結論
両方贈るのが一般的だという説明はよく見かけますが、 どちらか一方でも失礼にはなりませんので、 供花と香典のどちらを選ぶかで長く迷う必要はありません。
分け方としては参列するなら香典、 参列できないなら供花か弔電と決めておくと迷いませんし、 会社としての弔意であれば供花と弔電の組み合わせが多く用いられます。
| 立場 | どうするか |
|---|---|
| 参列する(個人) | 受付で香典を渡し、供花は任意にとどめます |
| 参列できない(個人) | 香典は郵送でき、弔電を添えると形が整います |
| 親族(遠方) | 香典を郵送し、供花は一同でまとめて出します |
| 会社として | 供花と弔電を出し、香典は社内規定に従います |
| 香典辞退の家 | 香典は包まず、供花は確認のうえ判断します |
「両方贈らないと失礼」ということはありません。供花と香典のどちらを選ぶにしても、判断の基準になるのは金額の大きさではなく、故人や遺族との関係の深さに見合っているかどうかです。
2つの考え方
訃報を受けてから調べ始めると、供花と香典は両方贈るものだと書いてある案内と、 どちらか一方で足りると書いてある案内が同時に出てきますので、 読んだ順番によって結論が入れ替わってしまいます。 葬儀社の案内どうしでも書き方が違うため、どれを信じるかから迷うことになります。
説明が分かれるのは供花と香典を別の目的のものと見るかどうかで、 この一点だけで結論が変わりますし、 どちらが正しいと決まっているわけでもありませんので、 両方の見方を並べたうえで、自分の立場に近いほうを取れば十分です。
| 立場 | その立場の考え方 |
|---|---|
| 両方贈るとする立場 | 香典は葬儀費用の助け合い、供花は弔意の表現で目的が違うと見ます |
| 一方でよいとする立場 | どちらも故人を偲ぶ点で同じなので、重ねる必要はないと見ます |
本サイトではどちらか一方でも失礼にならないという立場を取っています。遺族の側から見ると、供花も香典も受け取ったあとに返礼を用意する対象であることに変わりがなく、重ねて贈られたぶんだけ、名簿を作り直したり返礼の額を考え直したりする手間が増えるためです。
この見方は、葬儀そのものの規模が小さくなっていることとも結び付いています。 株式会社鎌倉新書が2024年3月1日から4日にかけて行った 「第6回お葬式に関する全国調査」では、 喪主または喪主に準ずる立場を経験した全国40歳以上の男女2,000件の有効回答のうち、 家族葬が50.0パーセントと半数を占めています。
同じ調査で一般葬は30.1パーセント、一日葬は10.2パーセント、直葬・火葬式は9.6パーセントで、 参列者を親族と近しい人だけに絞る形が主流になっていますので、 贈る側が良かれと思って重ねるほど、受け取る側の手数が目立つことになります。 作法の是非をたずねた意識調査ではなく、実際に行われた葬儀の集計です。
実際的な分け方
考え方を並べただけでは、目の前の一件をどうするかは決まりません。 通夜の会場と時間だけが書かれた連絡を受け取って、 仕事の都合がつくかどうかもその日のうちには分からないという状態で、 花を手配するか、袋を用意するかを決める必要があります。
このとき軸に置くと決まりやすいのが参列できるかどうかで、 その場に行けるのであれば受付で直接渡せますし、 行けないのであれば自分の代わりに何かを届ける形を取ることになりますから、 できることの範囲がはっきり分かれます。
| 状況 | 選ぶもの | なぜそれで足りるか |
|---|---|---|
| 参列する | 香典を渡します | 受付で直接渡せるので、もっとも一般的な形です |
| 参列できない | 供花か弔電を送ります | その場にいなくても弔意を届けられます |
| 遠方の親族 | 香典を郵送し、供花は一同で出します | 親族として名前を並べる意味があります |
| 面識が薄い | 弔電だけにとどめます | 返礼の負担がもっとも軽く済みます |
迷ったときは、返礼の手間がいちばん軽い形を選べば外れません。香典には香典返し、供花には礼状という形で、いずれも遺族側の作業が伴いますが、弔電にはそれがありませんので、関係が浅いほど弔電に寄せるほうが相手の負担になりません。
判断がつきにくいのは、参列できるかどうかが直前まで分からない場合で、 たとえば通夜が平日の夕方に決まり、当日の会議が延びる可能性があるといった状況です。 このときは香典を用意しておき、行けなくなったら郵送に切り替えるほうが、 花を手配して当日に間に合わないよりも収まりがよくなります。
供花は祭壇に並べるものですから、通夜の開始時刻より前に会場へ届いている必要があり、 手配の締め切りは香典よりずっと早くなります。 迷っている時間が長くなりそうであれば、その時点で供花は選択肢から外して差し支えありません。
両方贈る場合
故人が自分の育った家の近しい親族であったり、 長く世話になった相手であったりすると、 香典だけでは足りない気がして花も出しておきたいという気持ちになりますし、 実際、親族や親しかった人が両方を出すのは自然な形です。
両方贈ると決めたときに迷うのは香典の額を下げてよいかという点で、 合計の負担が大きくなるぶん、花を出した分だけ袋を薄くしようと考えがちですが、 この二つはそもそも額の決まり方が違うため、差し引きの対象になりません。
| 迷いどころ | どう考えるか |
|---|---|
| 供花を出したら香典は減らす? | 減らしません。香典は関係と年代で決まるためです |
| 合計が大きくなるとき | どちらか一方にとどめて差し支えありません |
| 一方だけでは足りない気がする | 一方だけでも失礼にはあたりませんので気にしません |
| 親族として出すとき | 個人で重ねず、一同としてまとめる形もあります |
「供花を出したから香典は少なめに」という調整はしません。香典は故人との関係と自分の年代で決まるものですから、花を出したかどうかで動かすと、あとから同じ立場の親族と額が合わなくなります。負担が重いと感じるなら、額を削るのではなく、どちらか一方に絞るほうが筋が通ります。
両方を出すときに実際に効いてくるのは、名前の出し方をそろえておくことです。 供花の名札を「〇〇家一同」とし、香典を個人名で出すと、 祭壇の札と芳名帳の名前が結び付かないことがありますので、 どちらの名前で通すかを先に決めておくと、遺族が名簿を作るときに迷いません。
きょうだいやいとこが何人もいる場合には、 それぞれが個別に花を出すよりも、 一同としてまとめて1基か2基にするほうが祭壇の収まりもよくなりますし、 一人あたりの負担も軽くなりますので、先に相談しておくのが実際的です。
会社としての対応
取引先の社長や、社員の身内に不幸があったという連絡が総務に入ると、 会社として何を出すかを短い時間で決めることになります。 個人であれば自分の気持ちで決められますが、会社として出すものは 前例と規程に沿っているかどうかを先に確かめる必要があります。
会社の弔意で供花と弔電が使われやすいのは、 どちらも差出人として社名がそのまま出る形式だからで、 祭壇の札や読み上げられる電文に会社名が残りますから、 弔意を示したことが参列者からも見える形になります。
| 出すもの | 誰が、どう出すか |
|---|---|
| 供花 | 会社として出し、名札は正式名称と代表者名で書きます |
| 弔電 | 会社として送り、総務が手配することが多いものです |
| 香典 | 社内規定によるほか、部署でまとめることもあります |
| 参列 | 代表者のみとし、部署の中で歩調を合わせます |
会社として供花を出しているのであれば、個人で重ねて出す必要はありません。同じ会社から札が二枚並ぶと祭壇での扱いに困りますし、社内でも「誰が個人で出したか」という話になりやすいためです。個人の香典は、部署の慣例に合わせておけば足ります。
判断が要るのは、会社としての付き合いと個人としての付き合いが重なっている場合で、 取引先の担当者と長く仕事をしてきた、同じ部署で何年も机を並べていた、といった間柄です。 このときは会社としての供花とは別に、自分の名前で香典を包んで差し支えありません。
ただしその場合も、額は社内の慣例から大きく外さないようにしておくほうが無難です。 同じ部署の同僚が集金の封筒で5千円ずつ出しているところに、 一人だけ別枠で多く包むと、あとから額の話が出たときに互いに気を遣うことになります。
辞退されている場合
訃報の文面に「誠に勝手ながら」で始まる一文が添えられていることがあり、 そこに辞退の記載があれば、手配はその時点で止めます。 問題は、その一文が何を指しているのかが読み取りにくいことで、 香典だけなのか、花や供物まで含むのかが表現によって変わります。
読み分けの鍵になるのは「厚志」という語が入っているかどうかで、 この語は金品全般を指しますから、 「御厚志辞退」とあれば香典も供花も供物もまとめて辞退しているという意味になります。 逆に品目が名指しされていれば、辞退の範囲はその品目にとどまります。
| 訃報の記載 | どう読むか |
|---|---|
| 「御香典辞退」 | 香典は包まず、供花は確認のうえ判断します |
| 「御供花辞退」 | 供花は送らず、香典は通常どおり用意します |
| 「御厚志辞退」 | 香典も供花も送らず、弔電の可否だけ確認します |
| 記載が無いとき | 通常どおり、参列するかどうかで判断します |
香典だけを辞退している家でも、供花は受け付けていることがあります。ただし供花は祭壇に並べる場所が要るため、家族葬で小さな式場を使う場合には物理的に置けないこともありますので、送る前に葬儀社へ一度確認してください。弔電は場所も返礼も要らないため、辞退の記載があっても送って差し支えない場合がほとんどです。
辞退と書かれているのに包んで持って行き、受付で断られるという場面は、 渡す側にも受ける側にも気まずさが残ります。 とくに受付を頼まれた親族は断る権限を持っていないことが多く、 その場でどうしていいか分からなくなってしまいます。
どうしても何か形にしたいのであれば、 葬儀が済んで落ち着いたころにお悔やみの手紙を出すという方法があります。 返礼を要さず、受け取る時期も遺族の都合に任せられますので、 辞退の意向とぶつからない形で気持ちを伝えられます。
辞退の表現の読み取り方を見る金額の考え方
両方を出すと決めたあとに起きやすいのが、 「合わせて3万円くらいにしておこう」と先に総額を決めてしまうことで、 そこから香典と供花に割り振ろうとすると、 どちらも中途半端な額になって収まりが悪くなります。
この二つは額の決まり方そのものが違いますので、 合計から逆算するという考え方をしません。 香典は相手との関係で決まる一方、供花は祭壇に並ぶ物の値段ですから、 会場の規模と葬儀社の扱う価格帯のほうが先に効いてきます。
| 何で決まるか | |
|---|---|
| 香典 | 故人との関係の深さと、自分の年代で決まります |
| 供花 | 会場の規模と、葬儀社が扱う価格帯で決まります |
供花は祭壇に並ぶものですから、他の供花と極端に大きさが違うと目立ちます。親族の花が同じ大きさで並んでいるなかに一基だけ背の高いものがあると、良かれと思って出したことがかえって気になってしまいますので、葬儀社が案内する金額帯から選べば、自然に周りと揃います。
供花を手配するときは、花屋に直接頼むよりも 葬儀を担当している葬儀社に頼むほうが確実です。 会場によっては外部から持ち込んだ花を受け付けていないことがありますし、 祭壇の色や高さをそろえる都合もあるためです。
名札に書く名前は、個人であれば氏名、 親族でまとめるなら「〇〇家一同」、会社であれば正式名称と代表者名という形になります。 読み上げられることを前提に、略称や通称は使いません。 手配のときに読み方を伝えておくと、当日の呼び間違いを防げます。
香典の金額の目安を見る供花と香典のどちらを選ぶかに決まった正解があるわけではなく、 両方を出す人もいれば一方だけの人もいて、 そのどちらもこれまで続けられてきた形ですから、 自分の立場から見て無理のない形を選べばそれで足ります。
どの場面でも変わらないのは、 受け取る遺族の手数を増やさないほうを選ぶという一点だけで、 参列するなら香典、行けないなら供花か弔電、辞退と書かれていれば手を止める、 という順に考えていけば、細かい違いを覚えていなくても失礼にはなりません。
よくある質問
供花と香典は両方贈るべきですか?
どちらか一方でも失礼にはなりません。両方贈るのが一般的だとする説明と、どちらも故人を偲ぶ点では同じなので重ねる必要はないとする説明の両方があります。遺族の側から見ると、供花も香典も受け取ったあとに返礼を用意する対象であることに変わりがありませんので、重ねたぶんだけ手数が増えることになります。
どちらにするか迷います。
参列できるかどうかで分けると決まります。参列するなら受付で香典を渡し、参列できないなら供花か弔電を送ります。面識が薄い場合は、返礼の負担がもっとも軽い弔電だけにとどめて差し支えありません。参列できるかが直前まで分からないときは、香典を用意しておいて郵送に切り替えるほうが収まります。
供花を出したら香典は減らしてよいですか?
減らしません。香典は故人との関係と自分の年代で決まるものですから、花を出したかどうかで動かすと、あとから同じ立場の親族と額が合わなくなります。合計の負担が重いと感じるのであれば、額を削るのではなく、どちらか一方に絞るほうが筋が通ります。
会社としてはどう対応しますか?
供花と弔電の組み合わせが多く用いられます。どちらも差出人として社名がそのまま出る形式だからです。香典は社内規定によるほか、部署でまとめることもあります。会社として供花を出しているのであれば、個人で重ねて出す必要はありません。
香典辞退でも供花は送ってよいですか?
「御香典辞退」だけであれば、供花は受け付けていることがあります。ただし祭壇に並べる場所が要りますので、小さな式場では置けないこともあり、送る前に葬儀社へ確認してください。「御厚志辞退」とある場合は香典も供花も供物もまとめて辞退している意味ですから、いずれも送りません。
供花の金額はどう決めますか?
香典とは別に考えます。供花は会場の規模と葬儀社が扱う価格帯で決まりますので、合計額を先に決めて割り振るという考え方はしません。祭壇に並ぶものですから、他の供花と極端に大きさが違うと目立ちます。葬儀社が案内する金額帯から選べば、自然に周りと揃います。
まとめ
- どちらか一方でも失礼にはなりません
- 参列するなら香典を渡します
- 参列できないなら供花か弔電を送ります
- 両方贈るときも香典の額は減らしません
- 会社としては供花と弔電を組み合わせます
- 「御厚志辞退」とあれば、どちらも送りません
- 金額はそれぞれ別の基準で決めます
- 供花は葬儀社が案内する価格帯から選びます
参考情報
- 小さなお葬式「供花の送り方|相場・手配方法・宗教ごとの種類・名札の書き方などを解説」
https://www.osohshiki.jp/column/article/150/ - 全国儀式サービス「お葬式における供花の送り方-手順や注意点、花の種類や相場、芳名札の記載について」
https://www.gishiki.co.jp/columns/537 - さがみ典礼「【供花・供物の送り方】費用相場や手配方法、マナーや注意点を解説」
https://alphaclub-sagami.com/knowledge/column/manners/kyoka_kumotsu.html - 株式会社鎌倉新書「【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)」(2024年3月1日〜4日実施・インターネット調査・有効回答2,000件)
https://www.e-sogi.com/guide/55135/
引用した鎌倉新書の調査は、喪主を経験した方に実際に行った葬儀の内容と費用をたずねて集計したもので、作法の是非をたずねたものではありません。供花と香典を両方贈るか一方でよいかは、情報源によって説明が分かれます。本文にその旨を記載したうえで、判断の軸を示しています。
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・宗派・葬儀社によって扱いが異なる場合があります。手配の前に、必ず遺族または葬儀社にご確認ください。