結論
伺えないと決まった時点で、まず電話で挨拶をしておいてください。 義理のご両親が気にされるのは訪問そのものよりも 連絡がないまま正月が過ぎることのほうで、 声さえ届いていれば、行けなかった事情まで問われることはまずありません。
品物を送るのであれば、時期をずらして「寒中御見舞」にする方法もありますし、 伝える役目は配偶者のほうから引き受けてもらうと角が立ちません。 自分の親には自分から伝えるという形にしておけば、どちらの家でも同じように収まります。
まずすること
年末の勤務表が出た時点で、今年は義実家へ行けそうにないと分かることがあります。 ところが言い出すきっかけがつかめないまま十二月が進み、 気がつくと大晦日の夜になっていた、ということが実際に起こります。
ここで効いてくるのは伝える中身よりも伝える時期のほうで、 年内の早いうちに一報を入れるのか、正月が明けてから詫びるのかによって、 相手の側の受け取り方も、こちらの気の重さもまるで変わってきます。
| 順番 | やること | 時期 |
|---|---|---|
| 1 | 年内に「今年は伺えない」と電話で伝えます | 早いほど助かります |
| 2 | 元日から3日のあいだに電話で挨拶します | 松の内のうちに済ませます |
| 3 | 品物を送ります。送らなくても構いません | 松の内、または後日に届けます |
| 4 | 次に会えそうな時期を伝えておきます | 分かる範囲で差し支えありません |
四つのうちでいちばん大切なのは一つ目の一報です。年末が近づくと相手の側では布団を干したり、人数分の食材を買い足したりといった支度が進んでいますので、直前に伝えると使い道のない餅や刺身が残ってしまいます。十二月のはじめのうちに一言入れておけば、そうした支度そのものが起きません。
元日から三日のあいだの電話は、朝いちばんではなく昼過ぎを狙うと落ち着いて話せます。 その時間帯であれば、おせちを片づけて茶の間で休んでいることが多く、 こちらの声も、後ろで子どもがはしゃぐ音も、そのまま届きます。
音声だけでなくビデオ通話で顔を見せると、それだけで訪問の代わりになります。 孫の顔を数分見せるほうが、長い言い訳を並べるよりもよほど伝わりますし、 画面の向こうで相手が笑えば、行けなかったという話はそこで終わります。
誰が伝えるか
同じ内容を伝えても、受話器を持つのが息子なのか、その配偶者なのかで、 相手に残る印象が変わってしまうことがあります。 仕事の都合で決まった話であっても、嫁や婿の口から言われると別の意味に聞こえます。
軸になるのはそれぞれが自分の親へ伝えるという形を守れるかどうかで、 実の親子のあいだであれば言葉を選ばずに済みますし、 断りの言葉が誰かの意向として受け取られる余地も残りません。
| 状況 | 誰が |
|---|---|
| 義実家へ行けない | 配偶者のほうから伝えてもらいます |
| 自分の実家へ行けない | 自分から直接、電話で伝えます |
| 両家とも行けない | それぞれが自分の実家へ連絡します |
| 挨拶の電話をかける | 配偶者が先に話し、途中で代わります |
電話は配偶者が先に話し、途中で代わるのが自然です。最初から嫁や婿の声が聞こえると、相手のほうも何の用件かと身構えてしまいますが、実の子が話したあとで代わるのであれば、そのまま新年の挨拶として流れます。代わったあとは新年の挨拶を短く述べるだけで足りますので、こちらから重ねて詫びる必要はありません。
伝える役目を押しつけ合ったまま年末を迎えてしまうことがあります。 うちの親には言いにくいと双方が思っているうちに日が過ぎ、結局どちらも連絡しないまま元日になるという形で、 これは訪問を断ること自体より角が立ちます。
そうなりそうなときは、電話をかける日をあらかじめ決めてしまうのが早道です。 十二月の第一日曜の夜にお互いの実家へかける、というところまで先に決めておけば、 当日はどちらも受話器を取るだけで済みますし、切り出す言葉を探して黙り込むこともありません。
伝え方
電話がつながったところで、なぜ行けないのかをどこまで話すべきか迷います。 仕事の都合や子どもの体調を細かく説明すると言い訳がましく聞こえそうですし、 かといって一言で切り上げると、そっけない断りになってしまいます。
差が出るのは理由の詳しさではなくそのあとに続く言葉があるかどうかで、 断りだけで話を終えるのか、次に会える見通しまで添えるのかによって、 同じ用件でも受け取られ方が変わります。
| 場面 | 言い方 |
|---|---|
| 基本の形 | 「今年は伺えず申し訳ありません。落ち着きましたら改めて伺います」と伝えます |
| 仕事の都合 | 「仕事の都合で年末年始が休めず……」と短く添えます |
| 子どもが小さい | 「移動が難しく、今年は控えさせてください」と伝えます |
| 体調がすぐれない | 「体調を崩しており、うつしてはいけないので」と話します |
次はいつごろになりそうかを添えると、印象がずいぶん変わります。「春の連休には伺えると思います」という一言があるだけで、断られたという感じが薄れますし、相手の側にも待つ目安ができます。日付まで決まっていなくても、季節の見当がついてさえいれば足ります。
理由そのものは一言で足りますし、仕事が休めないという事情も、 子どもの熱が下がらないという事情も、詳しく述べたところで相手の側にできることはありません。 長く話すほど言い訳の色が濃くなりますので、事情は短く伝えて、そこで区切ってしまってください。
むしろ時間を割きたいのは相手の話を聞く側に回ることです。 年末の様子や体の具合をこちらから尋ねて、そのまま少し長めに話を聞いておけば、 用件だけ告げて切る電話とは、あとに残るものがまるで違います。
品物を送る場合
伺えないぶん何か送っておきたいと考えて、百貨店の歳暮売り場やお取り寄せの画面を眺めることになります。 そこで手が止まるのが、のし紙に何と書いてもらうかという一点です。 御年賀と書いてもらうべきなのか、それとも別の表書きにするべきなのかが分かりません。
判断の軸になるのはいつ届くように手配するかで、 御年賀はもともと訪問して手渡すものとされてきましたから、 届く時期をずらすかどうかによって、名目と実態が合うかどうかが決まります。
| 方法 | 表書き | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 松の内のうちに届ける | 御年賀と書きます | やや不自然です。お年賀は持参が本来です |
| 松の内が明けてから送る | 寒中御見舞と書きます | 会わずに送るなら、もっとも自然です |
| 年内のうちに送る | 御歳暮と書きます | 12月20日ごろまでに手配できるなら選べます |
| 送らずにおく | 表書きは要りません | 電話だけでも失礼にはあたりません |
お年賀は訪問して手渡すものとされてきました。会わずに送ると名目と実態が食い違いますので、松の内が明けるのを待って寒中御見舞にするほうが自然に収まりますし、相手の側も松飾りを片づけたあとの落ち着いた時期に受け取れます。品物そのものは御年賀に選ぶつもりだったもので構いませんので、表書きを書き替えてもらうだけで足ります。
手配のときに気をつけたいのが配送の止まる期間で、 年末年始は運送会社の集配が動きませんから、大晦日に注文しても届くのは四日以降になります。 刺身や生菓子のような日持ちしないものは、留守にしていたときに受け取れませんので、 常温で置ける干菓子や佃煮のような品を選んでおくほうが確実です。
箱だけを送るのではなく、短い手紙か送り状を一枚入れておいてください。 年内に伺えなかったことと、次に会えそうな時期を数行書き添えるだけで印象が変わりますし、 子どもがいるご家庭であれば、七五三や運動会の写真を一枚同封すると喜ばれます。
寒中御見舞の使い方を詳しく見る毎年行けない場合
勤め先が年中無休だったり、実家までの道のりが飛行機の便に頼るしかなかったりすると、 行けないのはその年だけの話ではなくなり、翌年もその翌年も同じ電話をかけることになります。 詫びの言葉を毎年繰り返すうちに、いつまで続けるのだろうかという気持ちにもなってきます。
考え方を変える手がかりになるのは会う回数を一年単位で数え直すことで、 正月に集まることそのものが目的なのか、年に何度か顔を合わせることが目的なのかによって、 無理をして帰る必要があるかどうかが変わってきます。
| 考え方 | 具体的にすること |
|---|---|
| 時期をずらして訪ねる | 連休やお盆に帰省して、ゆっくり過ごします |
| 年に何度会うかで考える | 正月に会えなくても、回数で埋め合わせます |
| 定期的に連絡を入れる | 月に一度は電話をかけて、近況を伝えます |
| ビデオ通話を習慣にする | 週末の夜に画面をつないで、顔を見せます |
| こちらへ招く | 春や秋に来てもらい、こちらで泊まってもらいます |
年末年始にこだわらないほうが、双方とも楽になります。正月の交通費は跳ね上がりますし、新幹線も空港も混み合いますので、同じ日数を使うなら時期をずらしたほうがゆっくり話せます。義理のご両親にとっても、人の少ない時期に来てもらうほうが支度の負担が軽くなります。
年末年始に遠出をしない人は、実際に数えてみるとかなりの数にのぼります。 株式会社JTBが2025年11月11日から13日にかけて、全国の15歳から79歳までの男女1万人へ行った事前調査では、 年末年始に1泊以上の旅行へ行くと答えた人は25.1%にとどまりました。
行かない理由として最も多く挙がったのは家でのんびりしたいからの41.9%で、 年末年始は混雑するからが37.0%、旅行費用が高いからが28.3%と続きます。 11月の時点で予定を尋ねた意識調査ではありますが、正月に動かない選択が珍しくないことは読み取れます。
最後に確かめておきたいのが両家の扱いが揃っているかという点です。 自分の実家へは毎年帰るのに義実家へは行かないという形が何年も続くと、 口には出さないまま不満がたまり、別の場面でその話が出てくることになります。
距離や仕事の事情が違えば回数に差が出るのは自然ですから、無理に同じにする必要はありません。 ただしその差を夫婦のあいだで先に確かめておいてください。 片方だけが我慢して黙っている形は、何年も続けられるものではありません。
正月に伺えないときの正解は一つではなく、電話一本で済ませる年もあれば、 寒中御見舞を送って春の連休に改めて顔を出す年もあり、そのどちらでも構いません。 決めるときに見ておきたいのは、伺えるかどうかではなく、こちらから先に声を届けられるかどうかです。
どの年でも変わらないのは、年内のうちに一報を入れることと、それぞれが自分の親へ伝えることの二つです。 十二月のはじめに電話をしておけば布団も食材も用意されずに済みますし、 実の子から伝わっていれば、断りの言葉が誰かの意向として残ることもありません。
よくある質問
義実家へ行けない場合、まず何をすればよいですか?
年内に「今年は伺えない」と伝えます。直前に伝えると、相手は食事や寝具の準備を進めてしまっていることがあります。そのうえで元日から3日に電話で挨拶してください。
行けないこと自体が問題になりませんか?
気にされるのは「連絡もない」ことで、行けない理由そのものではありません。電話一本、あるいはビデオ通話で顔を見せるだけで気持ちは十分に伝わります。
誰が伝えるべきですか?
配偶者から伝えるのが基本です。自分の親には自分から伝えるのが、もっとも角が立ちません。嫁・婿の側から伝えると、その人の意向と受け取られることがあります。電話も配偶者が先に話し、途中で代わるのが自然です。
理由は詳しく説明すべきですか?
必要ありません。「今年は伺えず申し訳ありません。落ち着きましたら改めて伺います」で十分です。ただし「春の連休には伺えると思います」など、次の見通しを添えると断られた感じが薄れます。
品物は送るべきですか?
電話だけでも構いません。送るなら、松の内明けに「寒中御見舞」とするのがもっとも自然です。お年賀は「訪問して手渡す」ものなので、会わずに送ると名目が合いません。年末年始は配送が止まるため、1月4日以降の到着で手配してください。
毎年帰省できません。
正月にこだわらなくて構いません。年末年始は移動費が高く混雑もします。ゴールデンウィークやお盆に帰省する、時期をずらして訪ねるほうがゆっくり過ごせて双方が楽です。ただし両家で扱いを揃え、夫婦で納得したうえで決めてください。
まとめ
- 年内のうちに「行けない」と伝えます
- 元日から3日のあいだに電話で挨拶します
- 連絡がないことのほうが気にされます
- それぞれが自分の親へ伝えます
- 理由は詳しく述べなくて構いません
- 次に会える見通しを添えます
- 送るなら寒中御見舞を選びます
- 正月にこだわらなくて差し支えありません
参考情報
- 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx - 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - 高島屋「進物の基礎知識」
https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html - 株式会社JTB「年末年始(2025年12月20日〜2026年1月5日)の旅行動向」(2025年12月4日)
https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2025/12/04_jtb_2025-2026_New-year-holiday.html
本文で引用したJTBの調査は、全国15歳以上79歳までの男女を対象に2025年11月11日から13日に行われたインターネットアンケート(事前調査10,000人・本調査2,060人)で、実際の移動の集計ではなく、11月時点の予定を尋ねた意識調査です。お年賀の時期(元日〜松の内)、紅白の蝶結びを使う点は、参照した情報源で共通しています。松の内の日付や喪中の扱いには地域差・家庭差があるため、本記事では幅をもたせて記載しています。
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・ご家庭・宗派によって異なります。とくに喪中の過ごし方は考え方に幅があります。ご親族やお寺・神社にご確認ください。