結論

「ご相談」ではなく「お伝えしたいことがあります」と切り出します。

相談は「迷っている」と受け取られます。 理由は「一身上の都合」で足ります。

アポの取り方

退職の話は立ち話では済みません。 まず時間を取ってもらう必要があります。

迷うのは用件をどこまで言うかです。 伏せれば構えられ、伝えれば その場で話が始まってしまいます。

言い方受け取られ方
「お時間を頂戴できますでしょうか」 これで十分です
「お話ししたいことがあります」 自然です
「ご相談があります」 迷っていると受け取られます
この場で切り出す 避けます。周りに聞こえます
用件を先に言う 不要。場を設けてから

アポの段階で用件を言う必要はありません。「30分ほどお時間を頂戴できますでしょうか」で足ります。上司も心づもりができます。

切り出し方

場面言い方
基本 「お時間をいただきありがとうございます。このたび、退職させていただきたく、お伝えに参りました」
転職が決まっている 「一身上の都合により、〇月末をもって退職させていただきたく存じます」
感謝を先に述べる 「これまでご指導いただき、ありがとうございました。このたび……」
親しい上司 「実は、退職を考えておりまして」

「〜させていただきたく存じます」が定型です。「辞めます」と言い切るより角が立たず、「辞めてもいいですか」より意思がはっきりします。

「相談」の形にしないでください

「辞めようか迷っていまして」と切り出すと、説得の余地があると受け取られます。

意思が固いなら、決定として伝えてください。迷っている段階なら、それは退職の申し出ではなく別の相談です。分けて考えてください。

理由をどこまで話すか

理由伝え方
基本 「一身上の都合により」
転職 「別の分野に挑戦したく」程度で足ります
家庭の事情 「家庭の事情により」
体調 「体調の都合により」詳細は不要です
待遇・人間関係への不満 言わないほうが無難です
転職先の社名 言う義務はありません

不満を理由にすると、改善を約束されて引き留められます。「では給与を上げる」「部署を変える」と言われると、断りにくくなります。話が長引くだけです。

前向きな理由にしておくほうが楽です

「新しい分野に挑戦したい」「以前から関心のあった仕事に就く機会があった」。

会社側で解決できない理由なら、引き留めようがありません。嘘をつく必要はありませんが、どの理由を選んで話すかは自由です。

聞かれたときの答え方

切り出した後は、必ず質問されます。 理由、時期、転職先。

答えに迷うのは、どこまで話す義務があるかが 分からないためです。 隠すと不誠実に見え、話しすぎると引き止めの材料になります。

聞かれること答え方
「どこへ行くの」 「差し支えなければ、お答えを控えさせてください」
「何が不満だった」 「不満があったわけではありません」
「給与を上げたら残る?」 「ありがたいお話ですが、決意は変わりません」
「誰かに相談した?」 「十分に考えたうえでの決断です」
「同業他社か」 競業避止の定めがあれば確認は必要です
しつこく聞かれる 同じ答えを繰り返して構いません

転職先を言う義務はありません。ただし就業規則に競業避止の定めがある場合は、内容を確認しておいてください。トラブルを避けるためです。

伝えた後

  • 退職日を相談して決めます
  • 退職届の提出時期を確認します
  • いつ公表するかを上司と決めます
  • それまでは自分から話しません
  • 引き継ぎの進め方を確認します
  • 有給休暇の残日数を確認します

公表の時期は上司と決めてください

伝えた直後に同僚へ話すと、上司が段取りを組む前に広がります。

「いつ、どの範囲に伝えるか」を確認してください。取引先への連絡も同じです。それまでは自分から話さないのが基本です。

退職の挨拶のしかたを見る

よくある質問

退職はどう切り出しますか?

「お時間を頂戴できますでしょうか」とアポを取り、場を設けてから「このたび、退職させていただきたく、お伝えに参りました」と伝えます。アポの段階で用件を言う必要はありません。

「ご相談があります」と言ってもよいですか?

避けてください。「相談」の形にすると、まだ迷っている、説得の余地があると受け取られます。意思が固いなら決定として伝えてください。

退職理由はどこまで話しますか?

「一身上の都合により」で足ります。待遇や人間関係への不満を理由にすると、改善を約束されて引き留められ、断りにくくなります。話が長引くだけです。

転職先を聞かれたら答えるべきですか?

答える義務はありません。「差し支えなければ、お答えを控えさせてください」で構いません。ただし就業規則に競業避止の定めがある場合は、内容を確認しておいてください。

「給与を上げたら残るか」と言われたら?

「ありがたいお話ですが、決意は変わりません」とはっきり伝えてください。曖昧に返すと、まだ考え直す余地があると受け取られます。

伝えた後、同僚に話してもよいですか?

公表の時期を上司と決めてから話してください。伝えた直後に同僚へ話すと、上司が段取りを組む前に広がります。取引先への連絡も同じです。

まとめ

  • 「お伝えしたいことが」と切り出す
  • 「ご相談」にしない
  • アポで用件を言わなくてよい
  • 理由は「一身上の都合」
  • 不満を理由にしない
  • 転職先を言う義務はない
  • 引き留めははっきり断る
  • 公表時期は上司と決める

参考情報

  1. e-Gov法令検索「民法」
    https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  2. e-Gov法令検索「労働基準法」
    https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
  3. e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
    https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000076
  4. 厚生労働省「職場における子育て支援」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/index.html

退職・休業の作法に公的な基準はありません。本記事は広く共通して挙げられる目安をまとめたものです。ただし退職の申し出時期、産前産後休業、育児休業は法律で定められており、作法の問題ではありません。該当箇所では根拠となる法令を示しています。手続きは会社の就業規則が優先します。出典は2026年8月15日に確認しました。

本記事で紹介している作法は一般的な目安です。会社・業界によって慣行は大きく異なります。退職・休業の手続きは就業規則で定められており、そちらが優先します。また産前産後休業・育児休業は法律で保障された制度であり、取得にあたって作法上の遠慮は必要ありません。