結論

お返しが要るかどうかはその祝いが誰の名前で出されたものかで決まりますので、 金額を調べるより先に袋の表書きを確かめてください。 会社名義の祝金であればお返しは要らず、 部署一同や有志一同からであれば個別には返さずに、 皆で分けられる菓子をまとめて渡す形になります。

個人からいただいた分だけはいただいた額の3分の1〜半額が目安で、 時期は生後1〜2か月ごろをみておくことになりますが、 職場からいただいた分については復帰の挨拶とまとめて渡すという形も取れますので、 産後すぐに送らなければならないと思い詰める必要はありません。

誰名義かで変わる

産休に入る前の挨拶回りで封筒を渡されたり、退院してしばらく経ってから上司が自宅まで届けてくれたりと、 職場からの出産祝いは思いがけない形で手元に届きますので、 封を開けたところで、これはお返しが要るものなのかどうかで手が止まります。 育児が始まったばかりの時期に品物を選んで送る段取りまで抱え込むことになるのかと考えると、 金額の目安を調べる前に気が重くなってしまいます。

ここで先に見ておきたいのは金額ではなく、 その祝いが誰の名前で出されたものなのかという点で、 同じ1万円でも会社の名前で支給されたものと、同じ部署の同僚が個人で包んでくれたものとでは、 お返しの要否そのものが変わります。 会社が制度として出しているのか、個人の気持ちとして出されたのかという線引きが、 そのまま返す・返さないの境目になります。

誰からお返しの目安
会社名義(規程による祝金)お返しは要りません。福利厚生の一部にあたります
部署一同・有志一同個別には返さず、皆で分けられる菓子をまとめて渡します
個人からいただいた額の3分の1から半額をみておきます
上司から個人的に同じ考え方で、3分の1程度でも失礼になりません
取引先から受け取り方を含めて、会社の規程を確かめてください

お返しが要るかどうかは、袋の表書きと添え書きを見た時点でほとんど決まります。「〇〇株式会社」と刷られているのか、「営業部一同」と手書きで添えられているのか、それとも個人名だけが並んでいるのかで扱いが分かれますので、袋は品物が届いた日から取っておいてください。ここを取り違えると、返す必要のない祝金にまでお返しを送ることになります。

慶弔規程にもとづいて支給される出産祝金は、給与と同じ経路で振り込まれることも多く、 住宅手当や健康診断と並ぶ福利厚生の一部として扱われますので、 個人からの贈り物とは性質がそもそも違います。 受け取ったお金に品物で返すという形は取らず、 支給を担当した部署と直属の上司にお礼を伝えておけば、それで足りますので、 育児のさなかに要らない手間を増やさないでください。

判断に迷いやすいのは、会社からの祝金とは別に上司が個人で封筒を用意してくれたときで、 会社名義の分にお返しが要らないというだけのことですから、 上司からの分は個人からの贈り物として別に扱うことになります。 取引先からいただいた場合は、受け取ってよいかどうかも含めて社内の規程が関わってきますので、 自分で決めてしまわずに、総務の担当者か上長へ先に相談しておくほうが安全です。

金額の目安

返すと決めたところで次に詰まるのが金額で、 いただいた額をあとから本人に聞き返すわけにもいきませんし、 連名の袋には内訳が書かれていないこともありますので、 手元の一枚を見ながら、いくら分の品を用意すればよいのかを考えることになります。 袋を開けた日に金額を書き留めておかなかったと気づくのも、たいていはこの段階になってからです。

お返しの額はいただいた額の3分の1から半額のあいだに収めるというのが 広く共通した目安で、この幅のどこを取るのかは、 相手との間柄といただいた額の大きさで決まってきますので、 同じ5千円でも同期の同僚と部長とでは選ぶ品が変わってきます。

いただいた額お返しの目安
3千円千〜1,500円ほどの品をみておきます
5千円1,500〜2,500円ほどの品を選びます
1万円3千〜5千円ほどの品をみておきます
連名(総額5千円)1,500〜2,500円分の菓子をまとめて渡します
連名(総額1万円)3千〜5千円分の菓子をまとめて渡します

目上の方から高額な祝いをいただいたときは、3分の1程度に抑えるほうがきれいに収まります。半額返しの形にこだわると、いただいた気持ちをそのまま押し返すような格好になってしまいますし、受け取った側も次に何かしづらくなります。3分の1から半額という幅は、返しすぎないための幅でもありますので、上限のほうへ寄せなければ失礼になるということはありません。

連名でいただいたものを一人ずつに返そうとすると、そこで必ずつまずくことになり、 誰がいくら出したのかは取りまとめた人しか知らないのが普通ですから、 頭数で割って個別に品を選べば、多く出した人には足りず、少なく出した人には過ぎるという、 ちぐはぐな配り方になってしまいます。

向いているのは休憩室の机に置いておける個包装の菓子で、 日持ちのするものを人数より少し多めに用意し、 「皆様でどうぞ」と一言添えて置いておけば、勤務の時間帯が違う人にも行き渡ります。 切り分けの要る生菓子や、冷蔵庫の場所を取るものは、 置いた側も受け取った側も扱いに困りますので、常温で保つものを選んでください。

渡す時期

出産内祝いには時期の目安があるものの、これがいちばん守りにくい目安でもあり、 ちょうどその頃は昼と夜の区別がつかない生活が続いていて、 宅配便を受け取って段ボールを開けるだけでも一仕事になります。 外出することも品を選ぶことも思うようにいかず、 予定どおりに動けない日のほうが多くなります。

時期をめぐって迷うのは、 遅れてしまったときに今さら送ってよいものかという点と、 いただいた日が人によってばらばらのときにどこを起点として数えるのかという点の二つで、 どちらも目安の日付だけを見ていても答えが出ません。

時期目安
生後1〜2か月ごろ一般的な目安とされている時期です
いただいてから1か月以内後からいただいた分は、その日を起点に数えます
復帰時職場からの分はまとめて渡す方法もあります
遅れたお詫びを一言添えれば、返さないよりずっと収まります
体調が優れない無理をせず、動けるようになってからで構いません

目安の時期を守ることよりも、返すこと自体のほうがはるかに大切になります。生後1〜2か月というのは健診や予防接種の予定が続く時期にあたり、目安どおりに動ける人のほうがむしろ少なくなります。遅れたときは、遅くなったことへのお詫びを一言添えて送れば、それで気まずさは残りません。

いただく日がそろわないのは職場ならではで、 産休に入る前の挨拶のときに渡してくれる人もいれば、 出産の報告を聞いてから改めて封筒を持ってきてくれる人もいますので、 全員分をまとめて数えようとすると起点が定まりません。 後からいただいた分は、その日から1か月以内をめどに用意すると決めておけば、 頭の中の締め切りが一つに絞られます。

体調が戻らないうちに売り場を回るのは現実的ではありませんので、 注文から配送まで画面の上で済ませられる形を使って差し支えありませんし、 そこに手書きの一筆を添えておけば、事務的な印象は残りません。 産後の数か月は予定どおりに進まないことのほうが普通ですから、 日付そのものを守れなかったことを気に病む必要はありません。

復帰時にまとめる

お返しを産後すぐには送らず、職場へ戻る日まで待っておくという方法があり、 これは相手が全員同じ職場にいる場合にだけ取れる形になります。 郵送の手配をしなくて済みますし、 復帰の挨拶に持っていく菓子折りと一つにまとめられますので、 育児のさなかに出かける用事がそのぶん減ります。

判断が要るのは、いただき方が連名だったのか個人だったのか、 そして額がどのくらいだったのかという点で、 全員を同じ扱いにできるとは限りませんし、 復帰までの数か月をそのまま待たせてよい相手と、そうではない相手とがあります。

利点説明
手渡しできる郵送の手配をせずに、その場で渡せます
育児中に動かなくて済むいちばん大きい利点がここにあります
復帰の挨拶と兼ねられる持っていく菓子折りが一度で済みます
相手が変わっている異動した人には郵送で届けてください
注意個人から高額をいただいた分は早めに返します

祝いを受け取った日から職場に顔を出す日までに数か月あくのは、いまではむしろ普通のことです。厚生労働省が令和7年7月30日に公表した「令和6年度雇用均等基本調査」によると、令和4年10月1日から令和5年9月30日までに在職中に出産した女性のうち、育児休業を開始した人の割合は86.6%で、前回の調査より2.5ポイント上がっています。9割近くが職場をいったん離れる前提で、お返しの段取りを組んで構いません。

この調査は働く人の意識を尋ねたものではなく、 事業所が実際の人数を答えた実数の集計で、 常用労働者5人以上の全国の民営事業所から無作為に抽出した6,300事業所を対象とし、 3,383事業所から有効回答が寄せられています。 同じ期間に配偶者が出産した男性で育児休業を開始した人の割合も40.5%と、 前回より10.4ポイント上がっていますので、 産後しばらく職場を離れる人は男女とも増えていることになります。

これだけ間があくのが前提であれば、 お返しを郵送で急いで届けるよりも、 復帰の挨拶と一緒に手で渡すほうが自然に収まります。 ただし個人から高額をいただいた場合と、その人がすでに別の部署へ異動している場合は別で、 前者は数か月も待たせると相手を落ち着かない気持ちにさせますし、 後者は復帰しても顔を合わせませんので、どちらも早めに郵送で届けておくほうが確実です。

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のしと名前

品物が決まると最後に残るのがのし紙で、 売り場で「のしはどうされますか」と尋ねられた瞬間に、 表書きに何と書くのか、名前の欄には誰の名前を入れるのかで手が止まります。 結婚したときにお返しを送った記憶をたどってみても、 そのときとは違う形になりますので、かえって迷いが増えます。

迷いどころは水引の種類と名前の欄の二つで、 水引は何度あってもよい事柄かどうかで選び、 名前のほうは贈り主が誰かとは別の考え方で決まりますので、 結婚のお返しを送ったときの記憶をそのまま当てはめると、 どちらの欄も反対のほうへ寄っていきます。

項目目安
水引紅白の蝶結びが掛かったものを選びます
表書き「内祝」または「出産内祝」と書きます
名前贈り主ではなく、子どもの名前を入れます
読みが難しい名前名前の脇にふりがなを添えておきます
姓は入れるか名のみが一般的で、姓を添えることもあります
職場に置く菓子のしを掛けなくても差し支えありません

出産内祝いののし紙には、子どもの名前をお披露目するという役目があります。贈り主である親の名ではなく子どもの名を入れるのはそのためで、お返しであると同時に名前を知らせる紙でもあるということになります。読みの難しい名前であれば脇にふりがなを添えておくと、受け取った側が呼び方に迷わずに済みます。

水引を選ぶときに取り違えやすいのが、結婚祝いのお返しとの違いで、 出産は「何度あってもよい事柄」とされますから、 ほどいて結び直せる蝶結びを使い、 繰り返さないことを願う結婚のお返しでは結び切りを使います。 同じ紅白でも意味がちょうど逆になりますので、 前に頼んだものを覚えていて同じ形で注文すると、反対のものが掛かってきます。

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のし紙や品物の手配より先に済ませておきたいのが、いただいた時点でのお礼で、 電話でも短いメッセージでも構いませんから、 受け取ったことと感謝の言葉だけは、その日のうちに届けてください。 品物のほうは後日で差し支えありませんし、 連名でいただいたのであれば、取りまとめてくれた人と、 名前を連ねてくれた一人ひとりの両方へ伝えておくと、行き違いが起きません。

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職場からの出産祝いに対するお返しの形に唯一の正解があるわけではなく、 その祝いが誰の名前で出されたものなのかと、 職場に戻るのがいつになるのかという二つを見て、 無理なく渡せる形を選べばそれで足ります。 会社名義の祝金であればお礼を伝えるだけで済みますし、 部署でまとめていただいたのであれば、 復帰の日に休憩室へ菓子を置いておくという形で十分に伝わります。

どの相手でも変わらないのは、 いただいたその日のうちにお礼の言葉を届けておくことの一点だけで、 これさえ済ませてあれば、品物の手配が数か月先になっても角は立ちません。 金額の目安やのしの書き方をその場で思い出せなくても、 職場での気まずさにはつながりません。

よくある質問

職場から出産祝いをもらったらお返しは必要ですか?

「誰名義か」で変わります。慶弔規程に基づく会社名義の祝金は福利厚生にあたるためお返しは不要で、お礼を伝えれば足ります。個人からなら3分の1〜半額が目安です。

部署一同からもらった場合は?

個別に返さず、皆で分けられる個包装の菓子にしてください。個別に返すと誰がいくら出したか分からず、金額がちぐはぐになります。休憩室に置ける菓子が確実です。

いつ返しますか?

生後1〜2か月ごろが一般的な目安です。ただし時期を守ることより返すこと自体が大切で、育児中は思うように動けません。遅れてもお詫びを一言添えれば十分です。

復帰時にまとめて渡してもよいですか?

連名でいただいた場合は現実的な方法です。復帰の挨拶のお菓子と兼ねられ、郵送の手間もありません。実際、雇用均等基本調査でも在職中に出産した女性の86.6%が育児休業を開始しており、数か月あくのが普通になっています。ただし個人から高額をいただいたなら、そちらは早めに返してください。

のしはどう書きますか?

紅白の蝶結びに「内祝」「出産内祝」と書き、子どもの名前を入れます。出産内祝いは子どもの名前をお披露目する意味を持つためです。読みが難しい名前にはふりがなを添えてください。

結婚祝いのお返しと水引が違うのはなぜですか?

出産は「何度あってもよい事柄」とされるため、結び直せる蝶結びを使います。結婚は繰り返さないことを願う事柄なので結び切りです。逆になるので取り違えないでください。

まとめ

  • 誰の名前で出された祝いかで、お返しの要否が変わります
  • 会社名義の規程による祝金には、お返しは要りません
  • 個人からはいただいた額の3分の1〜半額を返します
  • 連名には皆で分けられる個包装の菓子を用意します
  • 時期は生後1〜2か月ごろを目安にします
  • 職場からの分は復帰の挨拶とまとめて渡しても構いません
  • のしは紅白の蝶結びにして、子どもの名前を入れます
  • 結婚祝いのお返しは結び切りで、水引が逆になります

参考情報

  1. 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
    https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html
  2. 高島屋「進物の基礎知識」
    https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html
  3. 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
    https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx
  4. 厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」(令和7年7月30日公表・事業所調査は常用労働者5人以上の民営事業所6,300事業所を無作為抽出・有効回答3,383事業所)
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r06/06.pdf

厚生労働省の雇用均等基本調査は事業所に対する調査で、有効回答率は53.7%にとどまるうえ、常用労働者5人以上の民営事業所だけを対象としているため、個人経営の小さな職場の状況までは反映されていません。餞別やお返しの金額に公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。職場ごとの慣行が優先します。前例を確認するのがもっとも確実です。出典は2026年8月15日に確認しました。

本記事で紹介している金額や品物は一般的な目安です。職場ごとの慣行が大きく異なります。前任者がどうしたか、部署の慣例があるかを確認するのがもっとも確実です。また贈ること自体が必須ではありません。