結論
葬儀に持っていくのは光沢のない黒で小ぶりなハンドバッグが基本で、 布製でも革製でも差し支えありませんが、 金具の目立つものだけは手元で確かめて外しておいてください。
男性は手ぶらで伺うのが基本になり、香典は袱紗ごと上着の内ポケットへ入れますし、 返礼品まで含めて荷物が入りきらないときは、 黒のサブバッグをたたんで持っていけばそれで足ります。
選ぶ基準
| 項目 | 基本 | 避けるもの |
|---|---|---|
| 色 | 黒のものを選んでおきます | 明るい色と白は外しておきます |
| 素材 | 光沢のない布か革であれば足ります | エナメル、爬虫類の型押し、毛皮は避けます |
| 金具 | 目立たないものにしておきます | 金色のものと、大きな飾りは外します |
| 大きさ | A5程度までの小ぶりなものにします | 大型のトートは持たずにおきます |
| 形 | 手に持つハンドバッグにします | リュックと肩掛けの大型は避けます |
| ロゴ | 目立たないものを選んでおきます | 大きなブランドロゴの入ったものは外します |
六つの項目を覚えきれないときは、光っていないかと 動物の柄に見えないかの2点だけを手元で確かめておけば足りますし、 この二つを外していれば、細かいところで多少ずれていても、会場で目に留まることはまずありません。
女性のバッグ
訃報を受けた日の夜に喪服を出してみると、靴とストッキングまでは思い出せても、 バッグをどれにするかで手が止まりますし、 黒いものが二つ三つ並んでいて、どれもふだん使いのものだという方は少なくありません。
見るべきなのは色よりも先に表面の光り方と金具の大きさのほうで、 同じ黒でも明かりの下に置いたときの見え方はまるで違いますので、 玄関の照明ではなく窓際の光で一度眺めておいてください。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 素材 | 布製がもっとも無難で、革製でも差し支えありません |
| 大きさ | 香典とハンカチと数珠が入れば足ります |
| 持ち手 | 短めのハンドルで、手に提げる形にします |
| 留め具 | 金具が目立たないものを選んでおきます |
革製そのものが禁じられているわけではなく、外すのはヘビやワニのように動物の柄がはっきり分かる型押しと毛皮で、殺生を思い起こさせるかどうかがここでの基準になります。表面がなめらかで柄の出ていない黒い革であれば、そのまま持って差し支えありません。
迷いやすいのが、ふだん通勤で使っている黒いバッグを流用する場合です。 黒であっても、留め具に金色の金具が大きく付いていたり、エナメルで表面が光っていたりすると、 並んで座ったときにそこだけが華やかに見えてしまいます。
手持ちのものを使うときは、色を確かめるより先に金具の目立ち方を見ておいてください。 金具が小さく、表面がつや消しになっていれば、フォーマル用として売られていないバッグでも十分に通りますし、 会場で気にする方はまずいません。
男性のバッグ
男性の場合、香典と数珠とハンカチだけであれば上着のポケットにひととおり収まってしまうため、 そもそもバッグを持っていくのかどうかから迷うことになります。
分かれ目になるのはその日の荷物が香典だけで済むかどうかという一点で、 勤め先から直接向かうのか、いったん帰宅して着替えてから出るのかによって、 手に提げるものが変わってきます。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 香典だけを持つ | 手ぶらにして、袱紗ごと内ポケットへ入れます |
| 仕事帰りに向かう | 黒のビジネスバッグであれば差し支えありません |
| 遠方から向かう | 荷物はクロークかコインロッカーへ預けます |
| リュックしかない | 背負わずに、手に提げて会場へ入ります |
大きな荷物は式場のなかへ持ち込まないのが基本です。受付から式場までの通路は狭いことが多く、席のあいだも人が通りますので、キャリーケースや出張鞄はそのつど誰かに当たります。クロークが無ければ、最寄り駅のロッカーへ預けてから向かってください。
仕事帰りに立ち寄る場合、鞄そのものより先に見られるのは中に入っているものの膨らみ方です。 書類や弁当箱で角が張っていると、黒いビジネスバッグであっても勤め帰りの姿がそのまま残りますので、 会社に置いてこられるものは置いてきてください。
リュックしか手元にないという日もあります。 背負ったまま焼香の列に並ぶと、前の方の肩に当たりますし、頭を下げたときに背中で揺れますので、 会場に入る前に肩から下ろして、手に提げてしまえばそれで収まります。
サブバッグ
受付で記帳を済ませたところで、係の方から返礼品の袋を手渡されることがあり、 箱に入ったお茶や海苔に会葬礼状が添えられていて、思っていたよりかさばります。
ここで問題になるのは小ぶりなバッグを選んだこととの兼ね合いで、 香典とハンカチと数珠が入る大きさで選んでいますので、 返礼品まで収める余地は初めから残っていません。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 色 | 黒のものを一つ用意しておきます |
| 素材 | 布製で、光沢のないものにしておきます |
| ロゴ | 入っていない無地のものが望ましいところです |
| 形 | たたんで持ち歩けるトート型にします |
紙袋での代用は避けたいところで、持ち手の紙がこすれて音が出ますし、静かな式場ではその音がよく響きます。店名や柄が刷り込まれていることも多く、焼香に立つときに手元で目立ちますので、黒の無地のエコバッグがあれば、それをたたんで入れておくだけで足ります。
返礼品をその場で渡す形が広まっていることは、業界団体の調査からも読み取れます。 全日本冠婚葬祭互助協会が平成27年5月21日から11月13日にかけて行い、 葬儀について9,762件の回答を得た冠婚葬祭1万人アンケートでは、 当日返しと呼ばれる返礼品の即返しを行ったと答えた割合が年代別に集計されています。 その割合は1970年までに葬儀を行った層で55.4パーセント、2011年以降の層では7割を超えるまでになっています。
これは参列した側の持ち物を尋ねたものではなく、喪主の側が返礼品をいつ渡したかを年代別に集計したものですが、 その場で受け取って持ち帰る形が当たり前になってきていることは分かります。 たたんだサブバッグを一枚しのばせておけば、受付で袋を手渡されても慌てずに済みます。
式場での置き場所
席に着いてから落ち着かないのが手に持っていたバッグをどこへ置くかという点で、 椅子の並んだ会場では膝の上に置いたままにしている方も、床へ下ろしている方も両方います。
判断が要るのは焼香で席を立つときに持っていくかどうかのほうで、 席へ戻る動線は会場の造りによって変わりますので、 置いたままにしてよいかどうかは、席に着いた時点では決められません。
| 場面 | 置き方 |
|---|---|
| 着席しているあいだ | 足元か、椅子の座面の脇へ置いておきます |
| 焼香に立つとき | 小ぶりであれば、手に提げたまま進みます |
| 大きめのバッグ | 席に残しておき、戻ってから回収します |
| 焼香台 | 上には置かず、手に持ったままにしておきます |
手に提げて進むほうが、結局は静かに済みます。会場によっては焼香を終えた列がそのまま別の扉から出る造りになっていて、元の席へ戻れないことがあり、そうなるとバッグを取りに人の列を逆に歩くことになります。小ぶりなバッグを選んでおく利点は、ここにも出てきます。
床へ下ろすときは、通路側ではなく椅子の足の内側へ寄せておいてください。 通路に少しでもはみ出していると、焼香に立つ方の足が引っかかりますし、 暗い会場では気づかれないまま蹴られてしまうこともあります。
膝の上に置いたままにするのは、座っているあいだであれば差し支えありません。 ただし合掌のときに手が塞がりますので、読経が始まる前に足元へ下ろしておくと、 そのあとの所作でいちいち持ち替えずに済みます。
黒いバッグがない場合
訃報は前触れなく届きますので、通夜が当日の夕方に営まれると知らせを受け、 そのまま支度に入るような場合には、黒のフォーマルバッグを買いに行く時間が取れません。
このときに見ておきたいのは、手元にあるもので条件をどこまで満たせるかです。 光沢がないこと、金具が目立たないこと、小ぶりであることの三つがそろっていれば、 フォーマル用として売られていなくても差し支えありません。
| 手元にあるもの | 対応 |
|---|---|
| 黒いバッグ | 光沢と金具を確かめたうえで、そのまま使えます |
| 濃紺・チャコールグレー | 遠目に黒く見えるなら差し支えありません |
| エナメルの黒 | 光って見えるので、別の手立てにします |
| 明るい色のものだけ | 無理に持たず、袱紗ごと手に持って伺います |
色を無理に近づけるより、持たないほうが目立ちません。明るい色のバッグを黒いスカーフで覆うといった工夫は、動くたびに布がずれますし、覆っていること自体が周りから分かります。袱紗に包んだ香典とハンカチだけを手に持って伺えば、それで支障なく式に加われます。
濃紺やチャコールグレーで迷ったときは、いちど廊下へ出て、離れたところから見てみてください。 室内の明かりの下では色味の違いが分かっても、会場の後方の席から見れば黒に紛れますので、 遠目に黒く見えるかどうかがそのまま判断の目安になります。
この先も弔事は続きますので、余裕のあるときに黒の小ぶりなものを一つ用意しておくと落ち着きます。 布製で金具が小さく、香典とハンカチと数珠が入る大きさのものであれば、 通夜にも告別式にも法事にもそのまま使えます。
バッグに決まった正解が用意されているわけではなく、ふだん使っているものが条件に合っていれば、 それを持って伺えばそれで十分です。 新しく買いそろえたかどうかは会場では分かりませんし、 間に合わなかった日に袱紗だけを手にして伺ったとしても、それで礼を欠くことはありません。
どの場面でも変わらないのは、光るものと動物の柄を外しておくことと、 手に提げたまま焼香に立てる大きさに収めておくことの二つです。 この二つさえ守られていれば、素材や形が細かく違っていても、 式のあいだに手元へ視線が集まることはありません。
よくある質問
葬儀のバッグは何色にしますか?
黒です。光沢のない素材で、小ぶりなハンドバッグが基本です。濃紺やチャコールグレーでも、遠目に黒に見えれば問題になりません。
革のバッグは避けるべきですか?
一般的な黒の革製バッグは問題ありません。避けるのは、ヘビ・ワニなど動物の柄がはっきり分かる型押しと毛皮です。「殺生を連想させるか」が基準になります。
普段使いのバッグを流用してもよいですか?
光沢がなく、金具が目立たず、小ぶりであれば差し支えありません。色より先に金具の目立ち方を確認してください。黒でも金色の金具が大きいものやエナメル素材は華やかに見えます。
男性もバッグを持ちますか?
基本は手ぶらです。香典は袱紗ごとスーツの内ポケットに入れます。仕事帰りなどで荷物がある場合は、光沢のない黒のシンプルなバッグを持ちます。大きな荷物はクロークかコインロッカーに預けます。
返礼品が入りません。紙袋でもよいですか?
紙袋は避けます。音が出ることと、店名や柄が入っていることが多いためです。黒で無地の折りたためるサブバッグやエコバッグを用意しておくと困りません。
焼香のときバッグはどうしますか?
小ぶりなら手に持って進みます。席に置いたままにすると、戻る動線が変わったときに取りに戻ることになるためです。大きい場合は席に残し、戻ってから回収します。焼香台の上には置きません。
まとめ
- 光沢のない黒の小ぶりなハンドバッグを持ちます
- 金具の目立つものは外しておきます
- 革は使えますが、爬虫類の型押しと毛皮は避けます
- 男性は手ぶらで、香典は内ポケットへ入れます
- 返礼品のために黒の無地のサブバッグを用意します
- 紙袋での代用は避けます
- 焼香では小ぶりなものを手に提げて進みます
参考情報
- 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「お葬式(お通夜/告別式)に相応しい服装【迷わないための完全ガイド】」
https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary04/ - イオンのお葬式「葬式の服装マナー【男女・立場別】身だしなみや小物の基本」
https://www.aeonlife.jp/knowledge/manner/manner_fashion - 小さなお葬式「通夜に喪服は失礼って本当?服装のマナー・持ち物について解説」
https://www.osohshiki.jp/column/article/887/ - 全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)「冠婚葬祭1万人アンケート」葬儀に関するアンケート結果(平成27年実施・回答9,762件)
https://www.zengokyo.or.jp/10000resalt/resa3/
本文で引用した全日本冠婚葬祭互助協会「冠婚葬祭1万人アンケート」の葬儀に関する結果は、平成27年に9,762件の回答を得たもので、参列する側の持ち物ではなく、葬儀を行った側が返礼品をいつ渡したかを年代別に集計したものです。避けるもの(毛皮・アニマル柄・光沢・金色)と、その理由は参照した情報源で共通しています。細部で記述が分かれる点は、本文中にその旨を記載しています。
本記事で紹介している目安は一般的なものです。地域・宗派・ご葬家の考え方によって扱いが異なる場合があります。ご判断に迷う場合は、ご親族や葬儀社にご確認ください。