結論
身につけてよいのは結婚指輪と一連のパールまでと考えておけば、まず外れることはありません。 二連や三連は不幸が重なることを思わせる形として避けられていますし、金色の装飾や宝石、揺れるデザインも外します。
そのうえで押さえておきたいのは、何もつけなくても失礼にはあたらないという点です。 パールは弔事に欠かせないものとして語られがちですが、身につけることが求められているわけではありませんので、 持っていないのであればつけずに伺って差し支えありません。
つけてよいもの・避けるもの
| もの | 扱い | 補足 |
|---|---|---|
| 結婚指輪 | そのままはめていて構いません | 石が目立つものは手のひら側へ回します |
| 一連のパールネックレス | 弔事でつけられる数少ないものです | 白・黒・グレーで、鎖骨にかかる長さです |
| パールの一粒イヤリング・ピアス | 揺れない形のものであれば使えます | 下がるデザインは光を拾って目立ちます |
| 二連・三連のネックレス | 重なる形ですので身につけません | 不幸が重なることを思わせるためです |
| 婚約指輪 | 式のあいだは外しておきます | 石が大きく、光を強く返すためです |
| 金色の装飾・宝石 | 華やかに見えますので外します | 留め具まで金色でないものを選びます |
| 腕時計 | 飾りのない文字盤であれば使えます | 金色や石の入ったものは外しておきます |
男性が身につけてよいものは結婚指輪だけと考えておけば、当日の朝に迷うことがありません。ネクタイピンもカフスボタンも身なりを整えるための道具ではなく装飾品にあたりますので、胸元や袖口で光るものは、外して鞄に入れておくほうが落ち着いて見えます。
パールが許される理由
弔事では光を返すものを身につけないという決まりがあるのに、真珠だけは例外として扱われます。 黒いワンピースの襟元へ白い一連を回したところで手が止まり、 これは光っている部類に入るのではないかと、鏡の前で外すかどうかを決めかねます。
判断の分かれ目になっているのは光り方そのものと、真珠に重ねられてきた意味の二つで、 宝石として見るか、悲しみを表す品として見るかで扱いが変わります。 弔事の場で真珠がどちらとして受け止められてきたのかを知っておくと、迷いが残りません。
| 見方 | 受け止められ方 |
|---|---|
| 月のしずく | 悲しみを表すものとして語られてきました |
| 涙の象徴 | 弔事にふさわしいとされてきた由来です |
| 光沢 | 控えめで、金や宝石のようには照り返しません |
| 身につけるかどうか | つけないという選び方も残されています |
弔事にはパールと広く言われていますが、身につけなければならないものではありません。持っていないのであれば無理に買いそろえる必要はなく、何もつけずに伺うほうが、間に合わせで求めたものを首に回すよりも落ち着いて見えます。
訃報が夜に届いて翌日の通夜までに支度を整えることになると、たんすの引き出しを順に開けていくことになりますが、 黒いフォーマルバッグと数珠は前の年のまま残っていても、真珠だけが見当たらないということがよくあります。 買った覚えはあっても、親族に貸したまま戻っていなかったり、喪服とは別の箱へしまい込んでいたりしますので、探しているうちに夜が更けていきます。
そこで慌てて買い足す必要はなく、翌朝に量販店の店頭で急いで選んだ一連を首に回すよりも、襟元に何もない状態のままで伺うほうが、かえってその場になじみます。 弔問に伺った先で首元を確かめられることはありませんので、支度に使える短い時間は、香典袋と数珠をそろえるほうへ回してください。
二連を避ける理由
同じ真珠でありながら、二連や三連のネックレスは弔事では身につけません。 粒が二重に重なっているという形そのものが避けられており、 色や粒の大きさが基準に合っていても、連数だけで扱いが変わります。
理由をたどっていくと、重なることや繰り返すことを嫌うという弔事全体の考え方に行き着きますので、 連数だけを覚えておくよりも、その考え方のほうを押さえておくと迷いが減ります。 これは襟元の装いにかぎった話ではなく、香典の渡し方から挨拶に使う言葉づかいまで、同じ一本の筋でつながっています。
| 場面 | 重なりを避ける形 |
|---|---|
| 二連・三連のネックレス | 不幸が重なることを思わせるため外します |
| 香典を渡す | 二度に分けず、一度でまとめてお渡しします |
| 中袋の扱い | 袋を二重にせず、一枚のままで包みます |
| 言葉づかい | たびたび、かさねがさねは口にしません |
| 結婚式の二連 | 喜びが重なるとして、逆に好まれます |
同じ二連のネックレスが、結婚式では喜びが重なるとして歓迎され、弔事とはまるで逆の意味で受け取られます。場面によって意味が裏返る品ですので、慶事のために求めたものを引き出しから出すときには、色や粒の大きさより先に、連数のほうを確かめておいてください。
手元にあるのが結婚式のときに求めた二連のものだけ、という場面もあり、留め具を外して一連に組み替えられる作りのものも売られていますが、当日の朝に糸を通し直すような手間をかける必要はありません。 直している最中に粒を落とせば、探しているうちに出発の時刻が来てしまいますので、そこは触らずにおくほうが安全です。
そのときは、ネックレスそのものを引き出しに置いていくという選び方で足りますし、それで支度が済まないということもありません。 二連のまま首に回せば、粒が二重に並んでいることは離れた席からでも見て取れますが、何もつけていないほうに目を留める方は、その場にはほとんどいません。
パールの選び方
弔事で使えるのは真珠だと聞いて買いに出ても、店頭には粒の大きさも長さも違うものが並んでいます。 黒い箱に収まった状態ではどれも同じように見えますし、値札の差が何を表しているのかも分かりません。
選ぶときに見られているのは値段ではなく、身につけたときに華やかさが出ていないかという一点だけで、養殖か天然かといった品質の話は弔事の席では問われません。 同じ真珠であっても、連数と長さ、それに粒の大きさによって、鏡に映ったときの見え方はずいぶん変わります。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 連数 | 一連のものだけを選びます |
| 色 | 白・黒・グレーのいずれかにします |
| 長さ | 鎖骨にかかる40cm前後が使いやすくなります |
| 粒の大きさ | 7〜8mm程度で、大きすぎないものにします |
| イヤリング・ピアス | 一粒で、揺れない形のものを選びます |
| 留め具 | 金色でないものを選ぶと目立ちません |
長すぎるネックレスは、胸元まで垂れて華やかに見えるため避けられています。一本だけ持っておくのであれば40cm前後が扱いやすく、この長さなら喪服の詰まった襟元にも収まりますし、法事や弔問のときにもそのまま使えます。
粒の大きさは、店頭の鏡の前で首に当ててみると差がよく分かり、9mmを超えるものは一粒ずつが目に入ってきますし、光を受ける面もそのぶん広くなります。 7mmから8mmのあたりで選んでおけば、黒い喪服の襟元に沈んで見えますので、一本だけ持っておくのであればこの範囲から選んでください。
イヤリングやピアスは、耳たぶに収まる一粒のものにしておくと、頭を下げても形が崩れません。 下がって揺れるものは、焼香のために頭を下げるたびに動いて視線を集めますし、鎖の部分が光を拾いますので、ネックレスの連数と同じくらい見た目が変わります。
指輪の扱い
装飾品を控える場だと聞くと、首元や耳だけでなく、指にはめているものまで外すべきなのだろうかと考えます。 とくに結婚指輪は入浴のときも外さずに毎日つけたままという方が多く、外すという習慣そのものがありませんので、その場で答えが出てきません。
判断が分かれるのはその指輪が何を表しているかという点で、同じ指にはめているものでも、飾りとして選んだものと、立場を示すものとでは扱いがはっきり分かれます。 指輪という一語でまとめて考えているうちは、外すか外さないかの答えが出てきません。
| 指輪 | 扱い |
|---|---|
| 結婚指輪 | はめたままで差し支えありません |
| 石の付いた結婚指輪 | 石を手のひら側へ回しておく方法があります |
| 婚約指輪 | 石が目立ちますので外しておきます |
| ファッションリング | 飾りにあたりますので外しておきます |
結婚指輪は装飾品ではなく、既婚であるという立場を示すものとして扱われています。そのため弔事でも外さずに済みますし、外していることのほうがかえって目に留まることもありますので、そのままはめて伺ってください。
石が並んだ結婚指輪をつけている方は、指輪をくるりと回して石を手のひら側へ持っていくと、甲の側には細い地金だけが残ります。 焼香のときには指先が祭壇のほうを向きますので、そこで石が光を返さないというだけで、周りから見えるものがずいぶん変わります。
指がむくんで抜けなくなっている指輪を、当日の朝になって石鹸を使ってまで外す必要はありません。 石の大きなものであっても、回して手のひら側へ隠すか、膝の上で片方の手を重ねておけばそれで足りますし、外したかどうかを遺族が数えていることもありません。
男性のアクセサリー
男性の場合に迷うところは首元ではなく、ネクタイの結び目から袖口までのあいだに集まります。 仕事で使っているネクタイピンやカフスボタンをそのままつけて出てよいのか、外して鞄へ入れたまま家を出るべきなのかで、玄関先で手が止まります。
分かれ目になるのはそれが身なりを整える道具か、飾りかという見方で、本来の役目を持っているものであっても、光を返す素材でできていれば飾りとして受け止められます。 道具として買ったつもりかどうかは、離れた席に座っている方には伝わりようがありません。
| もの | 扱い |
|---|---|
| 結婚指輪 | 身につけてよいのはこれだけと考えます |
| ネクタイピン | 装飾品にあたりますので外しておきます |
| カフスボタン | 同じく光を返しますので使いません |
| 腕時計 | 黒か銀の落ち着いた文字盤なら差し支えありません |
| 金色の装飾がある時計 | 目立ちますので外して伺います |
ネクタイピンとカフスボタンは、留めるための道具でありながら装飾品として数えられます。とくに金色のものは黒い喪服の上で強く目立ちますので、外したうえで、ネクタイは結び目を締め直しておけば胸元は収まります。
腕時計は、外してしまうと開式までにあとどれくらいあるのか、焼香の順番がどこまで進んだのかを確かめられなくなりますので、無理に外していく必要はありません。 革のベルトに黒い文字盤という組み合わせであれば、袖口からのぞいても差し支えなく、席を立つ時機を見るのにも役立ちます。
気をつけたいのは、金属のベルトが手首の上で駒どうしぶつかり、小さな音を立てる場合です。 焼香に立つときや、椅子の背へ手をかけたときに鳴りますし、読経のあいだの静かな式場では思いのほか響きますので、その一点だけは外しておくほうが落ち着きます。
男性の服装全体を見る何もつけなくてよいか
支度をひととおり終えて玄関の鏡の前に立ったところで、襟元に何もないことが急に気になり始めます。 会場に着いてみたらほかの方が一人残らず真珠をつけていた、という場面を思い浮かべてしまい、その不安が家を出るまで残ります。
ここで思い違いが起きやすいのは、つけてよい範囲が決まっていることと、つけることが求められていることを同じものとして受け取ってしまう点で、この二つはまるで別の話です。 許されている範囲が示されているというだけで、そこを埋めなければならないわけではありません。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| パールを持っていない | 買わずに、つけずに伺って構いません |
| イミテーションしかない | 光沢が強すぎなければ差し支えありません |
| ピアスの穴を隠したい | 外すだけで足り、透明なものも使えます |
| ネイルが落とせない | ベージュで隠すか、黒い手袋で覆います |
| 手袋をしているとき | 焼香の前に外し、鞄へ入れておきます |
粒がイミテーションのものであっても、弔事で身につけて差し支えありません。本物かどうかを確かめられる場ではありませんし、粒の並びが整っていて光沢が強すぎなければ、離れた席から見分けられるようなものでもありませんので、手持ちのもので足ります。
見られているのではないかという不安の裏には、大勢の目が並ぶ会場という思い込みがあります。 冠婚葬祭文化振興財団の冠婚葬祭総合研究所が2025年11月に、全国の40代から70代以上を年齢階層別に各500人、 合わせて2,000人へインターネットで行った第9回葬祭等に関する意識調査では、 家族の葬儀の会葬者数について20人未満と考えている人が64.3%にのぼっていました。
これは実際に集まった人数を数えたものではなく、これから思い描く規模を尋ねた意識調査です。 それでも、顔の知れた身内だけで静かに送るという場を思い描く人が三人に二人という結果ですので、 装いで見劣りしないかを気にするより、席に着いてから静かにしているほうが、その場になじみます。
女性の服装全体を見るアクセサリーの扱いにただひとつの正解があるわけではなく、一連のパールを合わせる方もいれば、 結婚指輪だけで伺う方もいますし、何もつけずに座っている方もいます。 光を返さないことと、重なる形を選ばないことの二つを外していなければ、 どれを選んでも咎められるようなことはありません。
どの式でも変わらないのは、装いは整えるためのものであって、見せるためのものではないという一点です。 迷ったら外すという方向で決めておけば、手元に真珠がなくても支度は済みますし、 焼香の列に並んだときに、自分の首元や指先を気にせずにいられます。
よくある質問
葬儀でアクセサリーはつけてよいですか?
結婚指輪と一連のパールまでです。イヤリング・ピアスも、パールの一粒で揺れないものであれば差し支えありません。金色の装飾、宝石、揺れるデザインは外します。
なぜパールだけは許されるのですか?
パールは「月のしずく」「涙の象徴」と呼ばれ、悲しみを表すものとして弔事にふさわしいと考えられてきました。光沢が控えめであることも理由のひとつです。
二連のパールはなぜ避けるのですか?
重なっていることが「不幸が重なる」を連想させるためです。香典を二度渡さない、重ね言葉を使わないのと同じ考え方です。結婚式では二連が「喜びが重なる」として好まれるため、慶事用のものを持ち込まないよう注意してください。
パールを持っていません。買うべきですか?
買わなくて構いません。アクセサリーはつけてもよい範囲が決まっているだけで、つけることが求められているわけではありません。何もつけずに参列するほうが、間に合わせのものをつけるより自然です。
イミテーションパールでもよいですか?
差し支えありません。本物かどうかを見られる場ではありません。光沢が強すぎないものを選べば十分です。
結婚指輪や婚約指輪はどうしますか?
結婚指輪はそのままで構いません。装飾品ではなく身分を示すものとして扱われるためです。石が目立つ場合は手のひら側に回す方法もあります。婚約指輪は石が目立つため外します。
まとめ
- つけてよいのは結婚指輪と一連のパールまでとします
- 二連・三連は不幸が重なる形として外します
- パールは白・黒・グレーで鎖骨にかかる長さにします
- イヤリング・ピアスは一粒で揺れないものを選びます
- 婚約指輪は式のあいだ外しておきます
- 男性は結婚指輪だけとし、ネクタイピンも使いません
- 何もつけずに伺って差し支えありません
参考情報
- 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「お葬式(お通夜/告別式)に相応しい服装【迷わないための完全ガイド】」
https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary04/ - イオンのお葬式「葬式の服装マナー【男女・立場別】身だしなみや小物の基本」
https://www.aeonlife.jp/knowledge/manner/manner_fashion - 小さなお葬式「通夜に喪服は失礼って本当?服装のマナー・持ち物について解説」
https://www.osohshiki.jp/column/article/887/ - 冠婚葬祭文化振興財団 冠婚葬祭総合研究所「第9回 葬祭等に関する意識調査」(2025年)
https://www.ceremony-ri.jp/study-result/archive/9th_sousai_report/
本文で引用した冠婚葬祭総合研究所の調査は、2025年11月に全国の40代〜70代以上の男女2,000人へインターネットで行われたもので、実際の会葬者数を数えたものではなく、これから思い描く規模を尋ねた意識調査です。避けるもの(毛皮・アニマル柄・光沢・金色)と、その理由は参照した情報源で共通しています。細部で記述が分かれる点は、本文中にその旨を記載しています。
本記事で紹介している目安は一般的なものです。地域・宗派・ご葬家の考え方によって扱いが異なる場合があります。ご判断に迷う場合は、ご親族や葬儀社にご確認ください。