結論
個人のお宅を訪ねるときは約束の時刻ちょうどから2〜3分後にインターホンを押すのが目安で、 早く着いてしまったぶんは家から離れたところで送るほうが、迎える側の支度を止めずに済みます。
会社を訪ねるときの5分前行動は、家庭への訪問には当てはまりませんので、 受付やロビーにあたる場所が家のなかには無い以上、 早く着いた人を通せる先が玄関か、まだ片づいていない部屋しか残っていません。
何分前が適切か
手土産の紙袋を提げて相手の家の角まで来たところで腕時計を見ると、約束の時刻まではまだ20分近くあるということがあります。 乗り継ぎがうまくいったり、駅からの道が思っていたより短かったりすると、たいていは早いほうへずれます。
ここで迷うのは、早く着くのと少し遅れるのとでは、迎える側にとってどちらが重いのかという点です。 取引先を訪ねるときの感覚をそのまま持ち込んでよいのかどうかが、その場では判断しきれません。
| 到着 | 相手の受け取り方 |
|---|---|
| 15分以上早い | 支度が終わっておらず、迎える側が困ります |
| 10分早い | 早すぎますので、外で時間を送ってください |
| 5分早い | やや早いものの、ぎりぎり許される範囲です |
| 時間ちょうどから3分後 | 迎える側にとってちょうどよい時刻です |
| 5分遅れ | とくに気にされることはありません |
| 10分以上遅れる | 着く前に、電話かメッセージで知らせます |
個人のお宅では、少し遅れるほうが早く着くよりも収まりがよく、ここがビジネスとちょうど逆になります。数分の遅れなら相手は湯を沸かしたり座布団を出したりしながら待てますが、早く着いた人は玄関の外に立たせておくわけにもいきませんので、同じ数分でも迎える側にできることがまるで違ってきます。
とはいえ、遅れるほうが無難だと言われても、遅刻への後ろめたさのほうが先に立ちます。 約束に遅れて信用を落とした経験がある方ほど早めに家を出ますし、乗り換えの余裕まで足していけば、着く時刻は自然と前へずれていきます。
待ち合わせに人がどのくらい厳しいのかは、アットホームが2014年7月にインターネットで全国20〜60代の男女1,410名へ行ったアンケートからうかがえます。 友人との待ち合わせで10分遅れたら遅刻だと答えた人は41.2パーセントで最も多く、仕事の待ち合わせでも10分と答えた人が35.6パーセントで最多でした。
同じ設問で、1分・3分・5分というわずかな遅れでも遅刻とみなす人は、友人との待ち合わせに比べて仕事の場面で大きく増えています。 これは家庭への訪問を尋ねた調査ではなく、何分の遅れを遅刻と感じるかという気持ちを聞いたものですが、少しの遅れを厳しく見る感覚が仕事の側に偏っていることは読み取れます。
なぜ早いと困るのか
15時に伺いますと伝えられた側は15時に間に合うよう逆算して動いており、玄関のたたきを拭き、急須と菓子鉢を出し、部屋着から着替えるところまでを、その時刻に合わせて並べています。
外から見えないのはその支度がどこまで進んでいるかという一点だけで、10分早い到着が気の利いた行いになるか、それとも支度への割り込みになるかは、そこで決まってしまいます。
| 早く着くと起きること | 説明 |
|---|---|
| 掃除が終わっていない | 直前にまとめて片づける方が多くいます |
| 着替えていない | 部屋着のまま玄関に出ることになります |
| 茶菓の準備が途中 | やかんの湯がまだ沸いていない時間帯です |
| 化粧をしていない | 人によっては、それだけで気に病みます |
| 迎える側が慌てる | 落ち着かないまま迎えることになります |
「早く来てくれてもいいのに」と言われても、そのまま受け取らないでおいてください。そう言う方の多くは、こちらが気を遣わずに済むようにと先回りしているだけで、実際に15分早く着かれれば支度の途中で手を止めることになります。言葉どおりに早く伺ってよいのは、相手からその日の都合として具体的な時刻を示されたときだけです。
早く着かれた側は、畳んでいない洗濯物を寝室へ運び、出したままの掃除機を廊下の隅へ寄せながら玄関へ向かうことになります。 通された部屋にまだ雑誌や郵便物が積まれていれば、座ったこちらより先に、迎えた側のほうがそれを見ています。
こちらは片づいていようがいまいが気にしていなくても、迎えた側はその日のあいだずっと気にしています。 数分だけ外で時間を送れば、相手は支度を最後まで終えてから玄関を開けられますので、その気まずさがそもそも生まれません。
ビジネスとの違い
取引先の会社を訪ねるときは、5分から10分前に着いて受付を済ませておくのが基本の形になっています。 同じ調子で個人のお宅へ向かうと、この余裕がそのまま相手の負担へ振り替わってしまいます。
両者を分けているのは、迎える側がその時刻に何をしているかと、早く着いた人がどこで待てるかという二つで、片方は業務の合間に応対しますが、もう片方はその時刻のために支度を積み上げています。
| 会社訪問 | 家庭訪問 | |
|---|---|---|
| 到着 | 5分から10分前に受付を済ませます | 時間ちょうどから3分後に押します |
| 相手の状態 | 執務中で、いつでも応じられます | その時刻に向けて支度をしています |
| 早い到着 | とくに問題にはなりません | 支度を途中で止めさせてしまいます |
| 待つ場所 | 受付やロビーが用意されています | 家のなかには用意がありません |
会社に受付やロビーがあるのに対して、家には早く着いた人を通しておく場所がありません。そのため早い到着は、玄関の三和土に立たせたまま話すか、まだ片づいていない部屋へ通すかのどちらかを相手に選ばせることになります。会社であればソファに座って待てる10分が、家では相手の手を止める10分に変わります。
同じ人が同じ日に、午前は会社を回って午後は個人のお宅へ伺うということもあります。 午前中の感覚のまま歩いていると、住宅街に入ってからも早めに着くほうがよいという足取りが抜けません。
切り替えの目印は行き先に受付があるかどうかだけで足りますので、受付のある建物なら早めに入って名乗っておき、玄関のチャイムを押す先であれば、時計の針が約束の時刻をまたぐまで角を曲がらないでおいてください。
時間の調整方法
20分早く着いたと分かったところで、次に困るのはどこで過ごすかという段になります。 駅前ならカフェもコンビニもありますが、坂の途中の住宅地まで来てしまうと、腰を下ろせる場所がまるで見つかりません。
待ち方を分けるのは、相手の家から自分の姿が見えるかどうかという一点です。 同じ10分でも、窓から見える範囲にいるのと、角を二つ曲がった先にいるのとでは、相手にかかる気配がまるで違います。
| 方法 | 注意 |
|---|---|
| カフェやコンビニで待つ | もっとも確実で、暑さ寒さもしのげます |
| 周辺を歩く | 夏と冬は、体調を崩さない範囲にとどめます |
| 車のなかで待つ | 家の前は避けて、離れた場所に停めます |
| 駅まで戻る | 戻ってくる時間を見込んでおいてください |
相手の家の前で待つことだけは避けてください。カーテンの隙間や二階の窓から人影は思いのほかよく見えますし、来ているのに入ってこないという状態は、迎える側にとって支度どころではなくなりますし、声をかけるべきかどうかで悩ませるくらいなら、離れて待つほうが双方にとって楽になります。
待つ場所を探すついでに、近くの店で手土産を買い足したくなることもあります。 ところが相手の家の最寄りにある店で買った品は、包装紙や紙袋を見た時点でその場で間に合わせたものだと分かってしまいますし、値札を外していても中身の見当はつきます。
相手が普段から使っている商店街や駅ビルなら、値段の見当までついてしまいます。 手土産は出かける前に用意しておき、時間つぶしのあいだは荷物を持ち替えたり、玄関先で渡す言葉を思い出したりするだけにとどめてください。
着いてしまったら
角を曲がったつもりが玄関の前まで来てしまい、そこで押すか引き返すかで足が止まることがあります。 表札の前を行ったり来たりしているうちに、かえって近所の目に留まるということも起こります。
ここでの判断は、約束の時刻までどれだけあるかと、外で待てる天気かどうかの二つで決まります。 同じ10分でも、春の夕方と真夏の昼過ぎ、あるいは雨の日とでは、外で過ごせる長さがまるで違います。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 5分以内に早い | そのまま押しても差し支えありません |
| 10分以上早い | 時間になるまで、離れた場所で待ちます |
| 相手に見つかった | 「早く着いてしまって」と正直に伝えます |
| 連絡が来た | 「もう近くにおります」と伝えて指示に従います |
| 天候が悪い | 連絡して相談し、無理に外では待ちません |
大雨の日や猛暑日にまで、外で時間を送る必要はありませんので、「少し早く着いてしまいましたが」と一報を入れておけば、相手は玄関だけ開けて荷物を預かるなり、時間まで待ってもらうなりを自分で決められます。濡れたまま座ったり、汗が引かないまま話し始めたりするほうが、その後の時間にひびきます。
待つつもりで家の前を離れかけたところへ、ごみ出しや買い物から戻った相手と鉢合わせすることもあります。 向こうは部屋着に上着をはおっただけという格好で、こちらは手土産を提げたままですので、互いに一瞬止まります。
こういうときは、早く着いてしまったと先に言ってしまうほうが早く収まります。 たまたま通りかかったふりをすると、相手はどう応じるかで迷いますし、支度の途中だと言い出せないまま玄関を開けることになります。
インターホンを押すタイミングを見る何分前が正しいという線が一本引かれているわけではなく、相手との間柄も、家の造りも、その日の天気も違います。 気心の知れた友人の家であれば5分前でも笑って迎えてもらえますし、初めて伺うお宅や年配のご夫婦の家では、 同じ5分がまだ支度の最中にあたることもあります。
どのお宅でも変わらないのは、こちらの都合で早まった時間を相手に肩代わりさせないという一点だけです。 早く着いた分は角を二つ曲がった先で送り、遅れそうなときだけ先に一報を入れておけば、 玄関が開いた時点で相手は支度を終えていますので、そこからの時間を落ち着いて使えます。
よくある質問
訪問は何分前に着くのが適切ですか?
時間ちょうどか、2〜3分後です。5分早いのはぎりぎり許容範囲ですが、10分以上早いと相手が困ります。個人のお宅では「少し遅れる」ほうが「早く着く」より無難です。
なぜ早く着くと困るのですか?
相手はその時刻に合わせて掃除、茶菓の用意、着替えをしています。10分早く着くと、その最後の10分が奪われます。片づけ途中の部屋に通すことになり、迎えた側がその日ずっと気に病みます。
ビジネスの「5分前行動」とは違うのですか?
違います。会社訪問では相手は執務中でいつでも応じられますが、家庭はその時刻に向けて支度をしています。また家には受付やロビーにあたる場所がなく、早く着けば玄関に立たせるか、片づいていない部屋に通すかのどちらかになります。
早く着いたらどこで待ちますか?
カフェやコンビニがもっとも確実です。ただし家の前では待たないでください。カーテンの隙間や二階の窓から人影は見えますし、「来ているのに入ってこない」と相手が気にします。車も家の前には停めないでください。
時間つぶしに近くで手土産を買ってもよいですか?
避けてください。相手の家の最寄りで買うと、包装紙や紙袋でその場で間に合わせたものだと分かります。相手が普段使っている店なら値段の見当までつきます。手土産は出かける前に用意しておいてください。
天候が悪くて外で待てません。
連絡して相談してください。「少し早く着いてしまいましたが」と伝えれば、相手は荷物だけ預かるなり時間まで待ってもらうなりを自分で決められます。大雨や猛暑のなかで待って体調を崩すほうが問題です。
まとめ
- 時間ちょうどから3分後にインターホンを押します
- 10分以上早い到着は、相手の支度を止めます
- 少し遅れるほうが、早すぎるよりも無難に収まります
- 相手はその時刻に合わせて支度を進めています
- ビジネスの5分前行動は持ち込みません
- 家の前や家の前の路上では待ちません
- 相手の家の近くで手土産を買い足しません
- 天候が悪ければ連絡して相談します
参考情報
- 三越伊勢丹「のし紙とかけ紙の正しいマナー」
https://www.mistore.jp/gift/manner/knowledge/noshi_mizuhiki/article/noshi_manner.html - 高島屋「進物の基礎知識」
https://www.takashimaya.co.jp/giftnavi/shinmotu_01.html - 郵便局のネットショップ「贈り物のマナー」
https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/pages/gift_contents_107.aspx - アットホーム「at home VOX」何分遅れたら遅刻か(2014年7月実施・全国20〜60代1,410名)
https://www.athome.co.jp/vox/life/16241/
本文で引用したアットホーム「at home VOX」のアンケートは、2014年7月に全国20〜60代の男女1,410名へインターネットで行ったもので、家庭への訪問ではなく待ち合わせに何分遅れたら遅刻と感じるかを尋ねた意識調査です。手土産の金額や渡し方に公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。地域・ご家庭・間柄によって実際には大きく異なります。
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。手土産に決まりはなく、地域・ご家庭・間柄によって異なります。とくに親しい相手との間では、形式より相手の負担にならないことを優先してください。