結論

袋は水引のない白い封筒で足りますし、 香典袋のような黒白の水引がついたものは、お布施には使いません。

表書きは濃い墨で「御布施」と書き、 その下に施主の姓か「○○家」を入れますが、香典で使う薄墨はここでは用いません。

お札は新札を、肖像画が表側の上に来る向きで入れますので、 新旧も向きも香典とはちょうど逆の扱いになります。

どの袋を選ぶか

文具店や仏具店の売り場に立つと、「御布施」と印刷された袋だけで何種類も並んでいて、 水引の有無も色もまちまちですから、どれを取ればよいのかで手が止まります。

迷いの正体は香典袋との違いが分からないことにあり、 同じ弔事の売り場に並んでいるので同じ扱いだと思ってしまいますが、 お布施は不幸へのお悔やみではなく僧侶への謝礼ですから、袋の考え方が根本から違います。

袋の種類使えるかどうか
水引のない白封筒どの宗派でも使えます。迷ったらこれで足ります
「御布施」と印刷された市販の袋中身は白封筒と同じで、そのまま使えます
奉書紙で包むもっとも丁寧な形とされ、半紙で中包みを作ります
黒白の水引がついた不祝儀袋香典用なので、お布施には使いません
郵便番号枠が印刷された封筒枠のない無地のものに替えてください
二重になっている封筒不幸が重なるとして避ける考え方があります
黄白の水引がついた袋関西を中心とした地域では通例の形です
双銀の水引がついた袋地域によって用いられることがあります

白封筒を選んでおけば、どの地域でも失礼になることはありません。黄白や双銀の水引は特定の地域の慣習で、その土地では標準の形ですが、使わなかったからといって咎められる性質のものではありません。逆に、黒白の水引だけは避けてください。それだけは香典として渡していると受け取られてしまいますし、寺院の台帳にもその形で記録が残ってしまいます。

いちばん丁寧なのは奉書紙で包む形で、半紙でお札を包んで中包みを作り、 それを奉書紙でさらに包みます。つるつるした面が表になるよう向きを確かめ、 慶事と同じく上側の折り返しに下側をかぶせます。

とはいえ、日常的に奉書紙を扱っている家はほとんどありませんから、 市販の「御布施」袋で差し支えありません。 袋の格を気にするより、中身と表書きを整えるほうが受け取る側には伝わりますし、 袋そのもので失礼だと言われることはまずありません。

香典袋を使い回さないでください

同じ日に香典と間違えられる形で渡してしまうと、寺院の記録に香典として残ってしまうことがあります。お布施は寺院の会計に入るもので、遺族への香典とは行き先そのものが違います。

袋が余っているからと黒白の水引の袋に入れるのは避け、白い封筒を一枚買い足してください。コンビニエンスストアの文具棚にも置いてありますし、金額を考えれば惜しむところではありません。

表書きと名前の書き方

袋が決まると、こんどは何と書けばよいかで筆が止まることになります。 香典であれば「御霊前」「御仏前」と場面で書き分けますが、 お布施はどの法要でも文言が変わらないため、かえって覚えていない方が多くいます。

押さえておきたいのは墨の色のほうで、 香典で使う薄墨をそのまま持ち込む間違いがとても多く、 売り場で薄墨の筆ペンを勧められてしまうこともあります。

項目どう書くか
墨の色濃い墨で書きます。薄墨は使いません
表書きの文言中央上部に「御布施」または「お布施」と書きます
名前の位置表書きの下、中央に少し小さめの字で入れます
名前の書き方施主の姓だけか、「○○家」と入れます
筆記具筆か筆ペンが正式で、濃い墨のものを選びます
印刷済みの袋表書きを書き足す必要はなく、名前だけ入れます
ボールペンや万年筆略式ですが、読みやすさを優先する考え方もあります
フルネームで書く同姓の檀家が多い寺院では、こちらが親切です

薄墨を使わないという一点だけは、はっきり覚えておいてください。薄墨は涙で墨が薄まった、突然のことで墨を磨る時間がなかったという弔意の表現で、遺族へ渡す香典のためのものです。お布施は僧侶への感謝として納めるものですから、堂々と濃い墨で書いて差し支えありません。

名前を姓だけにするか「○○家」にするかはどちらでも構いません。 施主が一人で営む法要なら姓だけ、 兄弟で費用を出し合うなら家名にしておくと収まりがよくなります。

同じ姓の檀家が多い寺院であれば、フルネームで書いておくほうが親切です。 法要が続く時期は寺院も複数の家を相手にしていますから、 「佐藤」とだけ書かれた封筒が二つ届くと、あとで台帳に付けるときに手間をかけます。

中袋と金額の書き方

封筒を裏返して、住所や金額を書く欄が印刷されているのを見つけると、 ここまで書くべきなのかどうかで再び迷うことになります。 香典では書くのが通例ですが、お布施では省く家も少なくありません。

判断の分かれ目は寺院が記録を残すかどうかで、 檀家の多い寺院では台帳に付けますから書いておいたほうが助かりますし、 家族だけで営む小さな法要では、そこまで求められない場合もあります。

項目どう書くか
中袋がある場合表に金額、裏に住所と氏名を書きます
中袋がない場合封筒の裏の左下に、住所と金額を書きます
金額の書き方「金参萬圓也」のように旧字体で書きます
三万円「金参萬圓也」または「金参萬円也」と書きます
五万円「金伍萬圓也」と書きます
一万円「金壱萬圓也」と書きます
十万円「金拾萬圓也」と書きます
旧字体が書けない「金三万円」でも意味は通じます

旧字体を使うのは、あとから筆を足して数字を書き換えられないようにするためです。「一」に二画足せば「三」になりますが、「壱」は書き換えようがありません。書き慣れない字ですから間違えやすく、自信がなければ算用数字や新字体でも失礼にはなりませんので、読み間違えられない書き方を優先してください。

中袋に糊付けをする必要はなく、封をしないまま渡すのが通例です。 受け取った側がその場で中身を確かめられるようにという配慮で、 封をしてしまうと、寺院は目の前で封を切るか、後で開けるかを選ばされることになります。

住所を書いておくと、寺院からの案内が届きやすくなるという実際的な利点もあります。 次の年忌の時期を寺院が知らせてくれる場合、 台帳の住所は前回のお布施から拾われていることが多いためです。

お札の入れ方と向き

書き終えて最後に残るのがお札の扱いで、香典で覚えた作法をそのまま持ち込むと、 新札か旧札か、肖像画を上にするか下にするかという二点で、 ここでも香典とは逆のことをしてしまいます。

考え方の軸は一つで、お布施は不祝儀ではないということに尽きます。 香典の作法はいずれも「突然の不幸に慌てて駆けつけた」という形を作るためのものですから、 前もって日取りが決まっている法要には当てはまりません。

項目お布施の場合香典の場合
お札の新旧新札を用意します旧札を用いるのが通例です
肖像画の向き表側の上に来るよう入れます裏側の下に向けて入れます
お札の枚数とくに気にしません偶数を避ける考え方があります
複数枚あるとき向きをそろえて重ねます同じく向きをそろえます
封をするか糊付けはしないまま渡します中袋は封をしないのが通例です
新札しかないそのまま使えます一度折り目を付けて用います

お布施で新札を使うのは、前もって準備しておいたという丁寧さの表れです。香典で旧札を使うのは不幸を予期していなかったことを示すためですから、日取りの決まっている法要には理由がそのまま当てはまりません。銀行の窓口や両替機は土日に動かないことがありますので、法要の一週間前には両替を済ませておいてください。

複数枚を入れるときは向きをすべてそろえて重ねますが、 一枚だけ裏返しになっていると受け取った側が数えるときに手間取りますし、 封筒から出した瞬間に気づかれるものです。

新札が用意できなかった場合でも、できるだけきれいなお札を選べば足ります。 折り目の深いものや破れかけたものを避け、 角の折れていないものを財布から選んでおけば、それで失礼にはなりません。

地域と宗派で変わるところ

ここまでの書き方は仏式を前提にしたもので、宗教が違えば表書きの文言そのものが変わります。 神式の法要にあたる霊祭や、キリスト教の記念式では、 「御布施」という言葉自体が使われません。

仏式のなかでも浄土真宗だけは考え方の説明が異なっており、 故人が亡くなってすぐ仏になるという教えなので、 追善供養という言い方をせず、表書きに「御仏前」を早くから使う点も他宗派と違います。

宗教・宗派表書き
仏式(一般)「御布施」または「お布施」と書きます
浄土真宗同じく「御布施」で差し支えありません
神式「御祭祀料」「御礼」「玉串料」を用います
キリスト教「献金」「御礼」「記念献金」とします
読経のお礼として渡す場合「御経料」とする書き方もあります
戒名をつけていただいた場合「御戒名料」と分ける寺院もあります
卒塔婆を立てる場合「御塔婆料」と書いて別に包みます

「御経料」や「御戒名料」と書くのを好まない寺院があります。読経や戒名の対価という意味合いが前に出てしまい、供養として納めるお布施の建前と合わないためです。分けて包むよう寺院から指示があった場合を除いて、すべて「御布施」にまとめておくほうが無難です。

水引の色も地域で分かれ、関西を中心に黄白を用いる土地があります。 その地域の売り場では黄白が主流として並んでいますから、 店に並んでいるものを買えば、結果としてその土地の形になります。

引っ越して間もない土地で法要を営む場合は、 近所の仏具店で尋ねてしまうのがいちばん早く片づきます。 「この辺りではどちらを使いますか」と聞けば、その土地の慣習をそのまま教えてもらえますし、 売り場に並んでいるもの自体がすでに答えになっています。

印刷済みの袋に、表書きを重ねて書かないでください

「御布施」と印刷された袋に、あらためて筆で「御布施」と書き足してしまう間違いがありますが、印刷があれば書き足すのは名前だけで足ります。

同じように、水引が印刷されている袋に別の水引を掛ける必要もありません。売り場で袋を選ぶときは、印刷されている文言が「御布施」であることだけ確かめれば、それ以上の手を加えずに使えます。

袋の形に唯一の正解があるわけではなく、白封筒でも市販の御布施袋でも奉書紙でも、 その土地とその寺院で通っている形であればどれも失礼になりません。 黄白の水引が並ぶ土地でそれを使うのも、 迷って白封筒に落ち着くのも、どちらも間違いではありません。

どの場面でも変わらないのは、香典と同じ扱いにしないという一点だけで、 薄墨を使わない、黒白の水引を選ばない、新札を用意するという三つを外さなければ、 細かい書き方を思い出せなくても形は整いますし、 受け取る側にとっても、そのほうが後の手間がかかりません。

お布施はいつ、どう渡す?

よくある質問

お布施の袋は香典袋でいいですか?

黒白の水引がついた香典袋は使いません。水引のない白封筒か、「御布施」と印刷された市販の袋を選んでください。関西を中心に黄白の水引を用いる地域もあります。

お布施は薄墨で書きますか?

濃い墨で書いてください。薄墨は涙で墨が薄まったという弔意の表現で、遺族へ渡す香典のためのものです。お布施は僧侶への感謝として納めるものなので当てはまりません。

名前は誰の名前を書きますか?

施主の姓だけか「○○家」と入れます。兄弟で費用を出し合うなら家名が収まりよく、同じ姓の檀家が多い寺院ではフルネームにしておくほうが親切です。

金額は書いたほうがいいですか?

檀家の多い寺院では台帳に付けるので、書いておくと助かります。中袋があれば表に金額、裏に住所と氏名を書き、なければ封筒の裏の左下にまとめて書いてください。

金額は旧字体で書く必要がありますか?

あとから筆を足して書き換えられないようにするためのものです。書き慣れない字なので、自信がなければ「金三万円」でも意味は通じます。

お布施に新札を使ってもいいですか?

新札を用意してください。香典とは逆の扱いです。肖像画が表側の上に来る向きで入れます。銀行の両替は土日に動かないことがあるので、一週間前には済ませておいてください。

神式やキリスト教では何と書きますか?

神式は「御祭祀料」「御礼」「玉串料」、キリスト教は「献金」「御礼」「記念献金」とします。仏式の「御布施」は言葉として意味が通じません。

まとめ

  • 袋は水引のない白封筒を選びます
  • 黒白の水引がついた香典袋は使いません
  • 表書きは濃い墨で「御布施」と書きます
  • 名前は施主の姓か「○○家」を入れます
  • 金額は「金参萬圓也」のように書きます
  • お札は新札を、肖像画が表側の上に来るよう入れます
  • 中袋に封はしません
  • 神式は「御祭祀料」、キリスト教は「献金」です

参考情報

  1. 家族葬のファミーユ「【図解】お布施の書き方とは?表書き・中袋・宗教宗派・マナーなど」
    https://www.famille-kazokusou.com/magazine/after/628
  2. 小さなお葬式「お布施に水引は必要か?水引の種類とお布施の入れ方を解説!」
    https://www.osohshiki.jp/column/article/921/
  3. はじめてのお葬式ガイド「お布施の正しい入れ方は?お札の上下や封筒の包み方を解説」
    https://www.e-sogi.com/guide/58898/
  4. ベルコ お葬式なるほどチャンネル「お布施の相場はいくら?葬儀・法要・宗派別の金額目安とマナー【早見表付】」
    https://ososhiki.bellco.co.jp/kazokusotokushu/ofuse/

袋の形と表書きは参照した情報源でおおむね一致していますが、水引の要否は案内が分かれます。白封筒のみとする説明と、地域によって黄白や双銀の水引を用いるとする説明の両方が見られ、関西を中心に黄白を使う地域があります。中袋の有無や金額を旧字体で書くかどうかも寺院によって扱いが異なります。(最終確認:2026年8月)

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。お布施は宗派・地域・寺院との関係によって考え方が大きく変わり、決まった正解があるものではありません。菩提寺がある場合は、そちらの慣習を優先してください。本記事は人付き合いと供養の作法を扱うもので、特定の宗派の教義を説明するものではありません。