結論

お詫びの品にお返しは要りませんので、 受け取ったあとに何かを用意しなければと考える必要はありません。

品を受け取るかどうかは自分で決めて構いませんし、 断ったからといって失礼にあたるものでもありません。

返す言葉は「わざわざありがとうございます」で足りますので、 許すかどうかをその場で口にする必要はありません。

謝られたときに何と返すか

謝られる側になったときに困るのは、こちらが何と返せばよいのかが決まっていない点で、 「いいですよ」と言えば軽く流したように響きますし、 黙っていれば相手を宙づりにしたままにしてしまいますので、 多くの方はその場で言葉を探すことになります。

判断の軸になるのはその場で許すかどうかを言い切る必要はないという点で、 相手が求めているのは許しの宣言よりも、 詫びを受け止めてもらえたという手ごたえのほうですから、 受け取ったことだけを伝えれば場は収まります。

場面どう返すか
軽い行き違いを詫びられた「気にしないでください」と短く受けて流します
わざわざ訪ねてこられた「お越しいただき恐れ入ります」と労をねぎらいます
手紙や電話で詫びられた受け取った旨だけを、その日のうちに返します
まだ気持ちが整理できない「お気持ちは受け取りました」と述べて止めます
相手が繰り返し謝っている「もう十分です」と伝えて、区切りを付けます
職場で部下から謝られた受け止めたうえで、次の手順の話に移します
子どもから謝られた受け取った旨を伝え、責め直さずに終えます

「大丈夫です」は便利な一方で、意味の幅があまりに広すぎる言い方です。受け取ったのか、許したのか、何もなかったことにしたのかが相手には伝わりません。何を受け取ったのかをひと言足して、「ご連絡いただけましたので大丈夫です」のように使うと、相手にも輪郭が見えます。

返す言葉を長くする必要はありませんし、 むしろ長く述べるほど相手は自分の詫びが足りなかったのかと考え始めますので、 短く受けて、そのまま別の話に移るほうが相手の肩の荷は下りますし、 場をこちらから切り替えること自体が、詫びを受け取ったという合図になります。

相手が訪ねてきた場合は、詫びの中身よりも先に、 足を運んでもらったことに触れるだけで空気が変わります。 「わざわざお越しいただいて、恐れ入ります」と述べれば、 相手はこちらが門前払いにする気はないと分かりますので、話が進みます。

「許します」と口にする必要はありません

許すかどうかは、時間をかけて自分のなかで決まっていくものですし、その場で言い切ってしまうと、後から気持ちが動いたときに置き所がなくなります。

相手に返すべきものは、詫びを受け取ったという事実だけで足ります。「お気持ちは受け取りました」という言い方であれば、許したことにも、突き放したことにもなりません。

まだ気持ちが収まっていないとき

詫びられたからといって、こちらの気持ちがその場で収まるとは限りませんし、 収まっていないのに「気にしないでください」と返してしまうと、 あとから蒸し返しにくくなりますので、 無理に丸く収める言い方を選ばないほうがよい場面もあります。

このとき効くのは、詫びを受け取ったことと、気持ちの整理とを分けて伝えるという形で、 受け取ったことだけを認めておけば相手の詫びは宙に浮きませんし、 こちらは自分の気持ちを追い越して答えずに済みます。

言い方どう受け取られるか
「お気持ちは受け取りました」受け取った事実だけを伝える形になります
「少し時間をいただけますか」関係を切らずに、答えを先に延ばせます
「正直まだ整理がつきません」事実として述べる分には角が立ちません
「気にしないでください」収まっていないなら、使わないほうが安全です
黙ったまま返事をしない相手には拒まれたのと同じに受け取られます
責める言葉を重ねる詫びの場が言い争いに変わってしまいます
第三者に間へ入ってもらう直接話すのが難しいときの選択肢になります

感じたことを事実として述べるのは、相手を責めることとは違います。「あのときは困りました」と伝えるのは事実の共有にすぎませんが、「どうしてくれるんですか」と迫るのは相手に答えを出させる行為です。前者の言い方であれば、詫びを受けたその場で口にしても角は立ちません。

時間を置きたいと伝えることは、相手との関係を切ることではありません。 その場で無理に収めた形にしてしまうより、 いま答えを出さないと伝えておくほうが、 あとで気持ちが落ち着いたときに話を戻しやすくなります。

気持ちが落ち着いてから連絡し直すのであれば、こちらから短く一報を入れてください。 「先日の件、あらためて考えましたが、もう気にしておりません」と伝えれば、 相手は宙づりのままにされずに済みますし、 こちらも区切りを付けられます。

お詫びの品を受け取るかどうか

玄関先で紙袋を差し出されたときに、受け取ってよいものか迷う方は多く、 受け取れば許したことになるのではないか、 断れば意地を張っていると思われるのではないかと考えるうちに、 その場で手が止まってしまいます。

押さえておきたいのは、品を受け取ることと、許すことは別だという点で、 詫びの品は相手が気持ちを形にしたものにすぎませんから、 受け取ったからといってこちらが何かを引き受けたことにはなりません。

場面受け取るかどうか
相手がわざわざ持参した受け取っておくほうが、話が前に進みます
気持ちが収まっていない受け取ってから、気持ちは別に伝えて構いません
金額が明らかに高い辞退するか、受け取って後日あらためて相談します
職場で規則がある規則を理由に辞退すれば角が立ちません
受け取りたくない断って構いません。失礼にはあたりません
近所からの品受け取り、後日の立ち話で軽く礼を述べます
子ども同士の出来事親同士で受け取り、子どもには別に話します

迷ったときには、いったん受け取っておくほうが収まりやすくなります。断られた相手は品を持ち帰ることになり、次にどう詫びればよいのかを考え続けることになります。受け取ったうえで「気持ちはまだ整理がつきません」と伝えるほうが、こちらの状態も正確に伝わります。

高額な品を差し出されたときだけは、そのままの扱いというわけにいきません。 受け取ればこちらが借りを作ったように感じますし、 相手も出費を重ねることになりますので、 その場で辞退するか、あらためて話し合うほうが後を引きません。

職場で受け取る場合には、周囲の目という別の要素が絡んできます。 個人あてに高価な品を受け取ると周囲への説明が要りますので、 個包装の菓子を職場全体で分ける形にしてもらうと、 受け取る側の負担が軽くなります。

断るときの言い方

断ると決めたときに難しいのは、品を拒むことが相手を拒むことと受け取られやすい点で、 言い方をひとつ間違えると、 詫びに来た相手を追い返した形になってしまいますので、 断る理由を相手ではなくこちらに置くのがこつになります。

使いやすいのは、気持ちは受け取ったと先に述べてから品だけを辞退する形で、 詫びそのものは受け止めているという前置きがあれば、 品を返しても相手は突き放されたとは感じません。

言い方どう響くか
「お気持ちだけいただきます」詫びは受け取り、品だけを辞退する形になります
「かえって恐縮ですので」こちらの都合として断るので、角が立ちません
「規則で受け取れないのです」理由が外にあるため、相手も引きやすくなります
「結構です」とだけ言う拒絶として響くため、言葉を足したい場面です
受け取らずに黙って戻す相手には拒まれたとしか伝わりません
「そんなつもりでは」と繰り返す押し問答になり、相手が引けなくなります
あとから送り返す強い拒否として伝わるので、慎重に判断します

一度断ったあとに重ねてすすめられたのであれば、受け取って構いません。形式として一度辞退するのは日本の贈答で広く行われていますので、相手のほうも一度で引き下がるとは限りません。二度目にすすめられたときに受け取っておけば、双方に無理が残りません。

後から品を送り返すのは、強い拒否として伝わります

受け取ってから気が変わって送り返すと、詫びそのものを拒んだという意味に読み取られてしまいます。受け取ったものが戻ってきた相手は、もう一度どうすればよいのか分からなくなります。

どうしても手元に置きたくない場合は、そのまま職場や近所で分けるという方法があります。品を送り返すのは、関係そのものを断つ意思があるときに限ってください。

お返しは必要か

お詫びの品を受け取ったあとで、多くの方が気にするのがお返しの要否で、 日本の贈答では受け取ったら返すという習慣が根づいていますから、 何かを用意しなければと考えてしまうのは自然なことですが、 この場面ではその必要がありません。

その理由は、詫びの品というものが贈り物ではなく、 相手が自分の非を形にしたものだからです。 お祝いや見舞いのように相手の好意から贈られたものではありませんので、 返せばかえって相手を困らせることになります。

受け取ったものお返しの要否
お詫びの菓子折りお返しは要りません。礼だけを伝えます
弁償として受け取った現金返礼はせず、受け取った旨だけを伝えます
高額な品を受け取った返礼より、辞退できないか先に考えます
詫び状だけが届いた短い返信で、受け取った旨を伝えます
相手が繰り返し品を送ってくるもう十分である旨をはっきり伝えます
関係を戻したいお返しではなく、次に会う約束を作ります
職場でもらった分けて配り、まとめて礼を伝えます

こちらがお返しをすると、相手はもう一度詫びの品を用意しかねません。詫びと返礼が往復してしまうと、双方が気を抜けないまま贈り合うことになります。返すのは品ではなく言葉にとどめて、「わざわざありがとうございました」と伝えれば、それで完結します。

礼を伝えるかどうかという点で、迷う必要もありません。 品を受け取ったのであれば、 その日のうちに短く一報を入れるほうが相手は安心しますし、 届いたかどうかを気にしたまま過ごさずに済みます。

伝える文面のほうは、一行だけで十分に足ります。 「お心づかいをいただき、恐れ入ります」と伝えるだけで、 受け取ったことと、責め続ける気がないことの二つが同時に伝わりますので、 そこから先を書き足す必要はありません。

弁償を申し出られたとき

壊された、汚された、出費を負わされたという場面では、 相手から弁償を申し出られることがありますが、 遠慮して断ってよいのか、受けてよいのかで判断に迷いますので、 その場で答えを出せずに曖昧なまま終わりがちです。

軸になるのは実際に出た損失かどうかという点で、 すでに払ったお金や、これから払うことが決まっている費用は受け取って構いませんが、 気持ちの埋め合わせとして差し出される分については、 辞退しても差し支えありません。

場面どう扱うか
修理代・クリーニング代実費として受け取って差し支えありません
買い直しを申し出られた同じ品でよいかを伝え、金額は任せます
金額がはっきりしない領収書を見せ、実費の範囲を共有します
実費以上を渡そうとする実費の分だけを受け取り、残りは戻します
古いもので値段が付かない弁償は辞退し、詫びだけを受け取ります
けがや事故が絡む当事者間で決めず、保険会社に相談します
子ども同士の出来事親同士で話し、金額は控えめに収めます

けがや高額な損害が絡む場合には、その場で金額を決めないでください。後になって治療が長引いたり、修理の見積もりが変わったりすることがあるためです。加入している保険で対応できる範囲もありますので、双方が落ち着いてから確かめるほうが、結果として双方にとって安全です。

弁償を辞退するときの言い方

「品物は古いものでしたし、弁償までしていただくつもりはありませんので、お気持ちだけありがたく受け取ります」と伝えれば、相手も引き下がりやすくなります。

辞退するのであれば、そこに理由を添えるようにしてください。「いいです」とだけ返すと、遠慮しているのか本当に不要なのかが相手に伝わらず、相手はもう一度申し出ることになります。断る理由が添えてあれば、相手のほうもそこで区切りを付けられます。

そのあとの付き合い方

詫びを受け取ったあとで難しいのは、翌日からどう接するかという点で、 何ごともなかったように振る舞うのも、 よそよそしくするのも、どちらも自然ではありませんので、 戻し方を決めかねたまま距離が空いていきます。

考え方としては、こちらから話しかける回数を先に戻すのが早い方法で、 相手は詫びた側として声をかけにくくなっていますから、 こちらが日常の話題を振ったところから、関係はもとに戻り始めます。

場面どう戻すか
職場の同僚翌日から仕事の話を普通に振っていきます
近所の方次に会ったときに、こちらから挨拶をします
友人別の用件で連絡を入れ、話題を変えます
親族次の集まりで、いつもどおりに接します
相手が謝り続けているもう終わった話である旨を、はっきり伝えます
同じことが繰り返された詫びではなく、防ぐ方法のほうを話し合います
どうしても戻せない無理に戻さず、距離を保って構いません

出来事を話題に出さないことが、いちばん分かりやすい合図になります。冗談めかして持ち出すのも、相手にとってはまだ終わっていない印だと受け取られます。ふだんの話題だけで会話が成り立つようになれば、それがもう関係の戻った状態です。

関係を無理に元へ戻さなくてもよい場面というのもあります。 詫びを受け取ったからといって、 元と同じ距離で付き合う義務が生まれるわけではありませんので、 少し離れた付き合い方を選ぶこともできます。

相手が同じことを繰り返す場合には、詫びを受け続けても状況そのものは変わりません。 そのときは詫びの言葉ではなく、 次にどう防ぐかを一緒に決めるほうへ話を移すと、 謝る側も受ける側も同じ場所を回らずに済みます。

贈る側から見たお詫びの品を見る

謝られた側の振る舞いに決まった正解があるわけではなく、 その場で受け流して終わる関係もあれば、 時間をかけて気持ちを整理してから返事をする関係もあります。 自分の気持ちを追い越さない範囲で答えておけば、それで十分に足ります。

どの場面でも変わらないのは、 受け取ったかどうかだけは相手に伝えることと、品にお返しを重ねないことの二つです。 この二つを守っていれば、言葉を少し選び損ねても、 相手を宙づりにしたまま放置することにはなりません。

よくある質問

謝られたとき、何と返せばよいですか?

「わざわざありがとうございます」「お気持ちは受け取りました」で足ります。その場で許すかどうかを言い切る必要はありません。相手が求めているのは許しの宣言よりも、詫びを受け止めてもらえたという手ごたえのほうです。

まだ気持ちが収まっていないときはどう答えますか?

「お気持ちは受け取りました」と述べて止めるか、「少し時間をいただけますか」と伝えてください。収まっていないのに「気にしないでください」と返すと、あとから蒸し返しにくくなります。黙ったままでいると、相手には拒まれたと受け取られます。

お詫びの品は受け取ってもよいのですか?

受け取って構いません。品を受け取ることと許すことは別で、詫びの品は相手が気持ちを形にしたものにすぎません。迷ったときは受け取っておくほうが、相手も次にどう詫びればよいか考え続けずに済みます。

お詫びの品を断ってもよいですか?

断って構いませんし、失礼にはあたりません。「お気持ちだけいただきます」「かえって恐縮ですので」のように、断る理由をこちらに置くと角が立ちません。「結構です」とだけ言うと拒絶として響くため、言葉を足してください。

お詫びの品にお返しは必要ですか?

要りません。詫びの品は贈り物ではなく、相手が自分の非を形にしたものだからです。お返しをすると相手がもう一度品を用意しかねませんので、返すのは品ではなく言葉にとどめて、礼を伝えれば完結します。

品を受け取ったら礼を伝えるべきですか?

その日のうちに短く一報を入れてください。「お心づかいをいただき、恐れ入ります」の一行で、受け取ったことと責め続ける気がないことの二つが同時に伝わります。相手も届いたかどうかを気にせずに済みます。

弁償を申し出られたら受け取ってよいですか?

実際に出た損失であれば受け取って差し支えありません。修理代やクリーニング代などの実費がこれにあたります。気持ちの埋め合わせとして実費以上を渡そうとされた場合は、実費の分だけを受け取って残りは戻してください。

謝られたあと、相手とどう接すればよいですか?

こちらから話しかける回数を先に戻すのが早い方法です。相手は詫びた側として声をかけにくくなっていますので、日常の話題を振ったところから関係はもとに戻り始めます。出来事を話題に出さないことが、いちばん分かりやすい合図になります。

まとめ

  • 返す言葉は「お気持ちは受け取りました」で足ります
  • その場で許すかどうかを言い切る必要はありません
  • 品は受け取っても断っても構いません
  • お詫びの品にお返しは要りません
  • 弁償は実費の範囲だけを受け取ります
  • こちらから先に話しかけると、関係が戻り始めます

参考情報

  1. 三越伊勢丹法人オンラインストア「謝罪・お詫びの菓子折りおすすめ15選|のし・予算・選び方・渡し方など誠意を伝えるためのマナー」
    https://business.mistore.jp/magazine/article/315
  2. リンベル ギフトコンシェルジュ「誠意が伝わる『お詫びの品』の選び方・贈り方」
    https://www.ringbell.co.jp/giftconcierge/13889
  3. 西武・そごう e.デパート「菓子折りとは?意味・渡し方・マナー7個!挨拶や言葉は?」
    https://edepart.sogo-seibu.jp/feature/foodread1

謝られた側の作法をまとめた資料はほとんどありません。上記は贈る側の案内に書かれている「受け取ってもらえなかった場合」の記述から、受け手側の対応を整理したものです。(最終確認:2026年8月)

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・間柄・出来事の重さによって適切な形は変わります。けがや高額な弁償が絡む場合は、自己判断せず保険会社や専門家にご相談ください。本記事は人付き合いの作法を扱うもので、法律上の責任について述べるものではありません。