結論

供花は通夜の開始までに届けるのが基本で、 祭壇の飾りつけは通夜が始まる前に済ませてしまいますから、 その時刻までに届いていないものは、そもそも飾れません。

間に合わないと分かった時点で、そこから無理に送ろうとはしないでください。 葬儀が終わったあとの会場に届いても飾る場所が残っていませんので、 後日の弔問のときに持参するほうが、はるかに確実に気持ちが届きます。

時点対応
訃報を受けた直後すぐ確認して、その日のうちに手配します
通夜の当日午前まで間に合います。ここまでに届けます
通夜の直前飾りつけが終わっていることがあります
通夜のあと葬儀に間に合えば可ですが、要確認になります
葬儀のあと送りません。弔問のときに持参します

供花というのは、祭壇に並べられてはじめて意味を持つことになるものです。式がすべて終わってから届いても、置き場所を探すところから始まりますし、持ち帰る手間まで遺族が引き受けることになってしまいます。届く時刻まで指定できるようになっているのですから、その一手間を惜しまないでください。

基本は通夜まで

訃報を受け取った夜に、供花を出すべきかどうかを考え始める方は多いはずです。 香典だけで足りるのか、それとも花も出すべきなのかを迷っているうちに一日が過ぎ、 気づいたときには通夜の当日になっていた、という順序で慌てることになります。

押さえておきたいのは祭壇の飾りつけが通夜の前に行われるという一点で、 供花はその作業のなかで祭壇の両脇に並べられていきますから、 飾りつけが始まる時刻までに届いていないものは、その日の式には並びません。

届く時刻扱い
通夜の当日午前まで理想的です。落ち着いて並べてもらえます
通夜の開始まで間に合います。ここが実質の締切になります
通夜の直前飾りつけが終わっていて、並べ直しになります
通夜のあと葬儀に間に合うかどうかを、先に確認します

供花には、故人に近い方のものから祭壇のそばに並べていくという順序があります。故人との関係が近い方のものほど祭壇の近くに置かれますので、遺族の側では誰からのものかを見ながら順番を決める作業が入りますし、式の直前に届いてしまえば、その並べ替えを一からやり直させることになります。

葬儀の場で花がどれだけ使われているのかは、需要額の推計のほうからも分かります。 農林水産省が令和7年10月にまとめた「花きの現状について」によれば、 令和5年の花きの業務用需要推計2,491億円のうち、 葬儀用が1,727億円を占めていました。

これは意識を尋ねた調査ではなく、経済産業省の統計をもとにした需要額の推計です。 婚礼用が372億円、稽古用が392億円ですから、 業務用の花のおよそ7割が葬儀の場で使われていることになり、 式場の側にとっても、供花の受け入れは日々の仕事の一部だと分かります。

訃報を受けてからの手順

供花というのは、思い立ったその場ですぐに手配できるようなものではありません。 通信販売の花のように住所さえ分かれば送れるというわけではなく、 先に確かめておかなければならないことがいくつも残っています。

とくに大切なのは辞退されていないかどうかを先に確かめることで、 手配してから断られてしまうと、注文を取り消す手間と断りを入れる気まずさが、 こちらと遺族の双方に残ってしまいます。

順すること
1訃報の案内に辞退の記載がないかを確かめます
2遺族か葬儀社に、送ってよいかを確認します
3親族であれば、まとめるかどうかを相談します
4葬儀社に依頼し、金額と種類を選びます
5名札にどう表記するかを伝えます
6通夜までに届くよう、日時を指定します

この6つの手順のなかでは、1と2にあたる確認だけは決して飛ばさないでください。辞退されているところへ手配してしまうと、遺族の側から断りの連絡を入れることになり、支度で手一杯の時期に余計な仕事を増やします。確認そのものは電話一本で済んでしまいますので、この順序だけは入れ替えないでください。

親族としてまとめて出す場合は、先に誰が取りまとめるのかを決めておきます。 同じ家から何基も並ぶと祭壇の脇が埋まってしまいますし、 名札の並び順をどうするかという相談まで遺族に持ち込むことになりますので、 きょうだいやいとこのあいだで一度話を通してから頼んでください。

名札の表記については、口頭で伝えるだけでなく文字でも残しておくほうが確実です。 会社名や部署名が入る場合はとくに間違いが起こりやすく、 読み上げられるわけではないぶん、書き間違いは式のあいだ残り続けますので、 注文の控えを受け取った時点で、表記を一度確かめてください。

葬儀後の弔問を見る(時期・持ち物)

急ぐときの頼み方

訃報を受けてから通夜まで1日しかないということは、実際にはよく起こります。 日中は仕事があって花屋に立ち寄る時間もなく、 インターネットで注文しようにも、どの店なら当日届くのかが分かりません。

いちばん早いのは葬儀社に直接依頼してしまうことで、 式場に納める花を用意している当事者ですから、 日時の指定も並び順の調整も、その場でまとめて引き受けてもらえます。

伝えること例
誰の葬儀か「〇〇家の〇〇様の葬儀の件で」と切り出します
自分と故人の関係「〇〇様の勤務先の者です」と名乗ります
供花を出したい旨「供花をお願いできますか」と尋ねます
予算「1万円程度で」と幅を示して伝えます
名札の表記「〇〇株式会社 営業部一同」と正確に伝えます

葬儀社の連絡先は、たいていの場合、訃報の案内のなかに書き添えられています。書かれていない場合でも、斎場の名称さえ分かっていればすぐに調べがつきますので、この5つを手元に控えてから電話をかければ、やり取りは数分で終わりますので、通勤の途中でも済ませられます。

予算については、金額を言い切るより幅を示して相談するほうが話が早く進みます。 式場によって用意できる大きさや花の種類が違いますので、 「1万円程度で」と伝えれば、その範囲で並べられるものを提案してもらえます。 並べる花の種類そのものまで、こちらの側で決めきってしまう必要はありません。

葬儀社に電話をかける時間帯についても、少しだけ気を配っておいてください。 通夜の直前と葬儀の最中は式場の側がいちばん動いているところですから、 その時間を外して、午前のうちにかけておくほうが落ち着いて話を進められます。 折り返しの電話を待っている余裕はない、という前提のもとで動いてください。

間に合わない場合

出張先で訃報を知った、連絡が回ってくるのが遅れた、 あるいは辞退の確認をしているうちに時間が過ぎてしまった。 どれも珍しいことではなく、そのまま葬儀の日を迎えてしまうことがあります。

間に合わないと分かった時点で、迷わず別の形のほうへ切り替えてしまってください。 無理に届けようとすると式の最中に搬入されることにもなりますので、 かえって遺族と式場の双方に手間をかける結果になります。

切り替え先内容
弔問時に持参自宅の後飾りに供える花を持っていきます
自宅へ送る遺族に確認のうえ、手入れの負担に配慮します
お供え(品物)に替える線香や菓子なら、手間がかかりません
四十九日に贈る法要の日に合わせて手配し直します

葬儀を終えた直後の自宅には、すでに何束もの花が集まっていることがあります。そこへ大きなアレンジメントが届けば、置き場所を作るところから始まり、毎日の水替えまで遺族の仕事として残りますので、持参するにしても送るにしても、小ぶりのものを選んでおくほうが確実に喜ばれます。

花ではなく品物のお供えに替えるという選択も、実際にはよく取られています。 線香や日持ちのする菓子であれば水替えも置き場所も要りませんし、 四十九日までのあいだに使い切ってもらえるものになりますので、 花を送ることにこだわらないほうが、相手の手はふさぎません。

自宅へ送るという形を取る場合は、必ず先に遺族へ確認を入れておいてください。 葬儀を終えた直後の家は、来客と手続きで一日が埋まっていることが多く、 不在のあいだに生花が届けば、それだけで傷んでしまいますので、 届く日と時間帯まで相談してから手配するほうが確実です。

後飾りに贈る場合

葬儀を終えたあと、遺骨はいったん自宅に置かれた仮の祭壇のほうへ安置されます。 これを後飾りと呼び、四十九日までのあいだはそこに置かれたままになりますので、 この期間であれば、花を供えるという形がそのまま生きてきます。

式場に飾るものとは大きさも形もまるで違うという点だけ気をつけてください。 後飾りは畳一枚に満たない場所に組まれることが多く、 スタンドの花はそもそも置けませんので、卓に載る大きさを選ぶことになります。

項目目安
大きさ小ぶりのアレンジメントにします。スタンドは置けません
形花器の要らない、そのまま置けるものを選びます
色白を基調に、淡い色を添える程度にとどめます
金額3千〜5千円をみておきます
避けるものとげのある花、においの強い花、鉢植えは選びません

鉢植えを避けるのは、「根がつく」ことが「不幸が根づく」に通じるとされてきたためです。手入れの手間という点から見ても、鉢植えは水やりがそのあとも続いていってしまいますが、切り花のアレンジメントであれば、そのまま置いて、傷んだところで片づけられますので、後飾りにはこちらが向きます。

においの強い花を避けるのは、供えた線香の香りと混ざってしまうためです。 後飾りの前では毎日線香を上げますし、部屋そのものが締め切られていることも多く、 百合のように香りの立つ花は、その場では強く感じられますので、 花屋に頼むときには、香りの穏やかなものを選んでもらうよう伝えておいてください。

色については白を基調にしておけば、どの宗派に対しても差し支えありません。 淡い紫や薄い青を少し添える程度であれば落ち着いて見えますが、 赤や濃い黄色が入ると、後飾りの前では浮いて見えますので、 花屋におまかせで頼む場合も、白を中心にしてほしいと一言添えておくほうが確実です。

法要に贈る場合

葬儀に間に合わなかったときの切り替え先として、法要はいちばん自然な形になります。 四十九日や一周忌には日取りがあらかじめ決まっていますので、 手配する時間にも余裕がありますし、届く日を外す心配もありません。

ただしこの場合であっても、事前の確認という手順だけは省かないでください。 法要を身内だけで営むと決めている家では、 葬儀のときと同じように、供花を辞退されることがあります。

確認すること内容
供花を受けるかどうか身内だけで営む場合は辞退されることがあります
会場自宅か寺院か会館かで、大きさが変わります
届ける日法要の前日までに届くよう指定します
名札葬儀のときと同じ表記でそろえておきます

法要の会場がどこになるかによって、選ぶべき大きさのほうが変わってきます。寺院の本堂であればある程度の大きさが置けますが、自宅で営む場合は後飾りと同じく卓に載る形にとどめます。手配に入る前に、どこで営まれることになるのかを一度確かめておいてください。

届ける日については、法要の前日までを指定しておくほうが確実に収まります。 当日の朝に届くと、遺族は支度をしながら受け取ることになりますし、 会場が寺院であれば、そもそも前日までに搬入を済ませておく必要がありますので、 指定する日にちには、一日だけでも余裕を持たせておいてください。

名札の表記については、葬儀のときと同じ形にそろえたまま出しておきます。 同じ差出人から違う書き方で二度届くと、遺族は別人からのものとして扱いますし、 礼状を出す段になって、名簿が二重になってしまいますので、 前に出したときの控えを手元に置いたまま頼むほうが、書き方の食い違いを防げます。 同じ会社から複数の名義で出す場合は、その並び順まで先にそろえておいてください。

供花に唯一の正解があるわけではなく、 訃報を受け取った時点で通夜まで何時間残っているのか、 辞退の記載があるかどうかという二つを見て、 そのとき間に合う形を選べばそれで足ります。 当日の午前までに手配できるのであれば式場へ届ければよく、 間に合わないと分かったのであれば、弔問のときに持参するほうが確実に届きます。

どの場合でも変わらないのは、送ってよいかを先に確かめることの一点だけで、 これさえ守っていれば、金額や花の種類を思い出せなくても失礼にはなりません。 遺族の手をこちらの都合で止めないことが、この場面ではいちばんの気遣いになります。

よくある質問

供花はいつまでに届ければよいですか?

通夜の開始までです。祭壇の飾りつけは通夜の前に行われるため、それまでに届いていないと飾れません。理想は通夜の当日午前中までです。

直前に届くと何が問題ですか?

供花は故人との関係が近い順に並べられます。直前に届くと、この並べ替えをやり直すことになります。早めの手配が、そのまま配慮になります。

急いで手配したい場合はどうしますか?

葬儀社に直接依頼するのがもっとも早い方法です。誰の葬儀か、自分と故人の関係、予算、名札の表記を伝えます。葬儀社の連絡先は訃報の案内に書かれていることがほとんどです。

葬儀に間に合わない場合はどうしますか?

無理に送りません。式が終わった会場に届いても飾る場所がありません。後日の弔問時に小ぶりの花を持参する、線香や菓子などのお供えに替える、四十九日の法要に合わせるといった方法があります。

自宅に花を送ってもよいですか?

遺族に確認してからにします。葬儀直後の自宅にはすでに花が集まっていることがあり、大きなアレンジメントは置き場所と水替えの負担になります。送る場合は小ぶりのものにします。

鉢植えを贈ってもよいですか?

避けます。「根がつく=不幸が根づく」とされるためです。切り花のアレンジメントを選びます。とげのある花、においの強い花も避けます。

まとめ

  • 通夜の開始までに届くよう手配します
  • 理想は通夜当日の午前中までに届けます
  • 直前だと並べ替えをやり直させてしまいます
  • 急ぐときは葬儀社に直接依頼します
  • 間に合わないなら無理には送りません
  • 弔問時の持参やお供えに切り替えます
  • 後飾りには小ぶりのものを選びます
  • 鉢植えは避け、切り花にします

参考情報

  1. 小さなお葬式「供花の送り方|相場・手配方法・宗教ごとの種類・名札の書き方などを解説」
    https://www.osohshiki.jp/column/article/150/
  2. 全国儀式サービス「お葬式における供花の送り方-手順や注意点、花の種類や相場、芳名札の記載について」
    https://www.gishiki.co.jp/columns/537
  3. さがみ典礼「【供花・供物の送り方】費用相場や手配方法、マナーや注意点を解説」
    https://alphaclub-sagami.com/knowledge/column/manners/kyoka_kumotsu.html
  4. 農林水産省「花きの現状について」(令和7年10月・経済産業省「2020年経済構造実態調査(乙調査)」等を基にした推計)
    https://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/attach/pdf/index-121.pdf

農林水産省が示している葬儀用の需要額は、経済産業省の統計を基にした推計であり、供花を出した人の割合や一基あたりの金額を測ったものではありません。通夜の開始までに届けること、間に合わない場合は葬儀の前日までに手配することは、参照した情報源で共通しています。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・宗派・葬儀社によって扱いが異なる場合があります。手配の前に、必ず遺族または葬儀社にご確認ください。