結論
上司へのお歳暮は、品物を選ぶ前に勤め先の規定を確かめるところから始めてください。 社内での贈答をはっきり禁じている会社が増えており、 規定に触れると贈った側も受け取った側も立場が悪くなります。
規定がなく、部署の慣習として続いているのであれば5千円が目安になります。 贈り先は自宅宛にして、 贈るかどうかは周囲と足並みを揃えて決めておくと、あとから困ることになりません。
まず規定を確認
十一月の終わりごろになると、百貨店の外商やギフトの案内が届き始め、 去年は課長へ贈ったはずだけれど今年もでよいのだろうかと、机の引き出しで手が止まります。 金額や品物を考える前に、そもそも贈ってよいのかどうかという入口で引っかかります。
ここで先に確かめておきたいのが勤め先の規定で、 社内での贈答を禁じる会社が増えており、虚礼廃止という言い方で明文化されていることもあります。 規定に触れてしまうと、贈った側だけでなく受け取った上司のほうも立場が悪くなります。
| 確認先 | 見るところ |
|---|---|
| 就業規則・行動規範 | 贈答や利益供与について定めた条項を読みます |
| 社内通達 | 年末に虚礼廃止の案内が出ることがあります |
| 先輩や同僚 | 実際にどうしているかを聞くのが確実です |
相手が公務員であれば、国家公務員倫理規程などによって、利害関係のある相手からの贈り物を受け取れないと定められています。出向先や取引先に公務員の方がいる場合は、社内の規定を調べるまでもなく、はじめから贈り先の一覧から外しておくことになります。
規定の文言は、贈答という言葉ではなく利益供与や社内儀礼という見出しで書かれていることがあります。 社内ポータルの就業規則を開いて、贈答・金品・供与といった語で検索をかければ、 該当する条項が一つか二つ見つかります。
書かれていることの意味が読み取りにくいときは、総務へ問い合わせるより先に、 同じ部署の先輩に去年どうされましたかと尋ねてしまうほうが早く済みます。 規定の有無だけでなく、実際に守られているかどうかまで、その一言で分かります。
贈るべきか
規定を調べても贈答について何も書かれていないという場合が、いちばん決めかねます。 禁じられていないのだから贈ってもよいはずですが、 同じ課の誰も贈っていないところへ一人だけ届けるのも、それはそれで落ち着きません。
判断の軸になるのは周囲との足並みで、 贈るか贈らないかそのものより、自分だけが違う動きをしていないかどうかのほうが後々に響きます。 規定がないのであれば、部署のなかでの前例が事実上の決まりごとになります。
| 状況 | 目安 |
|---|---|
| 規定で禁じられている | 贈らないという一択になります |
| 誰も贈っていない | 一人だけ贈ると目立ちますので見送ります |
| 部署の慣習として続いている | 前例に合わせておくのが無難に収まります |
| 個人的に世話になった | 贈って構いませんが、周囲には言わずにおきます |
| 仲人をしてもらった | 職場とは別の話で、3年ほどが目安とされます |
一人だけ贈ってしまうと、それを知った同僚が贈らざるを得なくなります。逆に全員が贈っているなかで自分だけ見送るのも目に留まりますので、決めかねるときは、部署の何人かに今年はどうするつもりかを聞いてから動くほうが穏当です。
上司へお歳暮を贈るほうが当たり前だという時代ではなくなってきていて、数字の上でもその変わりようは見て取れます。 マイボイスコムが2024年12月1日から7日にかけて、 アンケートモニター9,151名へインターネットで行ったお歳暮に関する調査では、 その年にお歳暮を贈る人・贈る予定の人は全体の約35%にとどまり、過去の調査と比べて減ってきていました。
同じ調査では30代が2割弱、40代と50代が各20%台であるのに対し、60代は4割強、70代では55%と、 年代が上がるほど比率が高くなっています。 職場の上司への贈答だけを取り出した集計ではなく、回答した本人の申告による自主アンケートではありますが、 働いている年代ほど贈らなくなってきている様子はうかがえます。
金額の目安
贈ると決めたあとで手が止まるのが、金額をいくらにするかというところです。 直属の課長と、その上の部長とで差をつけるべきなのか、 世話になった度合いに応じて上げるべきなのかが、売り場の値札を見ていても決まりません。
考え方が分かれるのは役職に応じて上げるか、一律にそろえるかという点で、 社外の取引先へ贈るときの感覚をそのまま持ち込むと、社内では高すぎる額になります。 受け取る側にとって負担にならない範囲かどうかが、ここでの物差しになります。
| 相手 | 金額 |
|---|---|
| 直属の上司 | 5千円をひとつの目安にしておきます |
| 部長・役員クラス | 役職が上でも同じ5千円で構いません |
| 仲人をしてもらった上司 | 5千円から1万円のあいだで見ておきます |
| 連名で贈る場合 | 一人あたり2千円から3千円ほどになります |
高額にすると、相手は受け取ること自体を負担に感じますし、お返しの品まで考えさせることになります。会社によっては金額の線引きが規定のほうに書かれていて、そこへ触れてしまうこともありますので、役職が上がったからといって額を積み増す必要はありません。
部署でまとめて連名にするという手もあり、一人あたりの負担が二千円から三千円ほどに収まります。 短冊に課の全員の名前が並んでいれば、誰か一人が抜け駆けをしたようにも見えません。
仲人を務めてもらった相手だけは、職場の関係とは切り離して考えることになります。 結婚のあと三年ほど続けるのが目安とされていますので、その間は五千円から一万円のあいだで、勤め先の規定に触れない範囲に収めておきます。
宛先と渡し方
配送の伝票を書く段になると、届け先を勤め先にするか自宅にするかで迷います。 勤め先なら住所を調べる必要がありませんし、確実に受け取ってもらえますが、 箱が部長席の脇に置かれている光景を思い浮かべると、それでよいのかどうか分かりません。
分かれ目になるのは他の人の目に触れるかどうかで、 勤め先へ届けば同じ部署の全員がそれを見ることになり、贈っていない同僚に気を遣わせます。 一方で自宅宛にできるのは、年賀状のやり取りなどで住所を知っている相手に限られますので、選べる道はそこで絞られます。
| 方法 | 注意 |
|---|---|
| 自宅へ配送する | 基本はこちらで、人目にも触れずに済みます |
| 勤め先へ配送する | 同僚の目に触れ、持ち帰りの手間もかけます |
| 手渡しする | 職場の外で、紙袋から出して両手で差し出します |
自宅の住所が分からないときは、名簿や年賀状を人づてに当たってまで調べようとしないでください。本人の同意なく住所を集めるのは個人情報に触れる行いにあたりますし、そこまでして贈るくらいであれば、今年は見送るという判断のほうがずっと収まります。
勤め先へ届いた箱は、その日のうちに上司が電車で持ち帰ることになります。 冷蔵のハムや瓶入りの調味料のように重くかさばるものであれば、受け取った側は帰りの道すがら、ずっとその荷物を提げて歩くことになります。
手渡しする機会があるのなら、社内ではなく職場の外で渡すほうが収まります。 忘年会の帰りぎわなど二人になれる場面で紙袋から品物を出し、正面を相手のほうへ向けて両手で差し出せば、それだけで形は整います。
品物の選び方
金額と宛先が決まっても、売り場に並んだ箱を前にすると、 ハムにするかお菓子にするか、それとも産地直送の果物かで、また決めきれなくなります。 ふだんから好みを聞いたことのない相手であれば、なおさら手がかりが見つかりません。
手がかりになるのは相手の家族構成と、受け取ったあとの手間の二つです。 一人暮らしの方に大きな箱を贈れば食べきれずに残りますし、 手渡しにするのであれば、持ち帰る道のりの負担まで見ておくことになります。
| 見るところ | 選び方 |
|---|---|
| 家族構成 | 単身の方には量の少ないものを選びます |
| ご家族がいる場合 | 切り分けたり配ったりできるものが向きます |
| 好みが分からない | カタログギフトにすれば外れがありません |
| 手渡しするとき | 重いものやかさばるものは外しておきます |
| お酒を選ぶとき | 飲まない方には負担になりますので先に確かめます |
| 目上の方に避けられるもの | 履物・下着・時計・筆記具・現金や商品券です |
履物や下着は踏みつける・生活に困っているという意味に、時計や筆記具は勤勉であれという意味に取られてきたため、目上の方への贈り物としては外されてきました。現金や商品券も金額がそのまま分かってしまいます。ただしこれは慣習であって規則ではなく、気にしない方も増えています。
迷ったときに収まりがよいのは、日持ちがして分けられるものです。 個包装の焼き菓子や常温で置いておける乾麺の詰め合わせであれば、冷蔵庫の空きを気にせずに済みますし、家族の人数が分からなくても持て余されません。
避けられてきた品についても、相手や職場の様子を見て決めて構いません。 万年筆を喜ぶ方も、商品券のほうが助かるという方も実際にいますので、 慣習を機械的に当てはめるより、その上司が何を負担に感じない人かを考えるほうが役に立ちます。
避けたほうがよい品物を詳しく見るやめるとき
何年か続けているうちに、そろそろやめたいと思いながら、 今年やめると去年までのお礼を打ち切ることになりはしないかと気になって、 結局また十一月の売り場へ足を運んでいるということが起こります。
やめやすくなるのは関係そのものに区切りがついたときで、 異動や退職といった外からの変わり目に合わせれば、こちらの気持ちの都合として説明する必要がありません。 区切りがないまま続いている場合は、周囲と足並みを揃えて動くことになります。
| 場面 | 考え方 |
|---|---|
| 自分の部署が変わった | もっとも自然な区切りとして使えます |
| 相手が異動・退職した | そのまま続ける必要はありません |
| 自分が退職した | こちらも同じように区切って差し支えありません |
| 会社が虚礼廃止を打ち出した | 部署の全員でそろってやめることになります |
| 区切りがないまま続いている | 周囲と足並みを揃えてやめるほうが穏当です |
自分だけが先にやめてしまうと、続けている同僚のあいだでそのことが話題になります。贈るときと同じで、やめるときにも一人だけ違う動きをすると目に留まりますので、同じ課の何人かと示し合わせて、その年からそろって見送るほうが角が立ちません。
異動の内示が出た年であれば、その年からやめてしまっても不自然には見えません。 新しい部署の上司へ改めて贈るかどうかはそちらの前例に合わせればよく、前の上司へは年賀状であいさつを続けておけば、関係が切れたようにもなりません。
急にやめるのが気になるようであれば、間に一段はさむという手もあります。 お歳暮だけを残してお中元を先に見送る、その次の年に両方を見送るという順にすれば、 受け取る側にとっても、途中で立ち消えたという感じ方にはなりません。
上司へお歳暮を贈るかどうかに、どこの職場でも通じる答えがあるわけではありません。 贈答をはっきり禁じている会社もあれば、課の全員が毎年続けている職場もありますので、 勤め先の規定と、同じ部署の前例という二つを見てから決めれば、それで足ります。
どの職場でも変わらないのは、自分だけが違う動きをしないという一点です。 一人で贈れば同僚に気を遣わせ、一人で見送れば自分が目に留まりますので、 金額や品物で悩む前に、周囲がどうしているかを確かめておくほうが、結局のところ迷わずに済みます。
よくある質問
上司にお歳暮は贈るべきですか?
まず会社の規定を確認してください。近年は社内での贈答を禁止する会社が増えており、「虚礼廃止」として明文化されている場合もあります。規定がない場合でも必須ではなく、近年は贈らないほうが一般的になりつつあります。
どこで規定を確認できますか?
就業規則や行動規範の贈答・利益供与に関する条項、年末に出る社内通達を見てください。もっとも確実なのは先輩や同僚に実際どうしているかを聞くことです。なお相手が公務員の場合、利害関係のある相手からの贈答は受け取れません。
金額はいくらが目安ですか?
5千円です。役職が上でも金額を上げる必要はありません。高額にすると相手が受け取りを負担に感じます。連名で贈る場合は1人あたり2千〜3千円になり、負担が減って目立ちません。
職場と自宅、どちらに送りますか?
自宅が基本です。職場に送ると他の人の目に触れ、持ち帰りの負担もかけます。ただし自宅の住所が分からない場合、無理に調べないでください。個人情報にあたります。
避けたほうがよい品物はありますか?
履物・下着(踏みつける、生活に困っている意味)、時計・筆記具(勤勉であれという意味)、現金・商品券(金額が分かる)は目上の方への贈り物として避けられてきました。ただし慣習であって規則ではなく、気にしない方も増えています。
やめたいときはどうしますか?
部署が変わったとき、相手が異動・退職したときが自然な区切りです。関係が続いていてもやめたい場合は、周囲と足並みを揃えてやめるほうが角が立ちません。
まとめ
- 品物を選ぶ前に会社の規定を確かめます
- 相手が公務員であれば贈りません
- 規定がなくても必ず贈るものではありません
- 周囲と足並みを揃えて決めます
- 金額は5千円を目安にし、役職では上げません
- 連名にすると一人あたりの負担が減ります
- 贈り先は自宅宛にします
- やめどきは異動や退職の区切りに合わせます
参考情報
- 高島屋「進物の基礎知識」
https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html - 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx - マイボイスコム株式会社「お歳暮に関するアンケート調査(第8回)」(2024年12月・回答者9,151名)
https://myel.myvoice.jp/products/detail/31711
本文で引用したマイボイスコムの調査は、2024年12月にアンケートモニター9,151名がインターネットで答えた自主アンケートで、職場の上司への贈答だけを取り出した集計ではなく、回答者本人の申告によるものです。金額の目安(5千円)、自宅宛にする点は、参照した情報源で共通しています。会社の規定や公務員への贈答制限については、必ずご自身でご確認ください。
本記事で紹介している金額や時期は一般的な目安です。地域やご家庭、業界の慣習によって異なる場合があります。お勤め先や取引先の規定で贈答が制限されていることがあります。事前にご確認ください。