結論

病室へ花を持って行く前に、その病院が生花を受け入れているかどうかを必ず確かめておいてください。 禁じている病院が増えていますので、確かめずに花屋で選んでしまうと、 病棟の入口で断られて、包んでもらったばかりの花をそのまま持ち帰ることになります。

持ち込める病院であっても鉢植えは選びませんので、 根づくという言葉が寝つくに通じるという理由が挙げられていますし、 シクラメン・菊・椿・アジサイも同じように外して、 色は黄色やオレンジといった明るいものにまとめておくと収まります。

避けたい花

花理由
鉢植え全般根づくが寝つくに通じるとされています
シクラメン死と苦の音が入るため選ばれません
菊葬儀の花を思い起こさせてしまいます
椿・チューリップ花が丸ごと落ちる様子が嫌われます
アジサイ咲いたあとに色があせていきます
香りの強いユリ香りがこもり、花粉も落ちてきます
白・青・紫が基調の花弔事の花を思わせるため外しておきます

向いているのは黄色・オレンジ・淡いピンクといった明るくやわらかい色合いのもので、ガーベラ、とげを取ってもらったバラ、カーネーションあたりがよく選ばれています。どれも香りが強すぎませんので、四人部屋のように仕切りの薄い場所へ置いても、隣で寝ている方の負担になりません。

まず持ち込めるか確認

面会の時間に間に合うよう、病院の最寄り駅にある花屋へ寄って、明るい色の小さな束を包んでもらったところまではよくある流れです。 ところが病棟の入口まで来たところで生花はお預かりできませんと言われてしまい、 買ったばかりの花を抱えたまま引き返すことになります。

分かれ目になるのはその病院が生花をどう扱っているかという一点で、 作法の問題ではなく、それぞれの病院が決めている規則のほうの問題になります。 同じ市内にある病院どうしでも扱いが分かれていますので、以前に別の病院へ持って行けたからといって、今度もそうだとはかぎりません。

確認先分かること
病院のサイト面会規則のページに書かれていることが多くなります
本人や家族病室の様子と、花瓶があるかどうかが分かります
病棟のナースステーション電話で尋ねれば、その場で確実に答えが返ります
集中治療室・無菌室持ち込みはまず認められていません

禁じている病院が増えているのは作法が変わったからではなく、病棟を動かすうえでの事情がいくつも重なっているためです。花瓶に溜まった水が細菌の温床になりやすいことと、花粉やにおいが同じ部屋の方にも及ぶこと、そして誰が水を替えるのかという管理の手間が、いずれも病棟の側の負担として積み上がっていきます。

どのくらいの病院が断っているのかについては、花き業界の側が実際に病院へ尋ねて数えた調査が残っています。 日本花き卸売市場協会と花き卸会社のなにわ花いちばが2014年に全国主要7都市の卸売市場の協力を得て行った調査では、 回答のあった377の病院のうち全面禁止が26%、一部禁止が35%で、持ち込み可は39%にとどまっていました。

同じ調査で全面禁止の割合は大阪が44%、名古屋が39%、札幌が32%、東京が21%と地域によって大きく開き、福岡は3%、広島は4%と低い水準でした。 これは消費者へ意識を尋ねたものではなく病院側の回答を集めたもので、調査の年もすでに古くなっていますが、 持って行ってから断られる見込みが地域によってまるで違うということは読み取れます。

避けたい花

持ち込んでよい病院だと分かったあと、こんどは花屋の店先に立って、並んでいる中から何を選ぶのかというところで手が止まります。 季節の花が桶に挿さっている棚の前に立つと、どれも明るく健やかに見えてきますので、外しておくべきものを見分ける手がかりのほうが見つかりません。

避けられている花には言葉や見た目からの連想によるものと、病室で実際に困るものの二種類があり、この二つは根拠がまったく違います。 前者は受け取る側が気にしない方であればそのまま通りますが、後者のほうは相手の気持ちと関わりなく起こりますので、初めから外しておくよりありません。

避けたい花理由
鉢植え根づくが寝つくに通じるとして避けられます
シクラメン死と苦の音が入るため、選ばれません
菊葬儀の花を思い起こさせてしまいます
椿・チューリップ花が丸ごと落ちる様子が嫌われます
アジサイ咲いたあとに色があせていきます
香りの強い花病室にこもり、同じ部屋の方にも及びます
花粉の多い花寝具を汚し、アレルギーの元にもなります
とげのある花けがを思わせるうえ、実際に危ないものです

バラを贈りたいときは、花屋の店先でとげを取ってもらうよう頼むことができ、お見舞いに持って行くと伝えればそのまま処理してもらえます。避けたほうがよい花や色を外したうえで組んでもらえますので、自分で一本ずつ見分ける必要はありませんし、その時期に何が手に入りやすいかもそこで教えてもらえます。

連想のほうは言い伝えに近く、気にしない方も少なくありませんが、鉢植えだけは受け取った側の家族が眉をひそめることがあります。 根の張った鉢を病室へ長く置くことになりますので、寝ついたままになるという言い方がそこへ結びつけられやすく、 贈った側にその気がまったくなくても伝わってしまいます。

実害のほうは相手が気にするかどうかと関わりなく起こりますので、四人部屋のようにカーテン一枚で仕切られているだけの場所では避けようがありません。 香りの強いユリを枕元に置けば隣で寝ている方の鼻にもそのまま届きますし、落ちた花粉が白いシーツに付くと、洗っても薄い跡が残ります。

選ぶ色と種類

避けるものをひととおり外していくと、こんどは残った中から何を選ぶのかという問題が出てきますし、面会の時間は店先で迷っているあいだにも近づいてきます。 日持ちのする花がよいのか、見た目の明るい花がよいのか、値札と品種名だけを見比べていても決め手が出てきません。

選ぶときの手がかりは色と品種の二つに分かれていて、どちらか片方だけを合わせても、もう片方で外すことがあります。 明るい色をしていても香りの強い品種はありますし、香りの弱い品種であっても、色の沈んだものであれば病室では重く見えます。

向いている花補足
ガーベラ明るい色が多く、香りも控えめにまとまります
カーネーション日持ちがよく、色数もそろっています
バラとげを取ってもらってから包んでもらいます
トルコキキョウ香りが弱いうえ、長く咲いてくれます
スイートピーやわらかい印象で、春の見舞いに向きます

色は黄色・オレンジ・淡いピンクといった明るくやわらかいものにまとめてください。白・青・紫を基調にした組み合わせは弔事の花を思わせますので、花そのものに問題がなくても外しておくほうが無難です。花屋で入院中のお見舞いに持って行くと伝えておけば、避けるべき花と色をまとめて外したうえで組んでもらえます。

伝え方を難しく考える必要はなく、入院している家族のところへ持って行くという程度の説明でも十分に通じますし、店の側は同じ相談を何度も受けています。 そこから先の組み合わせは任せてしまって差し支えありませんし、季節によって手に入りやすい花も変わりますので、任せたほうが結果として長持ちするものが選ばれます。

相手の好きな色が分かっているのであれば、それを添えて頼むのがいちばん確実で、店の側もそこを軸にして組み立ててくれます。 ただし白や紫が好きだという場合は、その色を主役にせず、明るい色の中へ数本だけ混ぜてもらうようにすれば、弔事の花に見えることもなく、好みのほうも伝わります。

形(花束・アレンジメント)

花屋のカウンターでは、束にするのか器に入った形にするのかを必ず尋ねられますが、値段はどちらもさほど変わりません。 その場では見た目の好みで決めてしまいがちですし、店の側もどちらがよいとは言いにくいところですので、結局はこちらで決めることになります。

ところが病室へ入ると、受け取ったあとに誰が何をすることになるのかというところで、この二つの差がはっきり出てきます。 置いておける場所そのものが限られていますし、水を替えるための手は、本人にも付き添っている家族にも残っていません。

形向き・不向き
アレンジメント器が付いているので、そのまま置いておけます
花束花瓶を探すところから相手の手をわずらわせます
鉢植え根づくという連想があるため選びません
大きなスタンド花病室には置ける場所がまったくありません

病室に花瓶は置かれていませんし、ベッド脇の棚もコップや眼鏡、ティッシュの箱で埋まっていることがほとんどです。そこへ花束を渡すと、付き添っている家族が容器を借りに歩き回るところから始まりますので、器ごと置ける小ぶりのアレンジメントであれば、受け取ってそのまま棚の隅に据えられます。

置き場所の広さは行ってみるまで分かりませんが、四人部屋であれば一人あたりの棚は本を数冊並べられる程度で、 そこへ水の入った器を載せると、看護師が処置に来るたびに動かすことになります。 個室であっても、テーブルの上は食事が運ばれてくるたびに空けますので、置いておける場所は見た目ほど広くはありません。

迷ったときは、両手のひらに載るくらいの大きさのものを選んでおけば、棚の隅に置いても邪魔にならず、置き場所のことで相手に気を遣わせずに済みます。 水を替える必要のないものであればなお扱いやすく、退院の日に荷物をまとめるときも、紙袋ひとつにそのまま収まります。

生花以外という選択

病棟へ問い合わせた結果、生花は一律にお断りしていますという答えが返ってくることがあり、そこで手が止まります。 面会の予定はすでに決まっていますし、手ぶらで病室へ入るのも落ち着きませんので、何を持って行くかをそこから決め直すことになります。

ここで分かれるのは花という形を残すか、贈る時機のほうをずらすかという点で、 病室に置けるものを探すか、退院してからの自宅へ回すかという違いになります。 どちらを選んでも伝わるものは変わりませんので、相手の入院がどのくらい続きそうかという見込みに合わせて決めておけば足ります。

代わりになるもの利点
プリザーブドフラワー水やりが要らず、制限にもかかりにくくなります
造花・アーティフィシャルフラワー同じく手がかからず、長く飾っておけます
ソープフラワーかさばらないので、香りの弱いものを選びます
花のカードや写真場所を取らないため、手紙に添えて渡せます
退院後に自宅へ贈る生花のまま、落ち着いて飾ってもらえます

退院してから自宅へ届けるというやり方が、結局のところいちばん無理がなく、退院祝いとして贈るのであれば鉢植えを外しておく以外に細かい決まりもありません。置き場所も飾る時間も自宅のほうがずっと余裕がありますし、病室で花を眺める余裕がないまま数日で退院してしまう方も、実際には少なくありません。

プリザーブドフラワーは生の花に薬剤で手を加えたもので、見た目は生花に近いまま水を替える必要がなく、箱に入ったまま棚へ置いておけます。 病室のように狭くて手をかけられない場所には向いていますし、生花を制限している病院でもそのまま通ることがあります。

ソープフラワーを選ぶときだけは、店の棚に並んでいる段階で香りの強さを確かめ、強いものであればほかのものに替えておいてください。 石けんの香りは締め切った病室でこもりやすく、生花の香りを避けたはずが結局は同じことになりますので、鼻を近づけないと分からない程度のものにしておくと収まります。

送る場合

遠方に住んでいて見舞いに行けないときは、花屋やインターネットの配送を使って届けることになります。 注文の画面には届け先を書く欄がひとつ並んでいるだけですので、深く考えずに病院の名前と住所をそのまま入れてしまいそうになります。

判断が要るのはどこへ届けるかと、いつ届くようにするかの二つで、持って行く場合と違い、届いた先にこちらの姿がありません。 受け取ってもらえなかったときに、その場で引き取る人がいないという点が、持参する場合とのいちばん大きな違いになります。

場面扱い
自宅あてに送る受け取りにも保管にも制限がかかりません
病院あてに送る先に持ち込みの可否を確かめてから手配します
退院が近いとき行き違いますので、退院後に自宅へ届けます
自宅に人がいないとき家族の在宅を確かめてから日時を決めます

持ち込みを禁じている病院では、宅配便で届いたところで受け取ってもらえませんし、花は日持ちしませんので、行き違ったぶんはそのまま無駄になります。断るために動いた病棟の職員にも手間をかけることになりますが、宛先を自宅にしておけば、こうした行き違いはひととおり避けられます。

入院が長引いている家では自宅に誰もいないという時期があり、配偶者が病院へ通いきりで子どもは実家に預けているという状態だと、 玄関先に置かれた箱が何日もそのままになります。 日時の指定を入れる前に、その日にどなたか家にいるかどうかを家族へ一度確かめておいてください。

退院の見込みがすでに立っている場合は、無理にその前へ間に合わせようとしないほうが、結局のところうまく収まります。 退院した数日後に自宅へ届けば、荷ほどきの落ち着いたところで飾ってもらえますし、こちらとしても、持ち込みの可否を気にせずに好きな花を選べます。

行けないときの送り方を見る

花を贈ること自体に決まった正解があるわけではなく、同じ入院でも、 持ち込める病院とそうでない病院、四人部屋と個室、数日で退院する方と長く入っている方とで、ちょうどよい形が変わってきます。 生花が難しければ手のかからないものへ替えても、退院してから自宅へ回してもかまいません。

どの病院でも変わらないのは、花を選ぶ前に一度確かめておくという一点だけで、 持ち込めるかどうかと、置く場所があるかどうかの二つさえ押さえておけば、細かい品種の良し悪しを覚えていなくても失礼にはなりません。 受け取った側にとっても、置き場所や水替えのことで頭を悩ませずに済むほうが、ずっとありがたいはずです。

よくある質問

お見舞いに花を持っていってもよいですか?

まず持ち込めるか確認してください。生花を禁止している病院が増えています。花瓶の水が細菌の温床になること、花粉やにおいの影響が理由です。集中治療室や無菌室では、まず持ち込めません。

避けたほうがよい花はありますか?

鉢植え(根づく=寝つく)、シクラメン(死・苦)、菊(葬儀の花)、椿やチューリップ(花が落ちる)、アジサイ(色あせる)です。香りの強い花や花粉の多い花も、病室では実害があるため避けます。

どんな色を選べばよいですか?

黄色・オレンジ・淡いピンクなど、明るく優しい色合いです。白・青・紫を基調にしたものは弔事を連想させるため避けます。ガーベラ、カーネーション、トルコキキョウなどが選ばれます。

花束とアレンジメント、どちらがよいですか?

アレンジメントです。器付きで花瓶が不要で、そのまま置けます。病室に花瓶はないため、花束を渡すと相手が容器を探すところから始まります。大きなスタンド花は置き場所がありません。

生花が持ち込めない場合はどうしますか?

プリザーブドフラワーや造花なら、水やりが不要で持ち込み制限にかかりにくくなります。花のカードを手紙に添える方法もあります。退院後に自宅へ生花を贈るのが、もっとも無理のない方法です。

花を配送で贈ってもよいですか?

宛先は自宅が無難です。病院は受け取りや保管に制限があり、退院と行き違うこともあります。花は日持ちしないため、行き違うと無駄になります。病院あてに送るなら必ず先に確認してください。

まとめ

  • 生花を禁じる病院が増えていますので、まず確かめます
  • 根づくが寝つくに通じるとされる鉢植えは選びません
  • シクラメン・菊・椿・アジサイも外しておきます
  • 色は黄色・オレンジなど明るいものにまとめます
  • 花瓶がありませんので花束よりアレンジメントにします
  • 持ち込めないときはプリザーブドフラワーに替えます
  • 配送で贈るなら自宅あてにしておきます

参考情報

  1. 日比谷花壇「お見舞い・退院祝いに避けたいタブーなお花の種類」
    https://www.hibiyakadan.com/item/LIFESTYLE_Z_0009.html
  2. 青山花茂「お見舞い、退院祝い、快気祝い 花を贈るときのタブーとマナー」
    https://www.aoyamahanamohonten.jp/blog/2020/08/25/omimai-flowergift/
  3. イオンのお葬式「お見舞い金のマナーについて金額相場・封筒の書き方・渡すタイミングなど解説」
    https://www.aeonlife.jp/knowledge/manner/omimaikin_manner
  4. 日本花き卸売市場協会・なにわ花いちば「お花と病院」(2014年の病院調査)
    http://www.naniwa-hana.co.jp/nfahospital/hospitalflower.html

本文で引用した持ち込み可否の割合は、日本花き卸売市場協会となにわ花いちばが2014年に377の病院から回答を得た調査によるもので、消費者への意識調査ではなく病院側の回答の集計であり、調査年も古いため、現在の各病院の扱いとは異なります。鉢植えを避ける理由、シクラメン・菊・椿などを避ける理由は、参照した情報源で共通しています。生花の持ち込み可否は病院ごとに異なるため、本文で確認を促しています。

本記事で紹介している目安は一般的なものです。生花の持ち込みや食べ物の制限は病院・病状によって異なります。必ず事前にご確認ください。