結論

法事の香典は四十九日がもっとも高く、回を重ねるごとに下がっていくもので、 祖父母や兄弟姉妹であれば四十九日1〜3万円、 一周忌5千〜2万円、三回忌以降3千〜1万円が目安になります。

法要のあとに会食があれば1人5千〜1万円を上乗せして包み、 表書きは「御仏前」、墨は濃墨を使いますので、 葬儀のときの「御霊前」と薄墨からはどちらも変わることになります。

金額の決まり方

祖父の三回忌の案内が届いて、日取りと会場を確かめたところまではよかったのですが、 封筒に入れる額を決める段になると、そこから先へ進めなくなります。 葬儀のときに包んだ額は覚えているものの、あれから何年も経っていますし、 同じだけ包むのが丁寧なのか、それとも減らすのが通例なのかが分かりません。

法事の香典で見るべきものは故人との関係の近さと、 何回目の法要にあたるかという二つの軸だけです。 関係が近いほど額が上がるのは葬儀と同じですが、法事にはもう一つ、 回を重ねるにつれて動いていく軸が加わるところが、判断を分かりにくくしています。

関係金額の目安(会食の上乗せを含まない額)
両親・義父母四十九日3〜10万円、一周忌1〜5万円、三回忌以降1〜3万円です
祖父母四十九日1〜3万円、一周忌5千〜2万円、三回忌以降3千〜1万円です
兄弟姉妹四十九日1〜3万円、一周忌5千〜2万円、三回忌以降3千〜1万円です
叔父・叔母四十九日5千〜2万円、一周忌5千〜1万円、三回忌以降3千〜1万円です
いとこ・その他の親族四十九日5千〜1万円、一周忌5千〜1万円、三回忌以降3千〜5千円です
友人・知人四十九日5千〜1万円、一周忌3千〜5千円、三回忌以降3千〜5千円です
会社関係四十九日3千〜1万円、一周忌3千〜5千円、三回忌以降3千〜5千円です

回を重ねて額が下がっていくことは、まったく失礼にあたりません。目安としては前回の7割程度で、法要そのものの規模が小さくなり、会食を省くようにもなっていきますので、参列する側の負担が軽くなるほうが自然な姿です。葬儀の香典と違って、包む人の年代による差もあまり意識されません。

回を重ねるほど法要が小さくなっていくことは、公的な立場の団体が行った調査からも読み取れます。 公益財団法人全日本仏教会と大和証券株式会社が2024年12月19日から12月20日にかけて 全国の20歳から79歳の男女へ行ったインターネット調査では、 事前調査の10,000サンプルから本調査で6,192サンプルの有効回答を得ています。

この調査で家族の法要についてどこまで執り行うべきと思うかを尋ねたところ、 四十九日が43.4パーセント、一周忌が42.7パーセント、三回忌が32.1パーセント、 七回忌が23.2パーセント、十三回忌が16.4パーセントと、回を追うごとに割合が下がりました。 これは香典の額を尋ねたものでも、営まれた法要を数えたものでもなく、考え方を尋ねた意識調査です。

それでも、七回忌のころには営むこと自体を当然とは考えない人が4分の3を超えているわけですから、 招かれる側が回を追うごとに額を下げていくのは、その流れに沿った振る舞いということになります。 前回より少なくすることに後ろめたさを感じる必要はまったくありませんので、 関係と回数の二つを表に当てて、そこで出た額をそのまま包んでください。

会食がある場合

案内状の終わりのほうに、法要のあとお席を用意しておりますという一行が入っていることがあります。 これを読んだ瞬間に、さきほど決めたばかりの額をもう一度考え直すことになります。 料理が出るのであれば、その分をこちらで持つのが筋のように思える一方で、 いくら足せばよいのかという見当がまるでつきません。

ここで効いてくるのは席と食事の実費がこちらのために発生しているという一点で、 参列すると返事をした時点で、施主はその人数分の料理と席を手配しています。 同じ法要でも、読経だけで解散する席と、そのあと料理屋へ移る席とでは、 施主が支払う額が一人あたりで大きく変わってきます。

参列のしかた上乗せと合計の目安
1人で出席する5千〜1万円を足し、友人の四十九日なら合計1万〜2万円です
夫婦2人で出席する1万〜2万円を足し、同じ場面なら合計2万〜3万円になります
子どもを連れて行く子ども用の食事が出るなら5千円程度を足しておきます

会食があるかどうかは案内状を読めば分かります。お席を用意しているという一行や、返信はがきに出欠と人数を書かせる欄があれば、そのぶんの手配が動いていると考えて差し支えありません。何も書かれていなければ読経のみで解散することもあり、その場合の上乗せは要りません。

上乗せの単位になるのは、返信はがきに書いて出した人数そのものです。 夫婦で参列すると返事をすれば二人分の席と料理が用意されますので、 上乗せもそのまま二人分になりますし、子どもを連れて行って子ども用の料理が出るのであれば、 その分もこちらで見ておくことになります。

額を決める順番としては、まず関係と回数から基本の額を出して、 そこへ参列する人数分の会食代を足し、切りのよいところへ収めるという流れになります。 会食の有無を確かめる手だてや、席を辞退するとき、折詰を持ち帰るときの扱いは、 次の記事にまとめてあります。

会食がある場合の金額を詳しく見る

葬儀との違い

同じ香典という名前で呼ばれているうえに、袋も似たようなものが並んで売られていますので、 葬儀のときにしたことをそのまま繰り返せばよいように思えてきます。 ところが実際には、包む額の決め方から袋に書く言葉まで、いくつも変わるところがあり、 葬儀の記憶をそのまま持ち込むと、かえって外れることになります。

分かれ目になるのは日程が前もって決まっている行事かどうかという一点です。 葬儀は知らせを受けて駆けつけるものですが、法事は日を決めて案内を出し、 招かれた人がその日に合わせて出向くものですから、 「急だったので用意ができなかった」ということが起こりません。

項目葬儀と法事でどう変わるか
金額の決め方葬儀は年代でも動きますが、法事は関係と回数で決まります
表書き葬儀は御霊前が多く、法事は宗派を問わず御仏前になります
墨の濃さ葬儀は薄墨、法事は濃墨(ふだんの黒)で書きます
新札葬儀では避けますが、法事では使って問題ありません
受付葬儀には設けられますが、法事では無いことが多くなります
立場葬儀は駆けつける側、法事は招かれて参列する側です
会食葬儀に上乗せの慣習はなく、法事では人数分を上乗せします

薄墨には、急な知らせに墨をする時間もなかったという意味が込められています。新札を避けるのも、こんなことになると思って用意していたわけではないという意思表示です。日取りが何か月も前から決まっている法要には、そのどちらも当てはまりません。

金額の決め方でいちばん違うのは、葬儀では包む人の年代がある程度ものを言うのに対して、 法事ではそこがあまり意識されない点です。 法事は招かれて参列するものですので、勤め先での立場や年齢よりも、 故人とどれだけ近いところにいたかと、何回目の法要かのほうが先に来ます。

袋の選び方や表書きの書き方、水引の色の地域差については、香典袋の記事にまとめてあります。 新札を使ってよい理由や、お札の向き、中袋への入れ方は、お札の記事のほうへ分けてあります。 どちらも法事に限った扱いを書いてありますので、 葬儀のときと違って戸惑うところがあれば、そちらを開いてみてください。

包まなくてよい場合

実家で営む法要に、自分も香典を用意して行くべきなのかどうかで迷うことがあります。 席を用意してもらう側ではあるものの、朝から会場へ入って手伝いに回るつもりでもあり、 封筒を差し出す立場なのか受け取る立場なのか、自分でもはっきりしません。

ここでの分かれ目はその法要を営む側にいるのか、招かれた側にいるのかだけです。 料理屋への支払いやお布施を持つ人と、その席に呼ばれて手を合わせに行く人とでは、 同じ親族であっても立場がまるで違いますので、 迷ったときは費用がどこから出ているかをたどってみてください。

立場扱い
施主受け取る側にあたりますので、包むことはありません
費用を分担する営む側に回っていますので、香典としては包みません
同居している家族同じ世帯として営む側にあたり、包む必要がありません
招かれていない送る必要もありませんので、何もしなくて構いません
学生・扶養されている世帯としてまとめて包みますので、別に用意しません

案内が来ていなければ、何もしないという判断でまったく差し支えありません。七回忌を過ぎたころから家族だけで営む法要が増えていきますが、これは呼ぶ人を選び落としたのではなく、そういう営み方にすると決めたということです。そこへ香典を送ると、返礼の手配をあらためて起こさせることになります。

同じ親族のなかでも、費用を出し合うところまで入っている人と、 当日に手を合わせに行くだけの人とでは扱いが分かれます。 兄弟のうち一人が施主を務め、ほかの兄弟が料理屋への支払いを分けて持つような形であれば、 その分担そのものが香典の代わりになっていますので、封筒を別に用意する必要はありません。

学生や、まだ親に扶養されている立場であれば、世帯としてまとめて包む形になります。 社会に出て自分の収入があるようになったところで、はじめて自分の名前で包むようになりますので、 いつから別に包むのかで迷ったときは、財布が親と分かれたかどうかを目安にしてください。

渡し方

会場に着いてみると、葬儀のときのような受付の机が置かれていないことがほとんどです。 鞄のなかには袱紗に包んだ香典袋が入っているのに、差し出す相手も場所も見あたらず、 親族が集まって話しているところへ、袋を持ったまま近づくことになります。

迷いやすいのはいつ、誰に差し出すのかという点です。 葬儀であれば受付に並んで記帳のついでに預ければ済みますが、 法事では施主に直接渡すことになりますので、こちらから声をかける間合いを 自分で見つけなければなりません。

順すること
1会場で施主を見つけて、まずあいさつをします
2鞄から袱紗を出し、その場で香典袋を取り出します
3相手から表書きが読める向きに直して持ちます
4「本日はお招きいただき、ありがとうございます」と添えます
5両手で差し出して、受け取っていただきます

葬儀のときと違い、この場面で「ご愁傷さま」という言葉は使いません。法事は招かれて参列するものですから、まずお招きへの礼を述べるほうが場に合います。そのあとに「ご仏前にお供えください」と続けても差し支えありません。

渡すのは会場へ着いてすぐ、席に落ち着く前がいちばん自然です。 法要が始まってしまうと読経のあいだは動けませんし、 終わればそのまま会食へ移ってしまい、施主は挨拶や配膳の指示で席を離れることが増えますので、 渡しそびれたまま帰ることになりかねません。

施主が来客の応対に追われていて話しかける間が見つからないときは、無理に割り込まないでください。 少し離れたところで待ち、ひと区切りついたところで声をかければ足ります。 袱紗から出すのは相手の前に立ってからで、家を出るときから手に持って行く必要はありません。

お供えとの関係

香典袋を用意したうえで、菓子折りも持って行ったほうがよいのだろうかと考えることがあります。 両方あれば丁寧に見える気がする一方で、それだけ相手の返礼も重くなるはずで、 結局どちらをどれだけにすれば釣り合うのかが分からないまま当日が近づいてきます。

考えどころは合わせていくらになるかという一点です。 施主の側では、香典とお供えを別々に受け取ったつもりはなく、 その人から届いたもの全体を見て返礼の品を決めますので、 片方を目安どおりにしておいて、もう片方をそこへ上乗せすると、合計だけが膨らみます。

組み合わせ目安
香典のみもっとも多く選ばれる形で、これで十分に足ります
両方を用意する香典のほうをやや控えめにして釣り合いを取ります
お供えの金額3千〜5千円ほどの菓子や果物にとどめておきます
どちらか一方一方だけでも失礼にはあたりませんので、それで構いません

香典とお供えは、どちらか一方を用意すればそれで足ります。両方を持って行くのであれば、表の額をそれぞれ足し合わせるのではなく、香典を一段下げたうえでお供えを3千〜5千円に収めてください。合計が跳ね上がらなければ、返礼を選ぶ施主の手も重くなりません。

親族として近い立場であれば、両方を用意するほうが自然に見える法要もあります。 そういう席では、ほかの兄弟や従兄弟がどうするつもりかを前もって聞いておいてください。 一人だけ大きく違う形で現れると、本人がいちばん落ち着かない思いをすることになります。

お供えとして何を選べばよいか、掛け紙をどうするか、どうやって渡すのかは、次の記事にまとめてあります。 使えばなくなる品を選ぶ理由や、法要のあとに参列した方で分ける習わしまで書いてありますので、 香典に添えて菓子や果物を持って行くと決めたときは、そちらを先に読んでおくと選びやすくなります。

法事のお供えを詳しく見る

法事の香典に、どの家にも当てはまる一つの正解があるわけではありません。 同じ祖父の三回忌でも、親族が二十人集まって会食まである家と、 子と孫だけで読経を聞いて解散する家とでは、包むべき額はまるで違ってきます。 関係の近さと回数、それに会食の有無を並べたところで出る額が、その席での適切な額です。

どの法要でも変わらないのは、回を重ねるごとに下げてよいという一点だけです。 前回より少なくすることを失礼だと考えて無理に揃えると、 招く側は次の法要でも同じ規模を保たなければならなくなりますので、 表の目安まで下げて包むことが、そのまま続けやすい法要につながります。

よくある質問

法事の香典はいくら包みますか?

故人との関係と、何回目の法要かで決まります。祖父母・兄弟姉妹なら四十九日1〜3万円、一周忌5千〜2万円、三回忌以降3千〜1万円が目安です。会食があれば1人5千〜1万円を上乗せします。

回を重ねると金額を下げてよいのですか?

下げるのが一般的です。目安は前回の7割程度です。法要の規模が小さくなり、会食を省くようになるためで、下げることは失礼にあたりません。

表書きは何と書きますか?

「御仏前」です。四十九日以降の法要はすべて御仏前で、宗派を問いません。墨は濃墨(通常の黒)を使います。薄墨は急な訃報を表すもので、日程が決まっている法要には当てはまりません。

新札を使ってもよいですか?

問題ありません。新札を避けるのは「準備していなかった」ことを示すためで、日程が前もって決まっている法要には当てはまらないからです。

香典を包まなくてよいのはどんな場合ですか?

施主、法要の費用を分担する立場、同居している家族は包みません。営む側にあたるためです。また招かれていない場合は、送る必要もありません。

香典はいつ渡しますか?

法事では受付を設けないことが多く、会場に着いて施主にあいさつするときに渡します。添える言葉は「本日はお招きいただき、ありがとうございます」です。葬儀と違い「ご愁傷さま」は使いません。

まとめ

  • 四十九日がもっとも高く、回を重ねるごとに下がります
  • 下げるときの目安は前回の7割程度になります
  • 会食があれば1人5千〜1万円を上乗せします
  • 表書きは御仏前、墨は濃墨を使います
  • 法要では新札を使っても問題ありません
  • 施主・費用を分担する人・同居家族は包みません
  • 香典とお供えはどちらか一方で足ります

参考情報

  1. 共生大龍「香典の金額相場|法事別・関係性別の一覧表【葬儀・四十九日・一周忌】」
    https://www.kyosei-tairyu.jp/houji/kouden/kouden-kingaku-souba.html
  2. 横浜そうぎ社「四十九日・一周忌・三回忌の香典金額早見表(続柄別・地域別)」
    https://y-osohshiki.com/column/1291
  3. 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「香典袋とは:御仏前?御霊前?迷った時の香典袋の書き方とマナー」
    https://www.zensoren.or.jp/dictionary/dictionary22/
  4. 公益財団法人全日本仏教会・大和証券株式会社「仏教に関する実態把握調査(2024年度)」(2024年12月実施・本調査の有効回答6,192サンプル)
    https://www.jbf.ne.jp/wp-content/uploads/site211/files/pdf/2024jiltutaihaku-tyousa%20HPyou.pdf

本文で引用した全日本仏教会・大和証券の「仏教に関する実態把握調査(2024年度)」は、2024年12月にインターネット調査会社のモニタ6,192サンプルから回答を得たもので、香典の金額を尋ねた調査でも、実際に営まれた法要を数えた集計でもなく、どこまでの法要を執り行うべきと考えるかを尋ねた意識調査です。本サイトの金額は、参照した情報源を照合したうえで四十九日・一周忌の早見表に統一しています。四十九日から回を重ねるにつれて相場が下がる傾向は、複数の情報源で一致しています。

本記事で紹介している金額や作法は一般的な目安です。法要の香典は、地域・宗派・ご家庭の慣習によって異なります。とくに水引の色は地域差が大きいため、ご親族や地元の葬儀社にご確認ください。