結論

必要なのは香典・袱紗・数珠・ハンカチ・バッグの5つで、 このうち数珠は必須ではありませんので、 持っていなければ焼香の場で手を合わせるだけにしておけば差し支えありません。

急な参列で時間が取れない場合に優先するのは 香典と黒のネクタイ(女性は黒のストッキング)の二つで、 この二つはコンビニや駅の売店で手に入ることがあります。

必ず要るもの

訃報は前触れなく届きますので、 喪服を出したところで手が止まり、あとは何を持てばよいのかで考え込むことになります。 玄関で靴を履きながら、香典袋は入れたか、袱紗はどこにしまったかと かばんの中を探る時間は、あまり落ち着けるものではありません。

分かれ目になるのは会場に着いてからでも間に合うかどうかで、 式場の近くに文具店があるとは限りませんし、 いったん式が始まってしまえば席を立って買いに出ることもできませんので、 その場で調達できないものから先に手元へ集めておきます。

もの要点
香典金額は関係と年代で決まり、袱紗に包んで持参します
袱紗紫・紺・グレーなど、寒色の無地を選んでおきます
ハンカチ白か黒の無地にし、柄物やタオル地は避けます
バッグ(女性)光沢のない黒の、小ぶりなハンドバッグにします
数珠仏式の焼香で使いますが、無くても差し支えありません

香典は、袋のまま裸で持ち歩かないのが基本とされています。かばんの中で角が折れたり、上着の内ポケットで曲がったりしますし、受付で財布から抜き出すような形にもなります。袱紗が手元になければ、黒や紺の無地のハンカチで包んでおけば同じ役割を果たします。

当日いちばん慌てるのは香典袋そのものではなく、それを包むもののほうで、 袱紗は年に何度も使うものではありませんので、 前に使ったあと引き出しのどこへ戻したかを思い出せないまま、 家を出る時間が近づいてくることになります。

見つからないときは探し続けずに、 黒や紺の無地のハンカチを一枚持って出てください。 受付で袱紗から出す動作と、たたんだハンカチから出す動作は、 見た目のうえでもほとんど変わりませんし、直接手渡すよりはずっと収まります。

あると助かるもの

必須ではないものの、無いと当日になってから困るものがいくつかあります。 会場に着いてから「持ってくればよかった」と気づく類のもので、 そのほとんどは前日の夜にかばんへ入れておけば済んだはずのものです。

多いのは受け取るものへの備えで、 葬儀では会葬御礼や返礼品が渡されますので、 手ぶらのつもりで出かけると、帰りに紙袋を提げて電車に乗ることになります。

もの場面
数珠仏式の焼香で使います。無くても差し支えありません
替えのストッキング伝線したときのために、一足入れておきます
黒のサブバッグ返礼品を持ち帰るときに、手元が助かります
薄墨の筆ペン香典袋を会場で書くことになった場合に使います
エコバッグ(黒)同じ用途です。ロゴの入っていないものを選びます
履き替え用の靴雪や雨の日は、会場で履き替えると足元が整います

返礼品はその場で渡されることが多く、受け取ってみると思ったよりかさばります。お茶や海苔の詰め合わせ、菓子折りなどが会葬御礼と一緒に手渡されますので、小ぶりなハンドバッグしか持っていないと、そのまま抱えて帰ることになります。黒のサブバッグを一枚たたんで入れておけば困りません。

薄墨の筆ペンは、自宅で香典袋を書き終えているのであれば要りません。 困るのは職場から喪服に着替えずそのまま向かう場合で、 会場の受付脇に置かれた筆が濃い墨だったり、そもそも見当たらなかったりしますので、 通勤かばんに一本入れておくと、その場で書き足せます。

女性のストッキングは、電車の座席や式場の椅子の角で伝線することがあります。 式の途中で気づいても履き替える場所を探すことになりますので、 封を切っていない一足をバッグの内ポケットに入れておくと、 焼香の列に並ぶ前に直せます。

持って行かないほうがよいもの

ふだんは何の問題もないものが、 葬儀の場では持ち込まないほうがよいものに変わります。 通勤に使っているエナメルのバッグや、いつもつけている金色の腕時計は、 その代表にあたります。

基準になるのは殺生を連想させないかと、 場の静けさを乱さないかの二つで、 素材と音の2点で見ていけば、細かい決まりを覚えていなくても外しません。

もの理由
毛皮・アニマル柄殺生を連想させるため、身につけません
光沢のあるバッグ・靴エナメルなどは、華やかに見えてしまいます
金色の装飾・宝石腕時計の金色も、袖で隠すか外しておきます
ブランドロゴの目立つもの場にそぐわないので、別のものに替えます
大きな紙袋音が出ますし、席で置き場所にも困ります
香水線香の香りを妨げるので、当日はつけません

スマートフォンは、会場に入る前に電源を切るかマナーモードにしておきます。式の最中に鳴る着信音は、その場でもっとも目立つ失礼のひとつになりますし、振動音も静かな式場ではよく響きますので、内ポケットではなくバッグの中に入れておくほうが確実です。

うっかりしやすいのが紙袋の音で、 焼香で立ち上がるたびに足元の袋が鳴りますし、 椅子の下に押し込もうとして前の席の方の背にあたることもあります。 持ち帰る荷物があるなら、布のサブバッグに移してから席に着きます。

装飾品については、外すかどうかで迷ったら外しておくほうが早く片づきます。 結婚指輪と、一連の真珠までは差し支えないとされていますので、 それ以外の指輪やネックレスは、家を出る前に外して置いていけば当日考えずに済みます。

急な参列のとき

訃報が届いてから通夜まで、半日も残されていないということがあります。 仕事を抜けてそのまま向かうことになれば、 喪服も香典袋も手元にないまま、駅の改札を出て店を探すところから始まります。

そこで必要になるのは何から先にそろえるかという順番で、 すべてを完璧にそろえる時間はありませんので、 その場で調達できて、かつ無いと目立つものから順に手に入れていきます。

優先もの
1香典(袋と薄墨のペン)。コンビニか文具店でそろいます
2黒のネクタイ、女性なら黒のストッキングを買い足します
3黒の靴下。同じくコンビニや駅の売店で手に入ります
4白または黒の無地のハンカチを一枚そろえます
5袱紗。無ければ黒や紺のハンカチで代用します

数珠だけは、いちばん後回しにして構いません。間に合わせで買った数珠を握って焼香するより、手を合わせるだけにしておくほうがその場では自然に収まりますし、数珠がないことを咎められることもありません。まずは香典と、足元と首元の黒を整えることに手を使ってください。

準備をしていないまま当日を迎えるのは、参列する側だけではありません。 株式会社鎌倉新書が2026年2月27日から3月3日にかけて、 直近2年以内に喪主を経験した2,000人へ尋ねたインターネット調査では、 葬儀の事前準備について「準備していなかった」が63.8%と最も多く、 困ったことの2位には「葬儀の知識やマナーがわからない」が259件挙がりました。

喪主を務めた方の6割以上が何も備えないまま当日を迎えているのですから、 参列する側がそろっていないまま向かうことも珍しくありません。 足りないものがあっても、遅れて着くより間に合わせて伺うほうが、 迎える側にとってはありがたい形になります。

急な通夜への参列で整えることを見る

男性は手ぶらでよいか

男性の参列では、そもそもかばんを持って行くのかどうかから迷います。 女性は黒のハンドバッグという形が決まっていますが、 男性は式場で荷物を持っている方と手ぶらの方が半々に見えるためです。

判断の軸は内ポケットに収まるかどうかで、 香典と袱紗、ハンカチ程度であれば上着の内側に入りますので、 そのぶんの荷物しかないのであれば手ぶらで差し支えありません。

状況持ち方
荷物が香典だけ袱紗ごと、スーツの内ポケットに入れて持参します
荷物がある光沢のない黒の、装飾のないバッグを選びます
ビジネスバッグしかない黒で装飾が無ければ、そのままでも差し支えありません
式場での置き場所足元か、椅子の下に置いておきます
返礼品を受け取った紙袋のまま提げず、手に持って静かに移動します

手ぶらで伺うことそのものが、失礼になるわけではありません。むしろ焼香で立ったり座ったりを繰り返す場ですので、荷物は少ないほうが所作が落ち着きます。仕事帰りでどうしても荷物がある場合は、受付で預かってもらえるかを先に尋ねてください。

仕事帰りでいちばん困るのは、書類の入った大きなかばんです。 椅子の下に入りきらず、通路にはみ出したまま焼香の順番を待つことになりますので、 会場のクロークや受付で預かってもらえるかを、 着いてすぐに尋ねておくと席で気を遣わずに済みます。

内ポケットに香典を入れるときは、上着の左側にしておきます。 受付で右手を添えて取り出す動きが自然になりますし、 袱紗ごと入れておけば袋の角が折れませんので、 そのまま両手で差し出す形に移れます。

子どもの持ち物

子どもを連れて参列するとなると、大人の支度に加えて考えることが増えます。 数珠を持たせるべきなのか、退屈したときのために何か持たせてよいのか、 判断のつかないまま出かけることになりがちです。

前提として、子どもに特別な持ち物は要りません。 数珠も不要ですし、持たせるとしても子ども用の小さめのもので足りますので、 考えるべきなのは持ち物より静かに過ごせるかどうかのほうになります。

もの・場面扱い
数珠不要です。持たせるなら子ども用の小さめのものにします
おもちゃ・絵本音の出ないものを一つだけ、かばんに入れておきます
お菓子包装で音の出ないものを選んでおきます
座る場所出入りしやすい、通路側や後方の席に座ります
途中で泣き出した無理に留まらず、いったん外へ出て落ち着かせます

退席する可能性を先に見込んで席を選んでください。子どもが泣き出してから通路まで移動しようとすると、参列している方の前を横切ることになります。はじめから出入りしやすい席に座っておけば、静かに立って外へ出られます。

音の出るおもちゃは、袋に入れていても振動で鳴ることがあります。 布の絵本や、音の出ないぬいぐるみのように、 落としても音の立たないものにしておくと、 式の最中に子どもの手から離れても場が乱れません。

飲み物やお菓子は、包装の音のほうが問題になります。 ビニールの袋を開ける音は静かな式場でよく響きますので、 あらかじめ小さな容器に移しておくか、 式の合間の移動時間に渡す形にしておくと落ち着きます。

子どもの服装を見る

持ち物に唯一の正解があるわけではなく、 その場で買えるものかどうかと、無いと目立つものかどうかの二つを見て、 手元にあるもので間に合わせれば十分です。 袱紗が見つからなければ黒や紺のハンカチで包めばよく、 数珠が無ければ手を合わせるだけにしておけば、それで焼香の形になります。

どの葬儀でも変わらないのは、香典を裸で持ち歩かないことと、 音の出るものを持ち込まないことの二つだけで、 これさえ守っていれば、細かい持ち物を思い出せなくても失礼にはなりません。 そろえることに時間をかけて遅れるより、間に合わせて伺うほうが遺族には届きます。

よくある質問

葬儀に必要な持ち物は何ですか?

香典・袱紗・数珠・ハンカチ・バッグの5つです。このうち数珠は必須ではありません。ハンカチは白か黒の無地にし、女性のバッグは光沢のない黒で小ぶりなものを選んでください。

数珠を持っていません。参列できませんか?

差し支えありません。数珠が無くても参列できますし、焼香では手を合わせるだけで構いません。間に合わせで買って握るより、そのほうがかえって落ち着いた所作になります。

ハンカチは何色にしますか?

白か黒の無地です。柄物やタオル地は避けてください。袱紗が見つからない場合は、黒や紺の無地のハンカチで香典袋を包めば、袱紗と同じ役割を果たします。

急な参列で何もそろっていません。何を優先しますか?

香典と、黒のネクタイまたは黒のストッキングです。この二つはコンビニや駅の売店で手に入ることがあります。次に黒の靴下、白か黒のハンカチ、袱紗の順にそろえてください。

袱紗がない場合はどうしますか?

黒や紺の無地のハンカチで包んでください。香典を裸で持ち歩かないことが基本ですので、包むものが袱紗である必要はありません。受付で取り出す動作もほとんど変わりません。

返礼品を持ち帰る袋は必要ですか?

黒のサブバッグを一枚たたんで入れておくと困りません。返礼品はその場で渡されることが多く、思ったよりかさばります。エコバッグを使う場合は、ロゴの入っていない黒のものを選んでください。

まとめ

  • 持ち物は香典・袱紗・数珠・ハンカチ・バッグの5つで足ります
  • 数珠が無くても参列できます
  • 香典は袱紗か、黒や紺のハンカチで包みます
  • ハンカチは白か黒の無地にします
  • 毛皮・光沢・金色・香水は避けます
  • スマートフォンは電源を切るかマナーモードにします
  • 急ぐときは香典と黒のネクタイを先にそろえます

参考情報

  1. 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「お葬式(お通夜/告別式)に相応しい服装【迷わないための完全ガイド】」
    https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary04/
  2. イオンのお葬式「葬式の服装マナー【男女・立場別】身だしなみや小物の基本」
    https://www.aeonlife.jp/knowledge/manner/manner_fashion
  3. 小さなお葬式「通夜に喪服は失礼って本当?服装のマナー・持ち物について解説」
    https://www.osohshiki.jp/column/article/887/
  4. 株式会社鎌倉新書「第7回お葬式に関する全国調査」(2026年2月27日〜3月3日実施・インターネット調査・喪主経験者2,000人)
    https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/12326/

鎌倉新書の調査は葬儀の相談サイトを運営する事業者による自社調査で、対象はネットモニターの喪主経験者に限られており、実数の統計ではありません。避けるもの(毛皮・アニマル柄・光沢・金色)と、その理由は参照した情報源で共通しています。細部で記述が分かれる点は、本文中にその旨を記載しています。

本記事で紹介している目安は一般的なものです。地域・宗派・ご葬家の考え方によって扱いが異なる場合があります。ご判断に迷う場合は、ご親族や葬儀社にご確認ください。