結論
お供えに選ぶのは使えばなくなる「消えもの」で、 個包装の焼き菓子や日持ちする果物、 線香といったあたりが定番になります。 後に残らないものを選ぶという一点さえ押さえておけば、値段の高い低いにかかわらず、品物選びで大きく外すことはありません。
逆に避けるのは殺生を連想させる肉・魚と、祭壇に置いたままにしておけない傷みやすいものの二つで、この二つさえ外しておけば残りは好みで選んで構いません。 渡すときは紙袋から品物を出して施主に手渡すのが決まりで、 自分で仏壇まで運んで供えることはしません。
お供えの選び方
| 向いているもの | 理由 |
|---|---|
| 個包装の焼き菓子 | 日持ちしますし、弔問客に分けて出せます |
| せんべい・カステラ・落雁 | 常温で置いておけるので置き場所に困りません |
| 日持ちする果物 | そのまま祭壇に供えられる形をしています |
| 線香・ろうそく | 必ず使うものですし、かさばりません |
| 故人が好きだった飲み物 | 日本酒など、常温で保存できるものに限ります |
どれも受け取った側が使いきれるものだという点で共通していて、後に残らないことから消えものと呼ばれます。
選び方の基準
訃報を受けて売り場に立ってみると、贈答用の棚には日持ちのする詰め合わせが並んでいますが、 そのどれを手に取ればよいのかというところで手が止まります。 お祝いの品なら見栄えのするものを選べばよいものの、 弔事となると同じ選び方でよいのかどうかが分からなくなります。
ここで効いてくるのは味や見栄えではなく、使えばなくなるかどうかという一点だけで、そこさえ満たしていれば菓子でも果物でも構いません。 弔事の贈り物に形の残るものを選ばないのは不幸の記憶を残さないという考え方によるもので、 置物や食器のように後々まで手元に残る品は、この基準から外れます。
| 判断の軸 | 選ぶときの見方 |
|---|---|
| 使えばなくなるか | 食べきれるもの、燃やしきれるものを選びます |
| 日持ちするか | 常温で置いておけるものにしぼって選びます |
| 分けられるか | 個包装で小分けにできるものが助かります |
| 持ち運びやすいか | 祭壇や仏壇の脇に置ける大きさに収めます |
大きな菓子を一つ選ぶより、小分けの詰め合わせのほうが実際には喜ばれるもので、見栄えより数のほうが効いてきます。葬儀を終えた家には弔問客が続けて訪れますので、個包装で日持ちするものであれば、そのまま来客に出すことも、集まった親族で分けて持ち帰ってもらうこともできます。
焼き菓子の詰め合わせが定番として挙げられるのは、 一つずつ包まれていて、常温のまま何日も置いておけるからです。 せんべいやカステラ、落雁のように昔から供物に使われてきたものであれば、 仏間に置いても場から浮くことがありません。
故人が好きだった飲み物を選ぶ方もいますが、 冷蔵庫に入れなければならないものは祭壇に置けませんので、日本酒のように常温で保つものに限ります。 線香やろうそくは必ず使ううえにかさばりませんので、 何を選べばよいか決めきれないときの手堅い選択肢になります。
避けるもの
おいしいものを選んだつもりでも、弔事の席には持ち込めない品というものがありますので、味だけで決めるわけにはいきません。 ハムやソーセージの詰め合わせは日持ちもしますし贈答用としてよく売られていますが、 お供えとして仏前に置くとなると、話がまったく変わってきます。
向き不向きを分けているのは、 殺生を連想させないことと遺族が片づけに困らないことの二つになります。 前者は仏事の考え方から来るもので、後者は葬儀のあと何日も続く実務のほうから来るものですので、 この二つを別々に見ておくと迷いません。
| 避けるもの | 理由 |
|---|---|
| 肉・魚 | 殺生を連想させるため供物には向きません |
| ソーセージ・練り物 | 加工されていても、元は同じものとみなされます |
| 要冷蔵・傷みやすいもの | 祭壇に置いておけず、遺族に手間をかけます |
| においの強い食品 | 線香の香りを妨げてしまいます |
| とげ・毒のある花 | 縁起が悪いとされ、弔事には用いられません |
| 鉢植え | 「根がつく」を連想させるため避けられます |
| 派手な色・装飾の菓子 | 仏間に置くと、その場から浮いてしまいます |
重いものやかさばるものも避けたほうが親切で、受け取った遺族は供えたあとに片づけて仕舞うところまでを引き受けることになります。大きさを片手で持ち上げられるくらいに収めておけば、供え終えたあとにそのまま棚へ移してもらえますので、置き場所で困らせることもありません。
においの強い食品を避けるのは、 仏間に線香の香りが立ちこめている場所へ別の香りを持ち込むことになるためです。 燻製やチーズのように香りで売るものは、それ自体が悪いわけではなく、 置かれる場所と合わないだけですので、時期を改めて別の形で贈れば済みます。
鉢植えを避けるのは「根がつく」という言葉が病や不幸の長引きを連想させるからで、 同じ花でも、切り花の形であれば供花として用いられます。 とげのある花や毒を持つ花も弔事には用いませんので、 花を選ぶのであれば、売り場で弔事用と伝えて組んでもらうのが確実です。
宗教による違い
定番だからと線香を選んで持参したところ、伺った先が神式やキリスト教式だったという場面があります。 案内状に宗教まで書かれていないことも多く、 斎場の名前だけでは、どの形式で執り行われるのかが読み取れません。
ここで分かれ目になるのは品物の格や値段ではなく、 その品が特定の宗教の道具かどうかという点だけになります。 菓子や果物のようにどの宗教でも供えられるものと、 仏具にあたるものとでは、扱いがはっきり違ってきます。
| 宗教 | 向いているもの | 避けるもの |
|---|---|---|
| 仏式 | 菓子や果物のほか、線香・ろうそくを供えます | 肉・魚は供物にしません |
| 神式 | 菓子や果物、日本酒を供えることができます | 線香は仏具のため使いません |
| キリスト教式 | 花を中心に選ぶのが通例になっています | 線香や仏具は用いません |
線香を使うのは仏式だけで、そもそも仏具にあたるものですので、神式やキリスト教式の場に持参しても供物として成り立ちません。宗教が分からないまま用意しなければならないときは、菓子か果物にしておけば、どの形式であっても外すことはありません。
神式の葬儀では日本酒を供えることがあり、これは仏式ではあまり見かけない形ですので、同じつもりで選ぶと置き場所から違ってきます。 同じ「お供え」という言葉を使っていても中身が入れ替わりますので、 案内を受け取った時点で形式が読み取れないのであれば、 共通して使える菓子や果物のほうへ寄せておくのが安全です。
キリスト教式では花が中心になりますので、 仏式のつもりで線香の詰め合わせを持参すると、置き場所そのものがありません。 表書きの言葉も宗教によって変わりますので、 掛け紙を頼む段になって迷うようであれば、次の記事にまとめてあります。
渡し方
玄関先で挨拶を済ませたあと、手に提げてきた紙袋をどうすればよいのかというところで、 一拍だけ間ができます。 袋ごと差し出すのか、中身だけを出すのか、そもそも誰に渡せばよいのかが決めきれず、 相手を待たせてしまうことになります。
この場面で押さえておく点は渡す相手と品物の向きの二つだけで、どちらも受け取った側がそのまま動けるようにするための決まりです。 受け取る側は供えるところまでを引き受けますので、 表書きが読める向きで渡さないと、相手はその場で品物を回すことになります。
| 順 | 動作 |
|---|---|
| 1 | まず玄関で挨拶を済ませ、その場では出しません |
| 2 | 紙袋や風呂敷から品物を取り出します |
| 3 | 表書きが相手から読める向きに回します |
| 4 | 「御仏前にお供えください」と添えます |
| 5 | 施主に両手を添えてお渡しします |
| 6 | 空になった紙袋はたたんで持ち帰ります |
自分で仏壇まで運んで供えることはせず、施主以外の方に預けることもしないもので、どこへ供えるかを決めるのは受け取った側になります。こちらは手渡すところまでで区切っておけば足りますが、施主のほうから勧められた場合に限っては、自分で供えて構いません。
紙袋や風呂敷はあくまで品物を運ぶための道具ですので、 中身だけを出して渡し、袋のほうはたたんで持ち帰るのが本来の形になります。 表書きを相手のほうへ向けて両手で差し出せば、 受け取った側はそのまま仏前へ運べますので、余計な手間をかけません。
ただし相手が両手をふさいでいて受け取りにくそうなときや、 そのまま別室へ運ぶことになっているときは、袋ごとお渡しして構いません。 玄関先で袋の扱いにこだわって時間を取るほうが相手の負担になりますので、 形式より、その場の様子のほうを優先してください。
送る場合
遠方に住んでいたり仕事の都合がついたりしないと、 葬儀にも弔問にも伺えないまま日が過ぎていきます。 お供えだけでも届けたいと考えたときに、どこへ、いつ着くように送ればよいのかというところで、 注文の画面の前で手が止まります。
郵送で決めることになるのは宛先と届く日の二つで、品物そのものは持参する場合とまったく同じ選び方で構いません。 とくに届く日はこちらで指定しないと業者の都合で決まってしまいますので、 注文の時点で日付を入れておく必要があります。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 宛先 | 斎場ではなく、喪主のご自宅へ送ります |
| 時期 | 葬儀の数日後から四十九日までに届けます |
| 掛け紙 | 内のしにすれば、配送中に傷みません |
| 添えるもの | お悔やみの手紙を一枚添えておきます |
斎場宛てにすると受け取り手のいない場所へ届いてしまうもので、葬儀が終われば斎場に遺族は残っていません。掛け紙を内のしにするのは、包装紙の内側に入れておけば配送のあいだに表書きが擦れずに済むためで、遠方から送るときほど効いてきます。
葬儀の直後は弔問の対応や役所の手続きが続きますので、荷物が届いても箱を開けて中身をあらためる余裕がありません。 数日置いてから届くようにしておけば、 落ち着いたところで受け取ってもらえますので、かえって気持ちが伝わります。
品物だけが届くと誰から何のために送られたものか分かりませんので、 お悔やみの手紙を一枚添えておきます。 伺えなかった事情を長々と書く必要はなく、 弔意と、直接伺えなかったことへの一言があれば十分です。
掛け紙・表書き・名前の書き方を詳しく見る金額の目安
品物を選ぶ段になると、どのくらいの値段のものを持っていけば釣り合うのかというところが気になってきます。 安すぎては失礼にあたるのではないかと考えて上の棚へ手を伸ばしたくなりますが、 お供えの場合、値段を上げれば喜ばれるという性質のものではありません。
金額を決めているのは相手との関係の深さだけではなく、供える場所の広さのほうでもあり、この点が香典との大きな違いになります。 祭壇や仏壇の脇に並べて置くものですので、 大きさや量のほうが先に上限を決めてしまうことになります。
| 形 | 目安 |
|---|---|
| 品物で贈る | 3千円から1万円のあいだで選びます |
| 現金で包む | 5千円から3万円が目安の幅になります |
| 幅が狭い理由 | 置ける大きさのほうが先に上限を決めます |
お供えの額は香典ほど幅が広くなく、上のほうで頭打ちになります。香典であれば関係の深さがそのまま額に出ますが、お供えは仏壇の脇に並ぶ品ですので、高額にすればするほど置き場所に困らせることになります。関係が深い場合は、お供えの額を上げるのではなく、香典のほうで示す形になります。
品物であれば三千円から一万円のあいだに収まるものがほとんどで、 その範囲で選べば、周りの方が持ち寄ったものと並べても不釣り合いになりません。 現金で包む場合は五千円から三万円が目安の幅になりますが、 こちらも関係によって位置が変わります。
同じ職場の方や近所の方であれば下のほうに、 親族であれば上のほうに寄せていくという見当の付け方になります。 関係ごとの内訳や、香典とあわせて渡す場合にどう考えるかは、次の記事のほうで細かく分けてあります。
関係別の金額の目安を詳しく見る何を選ぶかに一つだけの正解があるわけではなく、 後に残らないものであること、傷まずに置いておけることの二つを満たしていれば、 菓子でも果物でも線香でも構いません。 伺う先の宗教が分からないのであれば、どの形式でも供えられる菓子か果物のほうへ寄せておけば外すことはありません。
どの場面でも変わらないのは、供える場所を決めるのは受け取った側だという一点だけになります。 品物を施主に手渡すところで区切り、そこから先は任せておけば、 細かい作法を思い出せなくても失礼にはなりませんし、 受け取った側も、自分の家のやり方で仏前に整えることができます。
よくある質問
お供えには何を選べばよいですか?
使えばなくなる「消えもの」が基本になりますので、個包装の焼き菓子や日持ちする果物、線香・ろうそくといったあたりが定番です。葬儀を終えた家には弔問客が続けて訪れますから、大きな菓子を一つ選ぶより、小分けにできる詰め合わせのほうが実際には助かります。
避けたほうがよいものはありますか?
肉や魚は殺生を連想させるため避けるもので、ソーセージや練り物といった加工品も同じ扱いになります。要冷蔵で傷みやすいものは祭壇に置けませんし、においの強い食品は線香の香りを妨げます。とげや毒のある花、鉢植えも弔事には用いません。
線香はどの宗教でも使えますか?
線香を使うのは仏式だけで、仏具にあたりますので神式やキリスト教式の場では供物として成り立ちません。案内状から形式が読み取れないまま用意しなければならないときは、菓子か果物にしておけば、どの宗教であっても外すことはありません。
お供えはどのように渡しますか?
紙袋や風呂敷から品物を取り出し、表書きが相手から読める向きに回してから「御仏前にお供えください」と添えて、施主に両手でお渡しします。空になった紙袋はたたんで持ち帰るもので、自分で仏壇まで運んで供えることはしません。
郵送してもよいですか?
構いませんが、宛先は斎場ではなく喪主のご自宅にしてください。葬儀が終われば斎場に遺族はいませんので、受け取り手のいない場所へ届いてしまいます。時期は葬儀の数日後から四十九日までとし、掛け紙は配送で傷まない内のしにして、お悔やみの手紙を添えます。
金額はいくらくらいですか?
品物であれば3千円から1万円、現金で包むのであれば5千円から3万円が目安の幅になります。香典ほど幅が広くないのは、仏壇の脇に並べて置くものだからで、額を上げるほど置き場所に困らせることになります。関係が深い場合は、香典のほうで示す形になります。
まとめ
- お供えは「消えもの」から選びます
- 個包装で日持ちするものが助かります
- 肉・魚は殺生を連想させるため避けます
- 線香を使うのは仏式だけになります
- 紙袋から出して施主に手渡します
- 自分で仏壇には供えません
- 郵送は自宅あて・内のしにします
参考情報
- 小さなお葬式「お供えの基本的なマナーを解説│失礼にならない選び方や渡し方とは」
https://www.osohshiki.jp/column/article/2054/ - 家族葬のファミーユ「お供え(おそなえ)には何が最適?相場やかけ紙のマナーを紹介」
https://www.famille-kazokusou.com/magazine/after/105 - さがみ典礼「【供花・供物の送り方】費用相場や手配方法、マナーや注意点を解説」
https://alphaclub-sagami.com/knowledge/column/manners/kyoka_kumotsu.html
「消えもの」を選ぶこと、肉・魚を避ける理由、施主に手渡すことは、参照した情報源で共通しています。
本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。地域・宗派・葬儀社によって扱いが異なる場合があります。手配の前に、必ず遺族または葬儀社にご確認ください。