結論
年賀状と寒中見舞いは同じ挨拶状の言い換えではなく、書いている中身がそもそも違います。 年賀状は新年を祝う言葉を伝えるものですし、寒中見舞いは寒さのなかで相手の体を気遣うもので、 祝う言葉が入るかどうかがそのまま二つを分ける線になります。
迷ったときは松の内を過ぎているかどうかだけを見れば足ります。 松の内のうちに届くなら年賀状で出せますし、間に合わないと分かった時点で寒中見舞いに切り替えれば、 遅れたこと自体はほとんど問題になりません。
二つの違い
年末に印刷した年賀状が数枚あまり、松の内を過ぎてから思い出した相手が出てきたとき、 その残りに一言そえて出してよいものかどうかで手が止まります。 はがきの束を前にして、切手を貼るところまで進んでから、 これは年賀状として出せるのだろうかと考え直すことになります。
ここでつまずくのは礼儀の細かさではなく、 二つが別々の目的で使われてきた挨拶状だという点を知らないまま形だけを合わせようとすることです。 年賀状は新年を祝う言葉を届けるための一枚ですし、 寒中見舞いは一年でもっとも寒い時期に相手の体を気遣うための一枚ですので、 同じはがきに同じ文面を載せるわけにはいきません。
| 見るところ | 年賀状 | 寒中見舞い |
|---|---|---|
| 何を伝えるか | 新年を祝う言葉を届けます | 寒さのなかで体を気遣います |
| 出す時期 | 松の内のうちに届くよう出します | 松の内が明けてから立春までに出します |
| 使うはがき | 年賀はがきをそのまま使えます | 通常はがきか私製はがきを使います |
| 賀詞 | 「賀正」「謹賀新年」を入れます | 祝う言葉は一切入れません |
| 喪中のとき | 自分が喪中なら出しません | 喪中でも差し支えなく出せます |
| 絵柄 | 干支や松竹梅など華やいだ図柄にします | 雪景色や椿など落ち着いた図柄にします |
この二つは並べて選ぶものではなく、時期が来れば自動的に切り替わるものだと考えるほうが早く決まります。松の内までは年賀状しか出せませんし、明けてしまえば寒中見舞いしか残りません。どちらを選ぶかで悩む場面は、実は最初から存在していません。
実際によく起きるのは、年賀状が一枚だけ余り、 それを松の内明けに投函してしまうという形です。 受け取った側は、干支の絵柄と「謹賀新年」の文字が並んだはがきを、 正月飾りをしまい終えた家の玄関で見ることになります。
余った年賀はがきは郵便局の窓口で通常はがきや切手に交換してもらえますので、 無理に使い切ろうとしなくてかまいません。 交換した通常はがきに寒中見舞いとして書けば、時期にも文面にも無理がなくなりますし、 受け取る側も季節に合った一枚として読めます。
いつまでに出すか
年賀状が間に合わないと気づくのは、たいてい三が日を過ぎたころで、 そこから慌てて書いて投函しても届くのは数日後になります。 その数日のあいだに松の内が終わってしまうのかどうかが分からず、 投函するかどうかの判断がつかなくなります。
判断を分けるのは投函した日ではなく相手の手元に届く日のほうで、 年始は郵便の量が増えて配達に日数がかかりますから、 出した日を基準に数えているとそのまま一日か二日ずれ込みます。 松の内の終わりが地域で違う点も、ここに重なってきます。
| 時期 | 出せるもの |
|---|---|
| 元日から松の内まで | 年賀状として出せる期間です |
| 関東の松の内 | 一月七日までとするのが一般的です |
| 関西の松の内 | 一月十五日までとする地域が多くあります |
| 松の内から立春まで | 寒中見舞いとして出す期間になります |
| 立春を過ぎたあと | 余寒見舞いに切り替わります |
| 迷ったとき | 七日を境にすると全国で通ります |
松の内の日付が分かれているため、相手の地域が分からないときは早いほうの七日で区切ると安全です。関西の相手に七日で寒中見舞いを出しても不作法にはなりませんが、関東の相手に十五日まで年賀状を出すと明らかに遅れた一枚になります。迷ったら短いほうに合わせてください。
郵便が混み合うのは元日から数日のあいだで、 三が日に投函したはがきが届くのは四日か五日、 連休が重なればさらに一日ずれることがあります。 七日を目安にするなら、四日までに投函しておかないと間に合いません。
その日数を数えて間に合わないと分かったのであれば、 年賀状として書き上げる作業をそこでやめてしまうほうが結局は早く済みます。 松の内が明けるのを待って寒中見舞いとして出せば、 遅れたことに触れる必要すらなくなりますし、文面も落ち着いたものにできます。
どちらを出すか
年始に届いた一枚に返事を書こうとして、 自分の側が喪中だったり、相手が喪中だったり、 あるいは単に返信が遅れていたりすると、 どの形で返せばよいのかが急に分からなくなります。
こうした場面で見るべきなのは相手との間柄ではなく、 祝う言葉を書ける状況にあるかどうかという一点です。 自分か相手のどちらかが喪中であれば祝う言葉は置けませんし、 松の内を過ぎていればそもそも年賀状という形が使えません。
| 状況 | どちらを出すか |
|---|---|
| 松の内に間に合う | 年賀状として出してかまいません |
| 松の内を過ぎた | 寒中見舞いに切り替えて出します |
| 自分が喪中である | 時期にかかわらず寒中見舞いにします |
| 相手が喪中である | 寒中見舞いで挨拶を届けます |
| 喪中はがきへの返事 | 松の内明けに寒中見舞いで返します |
| 年賀状をもらって出していない | 間に合えば年賀状、過ぎたら寒中見舞いにします |
喪中の場合だけは時期と関係なく寒中見舞いになりますので、そこだけ先に確かめてください。喪中はがきを受け取った相手へ松の内のうちに何か送りたくなることがありますが、そこで急いで返すと祝う気配のある一枚になってしまいます。あえて七日を待つのが、この場合は気遣いになります。
判断が難しくなるのは、喪中はがきが届いたのを知らずに年賀状を出してしまい、 正月が明けてからそれに気づいたときです。 すでに投函してしまったはがきは戻せませんので、 どう埋め合わせればよいのかで落ち着かなくなります。
この場合は松の内が明けるのを待って寒中見舞いを出し、 そのなかで年賀状を出してしまった非礼を一言そえれば十分に伝わります。 改めて電話をかけて謝るところまでする必要はありませんし、 受け取った側も喪中はがきの行き違いは起こるものとして受け取ります。
喪中の扱い
喪中の年の正月に、いつも年賀状をやり取りしている相手から一枚が届くと、 返事を出すべきかどうかで迷います。 こちらから喪中はがきを出していれば相手も承知しているはずなのに、 何も返さないままでいるのは落ち着かないものです。
ここで判断が分かれるのは礼の重さではなく、 喪中に控えるのは祝うことだけで、挨拶そのものではないという点をどう受け取るかです。 新年を祝う言葉を並べた一枚は出せませんが、 寒さを気遣い近況を伝える一枚であれば、喪中であっても妨げるものはありません。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 喪中に届いた年賀状 | 松の内明けに寒中見舞いで返します |
| 喪中はがきを出し忘れた相手 | 寒中見舞いのなかで事情を伝えます |
| 相手が喪中だと知ったとき | 年賀状は控えて寒中見舞いにします |
| 寒中見舞いの文面 | 祝う言葉を入れずに書きます |
| 墨の色 | 薄墨にせず通常の黒で書きます |
| はがきの絵柄 | 落ち着いた図柄のものを選びます |
薄墨を使うのは弔事の場面に限られますので、寒中見舞いでは通常の黒で書いてください。喪中に出す一枚だからと薄墨にすると、季節の挨拶ではなく弔いの便りとして読まれてしまいます。控えるのは祝いの言葉と華やいだ絵柄だけで、書き方まで変える必要はありません。
文面で手が止まりやすいのは書き出しの一行で、 「あけましておめでとうございます」が使えない分、 何から書き始めればよいのかが分からなくなります。 白いはがきを前にして、最初の一行だけが決まらないまま時間が過ぎていきます。
「寒中お見舞い申し上げます」から書き出せばそれで形は整いますし、 その後に相手の体を気遣う言葉と自分の近況を続ければ一枚が埋まります。 喪中であることに触れるかどうかは書き手の判断でかまいませんし、 触れないまま季節の便りとして出しても失礼にはあたりません。
間違えやすい点
寒中見舞いという形を知った後で起きやすいのが、 手元にある年賀はがきをそのまま使ってしまうという取り違えです。 未使用の年賀はがきが十枚ほど残っていると、 捨てるのも惜しくてそこに寒中見舞いを書いてしまいたくなります。
ここで見落とされるのは、年賀はがきそのものが祝いの体裁を持っているという点で、 くじの番号も「年賀」の文字も、寒中見舞いの文面とはかみ合いません。 文面をどれだけ落ち着いた調子で書いても、 はがきの側が新年を祝う顔をしていれば、受け取る側にはそちらが先に目に入ります。
| やってしまいがちなこと | こうします |
|---|---|
| 年賀はがきに寒中見舞いを書く | 通常はがきに書き直します |
| 賀詞や「元旦」を入れる | 祝う語をすべて外します |
| 薄墨で書く | 通常の黒で書きます |
| 干支の絵柄を使う | 雪や椿など季節の図柄にします |
| 立春を過ぎてから出す | 余寒見舞いとして書き直します |
| 遅れた詫びを長く書く | 一言そえるだけにとどめます |
年賀はがきの流用がもっとも多い取り違えで、しかも受け取る側にすぐ分かってしまいます。余った年賀はがきは郵便局の窓口で通常はがきや切手に交換してもらえますので、無理に使い切ろうとせずに交換してください。手数料はかかりますが、ちぐはぐな一枚を出すよりは確実です。
詫びの言葉をどこまで書くかでも迷いが出ます。 返事が遅れたことが気になって、 はがきの半分近くを事情の説明に使ってしまい、 肝心の近況や相手を気遣う言葉が入りきらなくなることがあります。
遅れたことへの詫びは「ご挨拶が遅れましたことをお詫び申し上げます」の一文で足りますし、 その後は相手の体を気遣う言葉と自分の近況に紙面を使うほうが、 読む側にとっても受け取りやすい一枚になります。 なぜ遅れたのかの説明を並べても、相手が知りたいのはそこではありません。
寒中見舞いそのものの書き方と文例を確かめる年賀状と寒中見舞いのどちらが正しいという話ではなく、 その一枚が相手に届く日と、自分か相手が喪中であるかどうかを見て、 形の合うほうを選べばそれで足ります。 松の内に届くなら年賀状で出せますし、間に合わないと分かった時点で寒中見舞いに切り替えれば、 文面にも時期にも無理がなくなります。
どちらを選ぶ場合でも変わらないのは、祝う言葉を置ける状況かどうかを先に確かめることと、 はがきの体裁を文面に合わせることの二つだけで、 この二つさえ守っていれば、松の内の日付を思い出せなくても失礼にはなりません。 受け取る側にとっても、季節に合った一枚のほうが素直に読めるものです。
よくある質問
年賀状と寒中見舞いはどう違いますか?
年賀状は新年を祝う言葉を届けるもの、寒中見舞いは寒さのなかで相手の体を気遣うものです。祝う言葉が入るかどうかがそのまま二つを分ける線になりますので、同じはがきに同じ文面を載せることはできません。
寒中見舞いはいつからいつまでですか?
松の内が明けてから立春までです。松の内は関東で一月七日まで、関西では一月十五日までとする地域が多くあります。相手の地域が分からないときは早いほうの七日で区切ると全国で通ります。
年賀状が間に合わなかったらどうしますか?
松の内に届かないと分かった時点で、年賀状として書くのをやめて寒中見舞いに切り替えてください。松の内が明けるのを待って出せば、遅れたことに長く触れる必要もなくなります。
余った年賀はがきに寒中見舞いを書けますか?
書けません。くじの番号も「年賀」の文字も寒中見舞いの文面とかみ合いませんので、郵便局の窓口で通常はがきや切手に交換してもらってください。手数料はかかりますが、そのほうが確実です。
喪中でも寒中見舞いは出せますか?
出せます。喪中に控えるのは祝うことであって挨拶そのものではありませんので、寒さを気遣い近況を伝える一枚であれば妨げるものはありません。祝う言葉と華やいだ絵柄だけを外してください。
寒中見舞いは薄墨で書きますか?
通常の黒で書いてください。薄墨を使うのは弔事の場面に限られますので、寒中見舞いを薄墨にすると季節の挨拶ではなく弔いの便りとして読まれてしまいます。
立春を過ぎてしまったらどうしますか?
余寒見舞いに切り替えてください。書き出しを「余寒お見舞い申し上げます」に変えるだけで、あとは寒中見舞いと同じように相手の体を気遣う言葉と近況を書けば足ります。
まとめ
- 年賀状は新年を祝う言葉を届けます
- 寒中見舞いは寒さのなかで体を気遣います
- 松の内までは年賀状として出せます
- 松の内が明けたら寒中見舞いに切り替えます
- 迷ったら一月七日を境にします
- 喪中なら時期を問わず寒中見舞いにします
- 年賀はがきは窓口で通常はがきに交換します
- 墨は薄墨にせず通常の黒で書きます
参考情報
- 日本郵便「年賀状(年賀はがき)」
https://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/nenga/ - 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx
年賀状の受付開始日・元日配達の投函期限は年によって変わります。その年の日本郵便の案内をご確認ください。本記事の日付は例年の目安です。喪中の範囲や賀詞の使い分けには考え方に幅があるため、断定を避けて記載しています。
本記事で紹介している時期や作法は一般的な目安です。年賀状の受付開始日や元日配達の締切は年ごとに変わります。その年の日本郵便の案内をご確認ください。喪中の範囲や過ごし方は、地域・ご家庭・宗派によって考え方が異なります。