10月から12月にかけて実施し、 全国の企業2,809社から回答を得た調査では、 慶弔見舞金制度が「ある」と答えた企業は86.5パーセントで、 慶弔休暇制度の90.7パーセントに次ぐ2番目の高さでした。

有志・部署一同から

封筒に「営業部一同」と書かれていた場合は、話が変わってきます。 これは会社ではなく人から出たものですから返すことになりますが、 誰にいくらずつ返すのかで手が止まります。

分かれ目は人数で、有志や部署一同からのお見舞いは 1人あたりの額が小さいことがほとんどです。 そこへ個別に品物を返すと、出した側はかえって恐縮することになりますので、 職場へまとめて1つ置く形にします。

項目決め方
品物個包装で日持ちのする、常温で置ける菓子を選びます
金額3千〜5千円が目安で、いただいた合計の1/3程度にあたります
個数人数より多めにして、休みの方の分も見込んでおきます
掛け紙紅白の結び切りにのしを付け、「快気祝」と書きます
名前本人のフルネームを書き入れます
置き場所休憩室や共用スペースなど、誰でも取れる場所に置きます

1人あたりの負担が千〜2千円であれば、職場に1つ置く形で十分に足ります。個別に同じ額の品物を返してしまうと、出した側は自分の負担より重いものを受け取ることになり、次に何かあったときに声をかけづらくなりますので、まとめて1つにするほうが後々まで収まりがよくなります。

連名のお返しを詳しく見る

置くものは、その場に居合わせた人がすぐ分けられるかどうかで選びます。 切り分けの要るホールの菓子や、冷蔵しなければならない生菓子は休憩室に置けませんし、 個包装で常温のものなら、遅番の人が夜に取っていけるため、 全員に行き渡らせることができます。

個数を人数より多めにしておくのは、その日たまたま席にいない人がいるためで、 有給や出張で当日いない人の分まで残しておけば、 戻ってきたときに一つだけ残っているという形になりますし、 配り漏れを気にしながら数える手間もなくなります。

上司個人から

上司から封筒を直接渡され、そこに個人名が書かれていた場合は、 部署一同とは分けて考えます。個別にお返しすることになりますが、 今度はいくら返すのが正しいのかで迷います。

ここで軸になるのは相場そのものより、目上に返しすぎないことです。 きっちり半額を返すと、関係を清算するような形に見えることがありますので、 1/3程度にとどめておきます。

いただいた額お返しの目安向く品物
5千円2千円前後にしておきます菓子折りが収まりよく届きます
1万円3千円前後にとどめます菓子のほか、タオルや洗剤も向きます
2万円以上1/3以下に抑えて構いませんカタログギフトなら選んでいただけます

金額を抑えるぶんは、品物ではなく挨拶状のほうで補うことになります。印刷された文面に手書きの一筆を添えるだけで、品物の額では表せない部分が伝わります。商品券は受け取った側に金額がそのまま分かってしまいますので、目上の方には避けるほうが無難です。

同僚から個人名でいただいた場合も、同じく個別にお返しすることになりますが、 目上に返しすぎないという配慮が要らないぶん、 1/3から半額までの範囲で選べば十分で、 上司のときのように額を抑えなければならない理由はありません。

渡す場所は、上司でも同僚でも、同じ職場の中では人目のないところを選んでおきます。 席に着いたままフロアで手渡すと周りの人の目に入りますし、 「自分は渡していない」と気にする方が出ることがありますので、 廊下やエレベーターの前など、二人になれる場所で渡すほうが収まります。

渡すときに添える言葉も、長くせずに短く切り上げておきます。 「先日はありがとうございました、おかげさまで復帰できました」と伝えて品物を渡せば、 相手も「お大事に」と返して終われますので、 廊下で長く立ち話をさせずに済みます。

復帰初日の挨拶

復帰の日は、何をどの順で済ませればよいのかが分からないまま出社することになります。 席に戻る前に上長のところへ行くべきか、菓子折りを先に置くべきかで、 玄関を入ったところで立ち止まることになりがちです。

決め手になるのは丁寧さの度合いではなく順番で、 上長への挨拶を先に済ませておけば、そのあとは流れで進みますし、 病状をどこまで話すかで悩む必要もありません。

順番進め方
1. 上長に挨拶する休んだことへのお詫びとお礼を、短く伝えます
2. 部署へ一言朝礼などの場で述べ、病状の説明までは要りません
3. 菓子折りを置く休憩室に置き、「皆さんでどうぞ」と一言添えます
4. 個別のお礼とくに世話になった方には、後で個別に伝えます

復帰の挨拶で、病状を詳しく説明する必要はありません。「ご迷惑をおかけしました、おかげさまで復帰できました」の一言で十分に伝わりますし、聞かれたとしても話せる範囲で答えれば足りますので、どこまで打ち明けるかを前もって考え込まなくてかまいません。

朝礼で述べる挨拶は、ひと息で言い切れるくらいの長さにしておくとちょうど収まります。 「長らくお休みをいただき、ご迷惑をおかけしました、おかげさまで体調も戻り、 本日から復帰いたします、温かいお心遣いをいただきありがとうございました、 またよろしくお願いいたします」と述べれば、それ以上は要りません。

菓子折りを置くのは、朝礼が終わって全員が席に戻ったあとの時間にします。 休憩室の共用テーブルに置いて紙を一枚添えておくと、 その場にいなかった人にも伝わりますし、 一人ずつ声をかけて回る必要もなくなります。

休職が長引いた場合

治療が長引き、復帰の見通しが立たないまま月だけが過ぎていくことがあります。 お返しをどうするかが宙に浮いたまま、 治ってから考えようと先送りにするうちに、半年が経ってしまいます。

ここで見落としやすいのは、待つほど相手が心配するという点です。 音沙汰がないこと自体が容体を推測させる材料になりますので、 復帰を待たずに一度お礼を入れるほうが、送り出した側は安心できます。

状況進め方
復帰の見通しが立たない1か月をめどに「御見舞御礼」で一度お礼をします
復帰が半年以上先になる先にお礼だけを配送しておけば構いません
復帰せず退職する退職の挨拶と一緒にお礼をします
部署が変わった当時の部署あてに届けるほうが、行き先がはっきりします

「御見舞御礼」は回復の報告にならないので、療養中でも使えます。「快気祝」と書いてしまうと治ったことを知らせる形になり、まだ治っていない段階では使えませんが、御見舞御礼であればいただいたことへのお礼だけを伝えられます。

御見舞御礼を詳しく見る

配送するときは、宛先を個人名ではなく部署あてにしておくほうが確実で、 在籍していた課あてに送っておけば、 異動や退職があっても誰かが受け取れますし、 休職中で社内の顔ぶれが分からなくなっていても、届け先を迷わずに済みます。

そこへ添える文面も、長い説明にせずに一行だけにしておきます。 「療養が続いておりますが、皆様のお心遣いに支えられております」と入れておけば、 今の状態と感謝の両方が同時に伝わりますので、 受け取った側は容体を尋ねる連絡をせずに済みます。

取引先から

入院を知った取引先の担当者から、お見舞いが届くことがあります。 同じお見舞いでも、社内から受け取る場合とは扱いが違いますので、 そのまま自分の判断で返すわけにはいきません。

理由は、それが個人ではなく会社どうしのやり取りになりうるためで、 会社として受け取ったものなのか、贈答の受け渡しに規程がないかを 先に確かめておく必要があります。

確かめることなぜ確かめるのか
会社としての受領か個人で返すと、会社の対応と食い違うことがあります
上長への相談社としての慣習が決まっている場合が少なくありません
社内規定贈答の受け渡しそのものを制限している会社もあります
礼状の名義個人名で出すか会社名で出すかで、受け取られ方が変わります

取引先が絡む場合は、自分ひとりの判断で返礼を決めないでください。贈答を制限している会社では、返礼の品を送ること自体が相手の負担になりますし、社として礼状を出す慣習があるなら個人からの品物と二重になりますので、上長に相談するのがもっとも確実です。

相談するときは、いただいた品と金額、誰から届いたかを控えて持っていきます。 「営業先の課長さんから個人名で1万円いただきました」と具体的に伝えれば、 上長のほうも過去の例と照らして判断できますので、 その場で扱いが決まることがほとんどです。

上長の判断が出るまでのあいだも、お礼だけは先に伝えておきます。 品物をどうするかが決まっていない段階であっても、 電話かメールで一言お礼を入れておくだけで相手は安心しますし、 返礼が数日遅れても、失礼になることはありません。

お返しの形に唯一の正解があるわけではなく、いただいたものが制度によるものか、 有志からのものか、個人からのものかを見分けて、それぞれに合った返し方を選べば足ります。 制度の見舞金なら返さないことが正しい対応になりますし、 部署一同からなら菓子を1つ置くだけで、出した側の想定どおりに収まります。

どの相手でも変わらないのは、まずお礼を先に伝えることと、 返す額を相手の負担より重くしないことの二つだけで、 この二つを守っていれば、品物の中身や金額を細かく思い出せなくても失礼にはなりません。 体調が戻りきらないうちは、そろえるものより伝えることのほうを先にしてかまいません。

よくある質問

会社からの見舞金にお返しは必要ですか?

制度として支給されたものであれば要りません。就業規則や慶弔規程に基づく福利厚生であり、誰かの気持ちとして渡されたものではないので、返す相手がいません。受け取ったことへのお礼を伝えれば、それで足ります。

制度か個人か、どう見分けますか?

給与と一緒に振り込まれた、総務や人事から支給の連絡があった、労働組合や共済会から届いたという場合は制度です。封筒で手渡しされたときは有志の可能性がありますので、迷ったら総務に「制度の見舞金でしょうか」とたずねてください。

部署一同でいただきました。

個包装の菓子を職場へ1つ用意します。3千〜5千円程度で、個数は人数より多めにしておき、休憩室などに置いて「皆さんでどうぞ」と伝えます。1人あたりが千〜2千円であれば、個別に返すとかえって恐縮させることになります。

上司個人からいただいた場合は?

個別にお返しします。ただしきっちり半額を返すと関係を清算するように見えますので、1/3程度にとどめ、そのぶん挨拶状を丁寧にします。商品券は金額がそのまま分かるため避け、渡すのは人目のないところを選びます。

復帰初日は何を言えばよいですか?

「ご迷惑をおかけしました。おかげさまで復帰できました」で十分です。病状を詳しく説明する必要はなく、聞かれても話せる範囲で答えれば足ります。上長への挨拶、部署への一言、菓子折り、個別のお礼の順に進めます。

復帰の見通しが立ちません。

復帰を待たなくて構いません。1か月をめどに「御見舞御礼」で一度お礼をします。これは回復の報告にならないため療養中でも使えますし、待つほど送り出した側は「まだ悪いのか」と心配することになります。

まとめ

  • 制度の見舞金にお返しは要らず、お礼だけを伝えます
  • 見分けがつかないときは総務に確認します
  • 有志・部署一同へは個包装の菓子を職場へ1つ置きます
  • 上司個人へは1/3にとどめ、挨拶状を丁寧にします
  • 目上の方に商品券は使いません
  • 復帰初日は短く済ませ、病状は説明しません
  • 休職が長引くなら「御見舞御礼」で一度お礼をします

参考情報

  1. ジャパンギフト「快気祝いとは?快気内祝いとの違い、贈るタイミング・のし・相場などマナーについて」
    https://www.rakuten.co.jp/japangift/contents/kaikiiwai-1/
  2. Giftaid「お見舞いのお返しは、「快気祝い」or「快気内祝い」どっちが正しい?」
    https://www.giftaid.jp/form/den18
  3. イオンのお葬式「お見舞い金のマナーについて金額相場・封筒の書き方・渡すタイミングなど解説」
    https://www.aeonlife.jp/knowledge/manner/omimaikin_manner
  4. 独立行政法人労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.203「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」(2017年10月28日〜12月20日実施・郵送調査・有効回答 企業2,809社/従業員8,298人)
    https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/203.html

労働政策研究・研修機構の調査は、企業に福利厚生制度の有無をたずねて集計したものであり、お返しの是非をたずねたものではありません。金額(1/3〜半額)、時期(退院・全快から10日〜1か月)、辞退された場合は贈らないことは、参照した情報源で共通しています。高額をいただいた場合に1/3にとどめるか、さらに少なくてよいかは説明に幅があるため、本文に記載しています。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域やご家庭の慣習によって異なる場合があります。体調の回復を最優先し、無理のない時期・方法で用意してください。