結論
忘年会の挨拶はどの役目であっても一分以内に収めるのが目安で、 話す中身を増やすより短く切り上げるほうが喜ばれますし、 乾杯の挨拶にいたっては三十秒でも長すぎるということはありません。
組み立ては名乗る・一年をねぎらう・次へつなぐの三つで足りますので、 この順で一文ずつ用意しておけば、 当日その場で言葉を探すことなく、落ち着いて話し終えられます。
五つの挨拶と、その役目
忘年会で挨拶を頼まれたとき、まず分からないのは何を話すかよりも、 自分に振られたのが会のどの部分にあたるのかという点で、 開会の言葉と乾杯の挨拶を取り違えると、話す長さも中身も合わなくなります。
職場の忘年会には役目の違う挨拶が五つ置かれていて、 それぞれ話す方の立場も長さも決まっていますから、 自分がどれを頼まれたのかさえ分かれば、用意すべきものは自然に絞られます。
| 挨拶 | 誰が述べ、どのくらい話すか |
|---|---|
| 開会の言葉 | 幹事が三十秒ほどで会の始まりを告げます |
| 初めの挨拶 | いちばん役職の高い方が一分ほど話します |
| 乾杯の挨拶 | 二番目の立場の方が三十秒で発声します |
| 中締めの挨拶 | 先輩格の方が一分ほどで区切りをつけます |
| 閉会の言葉 | 幹事が三十秒ほどで解散を告げます |
いちばん役職の高い方に初めの挨拶を、二番目の方に乾杯をお願いする形が通例です。会社によって並びは違いますので、前年の幹事に確かめておくのが確実です。頼まれた側は、その日どの役目なのかを引き受ける段階で聞いておくと、当日に長さを合わせられます。
五つのうち、話す方がもっとも戸惑うのは中締めで、 手締めの音頭まで含めて頼まれることが多いためですが、 挨拶そのものは一分ほどで足りますし、 手締めの形は幹事が決めていますので、それを聞いてから立てば足ります。
引き受けるときには、その場で話す長さと、手締めをするかどうかだけ 確かめておくと、当日に迷いません。 同じ「中締めをお願いします」という言葉でも、 挨拶だけの会と、手締めまで含む会の両方があります。
開会の言葉の文例
開会の言葉は幹事が述べるのが通例ですが、 まだ全員が席に着ききっていない時間帯にあたり、 会場が落ち着かないなかで話し始めることになるため、切り出しの一言に迷います。
この挨拶の役目は会が始まったということを全員に知らせることだけにあり、 一年の総括も来年の抱負も、次に話す上役へそのまま任せて差し支えありませんから、 三十秒より長く話す必要はどこにもありません。
幹事が述べる開会の言葉(150字前後)
皆様、本日はお忙しいなかお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。ただいまより、営業部の忘年会を始めさせていただきます。本日の進行を務めます、△△と申しますので、どうぞよろしくお願いいたします。
お時間は九時までを予定しておりまして、途中で中締めのご挨拶をいただきます。それでは初めに、部長の□□より一言ご挨拶を頂戴したいと存じますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
話し始める前に、 会場の後ろのほうまで声が届いているかを一度確かめてください。 大きな宴会場では最初の一言が届かず、 挨拶が始まったこと自体に気づかない卓が出てしまいます。
終わりの時刻と中締めの予定をここで伝えておくと、 電車の都合がある方が自分の帰る時刻を決められますので、 進行の案内としてこの二つだけは入れておくほうが親切ですし、 途中で個別に尋ねられることも減ります。
乾杯の挨拶の文例
乾杯を任されると、何か気の利いたことを言わなければという気持ちが働き、 一年の出来事を並べているうちに長くなって、 全員がグラスを持ったまま待つ時間ができてしまいます。
乾杯の挨拶で効いてくるのは話の中身よりも短さのほうで、 全員がグラスを胸の高さに掲げて待っている状態は思うよりずっと長く感じられますから、 三十秒ほどで切り上げて発声に移るのが、結局のところその場のためになります。
| 組み立て | 入れる一文 |
|---|---|
| 名乗る | 部署と名前を、一文で短く述べます |
| ねぎらう | この一年の働きへ、短く感謝を伝えます |
| 一言添える | 今年あった出来事に、一つだけ触れます |
| 促す | グラスをお持ちくださいと呼びかけます |
| 発声する | 顔を上げて「乾杯」と一声を出します |
この場面で触れる出来事は、かならず一つだけに絞ってください。部署ごとの成果を順番に挙げていくと、それだけで一分を超えてしまいますし、名前の挙がらなかった部署の方が会場のなかに出てきます。全員に共通する一つの話題を選んでおくほうが、話が短いまま収まって、聞いている側の負担にもなりません。
上司が述べる乾杯の挨拶(200字前後)
ご紹介にあずかりました、営業部の□□でございます。皆様、この一年、本当にお疲れさまでした。春先の移転では、通常の業務を回しながら荷物の整理まで引き受けていただき、部としてもずいぶん助けられました。
本日はどうぞ、仕事のことは一度脇に置いて、ゆっくり召し上がってください。それでは僭越ながら、私が音頭を取らせていただきますので、皆様お手元のグラスをお持ちください。本年一年のご尽力に感謝いたしまして——乾杯。
乾杯の音頭は役職が二番目の方に頼む形が通例ではあるものの、 あえて若手や新入社員に振る職場も少なくありませんので、 配属されて日の浅い方が指名されることもあります。 その場合は経歴を語るより、これから覚えていくという姿勢を一文で置くほうが収まります。
若手が述べる乾杯の挨拶(180字前後)
ただいまご指名いただきました、企画課の△△と申します。私は今年の四月に配属されたばかりですが、この八か月、部署の皆様に一つずつ教えていただいて、なんとかここまでまいりました。
まだお名前とお顔が一致していない方もいらっしゃいますので、本日はぜひお声をかけていただければ嬉しく思います。それでは、僭越ではございますが乾杯の音頭を取らせていただきます。皆様、グラスをお持ちください——乾杯。
発声の直前に「皆様、グラスをお持ちください」と一言はさむと、 手元にグラスが無い方が用意する間ができますので、 全員がそろってから「乾杯」の一声を出せますし、 飲めない方が烏龍茶を手に取る時間にもなります。
発声のときにグラスを頭より高く振り上げると、 中身がこぼれて周りの方にかかることがありますので、 目の高さに掲げて、そのまま軽く目礼するくらいで十分です。 音頭を取る側ではなく合わせる側に回ったときは、 上役のグラスの縁より少し下で合わせるのが通例になります。
中締めの挨拶の文例
中締めを任されると、まだ会が続いているのに締めてしまってよいのか、 どの時点で立ち上がればよいのかが分からず、 幹事の合図を待っているうちに時間が押してしまうことがあります。
中締めは会そのものを終わらせるために置かれているのではなく、 そこで帰る方のために区切りを作るためのものですから、 挨拶のなかで「ここから先はご自由に」という趣旨を伝えることが、この役目の中心になります。
先輩格の方が述べる中締めの挨拶(200字前後)
皆様、宴もたけなわではございますが、ここで一度お手を拝借したいと存じます。本日はこうして皆様と一年を振り返ることができまして、私自身、たいへん楽しい時間を過ごさせていただきました。
お帰りの都合のある方もいらっしゃいますので、ここで一区切りとさせていただきますが、お時間の許す方はどうぞ最後までごゆっくりお過ごしください。それでは一本締めでお願いいたします。お手を拝借——いよーお。
中締めのあとに、二次会の案内を入れてください
手締めが済んだ直後は会場の全員がこちらを向いている、いちばん声の通る時間にあたりますので、二次会の場所と時刻を伝えるならこの場面がもっとも向いていますし、歓談が戻ってしまってからでは、卓ごとに回って同じことを伝え直すことになります。
同じ場面で、忘れ物の確認とクロークの案内も添えておくと、そこで帰る方の動きがそろって、入り口が混み合わずに済みます。荷物の置き忘れは、中締めのあとに席を立って帰る方のあいだで、いちばん多く出るためです。
「宴もたけなわではございますが」という切り出しは古い言い回しに聞こえますが、 まだ盛り上がっている途中で区切ることへの断りとして置かれているもので、 この一言があると、話を止められた側も唐突に感じません。 堅苦しく思うのであれば「お楽しみのところ恐れ入りますが」でも同じ働きをします。
手締めまで頼まれている場合は、 どの形で打つかを挨拶のなかで告げてから「お手を拝借」に入ってください。 一本締めと一丁締めは名前が紛らわしく、 形を言わずに始めると、会場のなかで打ち方が二つに割れます。
閉会の言葉と、避けたい話題
閉会の言葉は幹事が述べることが多く、 すでに中締めで区切りがついているぶん、 改めて何を言えばよいのかが分からないまま、店の時間が来てしまいます。
この挨拶の役目は解散を告げて、帰り道についての注意を一つ添えることだけで、 中締めで話された内容をもう一度重ねる必要はありませんから、 三十秒ほどで終えて会場の外へ人を送り出すほうが、店にとっても親切になります。
幹事が述べる閉会の言葉(150字前後)
皆様、そろそろお時間となりました。本日はお忙しいなかご参加いただきまして、まことにありがとうございました。お荷物やお忘れ物がないか、お帰りの前に足元をお確かめください。
お店の外は道が狭くなっておりますので、他のお客様のご迷惑にならないよう、出られましたら速やかに移動をお願いいたします。二次会に行かれる方は、私が入り口でお待ちしております。
挨拶に入れないほうがよい話題があります
一年の締めくくりだからこそ、人事や評価に触れる話、特定の誰かを名指しで責める話、その場にいない方の噂話は挨拶に入れないでください。翌日以降まで残りますし、聞いた側がその場で応じることもできません。
同じ理由で、体型や年齢、家庭の事情に触れる冗談も避けておくほうが無難です。大人数の会では、その場にいる誰がどんな事情を抱えているかまでは見えませんし、笑って受け流した方が本当は困っていることもあります。これらに触れずに済ませたとしても、挨拶として物足りなくなることはありません。
どの挨拶であっても、原稿を手元に持って読み上げて差し支えなく、 覚えようとして詰まるより、読んで最後まで通すほうが聞きやすくなります。 携帯電話の画面を見ながら話す方も増えていますし、 それで失礼にあたることはありません。
当日になって急に指名された場合でも、 名乗って、一年をねぎらって、次へ渡すという三つの文さえ言えれば形になりますので、 短く終えることを目標に置いてください。 準備の時間が無かったことは、聞いている側にはほとんど分かりません。
挨拶の内容に唯一の正解があるわけではなく、 会社の雰囲気や部署の人数によって、求められる話し方はずいぶん変わります。 冗談を交えて笑いを取る会もあれば、短く事務的に区切るほうが好まれる会もあり、 前年に誰がどう話したかが、その職場でのいちばん確かな手本になります。
どの役目でも変わらないのは、予定した長さを超えないという一点だけです。 料理は冷めますし、グラスを持って待っている方の腕は疲れますし、 店の時間は決まっていますので、 話し足りないくらいで切り上げた挨拶が、結果としていちばん喜ばれます。
手締めの打ち方を確かめるよくある質問
忘年会の挨拶はどのくらいの長さにしますか?
どの役目でも一分以内が目安です。乾杯の挨拶は三十秒でも長すぎるということはありません。全員がグラスを掲げて待っている状態は、思うより長く感じられます。
挨拶は誰が述べますか?
開会と閉会の言葉は幹事、初めの挨拶はいちばん役職の高い方、乾杯は二番目の立場の方、中締めは先輩格の方が述べる形が通例です。会社によって並びは違いますので、前年の幹事に確かめておきます。
乾杯の挨拶には何を入れますか?
名乗る、一年の働きをねぎらう、今年あった出来事に一つだけ触れる、グラスを持つよう促す、発声するの五つです。触れる出来事を複数挙げると、それだけで一分を超えます。
中締めは何のためにありますか?
そこで帰る方のために区切りを置くためです。会を終わらせるものではありませんので、挨拶のなかで「お時間の許す方はごゆっくり」と伝えておきます。
「宴もたけなわ」は使ってもいいですか?
使って差し支えありません。まだ盛り上がっている途中で区切ることへの断りとして置かれている言い回しです。堅苦しく感じるなら「お楽しみのところ恐れ入りますが」でも同じ働きをします。
原稿を読んでもいいですか?
読み上げて構いません。覚えようとして詰まるより、読んで最後まで通すほうが聞きやすくなります。携帯電話の画面を見ながら話す方も増えています。
挨拶で避けたほうがよい話題はありますか?
人事や評価に触れる話、特定の誰かを名指しで責める話、その場にいない方の噂話です。体型や年齢、家庭の事情に触れる冗談も避けておきます。大人数の会では、誰がどんな事情を抱えているかまで見えません。
急に指名されたらどうしますか?
名乗って、一年をねぎらって、次へ渡すという三つの文で形になります。短く終えることを目標に置いてください。準備の時間が無かったことは、聞いている側にはほとんど分かりません。
まとめ
- どの挨拶も一分以内、乾杯は三十秒で切り上げます
- 組み立ては名乗る・ねぎらう・次へつなぐの三つで足ります
- 触れる出来事は一つに絞ると、短いまま収まります
- 中締めでは手締めの形を告げてから「お手を拝借」に入ります
- 原稿を読み上げて構いません
参考情報
- チムニー「忘年会の挨拶の基本と例文まとめ|開会・乾杯・締め・閉会の流れを徹底解説」
https://www.chimney.co.jp/campaign/bounenkai-aisatsu/ - ネオダイニング「忘年会の挨拶例文12選|開会・乾杯・締めの挨拶のポイントなど」
https://event.neodining-catering.com/usefulinfo/bonenkai_aisatsu_reibun/ - サンシャイン クルーズ・クルーズ「忘年会の挨拶《開始・乾杯・中締め》シーン別で例文を紹介」
https://ginza-cruise.co.jp/ikebukuro/knowhow/3456/ - ハンターガイダー「忘年会の挨拶で好感度UP!正しい順番と場を和ませる一言・例文集」
https://magazine.partyhunter.jp/know-how/338/
挨拶の長さと構成に公的な基準はありません。上記各社の解説で共通して挙げられている目安をまとめたものです。進行の都合で長さの指定がある場合は、幹事の案内が優先します。(最終確認:2026年8月)
本記事で紹介している作法は一般的な目安です。会社・地域・業種によって考え方が異なる場合があります。迷ったときは、幹事や前年の担当者に確認してください。