結論

結婚記念日の贈り物は二人で一緒に使えるものが基本で、 ペアの食器やグラス、写真立てのように家に残る品のほか、 旅行券や観劇のチケットのように二人で出かけられるものが定番として挙げられていますし、 その年の名称にちなんだ素材から選ぶ方法もあります。

祝われた側のお返しは半返しのような割合の決まりがありません。 結婚記念日は身内で祝う私的な行事にあたるためで、 記念となる品を渡す場合は表書きを「金婚式記念」または「内祝」とし、 食事会を開いてもらったのであれば、その席で引出物として持ち帰ってもらう形が案内されています。

選び方の軸|片方だけが使う品にしない

両親の金婚式に何を贈るかを考え始めると、 母親の好みは思い浮かぶのに父親のほうが浮かばない、あるいはその逆になって、 結局どちらか一方に寄った品を選んでしまいそうになります。

結婚記念日の贈り物が長寿祝いや誕生日と違うのは、 祝われる相手が二人いるという一点です。 片方だけが使う品を選ぶと、もう一方がその場から外れてしまいますので、 二人で使えるかどうかを最初のふるいにかけると、選択肢が一気に絞れます。

選び方具体的な品向いている場合
二人でそろえて使うペアの食器、グラス、夫婦茶碗、箸を贈ります毎日の食卓で、二人とも手に取ります
家に残して飾る写真立て、飾り皿、イヤープレートを贈ります居間に置いてもらえば、来客にも見てもらえます
二人で出かける旅行券、ディナー券、観劇のチケットを贈ります物を増やしたくないご夫婦に向いています
形の残らないもの年代物のワイン、菓子折りを贈ります好みが分からないときに、外れが小さくなります
身に着けるもの指輪を作り直す、時計を贈ります二十五年ほどで、指の太さが変わっている場合です
自分で選んでもらうご祝儀として現金や商品券を渡します選ぶ時間が取れないときに選ばれます

品物の例は、上記各社が挙げている好適品をまとめたものです。三越伊勢丹は贈る側の好適品として年代物のワイン、ペアのグラスや食器、イヤープレート、箸、ディナー券、旅行券、観劇チケットを、お返しの好適品としてふくさ、小ふろしき、飾り皿、フォトフレーム、箸、紅白最中、かつお節などを挙げています。避けるとされる品の由来はいずれも言葉の連想によるもので、受け取る側の考え方によって変わります。(最終確認:2026年8月)

七十代八十代のご夫婦に贈る場合、物を増やすこと自体が負担になることがあります。 片づけを進めている時期にあたる家も多く、 置き場所の要る品より、食べてなくなるものや出かけるためのもののほうが 喜ばれることは少なくありません。

当日に手渡す場合は、受け取った側が持ち帰る道のりまで考えておいてください。 花束と紙袋を両手に提げて駅の階段を降りるのは、 この年代のご夫婦にはかなりの負担になりますので、 重い品やかさばる品は後日に配送するほうが親切です。

その年の名称にちなんで選ぶ

結婚記念日には年ごとに名前が付いていて、その名は その年に贈るとされる素材から来ています。 何を選ぶかで迷ったときに、この決まりを手がかりにすると、 候補が一つの素材まで絞り込めます。

素材は柔らかいものから硬いものへと順に変わっていく並びになっていて、 紙から始まって木や金属を経て宝石へ至る形ですし、 夫婦が年月をかけて絆を固めていく様子になぞらえたものですので、 由来を一言添えて渡すと、品そのものの意味が伝わります。

年名称選ばれる品
1年目紙婚式アルバムや手帳など、紙の品を選びます
5年目木婚式木の器やまな板など、木の品を選びます
9年目陶器婚式茶碗や皿など、陶器の品を選びます
10年目錫婚式錫のタンブラーや酒器を選びます
15年目水晶婚式透明なガラスの器や置物を選びます
20年目磁器婚式磁器の食器を、二人ぶんそろえて選びます
25年目銀婚式銀のカトラリーや写真立てを選びます
30年目真珠婚式一粒の真珠を用いた品を選びます
40年目ルビー婚式赤い宝石か、赤い花を添えて贈ります
50年目金婚式金箔の器や、金を用いた記念品を選びます

名称にちなんだ素材は手がかりであって、そうでなければならないという決まりではありません。銀婚式に銀のカトラリーを選ぶのは分かりやすい形ですが、銀は手入れをしないと曇りますので、日常で使ってもらうつもりなら扱いやすい素材のほうが結局は長く使えます。本人たちが欲しがっているものが別にあるのであれば、そちらを優先して差し支えありません。

素材そのものにこだわらず、色で合わせるという方法もあります。 ルビー婚式に赤い花を、サファイア婚式に青い花を添えるという選び方であれば、 宝石そのものを用意しなくても年の名にちなみますので、 予算を大きく動かさずに済みます。

花の本数で年数に合わせるという形もあり、 銀婚式に二十五本、金婚式に五十本を束ねるという選び方になりますが、 花店に年数を伝えれば、その本数で仕立ててもらえますので、 渡した瞬間に何の祝いかが伝わります。

物ではなく、時間を贈る

両親がすでに必要なものを持っていて、これ以上増やしたくないと言っている場合、 品物を探し続けても答えが出ません。 好みの分からない相手に選んだ品が使われずにしまわれる、というのもよくある結末です。

そこで選ばれているのが形の残らない贈り物で、 旅行や食事、観劇のように二人で出かけるものは置き場所が要りませんし、 当日そのものが記念になりますので、 物が増えることを避けたいご夫婦にはこちらのほうが向いています。

贈るもの渡し方気をつけること
旅行券・宿の予約行き先と日程を、本人と相談して決めます移動の負担が小さい行き先を選びます
ディナー券有効期限を確かめてから渡します足元と席の形を、店に確かめておきます
観劇・コンサート本人が好む演目かを、先に聞いておきます座席の場所と、上演の長さを確かめます
写真館での撮影予約を取ってから、当日に付き添います一時間ほどで終わる撮影を選びます
家族での食事子どもが予約と支払いを持ちます個室があるか、椅子席かを確かめます
体験のカタログ本人に選んでもらう形にします申し込みの手続きが難しくないか確かめます

体験を贈る場合、申し込みや予約の手続きまで引き受けておくと確実に使ってもらえます。カタログや利用券を渡しただけでは、手続きが面倒で期限が過ぎてしまうことがよくありますし、七十代八十代のご夫婦であれば、申し込みの画面を前にして止まってしまうこともあります。行き先と日程まで決めて渡すか、当日に付き添う形にしておくほうが、贈り物として使い切ってもらえます。

旅行を贈る場合、行き先を子どもの側だけで決めてしまわないでください。 本人たちが行きたいところと、子どもが良かれと思って選ぶところは食い違いやすく、 移動の距離や現地の階段まで含めて考えると、 近場の温泉のほうが喜ばれることは珍しくありません。

写真館での撮影は、負担が小さいわりに残るものが大きくなります。 五十年前の結婚式の写真と並べて飾れる一枚になりますし、 撮影そのものは一時間ほどで終わりますので、 長い食事の席より体が楽だという方も多くいます。

避けたほうがよいとされる品

贈り物を決めたあとで「それは縁起が悪いのでは」と家族から言われて、 買い直すかどうかで迷う、ということがあります。 言い伝えとして残っているものと、実際に相手が困るものとが混ざっているため、 どこまで気にするかの線が引きにくくなっています。

分けて考えたいのは言葉の連想から避けられている品と、 受け取った側が実際に困る品の二つです。 前者は気にしない家も多い一方、後者は縁起とは関係なく負担になりますので、 同じ強さで「避けてください」と考える必要はありません。

品避けられる理由実際のところ
刃物縁を切るという連想から避けられています本人が欲しがっている場合は、希望を優先します
ハンカチ「手巾」が「手切れ」に通じるとされています言い伝えとして残っているもので、実害はありません
櫛「苦」と「死」の音が入るとされています同じく、言葉の連想によるものです
鉢植え根づくという意味で好まれる一方、世話が要ります手入れの負担になる場合は、切り花にします
大きな家具置き場所と処分の手間が、そのまま負担になります縁起とは別に、実際に困る品にあたります
名入りの記念品好みが合わないと、しまい込まれます飾る場所を確かめてから決めると外しません
衣類寸法と好みが合わないと、着られずに残ります本人と一緒に選びに行く形が向いています

避けるとされる言い伝えを、相手に説明しないでください。気にしていなかった相手に「これは縁起が悪いと言われる品ですが」と前置きすると、そこではじめて意識させることになります。刃物やハンカチを避けるかどうかは家によって考え方が分かれますので、相手が気にしそうかどうかで判断し、迷うなら別の品にしておけば話題にせずに済みます。

鉢植えは、根づくという意味から祝いの品として好まれる一方で、 毎日の水やりと植え替えが要ります。 庭の手入れを楽しんでいるご夫婦であれば喜ばれますが、 そうでない場合は世話が負担になりますので、切り花にするほうが無難です。

長寿祝いで避けるとされる品とは、重なりが少しずれています。 杖や老眼鏡のように年齢の衰えを指す品は長寿祝いで避けられる一方、 結婚記念日は年齢ではなく年月を祝う行事ですので、 ここは長寿祝いで避けたい贈り物と分けて考えてください。

お返しは必要か|半返しの決まりが無い理由

子どもたちが金婚式を祝ってくれて、思っていたより大きな品をもらった、 という場合に、そのままにしてよいものかどうかで迷います。 出産祝いや結婚祝いには半返しという目安がありますので、 同じように考えるべきかどうかが分かりにくくなっています。

結婚記念日のお返しには半返しのような割合の決まりがありません。 祝ってくれるのが子どもや孫といった身内にあたるためで、 よそへ返す内祝いとは性格が違いますので、 いただいた額から逆算するという考え方そのものが当てはまりません。

祝われ方お返しの形考え方
食事会を開いてもらったその席で、引出物として持ち帰ってもらいます後日に送る手間がなく、当日で収まります
品物をもらった記念となる品を、後日に渡します割合ではなく、記念に残るかどうかで選びます
現金をもらった記念品を返すか、食事の席を持ちます半返しにこだわる必要はありません
遠方から送ってもらったお礼を伝えてから、記念品を送ります受け取った当日のうちに、まず連絡します
孫からもらった品を返すより、言葉で伝えます学生の孫に返礼を送ると、気を遣わせます
お返しは要らないと言われたその言葉に従って構いません返さないかわりに、お礼をきちんと伝えます

お返しの扱いは三越伊勢丹の案内に沿っています。同社は「周囲が結婚記念日を祝ってくれた場合、記念となる品をお渡しするとよい」とし、食事会を催してもらうのであればその席で引出物として持ち帰ってもらう形を挙げています。半返しのような割合の決まりは示されていませんので、内祝いの相場をそのまま当てはめる必要はありません。(最終確認:2026年8月)

「お返しは要らない」と言われた場合は、その言葉に従って差し支えありません。 子どもの側は親に負担をかけないつもりで言っていますので、 それを押し切って返すと、かえって遠慮させることになりますので、 その場合はお礼を言葉できちんと伝えるところまでにとどめておいて構いません。

内祝いという言葉そのものの意味は、 もともと身内のあいだで喜びを分けるという行いを指していました。 いまは返礼の意味で使われることが多くなっていますので、 違いは内祝いとは?お返しとの違いにまとめてあります。

お返しの品と、渡す時機

返す品を選ぶ段になると、今度は何を返せばよいのかで止まります。 いただいたものと同じような品を返すと張り合っているように見えますし、 安すぎても落ち着かない、というところで手が止まります。

選び方の軸は記念として残るか、使ってなくなるかの二つに分かれます。 節目を一緒に祝ってくれた相手へ渡すものですので、 その日を思い出せる品にするか、 気兼ねなく使ってもらえる消えものにするかで、性格が分かれます。

品向いている相手添えるもの
ふくさ・小ふろしきあらためて席に来てくれた親族に向きます「金婚式記念」の掛け紙を掛けて渡します
飾り皿・フォトフレーム当日の写真を入れて渡すと、記念になります写真を後日に送る場合は、一言添えます
箸・漆塗りの盆毎日の食卓で使ってもらえます夫婦の姓名を入れた掛け紙を掛けます
紅白最中・かつお節縁起物として、古くから選ばれています日持ちを確かめてから渡します
お吸い物の詰め合わせ好みが分かれにくく、外れが小さくなります家族の人数に合う量を選びます
当日の写真いちばん喜ばれることが多い品です紙に焼いて、封筒に入れて渡します

渡す時機は、食事会を開いてもらったならその席がもっとも自然です。三越伊勢丹も「食事会などを催してもらうのであれば、その席で引出物として持ち帰ってもらう」としています。後日に送る場合に期限の決まりはありませんが、記憶が新しいうちのほうが何のお返しかが伝わりますので、一か月以内をひとつの目安にすると分かりやすくなります。

掛け紙の表書きは「金婚式記念」または「内祝」で、 名入れは祝われた夫婦の姓名になります。 祝う側の袋と書き方が入れ替わりますので、 詳しくは結婚記念日ののしと表書きをご覧ください。

品を返すかどうかにかかわらず、お礼は当日か翌日までに伝えてください。 集まってくれた相手には席の終わりに直接伝えられますが、 遠方から送ってくれた相手には届いた日のうちに電話を入れておくと、 無事に届いたことも同時に伝わります。

結婚記念日の贈り物に決まった正解があるわけではなく、 毎日使う食器を選ぶ家もあれば、二人で出かけてもらうための券を渡す家もあって、 どちらがそのご夫婦に合うかは、いま何を必要としているかによって変わりますので、 定番として並んでいる品の中から選ばなければならないわけではありません。

どの品を選ぶ場合でも変わらないのは、二人のうち片方だけが使うものにしないことで、 祝われる相手が二人いるという点だけは他のお祝いと違いますから、 そこさえ外していなければ、贈った品が高価でなくても、 名称にちなんでいなくても、その年の記念として受け取ってもらえます。

よくある質問

結婚記念日には何を贈るとよいですか。

二人で一緒に使えるものが基本です。ペアの食器やグラス、写真立てのように家に残る品のほか、旅行券やディナー券のように二人で出かけられるものも定番として挙げられています。

その年の名称にちなんだ素材で選ぶ必要はありますか。

必要はありません。名称は選ぶときの手がかりとして使われているもので、本人たちが欲しがっているものが別にあるなら、そちらを優先して差し支えありません。

刃物やハンカチは避けたほうがよいですか。

言葉の連想から避けられている品ですが、気にしない家も多くあります。本人が欲しがっている場合は希望を優先して構いません。ただし、避ける理由をわざわざ相手に説明することは避けてください。

鉢植えを贈っても構いませんか。

根づくという意味で好まれる一方、水やりや植え替えの手間が要ります。庭の手入れを楽しんでいるご夫婦であれば喜ばれますが、そうでない場合は切り花にするほうが負担になりません。

祝ってもらったら、お返しは必要ですか。

半返しのような割合の決まりはありません。記念となる品を渡す家は多く、食事会を開いてもらったのであれば、その席で引出物として持ち帰ってもらう形が案内されています。

お返しの表書きは何と書きますか。

「金婚式記念」または「内祝」と書き、名入れは祝われた夫婦の姓名になります。祝う側の袋とは書く名前が入れ替わりますので、書いたあとに一度確かめてください。

まとめ

  • 贈り物は二人で一緒に使えるものを選びます
  • 定番はペアの食器・グラス・写真立てなどが挙げられます
  • 物を増やしたくない場合は、旅行や食事の券が向きます
  • その年の名称にちなんだ素材から選ぶ方法もあります
  • 体験を贈るときは、予約や手続きまで引き受けます
  • 鉢植えは世話の手間を考えてから選びます
  • お返しには半返しのような割合の決まりがありません
  • 食事会を開いてもらったら、その席で引出物として渡します

参考情報

  1. 三越伊勢丹「お返しを贈る/結婚記念(金婚式・銀婚式など)」
    https://www.mistore.jp/miguide/manner/uchiiwai/index09.html
  2. 三越伊勢丹「お祝い・お見舞いを贈る/結婚記念(金婚式・銀婚式など)」
    https://www.mistore.jp/miguide/manner/oiwai/index09.html
  3. 日比谷花壇「金婚式・銀婚式は何年目?結婚記念日の数え方と結婚記念日一覧」
    https://www.hibiyakadan.com/item/LIFESTYLE_Z_0014.html
  4. 阪急百貨店「金婚式とはどんなイベント?お祝いの仕方やマナー、喜ばれるメッセージを解説」
    https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/lifestyle/detail/001451.html

品物の例とお返しの扱いは三越伊勢丹の案内に沿っています。同社は贈る側の好適品として年代物のワイン、ペアのグラスや食器、イヤープレート、箸、ディナー券、旅行券、観劇チケットを、お返しの好適品としてふくさ、小ふろしき、飾り皿、フォトフレーム、箸、紅白最中、かつお節などを挙げ、お返しには割合の決まりを示していません。(最終確認:2026年8月)

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。結婚記念日は夫婦の私的な記念日であり、地域・ご家庭によって考え方が大きく異なります。ごきょうだいや親族で前に祝った例があるときは、そちらに合わせるほうが角が立ちません。