結論
寒中見舞いは松の内が明けてから立春(2月4日ごろ)までに出す季節の挨拶で、 1年でもっとも寒い時期に相手の体を気づかう一枚として続いてきたものです。
「賀」の字をいっさい含まないため、喪中に関わる場面でもそのまま使うことができます。 年賀状の返事が松の内に間に合わなかったときも、こちらや相手が喪中で年賀状を控えているときも、 同じ一枚ですべて受けられる点が、この挨拶状のいちばんの強みということになります。
いつ送るか
年が明けて松がとれたころ、机の隅に返事を書いていないはがきが数枚たまっていることがあります。 年末に喪中はがきが届いていた相手や、こちらが出しそびれていた相手からの一枚が混じっていて、 いまから年賀状として出してよいものかどうかが分からず、そのまま置きっぱなしになります。
迷いの中心にあるのは、その一枚を年賀状として出せる時期が終わっているかどうかという点です。 同じ内容の挨拶でも、松の内のうちに届くのか、そのあとに届くのかで、はがきの名前も書き出しの言葉も変わります。
| 時期 | 出すもの |
|---|---|
| 12月15日ごろ〜25日 | 元日に届けるなら、この期間までに投函します |
| 12月26日〜31日 | 年賀状として出せますが、元日には届きません |
| 元日〜松の内 | 年賀状として出せる最後の期間になります |
| 松の内明け〜立春(2月4日ごろ) | ここからが寒中見舞いを出す時期になります |
| 立春〜2月末ごろ | 余寒見舞いという名前に変わります |
松の内の終わりは地域によって違い、関東は1月7日、関西は1月15日までとされています。相手の地域が分からないときは1月7日を区切りにしておけば、どちらの地域へ出しても早すぎることになりません。なお年賀状の受付開始日と元日配達の締切は年ごとに動きますので、その年の日本郵便の案内をご確認ください。
そもそも「寒中」というのは、小寒にあたる1月5日ごろから立春の前日までを指す言葉です。 1年のうちでもっとも冷え込む時期がここにあたりますので、寒中見舞いは本来、 その寒さのなかで相手が体をこわしていないかを尋ねる挨拶ということになります。
松の内のあいだに出さないのは、その期間がまだ正月のうちに入っているからです。 門松を立てている家に向かって寒さを見舞う一枚を送るのは季節が合いませんので、 関東なら1月8日ごろから、関西なら1月16日ごろから出すことになり、迷ったときは1月8日以降にしておけば差し支えありません。
使う場面
寒中見舞いという名前だけを見ると、寒さを見舞う一枚をわざわざ出す機会などあるのだろうかと思えてきます。 ところが実際に使われている場面の大半は、季節の挨拶そのものではなく、 年賀状のやり取りが何かの事情でうまくいかなかったあとの受け皿としてのものです。
ここで見分けたいのは、その事情がこちらの側にあるのか、相手の側にあるのかという点で、 書く内容がそこで変わってきます。 出しそびれたのがこちらなのか、年賀状を控えている相手へ出すのかで、主文に置く一言が入れ替わります。
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 年賀状の返事が遅れた | 松の内に間に合わなかったときの受け皿になります |
| 自分が喪中 | 年賀状の代わりに出し、届いた年賀状への返事にも使えます |
| 相手が喪中 | 年賀状を出せませんので、こちらに替えて出します |
| 喪中はがきが間に合わなかった | 年賀欠礼をこの一枚で伝えることになります |
| 喪中と知らず年賀状を送った | お詫びとお悔やみをここで書き添えます |
| 純粋な季節の挨拶 | 本来の用途で、相手の体を気づかう一枚になります |
これだけ幅広く使えるのは、「賀」の字をいっさい含まない挨拶状だからです。祝いの意味を持たない言葉だけで組み立てられていますので、喪中に関わるどの場面へ出しても受け取った側に気まずさが残りませんし、年賀状では受けきれない事情のすべてをここへ寄せることができます。
年賀状のやり取りそのものが細ってきていることは、日本郵便が公表している数字にも表れています。 2025年8月29日の報道発表資料によれば、2026年用年賀はがきの当初発行枚数は7.5億枚で、 2025年用の当初発行枚数である約10.7億枚に対して約69.9パーセントにあたります。 これは人々の気持ちを尋ねた意識調査ではなく、日本郵便が発行を予定した枚数の公表です。
出す枚数が減れば、用意していなかった相手から思いがけず一枚届くことも起こりやすくなりますし、 松の内のうちに全部の返事を書き上げられないことも増えてきます。 同じ資料には、郵便局の窓口で寒中見舞いはがきの印刷を2025年11月4日から2026年1月16日まで受け付けることも記されていますので、 これは例外の手段ではなく、季節の商品として並んでいるものだということになります。
書き方
通常のはがきを一枚用意して机に置いたところで、書き出しの一行が決まらずに手が止まります。 年賀状であれば大きな賀詞を先頭に置けば形になりますが、その言葉が使えないとなると、 どこから始めてどこで終えればよいのかの見当がつかなくなります。
ここで気をつけたいのは、年賀状の型をそのまま持ち込まないという一点です。 寒中見舞いには寒中見舞いの並びがあり、先頭に来るのは祝いの言葉ではなく見舞いの挨拶ですし、 文字の大きさも年賀状ほど強弱をつけません。
| 順 | 要素 |
|---|---|
| 1 | 「寒中お見舞い申し上げます」をやや大きめに置きます |
| 2 | 「寒さ厳しい折」などの時候の挨拶を続けます |
| 3 | 主文は場面によって変わり、お礼やお詫びを書きます |
| 4 | 「ご自愛ください」と相手の体を気づかいます |
| 5 | 日付は「令和〇年一月」などとして結びます |
賀詞は、この五つのどの位置にもいっさい入れないでおいてください。謹賀新年やあけましておめでとうといった言葉は年賀状のためのもので、松の内が明けたあとに届く一枚へ置くと時期を外した挨拶になってしまいますし、そもそも祝う言葉を使わずに済むことこそが、この挨拶状に与えられた役どころです。
目上の方へ出すときは、書き出しを「寒中お伺い申し上げます」に替えることがあります。 見舞うという言葉はもともと目上から目下へ向けるものだという考え方があるためで、 改まった相手にはこちらのほうが収まりよく見えます。
とはいえ「寒中お見舞い申し上げます」で出したからといって、失礼にあたるわけではありません。 どちらでも通る言い方ですので、相手との距離を思い浮かべて選んでおけば十分ですし、 迷ったときは見慣れているほうを使ってください。
はがきの選び方
文面の見当がついたあとで案外つまずくのが、どのはがきに書くのかというところです。 年末に買った年賀はがきが何枚か余っていると、これを使ってしまえば早いという考えが出てきますし、 売り場に並んでいる私製はがきの図柄も、どこまでなら選んでよいのかが分かりません。
分かれ目になるのは、正月を連想させるものが入っていないかどうかという一点です。 松の内が明けたあとに届く一枚ですので、はがきそのものにも図柄にも、 新年を祝う要素が残っていると中身と合わなくなります。
| 項目 | 選び方 |
|---|---|
| 通常のはがき | 官製でも私製でも差し支えありません |
| 年賀はがき | お年玉の抽選番号が付きますので使いません |
| 図柄 | 冬の風景や椿、雪など落ち着いたものにします |
| 干支・門松・鶴亀 | 正月の絵柄になりますので避けておきます |
| 喪中に関わるとき | とくに控えめな図柄を選んでおきます |
| 余った年賀はがき | 郵便局で通常のはがきに交換してもらえます |
年末に買って余っている年賀はがきを、そのまま使ってしまうのだけは避けてください。あて名面にお年玉の抽選番号が入っていますので、寒さを見舞う一枚にくじが付いてくることになりますし、干支の図柄まで刷り込まれています。手数料はかかりますが、郵便局の窓口へ持ち込めば通常のはがきに交換してもらえます。
私製はがきを選ぶときは、売り場で寒中見舞い用として並んでいるものを見ると当たりがつきます。 雪をかぶった枝や、椿の一輪、白い山並みといった冬の景色が多く、色数も抑えられていますので、 そこから選んでおけば図柄で外すことはありません。
相手が喪中であったり、こちらが喪中であったりする場合は、もう一段控えめなものにしておいてください。 冬の景色であっても、色が明るく面積の大きい図柄は華やいで見えますので、 余白の多い落ち着いたものを選ぶほうが、文面の調子とも合います。
年賀状との違い
寒中見舞いと年賀状は、どちらも年の初めに出すはがきという点では同じところに並びます。 そのため、時期さえずらせば中身は同じでよいのだろうかという考えが浮かびますが、 実際に並べてみると、変わるのは時期だけではありません。
違いが出るのは、使うはがき・書き出しの言葉・出す相手の範囲の三つです。 年賀状は毎年出す相手があらかじめ決まっているのに対し、 寒中見舞いは必要が生じた相手にだけ出すという点が、いちばん性格の違うところです。
| 項目 | 年賀状 | 寒中見舞い |
|---|---|---|
| 時期 | 元日から松の内までに届けます | 松の内が明けてから立春までに出します |
| はがき | 年賀はがきを使って出します | 通常のはがきを使って出します |
| 賀詞 | 謹賀新年などを先頭に置きます | 賀詞はいっさい使いません |
| 喪中 | 喪中の年は出しません | 喪中でも差し支えなく出せます |
| 図柄 | 干支や松竹梅の絵が入ります | 冬の風景など落ち着いた絵にします |
| 出す相手 | 毎年の相手へまとめて出します | 必要が生じた相手にだけ出します |
この六つのなかでいちばん大きな違いは、喪中でも出せるかどうかというところにあります。年賀状を出せなくなる事情はいくつもありますが、そのすべてを寒中見舞いのほうで引き受けられますので、年始のやり取りが行き場をなくしてしまう場面はまず出てきません。
毎年の相手へまとめて出すものではないという点は、用意する枚数の考え方そのものにも効いてきます。 年賀状のように住所録を開いて一覧で刷る必要はありませんので、返事を書いていない相手と、 こちらから知らせておきたい相手だけを数えて、その枚数だけ用意しておけばそれで足ります。
出す相手が数人であれば、印刷に出さずに手書きで済ませてしまうこともできます。 一枚ずつ相手に合わせた主文を書けますし、年賀状のように同じ定型の文面を並べる必要もありませんので、 枚数の少なさが、そのまま一枚あたりの書きやすさに変わってくれます。
年賀状との使い分けを詳しく見る気をつけたいこと
書き上げて投函する直前になって、これで本当によかったのかと引っかかる箇所がいくつか出てきます。 日付をどう書いたか、墨の色をどうしたか、そもそも出す時期が合っていたかといった細かなところばかりですが、 どれも小さな話に見えて、受け取った側の目には案外はっきりと残るものです。
つまずきやすいのは、年賀状や喪中はがきの作法をうっかり持ち込んでしまうところです。 どちらも同じ時期に手にする文書ですので、書き慣れているほうの型が自然に出てきますが、 寒中見舞いはそのどちらとも別のものとして組み立てられています。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 松の内のあいだ | まだ正月の期間ですので、出さずに待ちます |
| 立春を過ぎた | 余寒見舞いという名前に替えて出します |
| 賀詞 | 謹賀新年やあけましておめでとうは使いません |
| 日付 | 元旦とは書かず、令和〇年一月などとします |
| 墨の色 | 喪中はがきとは違いますので、薄墨にしません |
| 贈り物の表書き | 「寒中御見舞」ははがきとは別のものになります |
墨の色を薄くしないという一点が、この挨拶状でとくに間違えやすいところです。喪中に関わる場面で出すことが多いため弔事の文書と混ざりやすいのですが、寒中見舞いはあくまで季節の挨拶ですので、墨は通常の濃さのままで構いませんし、日付に元旦と書かないのも同じ理由で、届くころには松の内がすでに明けています。
もう一つ紛らわしいのが、品物に掛けるのし紙へ書く「寒中御見舞」という表書きのほうです。 お年賀を渡す時期を逃してしまったときに、贈り物へ添える言葉として同じ字が使われますので、 はがきの挨拶と一続きのものだと受け取られることがよくあります。
時期の考え方こそ共通しているものの、片方ははがきに書く挨拶、もう片方は品物に掛ける紙ですので、 用意するものも渡し方もまったく別のものになります。 はがきを出したうえで品物も届けたい場合は、それぞれを別に用意することになります。
贈り物の「寒中御見舞」を見る寒中見舞いは、出さなければ失礼になるという種類のはがきではありません。 年賀状のやり取りがうまくいかなかったときに、そのままにしておくのが落ち着かないという気持ちを、 角の立たない形で受け止めてくれる一枚として置かれているものですので、 出す相手がその年は一人しかいなかったとしても、それでおかしなことは何もありません。
押さえておく必要があるのは、松の内が明けてから立春までという時期と、 祝う言葉をいっさい使わないという二点だけです。 ここさえ外していなければ、文面が短くても、図柄が地味でも、 受け取った相手が困ることはありませんし、寒い時期に届く一枚として過不足なく伝わります。
よくある質問
寒中見舞いはいつ出しますか?
松の内明けから立春(2月4日ごろ)までです。関東なら1月8日ごろから、関西なら1月16日ごろから。迷ったら1月8日以降にすれば、どの地域にも問題ありません。松の内の間はまだ正月の期間なので早すぎます。
どんな場面で使いますか?
年賀状の返事が遅れたとき、自分が喪中のとき、相手が喪中のとき、喪中はがきが間に合わなかったとき、喪中と知らず年賀状を送ったときなどです。本来は純粋な季節の挨拶で、相手の健康を気遣うものです。
なぜ喪中でも使えるのですか?
「賀」の字を含まないためです。祝いの意味を持たないため、喪中に関わるあらゆる場面で使えます。これが年賀状との最大の違いです。
賀詞は使えますか?
使いません。「謹賀新年」「あけましておめでとう」は年賀状のものです。松の内が明けているため、新年を祝う言葉は使いません。「寒中お見舞い申し上げます」から書き出します。
年賀はがきを使ってもよいですか?
使いません。お年玉の抽選番号が付いており、干支の図柄も印刷されています。通常のはがきを使い、冬の風景など落ち着いた図柄を選んでください。余った年賀はがきは郵便局で交換できます。
目上の人には何と書きますか?
「寒中お伺い申し上げます」とすることがあります。「見舞う」は目上から目下へ向ける言葉という考え方からです。ただし「お見舞い」でも失礼にはあたりません。
薄墨で書いたほうがよいですか?
薄墨にはしません。喪中に関わる場面で出すことが多いため混同されがちですが、寒中見舞いは季節の挨拶であって弔事の文書ではありません。墨は通常の濃さのままで構いません。
まとめ
- 松の内明けから立春までに出します
- 関東は1月8日ごろから出せます
- 「賀」の字を含まないので喪中でも使えます
- 賀詞はいっさい使いません
- 年賀はがきは使いません
- 図柄は冬の風景など落ち着いたものにします
- 目上には「寒中お伺い」とすることがあります
- 品物に掛ける「寒中御見舞」とは別のものになります
参考情報
- 日本郵便「年賀状(年賀はがき)」
https://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/nenga/ - 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx - 日本郵便「2026(令和8)年用年賀はがきなどの発行および販売」(2025年8月29日公表)
https://www.post.japanpost.jp/newsrelease/pressrelease/476059610084.html
本文で引用した日本郵便の2025年8月29日公表資料は、年賀はがきの当初発行枚数と窓口サービスの取扱期間を示したもので、人々の考え方や年賀状を出す意向を尋ねた調査ではありません。年賀状の受付開始日・元日配達の投函期限は年によって変わります。その年の日本郵便の案内をご確認ください。本記事の日付は例年の目安です。喪中の範囲や賀詞の使い分けには考え方に幅があるため、断定を避けて記載しています。
本記事で紹介している時期や作法は一般的な目安です。年賀状の受付開始日や元日配達の締切は年ごとに変わります。その年の日本郵便の案内をご確認ください。喪中の範囲や過ごし方は、地域・ご家庭・宗派によって考え方が異なります。