結論

法事の香典には新札を使っても差し支えありません。 新札を避けるのは不幸を予期してあらかじめ用意していたと受け取られるためで、 日程が前もって決まっている法要には当てはまらないという考え方によります。

お札の向きは葬儀と同じく肖像画が下にくるように入れ、 複数枚あるときは向きをすべて揃えてから中袋へ収めます。 枚数については4枚と9枚だけを外しておけば、そのほかに決まりごとはありません。

葬儀との違い

項目法事葬儀
新札 そのまま使って差し支えありません 急な知らせのため避けるとされます
お札の向き 肖像画が下にくるように入れます 同じ向きで入れて差し支えありません
複数枚 向きをすべて揃えてから収めます こちらも揃えるところは変わりません
枚数 4枚と9枚だけを外しておきます 避ける枚数は法事と同じになります
傷んだ札 破れや落書きのある札は使いません 葬儀でも同じように取り替えます

葬儀と法事とで違うのは、新札を使ってよいかどうかという一点だけです。向きも枚数も、傷んだ札を外しておくところも変わりませんので、葬儀のときに覚えたことはそのまま持ち越せます。新札の扱いだけが、日程の決まり方の違いから分かれています。

新札でよい理由

四十九日の案内が届いて香典袋を買い、いざお札を入れる段になったところで、 銀行で下ろしたばかりの折り目のない一万円札を前にして手が止まることがあります。 葬儀のときには新札を避けると聞いていましたので、法要でも同じようにするべきなのかどうかが分かりません。

分かれ目になるのはその日が前もって決まっていたかどうかという一点で、 急な知らせを受けてその日のうちに駆けつける場面と、案内状を受け取って返事を出してから伺う場面とでは、 支度に使える時間がまるで違います。

場面考え方
急な訃報での葬儀用意していなかったことが気持ちの表れになります
日程の決まった法要前もって支度しておくのが当たり前の場面です
葬儀の表書き墨をする間もなかったという意味で薄墨を使います
法要の表書き支度の時間がありますので濃墨で書きます
手元にある札折り目がついていても、そのまま包んで構いません

準備していなかったことを示す作法は、法事では要らないと考えるとまとめて覚えられます。薄墨も新札を避けることも、急な知らせに間に合わせたという同じ一つの気持ちを形にしたもので、案内状を受け取ってから伺う法要には、その形をそのまま持ち込む理由がありません。

実際のところ、法要のためにわざわざ銀行の窓口へ寄って新札に替えてくる必要もありません。 財布や封筒に入っていた折り目のついた札で足りますし、 ふだん使いの札のほうが自然だという受け止め方をされる場面のほうが多いはずです。

表書きの墨についても同じで、法要では濃墨で書いて差し支えありません。 薄墨は墨をする時間もないまま駆けつけたという意味を持つ書き方ですので、 日を決めて伺う法要でこれを使うと、かえって形だけを合わせたように見えてしまいます。

避けるべきとする考え方

新札で構わないと調べがついたあとで、身内から法事でも新札はよくないと言われて、 封をする前の香典袋を持ったまま迷ってしまうことがあります。 どちらの言い分にもそれなりの理屈があるように聞こえますので、その場では判断がつきません。

分かれているのはどこまでを一つの弔事として扱うかという線の引き方で、 葬儀と法要を分けて考える立場と、弔事全般をひとまとめにして考える立場とがあり、 同じ作法についての説明が情報源によって食い違います。

立場考え方
新札でよいとする立場日程が決まっていますので支度は当たり前と考えます
避けるとする立場弔事では新札を使わないという考え方によります
気になるとき一度だけ折り目を付けておけば両方に収まります
破れている札法事であっても、別の札に取り替えておきます
落書きや汚れのある札受け取った側の手元で目に留まりますので外します

本サイトでは新札で問題ないと考えていますが、気になるようでしたら一度だけ折り目を付けておいてください。二つ折りにして開いた札であれば、新札を避ける立場の方から見ても使い古しには見えませんので、どちらの考え方の方に対しても問題になりません。

香典は受け取った側が中身を一枚ずつ数え、氏名と金額を控えたうえで、後の返礼の手配へつながっていきます。 鎌倉新書が2024年3月1日から4日にかけて、2022年3月から2024年3月に喪主を務めた全国の40歳以上の男女2,000名へインターネットで行った第6回お葬式に関する全国調査では、 葬儀にかかった費用の総額118.5万円のうち、香典に対するお礼の品物にあたる返礼品費が平均22.0万円を占めていました。

これは葬儀についての集計であって法要のものではありませんし、回答した方の記憶に頼った数字でもありますが、 いただいた香典が数えられ、記録として残り、返礼へつながっていく流れそのものは法要でも変わりません。 折り目のついた札で差し支えない一方、破れている札や落書きのある札は、その手元で必ず目に留まりますので取り替えておきます。

お札の向き

中袋を開いて札を差し入れる直前になると、顔がどちら側を向いているのが正しいのかが急に気になり始めます。 表と裏、上と下の組み合わせで四通りありますので、なんとなく入れたままでよいものかどうかが分かりません。

迷いが長引くのは、気にする点が一つではないためで、 肖像画を下にするところまでは説明が揃っている一方、表裏のどちらを向けるかについては情報源ごとに書き方が分かれています。 どこまでを守れば足りるのかを先に決めておくと、封をする手が止まりません。

項目入れ方
肖像画の位置顔が下にくるように入れるのが基本です
複数枚あるとき向きをすべて揃えてから中袋へ収めます
表と裏説が分かれており、どちらでも失礼になりません
葬儀との違い向きについては葬儀と同じに扱って差し支えありません
もとになる考え方顔を伏せて悲しみを表すという説明によります

表裏で迷うくらいなら、複数枚の向きが揃っているかどうかを確かめるほうが役に立ちます。表裏の違いは中袋を開けても気づかれにくい一方、一枚だけ逆さに入っていることは取り出した瞬間に分かりますので、そちらのほうが目に留まります。

一万円札を三枚まとめて入れるようなときは、卓の上でいったん端を揃え、 顔の位置が同じ側に来ていることを確かめてから中袋へ差し入れてください。 財布から出したままだと、たいてい一枚か二枚は上下が逆さになっています。

向きを整えるのは、受け取った側が数えるときに手を止めずに済むようにという配慮でもあります。 施主は法要の当日から数日のあいだに何通もの中袋を開けることになりますので、 揃っているだけで、その一通分だけ手間が減ります。

お札の向きの考え方を詳しく見る

枚数の考え方

包む額が決まったあとでも、それを何枚のお札で作るかというところでもう一度迷います。 一万円を千円札で用意してよいものか、五千円札を二枚にするか一万円札を一枚にするかで、 財布の中身を見比べたまま時間が過ぎていきます。

ここで気にすることになるのは数そのものが持つ意味で、 金額を四千円や九千円にしないのと同じ理由から、外しておく枚数がいくつか決まっています。 それさえ避けておけば、あとは手元にある札の組み合わせで構いません。

金額枚数
3千円千円札を3枚そろえて入れておきます
5千円五千円札を1枚だけ入れるのが自然です
1万円一万円札を1枚入れておけば足ります
2万円一万円札を2枚、向きを揃えて入れます
3万円一万円札を3枚にしておくと収まります
外す枚数4枚と9枚は死と苦を思わせるため避けます

枚数は少ないほうが中袋の中で整いますので、大きい額の札でまとめておいてください。会食の分を上乗せして2万円になることもありますが、法要の香典は席と料理の実費に近い性格を持っていますので、偶数であることを問題にされる場面はほとんどありません。

千円札を十枚重ねて入れると中袋がふくらみ、封の部分が浮いてしまいます。 枚数が多いほど数えるほうにも手間がかかりますので、 前日までに銀行や郵便局の窓口で、五千円札か一万円札に替えておくほうが落ち着きます。

四枚と九枚を外すというのは、四千円や九千円という金額を作らないという話と地続きです。 死と苦という言葉を思い起こさせる数を並べないというだけのことですので、 それ以外の枚数であれば、偶数でも奇数でも気にする必要はありません。

中袋への入れ方

香典袋の封を切ると、外側の袋とは別に、白い中袋がもう一枚入っていることがあります。 お札をそのまま外袋へ入れてよいのか、中袋に何を書くのかが分からないまま、 袋を裏返して印刷された枠を眺めることになります。

判断が要るのは書く面と、書くための筆記具の二つで、 表書きに薄墨を使う場面があることと混ざってしまうため、中袋まで薄い墨で書くべきなのかが分からなくなります。 中袋は読まれるためのものだと考えれば、迷わずに済みます。

書く場所内容
中袋の表包んだ金額を中央にそろえて書きます
中袋の裏住所と氏名を読みやすい大きさで書きます
筆記具濃墨や黒のペンで書いて差し支えありません
お札の収め方中袋へ入れてから、外の袋で包み直します
中袋がないとき外袋の裏へ同じことを書いておけば足ります

中袋については、施主が読み取る場面のほうを優先して差し支えありません。表書きの薄墨は弔意を表すための書き方ですが、中袋に書く住所と氏名は返礼を届けるための情報ですので、薄くて読み取りにくいと、かえって相手の手を止めることになります。

法要では受付が設けられないことが多く、香典は施主の手元にそのまま集まります。 当日は挨拶や配膳の合間になりますので、中袋を開けて控えるのは、たいてい法要が済んで家に戻ってからです。 そのときに読み取れる文字であるかどうかが、後の手間を分けます。

住所が抜けていたり、番地の一部が読み取れなかったりすると、施主は返礼の宛先を調べ直すことになります。 郵便番号から書き出して、部屋番号まで省かずに書いておけば、 こちらは封をするときの数十秒で済み、相手はそれを写すだけで済みます。

香典袋と表書きを詳しく見る

持ち運び

支度が整った香典袋を、そのまま鞄の内ポケットへ入れて出かけようとして、 角が折れないだろうかと気になって手を止めることがあります。 会場に着いてから鞄をかき回して取り出す姿を思い浮かべると、なおさら落ち着きません。

ここで用意しておきたいのが袱紗で、 袋を守るという役目のほかに、取り出して差し出すまでの動作を静かに収めるという役目も持っています。 選ぶときに気にするのは色と、包む向きの二点だけです。

項目内容
弔事に使う色紺・グレー・深緑などの寒色系を選びます
包み方右・下・上・左の順に折り、左開きにします
金封袱紗香典を右側へ入れて、左開きで持ち運びます
渡すとき取り出して畳み、下に敷いて両手で差し出します
紫の袱紗慶弔のどちらにも使えますので一枚あると足ります
手元にないとき黒や紺の無地のハンカチで代えられます

法要では受付が設けられないことが多く、香典は施主へ直接お渡しすることになります。会場に着いてあいさつを交わす、その流れのなかで差し出すのが収まりのよい時機で、席に着いてから改めて渡そうとすると、こちらも相手も間合いを計りかねることになります。

袱紗から取り出すところまでは、相手の前で行って差し支えありません。 畳んだ袱紗を左の手のひらに載せ、その上へ香典袋を置いてから両手で差し出せば、 袋の向きも自然に相手のほうを向きます。

手元に袱紗がないまま当日を迎えることもありますが、そのときは黒や紺の無地のハンカチで代えられます。 鞄から裸の袋を出すよりも角が守られますし、取り出す動作もひと呼吸置いたものになりますので、 間に合わせであっても十分に役目を果たします。

袱紗の色と包み方を詳しく見る

法事のお札の入れ方に、どこでも通じる一つの正解があるわけではありません。 新札を避けるかどうかは家や地域で分かれますし、表裏の向きについても説明が揃っていませんので、 迷ったときは一度だけ折り目を付ける、向きだけは揃えるというあたりで手を打っておけば足ります。

どの法要でも変わらないのは、受け取る側が中袋を開けて数え、控えるという一点です。 破れた札を外し、向きを揃え、住所と氏名を読み取れる濃さで書いておく。 その三つだけ整えておけば、細かい作法を思い出せなくても、施主の手を余計に止めることにはなりません。

よくある質問

法事の香典に新札を使ってもよいですか?

差し支えありません。新札を避けるのは「不幸を予期して用意していた」と受け取られるためで、日程が前もって決まっている法要には当てはまらないからです。法要の表書きに濃墨を使うのも同じ理屈です。

法事でも新札は避けるべきという話を聞きました。

弔事全般で新札を使わないとする考え方もあり、情報源によって書き方が分かれます。気になる場合は一度だけ折り目を付けておけば、どちらの考え方の方に対しても問題になりません。

傷んだお札でもよいのですか?

破れている札、落書きのある札、極端に汚れた札は取り替えておきます。受け取った側が一枚ずつ数え、金額を控えるためです。「新札でなければ何でもよい」という話ではありません。

お札の向きはどうしますか?

葬儀と同じく肖像画が下にくるように入れます。表裏については情報源によって書き方が分かれますが、どちらでも失礼にはあたりません。複数枚のときは向きをすべて揃えてください。

枚数に決まりはありますか?

4枚と9枚は外します。「死」「苦」を思わせるためです。枚数は少ないほうが中袋の中で整いますので、5千円なら五千円札1枚、1万円なら一万円札1枚が自然です。

袱紗は必要ですか?

用意しておくと落ち着きます。弔事用は紺・グレー・深緑などの寒色系で、紫は慶弔どちらにも使えます。手元になければ黒や紺の無地のハンカチで代えられます。法事では受付がないことが多く、施主に直接お渡しします。

まとめ

  • 法事の香典には新札を使って差し支えありません
  • 日程が決まっていますので支度は当たり前と考えます
  • 気になるときは一度だけ折り目を付けます
  • 破れや落書きのある札は法事でも取り替えます
  • お札は肖像画が下にくるように入れます
  • 複数枚あるときは向きをすべて揃えます
  • 4枚と9枚だけを外しておきます
  • 中袋は濃墨や黒のペンで読みやすく書きます
  • 袱紗に包み、施主へ直接お渡しします

参考情報

  1. 共生大龍「香典の金額相場|法事別・関係性別の一覧表【葬儀・四十九日・一周忌】」
    https://www.kyosei-tairyu.jp/houji/kouden/kouden-kingaku-souba.html
  2. 横浜そうぎ社「四十九日・一周忌・三回忌の香典金額早見表(続柄別・地域別)」
    https://y-osohshiki.com/column/1291
  3. 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「香典袋とは:御仏前?御霊前?迷った時の香典袋の書き方とマナー」
    https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary22/
  4. 株式会社鎌倉新書「【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)」(2024年3月・有効回答2,000件)
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000069.000009951.html

本文で引用した鎌倉新書の調査は、2024年3月に喪主を経験した全国40歳以上の男女2,000件がインターネットで答えたもので、葬儀についての集計であって法要のものではなく、実費の記録ではなく回答者の記憶による申告です。本サイトの金額は、参照した情報源を照合したうえで四十九日・一周忌の早見表に統一しています。四十九日から回を重ねるにつれて相場が下がる傾向は、複数の情報源で一致しています。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。法要の香典は、地域・宗派・ご家庭の慣習によって異なります。とくに水引の色は地域差が大きいため、ご親族や地元の葬儀社にご確認ください。